日輪の後継者はオラリオでヒーローを目指します   作:日の呼吸の使い手

4 / 7
短め。
リヴェリアがどう思ってるか気になると言われたのでそういう話にしたよ。


3話目

 

 

 

夜の時間。

夕食を終えた俺はホームの『黄昏の館』の訓練用グラウンドにて自主錬をしていた。

 

借りた米俵を担ぎ、走り込み。

その後打ち込み台にて重りをつけた木刀で素振り。

大岩を紐で括り背負いながらの腕立てやスクワットといった軽い筋トレ。

それらを全て呼吸を意識しながら行う。

 

ダンジョンではあの後、日の呼吸を使った型を2通り使ったが足腰ガクガクになりリヴェリアさんに肩を貸してもらいながら何とか帰ってきた。

 

まだまだ使いこなすまでの体が出来上がってないことを痛感した。

何とかものにしなくてはという焦りは多少あるが急ぎすぎてはいけない。一朝一夕にはいかないのは百も承知。落ち着いて地道にコツコツ頑張るしかない。

 

そうして汗もかなり流れた頃、ひと休憩をしていたら視線を感じた。

視線を感じる方を向いてみるとそこには夜でも目立つ金髪の子が立っていた。

 

アイズちゃんか。なにか用事でもあるのだろうか。そう考えていたが、やがて彼女は視線を逸らし行ってしまった。

 

「……」

 

他の人と違って年も近いから仲良くしたいんだけどなぁ。

……今度一緒に自主錬誘ってみるか!

 

そういえば神様(ロキ)の自室に明かりが点いてるな。リヴェリアさん達が話でもしてるのかな。

何話してるんだろ。

 

 

 

●●●

 

 

 

「──ちゅーわけで、アイズたんの教育係はリヴェリアがやることに決定したわけやけども。……それで?リオの方はどうやった?」

 

ロキの自室。そこに集まったフィン、ガレス、リヴェリア。彼らの議題は最近入った若い子供、アイズとリオに関することだった。

 

アイズの方針は概ね決まり、次はリオへと話の矛先が向いた。

 

「……一言で言えばそうだな……言い方が悪いがロキ。良い拾い物をした、と言えるだろうな」

「……ほう?お主がそこまで言うとはのう」

 

リヴェリアの言葉に唸るガレス。

 

「やはり、それなりに戦えていたのかい?」

「それなり、どころの騒ぎではない。戦いの基礎は体に染み付いているようだった。立ち回りも間合いの取り方も……何より剣の技量がもはや10歳のそれではない」

「はぁ、ほんまかいな?ウチもそれなりに戦えるとは思ってファミリアに誘ったけど、ぶっちゃけそんなに戦えるような雰囲気は感じへんかったで」

 

リヴェリアの言葉に疑心暗鬼なロキ。

素直で真っ直ぐ。それがリオに対するロキの印象だ。

戦う姿など想像もつかないような性格。それなのにリヴェリアという一線級の冒険者が驚くほどの戦いの素質があると聞いて信じられていない様子だった。

 

「……トータルの強さで見れば私やガレス、フィンの足元にはまるで届かないだろう。しかし、技術面に関して言えば私たちに匹敵するレベル──」

 

その時リヴェリアの脳裏に過ったのは日の呼吸を使ったリオの剣技。

 

鋭くしなやかに、そして無駄な破壊もない。舞を披露しているかのような綺麗な剣。直で見たリヴェリアが見惚れるほどのそれが頭をよぎった。

 

「──いや、もしかしたら剣の技術においては私達の上を行ってる可能性すらあるな」

「ほう、それほどか」

「……鍛え甲斐がありそうだね」

 

ガレスは感心したように髭を撫で、フィンは期待の新人に胸を膨らませ、ロキは細めを少し開きその口に不気味な笑みを浮かべた。

 

「とはいえだ。まだまだ子供。未熟な部分も大いにある。素質はあるがそれを活かしきれるほどの体躯じゃない。彼の才能を生かすも殺すも私たちの力次第といったところだろう」

「なるほどのぉ…」

「それほどのものを独学で身につけたとは考えれない。……良い師がいるんだろうね」

「くぅー!リオの師匠かぁー!ウチのファミリアに勧誘してみたいなぁ!」

 

まだ見ぬリオの師を思い浮かべワクワクが止まらないロキ。言葉には出さずとも他の三人もロキと心は一緒だった。

 

「……精神面も中々育っている。アイズのいいお手本にもなりそうだ」

「となると、アイズとセットで育てるのは有りかもしれん」

「リヴェリアに負担をかけるようでごめんやけど、大丈夫そうか?」

「ああ問題ない。リオが増えてもそこまで負担にはならないからな。何より"素直"だからな」

 

リヴェリアの一単語に力が籠ってるとこを見るに、相当アイズに胃を痛めてるのだろうなと思う3人であった。

 

「とりあえず明日からは知識を蓄えさせようと思う」

「それがいいね。技術面だけじゃなくそういうのも大切だ」

「ウチも一応明日一緒に見ることにするか」

「ワシは明日用事があるから任せるぞ」

 

こうして2人の教育の方針を固めていく4人。

窓の外を見れば自主錬に明け暮れるリオがいる。

 

……汗の量が尋常じゃないことに気づき、慌てて止めさせようと彼等は部屋を飛び出した。




やめて!エルフ特有の長寿故に年齢を気にしてる副団長さんに"その"呼び方をしてしまったら般若が目覚めてしまう!

お願い!言わないでアイズ!

あんたが今言ってしまったら、セットにされてるオリ主はどうなっちゃうの?

副団長はまだ堪えてる。ここを耐えればダンジョンに行けるから!

次回【アイズ、リヴェリアをおばさん呼び】デュエルスタンバイ!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。