自分の書いたゲーム転生小説の主人公に成り代わってしまった主人公の話 作:ぱgood(パグ最かわ)
ヒロインと接点?いやなんで?
☆☆☆
あの事件から、今日で二週間が経った。
俺はこっぴどく先生たちから怒られ、反省文を書かされた。
最悪だ。
あと、先週から授業が再開した。正直あんまり時間が経ってないだろって思うんだけど。
ていうか、休みくれ‼反省文と説教でまるまる潰れたんだが⁉
う~ん、ゴミ!
いや、それは言いすぎだし、そもそもこんな状況だからこそ、ゆっくりと育ててる時間が無いのも分かる。
後、たった一週間で校舎の修復及び設備の復旧が終わった。
うん、凄いね。早いね。流石は国が力を入れているだけはある。
ということで、何のアクシデントも起こらず無事授業が再開したのだった まる
因みに先週から新たな授業が始まった。
どんな授業かって?ダンジョンに入ってのレベル上げだ。
そう、あのRPGで定番のダンジョンだ。
まぁ、ダンジョンとは言っても、あくまで六つの世界を繋ぐための転移門に突如魔物が湧いたものなんだけど。だから、宝箱とかは置いてないし、時々漂着してくる道具とかも基本的に国が預かって解析し、有用だと判断されれば、複製を試みられ、複製が完了すれば、オリジナルは上位の防人に預けられる。
そういうシステムになってるから、レアアイテムゲットで無双とかは出来ない。
レベルアップと転移門に蔓延る魔物を減らすために行くのだ。
えっ?魔物と戦うのは早すぎないかって?
いやぁ、その気持ちは分からなくはないんだけど、どうやら上層部の間では、一週間前の事件は何者かによって作為的に仕組まれたのではないかって考えられているんだって。
うん、知ってた‼
まあ、ことのあらましを完全に把握しているわけでは無いんだけどさ。
一応、設定は色々考えてたし、そこら辺と言うか、裏にいる奴については薄々勘づいている。
つまり、知っているのだよラスボスの正体を、ね。
とは言え、割とふわっと作ってるから、そいつが何の目的で動いてるのかは分かんないんだよね~。
っと、話が逸れた。
つまり、上層部は前回の事件は何かが起こる前兆なんじゃないかって考えているわけで、その
あっ、勿論だからって、「はい、君らダンジョンでレベル上げしてきてね。ばいば~い」ってされる訳じゃない。
ちゃんと、実践経験のある防人を呼んでくれている。
流石に、国お抱えの上位百人の中から選んでるわけでは無いけど、それでも、国にいる防人の中では三百位には入るんじゃないかって言われてる人たちだ。
通称
まあ、本当に無名って訳じゃないけどね。皆からこんだけ評価されてるわけだし。
ただ、そんな彼らが俺らの護衛をしてくれるからあんまり危険はない。
勿論、主人公(偽)達は例外なんですけどね。
主人公たちと言えば、彼ら、真道君と温実さんが犠牲者ゼロでこの前の事件を解決したらしい。
いやぁ~、その話を聞いた時は目ん玉飛び出るかと思ったよ。
だって、本来ならどのルートを選んだとしても犠牲は出る筈だったしね。
勿論、彼らの選んだルートは険しい代わりに死傷者は少ないルートではあった。
でも、少人数ながら死傷者は出る、その筈だった。
その運命を彼らは覆した。
って言うと大袈裟なんだけどさ、確かに予想外のことではあったよね。
まあ、このことに関して推測だけど、彼らが予想以上に速く足軽大将級を倒したことが原因なんじゃないかって考えてる。
俺が書いた小説はゲームの中って設定だったから、ルートを選んだあとはどれだけ速く敵を倒そうと、結果は変わらない、と言う風にしていた。
でも、ここが現実であるなら、それはおかしい。
速く敵を倒せばその分被害は減って然るべきだ。
この世界は何故か、俺の想像する世界と齟齬があったり、どれだけ見て回っても綻びが一切見つからない。そのことから、現実的に矛盾する部分は修正されているということだろうか?
