ブラック・ブレット Monsters:Rulers of Earth   作:アマナットー
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「この投稿されることはが数か月はありませんので、どうかしばらくお待ちください」

「え、ハーメルンに?」

「あ゛ーっ!あ゛ぁ゛ーっ゛!!こんっなのアリかよぉー!!?」

「え、投稿するの?」

「そりゃ執筆者だからな」

「…やはり、作者本人の投稿に見えますね」

「…にしては違和感があるな(だって早いんだもん)」

「しかし、投稿時間が前回より数日です。既に地質調査済みの執筆速度では考えにくい事象だと考えます」

「想定外だ、よくある事だろう!」

「済んだことはもういい!現状はどうなっている!?」

「…そうは言いましても本人の試験も近く、本日の投稿は徹夜しての投稿と思われ、学習時間的余裕を持った投稿とは認められない事象でしてね…」

「え、そうなのか!?なら早く言え!」

「すみましぇん」

「手を抜いた小説は極力排除したいが、勉学を経ないと動けないことが多すぎる!」

「効率は悪いがそれが現代を生きる人間というものだ。民主主義の根幹だよ」

「今、友人が有効性の高い執筆プランを進めています。作者はそれに賭けたのでしょう」

「その賭けに君もレイズか」

「私は好きに(前書きをこんなに)した。君らも(感想を)好きにしろ」


迎撃開始

「え、東京湾に?」

 

 電話越しに木更から告げられた『悪いニュース』に、蓮太郎は小さく疑問符を返した。

 ステージVの出現。それはつい先ほどまで自分たちが全力で止めようとしていたことだった。

 

『えぇ、いま自衛隊が総力を挙げて攻撃態勢に入っているところよ。姿を現したら総攻撃をかけるみたい』

 

 けど――

 そう言って言葉が途切れる。蓮太郎には彼女が口をつぐんでいる様子がありありと想定できた。

 無理かもしれない。

 木更はそう言おうとしたのだろう。

わからないでもない。それは過去の大戦を経験した世代ならば誰もが共通して持っている認識だ。

 戦時中何回も見たステージVの猛威を思い出す。通常兵器のほとんどが効果をなさず、一方的に屠られていく軍隊と、なすがままに破壊される他国を見て絶望した日々。神出鬼没の奴らは一体どこに現れるのか。次は自分で、それはもしかしたら明日かもしれない。そう思って恐怖して眠れぬ夜を過ごした日も何度あったであろうか。

 

「そんな……じゃあ今まで俺たちのやってきたことは一体なんだったんだ!! 無駄骨だったのか? ……東京エリアは……もう助からないのか? ……全部、お終いなのかよ……ッ!!」

「里見君、まずは君が落ち着け」

 

 見かねた友幸が蓮太郎から携帯を奪い取ると、代わりにドリンクを半ば無理やり差し出した。端末を操作し、スピーカーモードにして延珠にも聞こえるようにする。

 

「それで、天童社長。あなたなら俺たちを絶望させるためにわざわざ電話をかけてくるなんてことはないはず。何か腹案でもあるのですか?」

『芹沢さん? えぇ、今それを言おうとしていたところ。あなたたちから見て南東方向に見えるものが、その腹案よ』

 

 ちょうどその南東方向を向いていたため、首を少し上げればすぐに発見することができた。もとより、あんな目立つ建造物が視界から消えるなどということはほとんどないのだが。

 平行に設置された二キロにも及ぶ電磁レールを覆う無骨に光る装甲。完成の日の目を見つつ、ついに一度の試運転もなく十年近く野にさらされ続けた大戦末期の遺物。

 千ミリ以下の金属飛翔物を亜光速で撃ちだす超巨大レールガンモジュール『天の梯子』は、今でも沈黙と保ったまま七十度近い仰角で天を衝いていた。

 そりゃ選択肢としてはありかもしれないけど、動くかどうかもわからんものを選ぶなよなぁ……。

 友幸の率直な感想がそれだった。

 薄々察してはいたが、改めて言われてしまうと驚愕を隠せない。十年近く整備もされていない超巨大兵器が、果たして動くのだろうか?

