愉悦と曇らせに狂ったTS転生魔法少女の話   作:あきつの雲

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~おそろい!~

<魔法少女シラウメ視点>

 

「お待たせいたしました。」

 

サムとボタンと話しているうちについに頼んでいた料理が届いた。

 

『ゴクリ』

 

生唾を飲み込む。

 

漂う匂いは確かに美味しそうで食欲がわく。

 

・・・・・のだが本当にマナーを気にしなくていいのだろうか?

チラチラとボタンの方を覗き見ながら

ナイフとフォークを手に取る。

 

「「「いただきます」」」

 

え~っと、左側から一切れずつ。

手首を立てないように手前から奥に向かって切ればいいんだよな。

 

ナイフを肉に触れさせる。

すると『スッ』っとほとんど抵抗なく刃が進んでいく。

 

すっげぇ。こんな感覚今まで味わった事ねぇんだけど!?

 

ナイフの切れ味ももちろんあるんだけど

コレは肉の質が高いんだろうな。

 

そのまま口まで運べば洗練された味が口の中に広がる。なるほど確かに見たことない値段をしていただけはある。

今まで肉を食べた時に経験したこともないような感覚が口内で弾けている

 

だけどソレは嫌な感覚じゃない。しっかり味わって味わって味わい尽くす。

欠片さえも口の中から消えたところでちょうど声がかかる。

 

バッチリですよ!

 

そっか・・・・こんな感じでいいのか。

オレ怯えすぎてたみてぇだ。

無意識に入っていた肩の力が抜けたのを感じる。

 

 

・・・・そこからはとっても楽しかった。

上手い飯と仲いいやつとのおしゃべり。

それが嫌な奴は誰も居ねぇと思う。

 

それにボタンが多いというだけあってオレも十分お腹いっぱいになったし

ボリュームも十分だった。

 

まぁまさかデザートまであると思わなくて

ちょっと腹いっぱいになりすぎた感じはあるけどな!

 

でもとっても良い食事だったと思う!

 

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<サム視点>

 

それじゃ、そろそろ会計に向かいますか?

 

あぁ。もうお腹いっぱいだぁ。

 

そう言ってポンポンっとお腹を撫でるシラウメちゃん

一人だけセットだったせいでガッツリ量があったからね。僕達に合わせてデザートも頼んでたしそりゃ満腹になるよね!

 

また来たいな

 

良かった。自分からそういうってことは

シラウメちゃんも楽しんでくれたみたい!

ボタンちゃんもホッとしたような顔してる。

 

今回は私が支払いますね。

 

ん、頼んだ。次来るときはオレが払うわ。

 

会計でも揉めることなくそのまま進む。

まぁみんな積極的に魔物を倒しに行くから結構お金持ちだからね。5桁後半くらいまでは気兼ねなく払えるんだよね。

 

それにシラウメちゃんが嫌がるのも一方的に高額を支払われることだしこうやってお返しをするめどがあるときは何も言わないもんね。

 

次はジュエリーショップに行きましょうか。

 

車に乗り込んだところでボタンちゃんがそういう。

昼食だけのつもりが話し込んじゃって2時過ぎてるから早くしないと選ぶ時間減っちゃうもんね~

 

そうだな。でもオレの分は自分で払うからな!

 

 

ん~頑固だなぁ。

別にもらっちゃえばいいのにね?

 

・・・・・あれ、でもよく考えたらお金払った方がいいかもしんないね!

プレゼントにしてお互いに送りあえば問題は解決するんじゃない?

 

ボタンちゃんはお詫びを送りたい。

シラウメちゃんはただで高価なものを貰うのは申し訳ない

 

どっちも叶うよ?

 

ナイスアイディア!それでいこう!

 

いいですね。自分以外の相手に1個ずつ似合いそうなアクセサリーを選ぶのはどうでしょう?

 

あ、でもおんなじ部位のアクセサリーが被ったら困るか!

同時につけられないの嫌だよね?

イヤリングとか送りあってみる?

 

オレは良いけどサムってイヤリング大丈夫なのか?敏感なんだろ?

 

そう言って耳を指さして見せるシラウメちゃん。

 

・・・・穴開けたらさすがに痛いけれど

イヤーカフとかでおしゃれとしてつける感じなら問題ないと思うよ?

