【修正中2月25日】オラリオで聖者(アバタール)は何を導くのだろうか 作:Cran
ひええ。
正体不明の女性に拐かされたベル・クラネルは、率直にいってテンパっていた。
「うん?」
くるりと振り返った女性は首をかしげている。
かわいい。
(いやいやいやいやいや!)
ここで煩悩に負ける訳にはいかない。
あのロキ・ファミリアのアイズ・ヴァレンシュタインと出会い、ダンジョンにハーレムを求めに来た行動が間違ってないと確信したのだ。
それでいうと、この人もとてもきれいなわけではあるが。
「ああ」
ぽんと手を叩く。
「自己紹介、していませんでした」
(合ってるけどぉ!?)
女性は身繕いしてから手を離して向き直った。
「わたしはカテリーナ、“
「あばたーる……?」
首を傾げる白兎に、この街の風聞が入っていないことを推察して、カテリーナは少し安心する。一方的に想いを向けられるのは面映ゆくもあるし居心地が悪いときもある。
「あなたのお名前は?
「あ、ぼ、僕はベル・クラネルです!」
「ベル……。鐘を鳴らす子?」
「はぇ?」
すんすんと鼻を鳴らして匂いを嗅ぐ。
「でも、すごいですね。察するにレベル1っぽいですけど、ミノタウロスを倒したのですか」
「いやぁぁぁ、いえ、倒したんじゃなくって」
「逃走できたとか」
「それもできなくてですね」
返り血によるそれとは別の意味で真っ赤になる少年の様子に何があったのか。
――ふむ。
「なるほど、助けてもらったのですね」
「ぎくり」
「それで、助けてくれたのがアイズさんということでしょうか」
「ぎくりのぎくり」
「なんでわかったのか、でしょうか」
「……はい」
「あなたには、常に手鏡を持ち歩くように忠告してくれる人が要りそうです……」
「えっ」
ため息混じりの言葉に「なんでっ!?」とばかりに反駁するベル・クラネル君。
ややジト目混じりな視線で、カテリーナはその顔を見やる。
「目は口ほどに物をいう」
「はあ……」
もう一回嘆息して、あとを続ける。
「あなたはすべてが表情に出すぎていて、目を見るまでもないといいますか」
「うえ」
「声を聞いただけで全てわかるほどといいますか……」
「ぐふっ」
「気づいていなかったようですが、アイズさんが何やらと呟いていましたし、なにかのはかりごとをするとしたら、絶対に仲間にしない系のフレンズではないかなと……」
「ごはっ」
目に見えない吐血をしながら地面に倒れるベルをみやって、カテリーナはもう一度、ため息をする。
「まあ、善良な子だというのはわかりますから。あなたはそれでいいのでしょう。とりあえず、身を清めて着替えましょう。男の子の替えの服程度はこちらも持ち合わせがありますから。血の匂いなんて、好んで纏うものではありませんよ」
「ええ――!? いえ、でも、ご迷惑が」
「血まみれ少年が街をうろつくほうが迷惑ですよ」
「あっ、はい……」
瞬殺。
実際、カテリーナが保護していなければ、そのあたりの露天商人にキレイに敵意をもらうことになっているのではないかという程度に、血を撒き散らしていたわけである。
冷静になって振り返れば、恥ずかしさのあまり己を殴りつけるしかない次第だったので、従うしかないのだ。
オリキャラをあと1人くらい入れてもいいかなって思っていますが、いらないひともいるかなと悩んでいます。ストーリー上としては必須ではないですが、
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入れてもいいんじゃない?
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ないほうがいいかな?