 

『あなたたちが目標地点にいちばん近いのよ。三人とも、お願い』

「奴が到着する前に間に合いますか?」

『問題ないわ。自衛隊とたった今発進した超兵器スーパーXが可能な限り時間を稼ぐから』

「了解です」

 

 通話を切ると、蓮太郎と延珠に目配せする。

 仕方がない。三人は頷きあうと、南東の方向へ走り出した。

 

「ねぇ、その前にリンダたちを回収してもいいかな?」

 

 

 

 

 

「こちらスーパーX、スーパーXより本部。ワレ作戦地帯ニ突入セリ。繰り返す、ワレ作戦地帯ニ突入セリ、オクレ」

『本部了解。命令あるまで現場上空にて待機せよ。オクレ』

「スーパーX了解。通信オワリ」

 

 黒木の眼前にあるパネルには、本部から贈られた待機座標と一致した地点でホバリングしているスーパーXを表す光点がきらめいている。機体のはるか下には、MLRSや一五五ミリ自走榴弾砲を主体とした長距離砲撃部隊が防衛線に沿うような形で展開している図が表示された。

 パネルが切り替わり、今度は海上の様子が映される。

 まるで一面に墨汁を垂らしたように黒々しい海面が白く煮え立ち、触手のようなものが海面上に姿を現している。

 その周囲で、海面が時折爆発するかのように水柱が立った。四方八方から無遠慮に浴びせられているようで、よく見ると非常に統率された動きなのがわかる。

 

「艦隊からの魚雷攻撃、よく効いているようですね」

 

 スーパーXの戦術担当の雨沢修一等特尉が状況を冷静に分析する。

 水柱の正体は艦隊と潜水艦部隊からの魚雷攻撃であり、ステージVを攻撃地点まで誘導するための牽制を兼ねた攻撃だった。現に、中央の影はまるで水柱から逃れるように動き回っている。

 誘導兵器と精密射撃が広く普及した現在ならわざわざ単独の目標に攻撃地点まで誘導する必要性はないように思えるかもしれないが、統一された一点集中攻撃は正面へ最大の火力を投射することを考えれば攻勢時の破壊力は絶大な効果を得る。

 しかも今回はガストレアの中でも特に規格外とされているステージVだ。無駄撃ちを極力減らし命中率の向上を底上げさせ、すべての火力をぶち込ませるためにも、ステージVを少しでも一地点にとどまらせることは全将兵にとっても極めて重要な案件であった。

 

「機長、司令部より攻撃準備命令が下されました」

 

 黒木はその報告に頷くと、指示を下す。

 

「戦闘配置。ロケットランチャー、ミサイルランチャー展開」

 

 雨沢がコンソールを操作し、スーパーXもそれに合わせて素早く反応する。

 小山のような巨体の頂で、主砲である上部隠蔽式砲台から、ガストレアの大群を一掃するために備え付けられた三十連装二二七ミリ多連装ロケットランチャーが顔を出す。同じく機体左右側面に二門ずつ、四門装備された多目的誘導弾ランチャーからAGM-65改空対地対艦誘導弾を載せた発射台がせり上がった。

 これらで地上の長距離砲撃部隊と連携してロケット弾をあらんばかり投射するのだ。

 同様の指示を受け取り、長距離砲撃部隊も砲身の仰角を上げ滑らかな動きで砲塔を旋回させていた。

 だが、黒木はパネルに表示されたエラー表示にわずかに苦い顔をする。

 ここで、本来ならスーパーXも機体側面に設けられているはずの二〇三ミリ榴弾砲と機体下部に四基設置された一五五ミリ連装速射砲を正面に向ける必要があった。

 それをしないのは、ひとえにスーパーXそのものに重大な原因があった。

 というのも、東京エリアのインフラ整備を優先していた先代と今代の聖天子が防衛予算を削減していたことにある。その中にはもちろんスーパーXの建造費も含まれており、今のスーパーXは、機動力自体は試験飛行をすでに済ませているため特に問題はなかったが、武装面に関してはロケットランチャーと多目的誘導弾ランチャー以外ほとんど搭載していない状態だったのだ。

 だが、この時点で彼女達を無能と考えることは早計だ。予算削減は第二次関東大戦終結後、建立されたモノリスの加護によってガストレアの侵入が激減し感染爆発が起こる危険性がほぼなくなった時期であり、その後も約十年間特に深刻な問題はほとんど起こらなかった。こうなればスーパーXにかけられる予算が減っていくのもまた自然な成り行きであり、むしろその間のインフラ整備で先進国エリアでも比較的安定した生活を送れるようになるまで回復させた彼女の手腕を垣間見ることができる。