 

長く触れてれば慣れるしね?

 

 

そっか、ならそうしようか。イヤリングはお出かけ用。もう一つは普段使い用でどうだ?

 

おぉ、じゃあそうしよう!

普段使いするなら戦闘中もつけてられるような物ってことだよね!

気を付けないと。

 

こちらは私がシラウメちゃん。シラウメちゃんがサムちゃん、サムちゃんが私に送りますか。

 

おっけ~

 

わかった~

 

あともう一つはさっきと逆で、私がサムちゃん、サムちゃんがシラウメちゃん。シラウメちゃんが私。でどうでしょうか?

 

こっちは、送る相手のこと考えて好きなの選んでくることにしようか。オレのデザインセンス期待しててくれよ?

 

は~い。

僕はあんまり自信ないけど似合いそうなの選んでくるよ!

 

予算どうする?買ったことないからよくわからん。

 

では5万円以内でどうでしょうか?部位によって値段もまちまちですしちょっと幅を持たせておきましょう。

 

了解!シラウメちゃんに似合うデザインかぁ。

どんなのがいいかなぁ?

 

制限時間は2時間くらいか?

そうだなぁ。4時になったら入口に集合してプレゼント。

そのあとそろってイヤリングを見に行く感じでどうだ?

 

そこまで決めたところで大規模なアクセサリーショップの前で車が停まる。

今回は停車位置が店前にあったから問題なくそこで乗降できるみたいだね!

 

「到着いたしました。」

 

その声で二人も気づいたみたいだ。

あんまり店前を占領しても悪いので急いで車から降りる。

 

それでは一旦分かれて探しますか。

 

おう!時間忘れないようにな~

 

店内に入り温かさを感じ始めたところで

二人とも別方向に分かれて歩いていく。

 

僕もタイマーかけとかないとね。

 

3時50分くらいでいいかな。

それまで店内を回って探してこよっと!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

う~ん。決まらない...

 

種類は決まったんだよね

 

まずシラウメちゃんが盾を持つから指輪は候補から外したの。

 

ティーチくんみたいに自動防御不可の呪いがあるわけじゃないから戦闘中でも壊れないからね、アクセサリーはつけていられるの。

だけど邪魔になるし指輪はなしでしょ?

 

 

次にショートヘアだから髪留めも違うなってなって

ブレスレットかネックレスにしようと思ったの。

 

で、ひっかけたときに困るよね?

って思って結果ブレスレットにしようと思ったんだけど...

 

デザインが決まらないんだよね。

すっぽ抜けても困るから割とぴったりとしたデザインにしたいんだけどそうすると手首の可動域を邪魔しそうでさ。

 

あ!でもアンクレットって手もあるのか!

ソレならこれにしよう!アクアマリンとシルバーの奴!

 

石言葉も合ってるし住んでるところが海に近いから色も似合うと思うんだよね!

 

足首なら緩めでもとれちゃうことないし戦闘中邪魔になることもないでしょ!

幸いシラウメちゃんの衣装も足首見えてるタイプだから隠れちゃうこともないしね!

 

まぁ、万が一腕に着けたくてもどっちとしても使えるって書いてあるしこれなら好きなように使ってもらえるよね!

 

よし!

 

これくださ~い。

 

言われた値段も問題なかったし即決で購入。

 

そのままコーナーを出るとすでに3時45分。

早めにまっててもいいよね!ってことで入り口あたりにベンチもあるし座って待ってよ!

 

喜んでくれるといいなぁ。

 

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<魔法少女ボタン視点>

 

お待たせしました!

 

私が最後だったようですね。

ですが満足のいく品を買うことが出来ました!

サムちゃんもおそらく喜んでくれるはずです。

 

じゃあまずどこの部分買ってきたかいうか?

 

わかりました。

わくわくしますね!こういうプレゼント会のようなもの、とても楽しいですよね。

 

「「「せーの」」」

 

アンクレットだよ~

指輪だな!

チョーカーです。

 

なるほど私へのプレゼントは指輪ですか。いいですね!

 

じゃあ次は箱のまま渡して一斉に開けましょうか。

 

お互いに渡しあっていきます。

どれも黒いベルベットの箱に入っていましたので間違えないようにしないとですね!