いや、何か、それも違和感がある。
違和感は……………あるが、うん、考えても分からん‼
だから、このことについては保留だね。
もっと判断材料がないと。
それよりも、問題なのは剣凪さんを初めとしたヒロインたちがあの事件で一切活躍出来なかったってことだ。
本来なら、あの事件で剣凪さんとかも活躍して、その功績によって主人公達と共に特別防人部隊に任命される。
この特別防人部隊っていうのは言うなれば、塾とかで言う特別コースみたいな感じで且つ、限定的ではあるものの本来の防人と同様の権限が与えられるというものだ。
詳細を説明すると、今の魔剣士科からは抜けて、国が抱える上位百人の防人から授業を受けることが出来るようになる。
また、ダンジョン探索に関しても、雑兵級かその一つ上のランクの足軽級ダンジョンであれば、防人の許可が無くても自由に出入りできるようになる。
更に、緊急時においては単独行動が許されている。
そう、彼、彼女らは特別防人部隊として様々な事件を仲間たちと共に乗り越えて強くなっていくんだ。
………行くんだけど。
現状だとそうも行かない。
一応、真道君と温実さんは特別防人として任命されたけど。
残りのメンバーは一般の生徒扱いだ。
まあ、それでも
あの二人は真道君経由で仲良くなっており、一緒に組んでその才能をいかんなく発揮してくれている。
問題は問題はッ‼
回復魔法科の
「…ど、どうかしましたか?音長さん」
「いや、何でも無いよ。」
ああ、ああ、すまない、考えることが多すぎて言い忘れてた、今俺たちはダンジョンにいる。
☆☆☆
何故、俺らのパーティーに
先ずは、そうだなぁ。遡りすぎな気もするけど、パーティー決めの話からしていこう。
この時はまだ、
初期メンは魔剣士科の俺、同じく魔剣士科の毒ノ森君、攻撃魔法科の
そんでもって、俺らを担当してくれたのが女性の防人
因みに
正直、彼のどこにそんなコミュ力があるんだと初めの頃は思ったんだけど…………こいつ、どうやら外面は良いらしい。
そう言えば、俺も毒ノ森君のファーストコンタクトはすげぇ好印象を抱いてた。
この世渡り上手め!
まあ、そんな感じで割とスムーズにパーティーメンバーは集められた。
しかも攻撃魔法科では
そこに、同じく中の上くらいの成績の毒ノ森君と、この前の事件で一体の雑兵級を倒したことで、恐らく一レベル程上がり、ギリギリ、上の下と呼んでもいいかもしれないくらいの実力になった俺がいる。
だからまあ、ダンジョンでのレベリングもかなり順調に進んでいた。
勿論、もっと順調に進んでいる組もある。
筆頭は剣凪さんと
いや、二人構成のパーティーがなんで筆頭になれるの?と思わなくもないけど、もう主要キャラってだけで何か納得してしまう。
そういうもんかって。
それで、その頃はそこまで気にしていなかったんだ。
……
正直、別のパーティーでも評価されるだろうと思っていたからさ。
あっ、因みに
身長が低く、人形のような金髪ボブカット美少女。
ついでに言うと剣凪麗はクール系な見た目の黒髪ポニテで男勝りな美少女。
ってな感じになっている。
そんな、金髪ロリがなんでうちにいるかって話だけど。
何か、たらい回しにされてきたらしい。
いや、確かに当時そんな噂が流れてきてはいた。
何でも、補助魔法しかセットしない回復魔法士がいるってさ。
うん、その噂を聞いた時は俺も思ったよ。いや、他のマジックチップもセットしたらって。
勿論、補助一辺倒で構成する回復魔法士もいるけど、場合によっては様々なマジックチップをセットする。
というか、自分のパーティーに何が欠けているのか、どの魔法をセットするのが正解なのかっていうのを考えるのもダンジョン攻略の基本だ。
だから初めは皆、自分の得意魔法しか入れてなくても、ダンジョン攻略の授業からは他の魔法も入れていく。
それをやらない生徒などそうそういない。
けど、確かに彼女は序盤、絶対に攻撃魔法をセットしなかった。
いや、セットできなかった。
その時点で気づけって?
いや、だって、小説では
今回、歴史が変わって真道君たちと組めなくなったことで起こった問題だね。
せめて、剣凪さんたちと組んでくれればな~。
一応、言って置くと彼女は優秀だ。非常に優秀だ。
補助魔法だけでも十分にやっていけるほどに。
ただ、考えて欲しい。
こっちが火力が欲しいなって考えていても、絶対に攻撃魔法を入れない奴。
お前、本気でやってんのかってならない?
