戦う提督が爆散して艦娘を曇らせるだけの話   作:曇らせ好きのにわか提督K

7 / 8
閑話:プ□フェッショナル 提督の流儀

Hoi4提督の朝は早い。

どちらかというとほとんど寝ていないのが正確である。30分程度の仮眠を日に数回挟むのみで済ませているので無理や過労を疑われがちだが、全くそういうことはない。

 

「Hoi4の連続プレイ中のゲーム内時間が起きていられる時間、つまり年単位に一度の睡眠だけでいい。でも俺は寝る、寝ることで考えを整理できる。それにふかふかの布団はパフォーマンスを向上させる・・・」

 

そんなことを呟きながら、最近羽毛布団にアップグレードされた掛布団からのそりと顔を出す。ニワトリとアヒルの飼育が軌道に乗ってきたからできる、ぜいたくである。

 

ちなみに艦娘にプレゼントした羽毛布団はたいそう喜ばれた。泣くほど。

 

「あ゛り゛か゛と゛う゛な゛の゛て゛す゛!!!」

「れでぃははやくねるものなのよ・・・すやすや」

「これを縫い付ければいいのね!もっと私に頼って・・・え、これって・・・」(うるうる)

「はらしょー。みんな、いっしょだ。」

 

 

六駆の羽毛布団にはデフォルメした第六駆逐隊全員をデザインしたアップリケが付いている。どうせなら雷が付けたほうがいいかと思って裁縫用具と共に渡していた。

 

提督は寝具含む家具はこだわるタイプなのだ。

 

完全に余談になるが、渡したときに泣かせてしまったから「泣くほどいやとかではないよな・・・?」とその日の夜すりガラス越しに様子を見に行き、4人仲良く川の字になって寝ているのをみて若干一名が尊死した。

 

 

 

話を戻そう。

 

日が昇る前、命に感謝しながら鶏を絞め、下拵え。今日の朝食メニューはオムライスだ。肉はチキンライスに、卵は代替バターと共にオムレツに。骨も鶏ガラスープにして余すことなく使う。

 

「牛飼いてぇな・・・」

 

豆乳から作るバターモドキ、艦娘からの評判はいいのだが提督は満足していない。

牛乳が飲みたい、生クリームとバターでお菓子作りたい。ハンバーグ食いたい・・・そんなやや子供っぽいことを考え・・・通算精神年齢36とはいえ前世も今も18より上の年齢になったことはないのだ、致し方ない。

 

昼の分の鶏飯を仕込み、夜の焼き鳥に備え軟骨つくねや鶏串、下味をつけるものとたれに漬け込むものを用意して炊事を終わらせる。

 

たんぱく源が鶏肉・鴨肉(流通している鴨肉はほとんどがアヒル肉)・鶏卵・大豆しかないので、飽きが来ないようにメニューは毎日変えている・・・流石にローテーションは組んでいるが。

勿論、金曜日はカレーである。

 

シーフードについては生態系の回復や深海棲艦由来の汚染がないか確認が終わるまでお預け。地下の研究区の一角に水槽があるという噂が立っているとか。

 

いい提督というのは食にも妥協しない。兵站と糧食の質は士気に、ひいては勝敗に直結するのだ。

 

 

朝日が昇る少し前。

 

レーダー管制室内に提督の姿があった。夜勤の妖精さんと交代し、レーダーのメンテナンスを行う。万が一朝霧に紛れて接近してくる深海棲艦がいようものならこれを撃退する。

夜襲・空襲に次いでこの時間帯は襲撃が多い。否、多かった。周辺海域を深海棲艦が回避するようになって久しいとはいえ、稀にはぐれが来ることがある程度だ。

ただ、夜勤妖精さんからの引継ぎの関係でこの時間は一番指揮統制が落ちるので、提督が直々に異常がないか確認している。

 

 

 

起床ラッパが響く〇六〇〇。提督は厨房にいた。ある程度の盛り付けを終え次第、食堂の管理を補給妖精さんに引き継いで自身も朝食をとる。

 

「提督さん、おはようございます。」

 

「自分、相席よろしいですか?」

 

早い時間にも関わらず、鹿島とあきつ丸がすでに食堂にいた。盛り付けを彼が行った朝食、提督と一緒のごはんを狙う艦娘がこの少人数の鎮守府では大半を占めているが、提督への負荷を考えて一度に2~3人程度にとどめる艦娘秘密協定があったりなかったり。

 

「おお、いいぞ。鹿島もおはよう。・・・皆勤勉だな。朝早いというのに、いつも食堂に誰かしらいるとは・・」

 

「ふふ、提督には及びませんよ。今日もありがとうございます♪」

 

 

 

〇九〇〇。

 

今日は開発を主体に行う。

 

「夕張―!明石!今日の開発、よろしく頼むぞ!」

 

「「はい!」」

 

「いろいろ試してみましょうか。」

「開発は明石にお任せあれ!」

 

 

従来の兵器は人間サイズの軍艦に対して有用とは言えない。高い命中精度、高い威力・装甲貫徹力を両立させなければならない。提督と開発部の腕が光る。

 

「やはり徹甲弾、それも高速徹甲弾や大口径徹甲弾が望ましい、か。」

 

「航空機に搭載するなら後者はナシですかね?」

 

「機動性とか速度とか犠牲にすれば・・・」

 

そうして並べられたのは20mmから50mm、果ては75mmまでの機関砲たち。

 

実威力は概念圧縮によってさらにその口径を上回る。

 

「数発しか込められない代わりに、MBTの主砲、120mm戦車砲の概念が込められている試作75/120A-3*1滑腔砲だ!こいつを載せたいなら2000馬力級エンジンを2つ以上積まないと離陸すらできない!」

