目一杯の祝福を君に   作:オミヤマ オクタ

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君は思い眠りにつく

 

 

 クラーラに初めて会った日から一年が経った。今年で僕は、15歳である。クラーラのお母さんに斡旋してもらった仕事は俗に言う何でも屋だった。そこで、僕は、町中を走り回ったり、料理を作ったり、鉱山に行ったり、流浪者やロボットと戦ったりした。そのおかげか僕の体に筋肉がついた。そこらへんの変な機械や流浪者なんかは僕の敵ではない。しかし最初の方は毎日死にかけたので、寝る時間を削り、知識をつけ、体を鍛えたのだ。

 

最近の町はなんだか物騒だ流浪者が鉱山から町に来て盗みを働いたり人を殺したりしているそうだ。そのため僕の元に仕事がたくさんきて、ここ数ヶ月はクラーラに会えない状態が続いていた。思わずクラーラの不貞腐れた姿が思い浮かんでしまい。心が暖かくなる。無理矢理にでも時間を作ってクラーラに会うことに決めた。

 

仕事が終わり帰路についていた。薄暗い路地裏に入ったあと少し先に人がいることに気づいた。嫌な予感がして急いで近寄ってよく見てみると。

 

クラーラだった

 

体中にには泥がついていて、綺麗な白髪が汚れている。大きな傷はないようだ。

 

「クラーラ!クラーラ!大丈夫か!?」

 

「すぐ病院に連れて行くからな頑張ってくれ!」

 

急いで医者のもとにクラーラを連れて行った。

 

「クラーラは大丈夫なんですか!?」

 

「落ち着いてください、低体温症とストレス、疲労からか気絶していますがまだ命には別状はありません」

 

安心したのか、頭が冷静になってきた。それにしてもどうしてクラーラはあんなとこにいたのか疑問が出てきた。

 

ーーーーー

 

私の幸せが壊れるのは一瞬だった。

 

 

 

「クラーラこれ運んでくれない?」

 

「いいよお母さん!」

 

「他には何か手伝うことはないかな?」

 

「ありがとうクラーラ。席についててまっててちょうだい。」

 

「うん! 」

 

「それにしても最近オクタくんこないなぁ」

 

最近オクタ君は全然こない私のことなんか忘れちゃったのか不安になってしまう。

 

「クラーラは本当にオクタ君が好きなのね。」

 

「違うよっ! オクタ君は私の友達なの!」

 

「あら、ごめんなさいね」

 

お母さんはいじわるだ、確かにオクタ君は私の大事な友達なんだ。好きとは違うはず?

 

少し考えてるとお母さんがご飯を運んできた。

 

「クラーラ考えているあなたも可愛いけどとりあえずご飯を食べましょう」

 

「うん!」

「「いただきます。」」

 

私はスプーンでスープを口に運ぼうとしたら

 

ドンドン

 

「?」

 

家のドアを強く鳴らす音が聞こえる。

 

「クラーラちょっとまって「ドン」

 

ドアが開きそこには男の人が来た。右手には銀色に輝くナイフを持って。男の人は直ぐに私たちのところにやってきた。

 

お母さんは私を、守るように立った。

 

「クラーラ!逃げて!」

 

お母さんが私に逃げてと言っているけど足が動かない。

 

「そんなに騒ぐな、親子共々すぐに、殺してやるよ。」

 

「クラーラ!」

 

「!」

 

足が動くようになって、玄関に続くドアを開けて部屋を出ようとしたん瞬間、後ろをみた。お母さんのお腹から血がたくさん出ていた。

 

お母さんは私の顔を見て、微笑んで、口を開く

 

「あなたにこの先目一杯の祝福を。さようなら」

 

 

―――

 

そして気づいたら外にいた。

 

「うっ…っう…ごめんなさい、おかっ...あっ…さん。」

 

涙がボロボロと出てきてが止まらない。鼻をすすっても悲しい気持ちはなくらない。

 

大好きなお母さんはもういない。もう自分の居場所はない。私の帰る場所はない。

 

最近家に来ない男の子が頭に浮かんだ。

 

「オクタ…くん」

 

意識はそこでなくなった。

 

 

 


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