嫌じゃない?命がけで戦っているのに変なこだわり出されたら。
しかも、人によってはぶりっ娘みたいって印象を持つ人もいるよね、補助魔法しか使えませんって。
つまりそう言うことです。
勿論、彼女は容姿も優れているから、男のパーティーなら、それはもうちやほやされたことだろう。ただ、彼女が入ったのは女の子だけで構成されているパーティーだった。
そりゃそうだよね。
ダンジョンなんて完全犯罪出来る場所で異性と入ろうとする胆力のある人間の方が珍しい。
うちの未裏さんの方が珍しい手合いなのだ。普通は男女混合で組もうなんてしない。
毒ノ森君、君は一体どんな手を使ったんだい?
いや、今はいいか。その話は。
話は戻すけど、
そんで、攻撃魔法のチップをいれないことが原因で他のパーティーに移った。
移ったパーティーも女性パーティーだったんだけど、そこも同じ理由で移った。
それを何度か繰り返して、遂には全女性パーティーからは追い出されたから、一人とはいえ女性メンバーがいて、担当の防人が女性で且つそこそこ安定していたうちのパーティーに来たって訳。
えっ?
剣凪さんの所はって?
彼女の所は二人パーティーで安定してるとは言えないし、何よりも二人で組んでいる理由が、「他の生徒だと私たちの成長速度についてこれない」って理由で断っているんだよ?
入りたいと思う?
そんなとこ。
っとと、危ない危ない。
敵が攻撃してきた。
「音長君!ぼーっとしないで、敵がいるのよ」
防人の人に怒られてしまった。
俺は直ぐに刀身から魔力を通し肉体を強化する。
敵は戦人型の魔物だ。
戦人型の魔物は魔法と体術どちらも使ってくるので、パーティーの連携を学ぶ上では非常に効率のいい敵だ。
俺は目の前に出て来た、戦人型の魔物の拳を剣で受ける。
それにより、奴の表皮は切り刻まれる
奴が剣を持っていれば話は別だが、こいつは雑兵級の魔物のため、魔法で武器を生み出すことは出来ない。
それでも、俺達よりは圧倒的に強いため、本来なら防人の人がフォローをしてくれるのだが、今の俺たちには必要ない。
「魔剣士さんたち。≪フィジカルオーガ≫です。」
そう、なんてたって、今の俺達には回復魔法士枠のヒロインがついているのだから。
俺は自前の魔力の肉体強化とも、魔物の魔力を吸っての肉体強化とも比べものにならない程の強化を受ける。
その力でもって毒ノ森君と共に完璧に偽戦人の猛攻を防いで見せる。
更にその隙に
「≪マジックブースト≫」
それは攻撃魔法を強化する付与魔法。
これにより、未裏さんの攻撃魔法は大幅に強化された。
「≪ストーンニードル≫」
未裏さんはその強化された魔法攻撃でもって偽戦人を刺し貫く。
うん、めっちゃ強い。
補助魔法だけでもいい気がしてきた。
まあ、仮に彼女自身が攻撃魔法を発動したら、こんなに手間はかからないんだけどね。
というか、ありがたいけど、これ、完全に宝の持ち腐れだ。
どうにか、剣凪さんたちとくっつけなきゃ。
☆☆☆
そうして暫くして、今日の探索は終わった。
結果としてはかなりの魔物を倒せた。
多分、学年でトップテンに入る位にはダンジョン攻略における俺らの成績は優秀だ。
ゲームヒロインがいるのだから、当然の結果ではあるけど。
ただ、さっきも言ったけど彼女が俺らの所にいるのは宝の持ち腐れだ。
…………保身第一主義の俺がこんなことを言うのはおかしいって思うかい?