 

「私が言うのもなんですが、どう考えてもアンバランスじゃないですかその兵装。実用化できるんですか?」

(夕張は3000t級の船体に5500t級の武装を積んだ艦です)

 

「「・・・」」

 

 

「機首に一門だけ乗せるなら割と実用的、50/90FNT-5!これならどうだ?」

 

「んー、まだ単発の艦攻に載せるには大きすぎますねぇ」

 

「40/76M2、要塞用速射砲の装弾数を減らして駐退機他航空機用の改造を施した。大型の単発機の翼内に収まるぞ!砲身はやや飛び出るけど・・・」

 

 

 

そして仕上がった試作砲戦型艦上攻撃機一号機は・・・逆ガル翼、頑丈な機体構造、ルーデル閣下が好きそうなデザイン。

 

外見上の特徴はJu-87 G-2と完全に一致していた。

 

「スツーカだ・・・」

 

「スツーカですね・・・」

 

「行くぞガーデルマン、出撃だ!」

 

「「「誰だ今の」」」

 

試作二号機も作られた。戦闘機のような速度と機動性、そのための楕円翼。

 

「英国の艦上戦闘機に似ていますね。名前が出てきませんが、なんでしたっけ、ええと――」

 

「あ、ハリケーン。ハリケーンMk.IID」

 

「SO☆RE☆DA!あれ?シーハリケーンに改装されたのってMk.IICまでじゃなかったっけ・・・まあいいか。」

 

 

そんなことをしていたら、不意に明石が言った。

 

「もう少し小さくなれば艦娘にも装備できそうですねー」

 

その次の瞬間、Ju-87G-2(仮)とシーハリケーンMk.IID(仮)が光り出した!

 

カン!カン!カン!

 

 

E:[艦攻] 試作Ju-87G改

E:[艦攻] 試作SeaHurricane Mk.IID 

 

 

「うっそだろお前」マジカヨ

 

 

――――――――

―――――――

――――――

 

 

装備できそうなものができてしまった。完全に想定外の事態になったが、使えるものが増えるのはそれが何であれ良いことだ。

本当に使えるのであれば。

 

装備化する前の機体を用意し、鳳翔と龍驤にはミニサイズになったほうを渡す。

 

午後一番の業務は新兵器のテストだ。厳密にいえば「になった」が正しいのだが、あたかも最初からそうだったかのように振舞うことがクールな大人なのだろう。

 

 

テストパイロットは我らが提督と熟練の艦攻妖精さんだ。テストパイロットは事故率が高く死亡しやすいってことを本当に理解しているのだろうか?

 

「レーダー圏内に敵艦を認めず、対空砲全機、敵味方識別機の更新含め準備完了。即応体制ヨシ。空域クリア。風速2m/sNE(北東)、快晴なり。」

 

先にエンジンを回すは1番機Ju-87G改、乗員は機銃手妖精さんと提督。

その後ろでスタンバイしている2番機SeaHurricane Mk.IID、こちらは一人乗りのためパイロット妖精さんだけがコクピットにいる。

 

「離陸するぞ!」

 

機体特性はオリジナルのガンポッドスツーカよりはるかにましとはいえやや癖のある仕上がりになっている。離陸直後、ややふらつきながら高度を上げ、各種テストに臨む。

 

 

「上昇率:やや難あり、機動性:単発機にしては鈍重、双発機よりは機敏。」

 

洋上に浮かぶ人型の的、そこに向けてペイント弾を撃ち命中精度を見る。

 

「急降下良好!自動フラップ展開を確認!FIRE!」

独特のサイレン音を響かせて、六十度近い角度で侵入するスツーカ、機銃手妖精さんは席から浮かび上がっている。

 

ダァン!ダァン!ダァン!

 

3度斉射して機首を上げる、とたんに機体にかかるG。ブラックアウトに耐えながら操縦桿を目いっぱい引いて水平飛行に移る・・・

 

 

「命中精度、6発中4発。非常に良好。パイロットに対G訓練の必要あり、と。」

 

一方のSeaHurricane Mk.IIDはというと。

 

「命中精度、8発中2発。やや悪い。急降下は困難なため海面すれすれから水平に撃ってロール離脱が最適解。最高速度と機動性に優れている。」

 

 

 

 

 

帰還してすぐ、すり合わせが行われた。

 

「そうですね、どちらも魚雷を載せられない艦攻なのでかなり癖があります。性能に差はあまりないように感じますが、しーはりけーんのほうが扱いやすい子ですね。」

 

「ううむ、圧縮率の関係で被弾しやすさが大きく変わるな‥‥‥」

 

 

 

 

 

この日は夜分遅くまで工廠の灯が消える事は無かった。

*1
命名規則: 実口径/概念的口径 開発コード




―――自らの手で(ほふ)ることにやりがいを感じて?
「まぁ、そうですね。ただ、一番好きなのは無茶した後の心配そうな艦娘の表情が好きでね・・・」

―――ええと、涙目や泣き顔が好き、ということですか?

「普段元気な娘だとなおさらですね。ただ、クールな娘にそういう表情をさせるのもまた格別なものです。」

――――一体、どうして・・・

「ほら、艦娘ってみんな見た目麗しいじゃないですか。そんな娘たちの視線を独占しているって、優越感感じません?」

―――――そうですかね?国防のために役立つ素晴らしい兵器で「」ダンッ

「・・・彼女らは無機質な兵器じゃない。艦娘なんだ。感情がある、美しい心がある。だからこそ命をかける価値がある。()みたいな木っ端など、使い潰してもいい程に。」

―――――・・・。

「この話はオフレコで頼む。いいな?」

―――――・・・はい。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。