 

「「「せーの」」」

 

ゆっくりと開けてみます。

 

おや?コレは・・・

 

偶然ですがみんな似た色の宝石を選んできたようですね。

私がプレゼントしたチョーカーにはアパタイトが

貰った指輪にはサファイアが

シラウメさんのアンクレットにはアクアマリンが使われています。

 

なんとなく選んできたけどすごい偶然だね!

な~。色的に似合うな~っと思って選んだんだけどこっちでもお揃いっぽくなったな!

 

そうですね。予想外ですがこれはこれでいいでしょう。

より連帯感が増したようにも感じますしね。

 

ねぇ。さっそくつけてみない?

 

そうだな、鏡もあるし調整もしやすいからな!

 

皆普段使いできるタイプの物ですし

せっかくですからつけてみましょう!

このままショッピングすれば付け心地も分かると思いますしね?

 

じゃあまずは僕から!

 

そう言ってさっと首元にサッと装着してみせるサムちゃん。

 

おぉ。やっぱり似合いますね。

 

シンプルな黒の革製のレザーチョーカーなんですが

ベルト部分にバックルがついていてズレにくいように

なっているのがポイントでしたね。

アクセントでアパタイトが輝いているのもいいと思いますよ。

 

あぁ。似合ってる!それでオレはどうだ?

 

おや?シラウメちゃん?

ソレ腕に着けるものではないですよ?

アンクレットですから足首に着けるのですが...

 

ん?そうか?でもオレ左手の方が良いかなぁ。自分から見えた方がよくない?

 

まぁ、長さ調節用のアジャスターもついていますから

ブレスレットとして使うこともできますが戦闘中に邪魔にならないですかね?

 

大丈夫だと思うけどなぁ。

 

そう言って腕を振って見せるシラウメちゃん。

確かにほとんど揺れ動いていませんし問題はなさそうですね!

 

色合いも健康的に焼けた肌に似合っていると思いますし、デザインもごちゃごちゃしすぎずにシンプルでいいのではないでしょうか。

 

そうでしょ~、ブレスレットとしても使えるって書いてあったからね!

 

へぇ。なかなか面白いですね。

足首に着けるときはアジャスターが引っかからないようなちょうどいい長さに調節されているんですねコレ。

考えられているアクセサリーですね。

 

それで。ボタンはどんな感じだ?

 

あぁ。二人をみるのに集中していてまだつけていませんでした。

 

私はどうしましょうか・・・・

 

指輪ですし候補は沢山あるんですが

どの指にも意味があるんですよね。

 

形状的に親指、小指には付けれないとして

薬指も意味合い的にはおかしいですしつけるなら人差し指か中指ですよね。

 

う~ん・・・・・左手の人差し指にしましょうか。

精神力の向上や積極性を引き出す効果がある。

なんて言われていたはずです。

 

おぉ!似合ってる!

 

そうですね。自分で見てもよく似合っていると思います。ありがとうございますシラウメちゃん!

 

喜んでもらえて良かったぜ!

 

私の武器は魔本ですから片手で構えられますし

基本的に自分で浮いているので重さも存在しないですからね。

 

右手で構えて左手の人差し指を照準代わりにすれば

よりそれらしく戦えるのではないでしょうか?

 

そうだなぁ。次戦う時に試してみるか?

 

えぇそうしましょう。

最近はトリオとしてサムちゃんを加えての戦闘も練習していましたしそれの実戦経験も積みたいですもんね。

 

周りに被害が出るようなことをするわけにはいきませんから練度が低い状態で試すわけにもいきませんし、今までは私とシラウメちゃんで対応していたのですがそろそろ試してみるべきでしょう。これ以上訓練で練度を上げるのも厳しい状況でしたしね。

 

まぁ、そう都合よく戦えるわけでもないから今はイヤリングの方に行こうぜ。

 

 

そうですね。

みんなで探しに行きましょうか。

 

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<魔法少女シラウメ視点>

 

これなんていいんじゃないですか?