 だが、武装の少ないスーパーXをあらゆる手を使いながら騙し騙し使っていることは事実であり、彼らはそのことに対する不満もないわけではなかった。

 技術部も何とか少ない予算でやりくりし、機首のハイパーレーザーCO2タイプだけは何とか設置にこぎつけたのだが。

 やがてステージVが攻撃地点に重なったその時、観測員の秋山が報告した。

 

「目標、急速に浮上中。深度五〇。海面現出まで残り五、四、三――」

 

 一層激しくうねる海面の様子が映し出され、黒い影が広がる。人間たちの過去の知識が、人間たちの過去の記憶が、人間たちの経験が、その身に迫る焦燥感をヒシヒシと訴えていた。その恐れは波紋のように伝播し、その日、その時、その様子を見守っていた人間たち全員の緊張感がピークに達し、動きを止めて身体を引き攣らせる。

――おいでなすったか。

 黒木がにじむ手汗をぬぐってまた手袋を装着した数秒後、漆黒の海面が爆発するようにせり上がる。魚雷の水中爆発などと比べ物にならない大きさの水柱が、その下にある荒唐無稽なおとぎ話めいた体躯の持ち主によって猛然と吹き上げられたのだ。

 全員が固唾をのんで見守る中、轟轟と流れ出す海水の滝の間を切り裂くように、内側から逆トゲの生えた鎌状の異形の触手が一本、また一本と現れる。

 鈍く、そして大きな音を立てて大気を切り裂いた触手は、まるで振り払うかのような動作で海面にたたきつける。逆トゲが大海に十メートル近い大穴を一瞬だけ穿ち、発生した大波がそこへなだれ込むとほどなくして海面が爆発する。その余波と衝撃で、そいつに向かっていた魚雷が方向を狂わされ誤作動を起こし、寸前で起爆してしまった。

 海中にいた潜水艦部隊は魚雷攻撃を一時中断する。その瞬間を狙い、そいつは四方に向けてピンガーのような超音波を放つ。

 ただの超音波ではない。マッコウクジラが超音波を極限まで絞ることでダイオウイカを遠距離から麻痺させる音波砲を放つように、そいつの放った超音波は一種の衝撃波となって海中の潜水艦に襲いかかったのだ。

 艦内の音響測定員は突如耳に飛び込んだ強烈な音波に三半規管を大幅に狂わされて昏倒し、気絶。他の乗組員も閉鎖された艦内に響く大音響によって全員が頭を鈍器で殴られたような激しい頭痛に襲われ、潜水艦部隊の全てがしばらくの間戦闘続行が不可能に近い状態になってしまった。

 

――そんな、馬鹿な……!!

 

 潜水艦部隊の報告に普段は表情をめったに崩さない黒木が珍しく顔をゆがませる。音を使った攻撃など、出現当時は確認されなかった攻撃方法だ。

 水壁を隔てた先で静かにたたずむ異形の生命体。やがて海水がすべて海面に還元した時、全高にして百メートルにまで及ぶ超々大型ガストレア――ステージVの全容が月光の下にその姿を現した。

 

「あれがステージVか……」

 

 ズームされた映像に映る異形に、うめき声を漏らす。

 巨体を支える、鳥のような、象のような、はたまた人間の手のような、どうとでも解釈できる二脚と、体から場所を選ばず生える計八本の逆トゲの生えた鎌状の異形な触手で海面を這いずり回り、グロテスクな色彩の体表には膿のような正体不明の粘液をまき散らすイボで覆われている。

 歪んだ骨格からはのぞく、大小さまざまな目は、一体どこを見ているのだろうか。

 それはあらゆる生物を無秩序に組み合わせたとしか言い様の無い姿をしており、狂気じみたその姿は、あらゆる命を冒涜するが如き悍ましいものだった。

 

「機長、司令部より攻撃命令」

 

 その威圧感に気圧されながらも乗組員が震える声で通信を告げる。

 言うまでもなかった。

 

「第一次攻撃開始。ロケット弾、誘導弾、全力投射!」

 








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