俺はザックのもとへ向かい椅子に座る
「よっ」
「おお、早かったな」
「まあな」
「それじゃあ飯食おうぜ、奢るよ」
「そうか、なら肉が食いたい」
「だったらおすすめがあるぜ」
メニューを見るとどれも美味そうだ
適当に肉料理を注文して待つ
しばらくすると頼んでいたものが来た
出てきたのはステーキだ、しかもデカい
一口食べる、めちゃくちゃうまい
夢中で食べていると、いつの間にか皿が空になっていた、すると店員がやってきて追加を持ってきてくれた
それから2時間ほどザックと食事を楽しんだ
「ふぅ、満足だ」
「そりゃ良かった、今日はこのあとどうすんだ?俺は宿に戻るけどよ」
「あっそういえば宿とってないな」
「はっは、一応あっちに冒険者ギルドの宿泊所があるぜ」
「お、そうか」
「おう、今日のところはそこに泊まるといい」
「そうだな、そうする」
「おう、じゃあ俺はここでな」
「ああ、今日は案内してくれて助かった、じゃあな」
「じゃあな!」
俺はザックと別れ、教えられた通りに進む
しばらく歩くと部屋の前にたどり着いた
扉を開けると、中には冒険者たちが何人か寝ていた
(なるほど、タコ部屋か)
ベッドに座っていた冒険者が俺に気付き話しかけてくる
「寝るなら奥のベッドで寝な、扉近くだと酒場で騒いでるやつらの声がうるせぇぞ」
「わかった、ありがとう」
お礼を言うと冒険者はニカッと笑いかけてきた
言われた通りに奥のベッドで横になる
そして眠りについた
翌朝、目を覚まして広間へ向かう
そして受付に声をかける
「ちょっといいか」
「はい、どうかされましたか?」
「迷宮について聞きたいんだが、迷宮に入るには何か必要か?」
「迷宮ですか…そうですね、まず冒険者ランクをCランク以上でないと迷宮には入れません」
「そうなのか」
「ええ、F.Eランクのうちはひたすら依頼を受けてしっかり完了させればランクはあがりますので」
「わかった、ありがとう助かった」
「いえいえ、これから頑張ってください!」
笑顔で応援してくれたので、こちらも笑みを浮かべる
そして依頼ボードを見に行く
Fランクで受けられるのは…
(これなんか良さそうだな)
俺が選んだのはゴブリン駆除の依頼だ、報酬は1匹に銅貨を2枚もらえるみたいだ
早速手続きを終わらせ、冒険者ギルドから出ようとすると声をかけられる
「お前さん、ゴブリン駆除に行くのか」
誰かと思ったら昨日宿泊所で声をかけてきた親切なおっさんだった
「そうだが」
「だったら西門から出てすぐ森が見えるからよ、そこに行ったら見つけやすいぜ」
「そうなのか、ありがとう」
「おう、それと森はゴブリンだけじゃなくて他の魔物もたくさんいるから気をつけろよ、特に奥には行かねぇ方が良い、強い魔物がうようよいるし、あと単純に迷うからな」
「何から何までありがとう、俺はアルトと言うんだが名前は何て言うんだ?」
「俺はゼトってんだ、よろしくな、まっ気をつけて行ってこいよ」
「あぁ」
随分親切な人だった、ゼトか
まぁ西門に向かうとするか
街を出てしばらく歩いていると、確かに森が見えてきた、あれがそうだろう
中に入ってしばらく歩くと、横幅2mぐらいある蜘蛛と遭遇した
こいつは確かブレイドスパイダー…だったか?脚一つ一つが刃物の様になっていて殺意高めの蜘蛛だ
しかも前足二本で体を上手く守りながら戦ってくるんだよな、闘技場で苦戦した覚えがある
そんなことを考えているとこちらに気付いたようで飛びかかってきた
それを横に避けて大斧を叩き込むが脚で防がれる、そしてすぐに距離を取ってくる
そうそうこんな感じだった、どこから打ち込んでも視界が広いからか防がれるんだよ
しかも動きが俊敏なもんだからすぐに距離を取られる
俺は一気に踏み込み斬りかかる、すると相手は後ろに下がりつつ、4本の足を器用に使って攻撃をしてくる
(ちっ、めんどくせ)
俺は相手が防ごうとする瞬間を狙う、攻撃を避け、斬りかかる
するとブレイドスパイダーは前足で防ごうとするのを見て俺は全力で力を込める
そして思い切り振りかぶった一撃を放つと、ブレイドスパイダーの脚もろとも胴を真っ二つに叩き斬った
(よし、上手く行った)
倒したことを確認すると俺はブレイドスパイダーの脚を切り取って持って帰ることにした
今日はゴブリン駆除の予定だったがもう帰ろう、手持ちがいっぱいになっちまった
というかあれだな、魔法袋買おう、こんなんじゃ満足に探索もできない
そうして俺はアルコルテに戻っていった 冒険者ギルドに入り受付に向かう
「すまん、ゴブリン駆除の予定で森へ行ったんだがブレイドスパイダーに遭遇してできなかった」
「大丈夫ですよ、あれは冒険者ギルドで出してる無期限の依頼なので」
「そうか!なら良かった、ところでブレイドスパイダーの脚を買い取ってくれるとこはないか?」
「あちらの解体所受付に持っていけば買い取れますよ」
「あっちか、ありがとう」
礼を言い、解体所受付に向かう
「ここか、すみません」
「はいよ」
「ブレイドスパイダーの脚持ってきたんだが」
「ほう、どれ見せてくれ」
受付のおっさんはブレイドスパイダーの脚をじっくり見ている
しばらくそうしていたが、終わり顔を上げて話し始めた
「こりゃ大きさから見てもオスのブレイドスパイダーだったみたいだな、傷もそこまで付いてない、買い取り額はこんなもんだな」
提示された金額は銀貨12枚だった、俺はそれを承諾した
「そうか、それじゃギルドカード貸してみぃ」
「?わかった」
俺はギルドカードを手渡す
「…なんだお前さんFランクだったのか、あんま無理するじゃねぇど、ほれ」
「あぁ、ありがとう」
ギルドカードには銀貨12枚分が追加されていた
なるほどギルドカードに追加してくれるのか、楽で良い
ブレイドスパイダー
脚が刃物の様になってて器用に戦う蜘蛛
クモの巣を作れないので不意討ちをするか、普通に戦って捕食する
ただ不意討ちも得意ではないため基本的には普通に戦うことになる