でも、別に何もおかしなことでは無いんだ。
だって、このまま俺らの所にいるより、主人公たちと一緒に行動し、立ちはだかる脅威を打ち倒してくれた方が俺としてはありがたいからね。
主人公の利益が巡り巡って俺の保身に繋がるって訳よ。
それにまあ、他のパーティーが彼女を簡単に切れた理由でもあるんだけど、俺らには現在、防人の人がついている。
つまり、安全は保障されていると言っていい。
勿論、防人の人も三年間ずっとついてくれるわけでは無いんだけど、少なくとも一年の間はついてくれる。
だから、そんなに困らないのだ。
ダンジョン攻略の授業は別に高難度ダンジョンに潜れとか、深部に辿り着けって訳ではないから、防人の人が離れた後は浅瀬でぴちゃぴちゃしてればいいしね。
「なぁ、この後みんなで打ち上げいかね!」
棚加君がダンジョンを出て、学校に帰っている途中、そんなことを言ってくる。
主に
いや、本人は多分、気づかれないようにチラ見しているつもりなんだと思うけど、うん、バレバレ…………って言うと流石に可哀そうだけど、うん。うん。
バレバレだ~。
まあ、そんな状態だし、返答なんて分かっているようなものだ。
「えっと、ごめんなさい。寮で授業の復習をしたいので」
「あ、そっか~。それなら仕方ねぇよな。……三人でいく?」
「悪いけど、僕はパス。この後、未裏と図書室で勉強するから」
「そゆこと、じゃ、私と毒ノ森君は帰るから」
「あ、そっか、じゃあ、今日はお開きだな」
「え?何で?俺はまだ返答してないんだけど?」
「へっ?あ、ああ、そうだな、でも、ほら?他の奴らは用事があるみたいだしさ。」
「そうだね。じゃあ、二人で行こうよ。折角だし、親睦を深めようか」
俺はそう言って、棚加君を引きずっていった。
本当なら一年生の間だけ、月に一度無料で使える学内レストランに入ろうとしたんだけど、棚加君が思った以上に抵抗するもんだから、結局、食堂でご飯をして解散になった。
しかも、最後別れるとき、「今日はとっても充実してたね。棚加君?」って言ったら、引き攣った笑みを返された。
いやぁ、失礼な人だなぁ。まったく。
そんな反応されると傷ついちゃうよ。
っと、まあ、おふざけはこのくらいにして、俺は売店を目指す。
理由としては簡単だ。魔導師Pとして活動する時に被っている被り物のスペアを調達するためだ。
前回の事件で分かったことなのだが、怪我は勿論、戦いをする上で服も破損する。
一応、服に関してはダンジョン攻略の授業が開始された際に耐久力の高い戦闘服を支給されたけど、自前のピーマンの被り物は普通の被り物と遜色ない耐久性をしている。
だからまあ、仮に被り物が破れた際に変えとなる被り物が必要だと感じだのだ。
感じたから、来たんだけど…………。
「すいませ~ん。前にあったピーマンの被り物ってありますか?」
「えっ、ああ、ごめんねぇ~。あの被り物、今、売り切れなんだよ。あの特別防人の子が買い占めちゃって。」
はっ?
何で?何で買い占めてるの。
というか、どっちさ、買い占めたの。
「いやぁ、嬉しいねぇ~。元々コアなファンは付いていたんだけど、特別防人の子が買ってくれたら知名度も上がるってもんさ。しかも、「この、被り物で俺もきっと…………。」なんて言いながら熱い視線を向けてたんだよ。
いやぁ、作ってる身としては嬉しいもんさね!」
しんどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、お前かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!
「ふっふっふ。安心しな。わたしゃ、あんたみたいなコアなファンのことも蔑ろにする気はないさ。じゃっじゃ~ん。パプリカの被り物だよ。しかも、赤と黄色!両方あるのさ。」
「あっ、じゃあ、両方下さい。」
「毎度あり~。」
ピーマンの被り物は無かったけど、まあ、いっか。
別にピーマンにそんな拘りないし。
おまけ
音長「よし、折角の打ち上げだし、学内レストランに行こっか!」
棚加「え……。いや、男同士だし、食堂で良くないか?(学内レストランは癒羽希と使いたいし…………。)」
音長「え、何で男同士だと食堂になるの?男同士のパーティーの場合だと食堂を選ぶの?打ち上げなのに?そんな筈ないよね。…………もしかして、棚加君女の子が目的だったの?女の子に近づきたくて打ち上げしようなんて言ったの?」
棚加「い、いや、違、違う。ほら、二人しかいなしさ!学内レストランはみんなで来た時にしようと思ってたんだ!」
音長「ちっ」
棚加「えっ、いま舌打ち「食堂で済ませちゃおっか!」お、おお…」
音長「(リア充はリア充になる前に潰したかった…………)