 

誰もピアス穴なんてあけてないからな。選ぶのは当然ノンホールピアスだ

 

そんな制限のある中でボタンが候補として見せてきたのはシリコンカバーの付いたもの。

 

こっちは結構飾りの部分が大きめのものだ。

まぁさすがに耳元でぶらぶらしてんのに激しく動けないからな。

元からその予定だったし戦闘中に着ける用ではなく

お出かけ用のものだ。

 

デザインはシンプルにチェーンがつながっていてその先の自由にデザインを選択できるタイプの特注のイヤリング。

 

これがいいんじゃない?

 

デザインのカタログを先に見ていたサムがこちらに見せてくる。

 

梅の花、牡丹をモチーフとした形があってオレ達にピッタリなんじゃないか?と言いたいみたいだ。

 

 

確かに魔法少女衣装も名前を意識したものになってるから全体でバランスが取れて違和感なくつけられる気がするな。

 

何よりオレ自身梅の花は好きだから気に入ったんだが

 

サムちゃんの分どうしましょう?

サムの分どうするんだ?

 

やっぱりボタンもそう思うよな。

基本的に衣装って自分の好きな物や関連してるものから取られるから向こうも問題なく気に入ってると思うんだけど問題はサムなんだよな。

 

別にオレらみたいに花の名前から魔法少女名が決められてるわけじゃないから統一感が出ないし、よく考えたら好きなマークもあんまり聞いたことなかったなって。

 

僕?僕はハートマークが良いかなぁ。

 

へぇ~好きなんだ。ハートマーク。

じゃあこれにすっか。

 

オレはサムのだからハートマークで注文するな。

私は、梅の花モチーフ。

僕が牡丹の花モチーフだね!

 

注文してみると、出来上がるまでに2週間ほどかかると言われ出来上がったら連絡を入れてくれるとのこと。

 

注文票を貰い支払いはその時にするらしい。

 

楽しみですね!

 

あぁ!こうやって一緒に出掛ける機会もこれから増えると思うしそん時につけられたらいいな!

 

そうだね~、しまう場所ちゃんと決めとこうね。

 

あぁ、そういやそうか。

結構高価なものだし何よりプレゼントだからな。

無くしたくないししっかりしまっておかないとな。

 

・・・・なんだけど

オレの部屋ごちゃごちゃしてっから片付けねぇと絶対出せなくなるんだよなぁ...

 

帰ったら部屋片づけないとダメだな。

 

このチョーカーは絶対に外さないけどね!

 

私も指輪は学校でもつけていようと思います!

 

幸い魔法少女ってのは派手なアクセサリーついてる奴も多いからな。

学校はアクセサリー禁止とかもねぇし二人みたいに貰ったブレスレットはしまわずにつけっぱなしでいいか!

 

『機関から通達、銀座一丁目付近に魔物出現反応アリ。付近の魔法少女で対応できるものは連絡を!』

 

そんな風に買い物をした余韻に浸りながら

雑談をしていたところで端末がなる。

 

ここからすぐのところです。行きますか!

 

そうだな!ちょうどいい機会だ行こうぜ!

そう口に出してそのまま店内を駆け抜けて外に飛び出す。

 

緊急事態だから騒がしくしてしまったのは許してくれ

 

じゃあ連絡入れちゃうね!

 

走りながらも連絡は忘れない。

これをしておかないと現場で混線するから

大事なことなのだ。

 

『魔法少女サム、魔法少女シラウメ、魔法少女ボタンの3名が対応に向かいます。支援が必要な場合に備えて動ける者は準備お願いします。』

 

よし、機関からの通達も来たし他の魔法少女とバッティングして動きずらくなる事もない。全力で行こう。

 

角を曲がった先の地面から

せり上がるように一つ目の巨人が腕をふり被り現れる。

 

ぼろ布を纏っただけで武器も何も持っていないが、10メートルを超える巨躯はそれだけで十分な脅威だし、その巨木のように太い腕が振り下ろされれば間違いなく被害は避けられないだろう。

 

させないけどな!

 

【スピ―ドアップ】

 

ボタンの支援を受けて一気に加速する。

 

そのままエモノを空中から取り出して割って入り受け止める。

 

『ガゴッ』

という重い音が鳴るが正直サムに比べたらそよ風程度の威力しかない。

 

スタンピード前のオレだったら耐えれはしても

結構厳しかっただろうから確かに実力が上がっているのを感じる。

 

【【パワーアップ】】

 

さらに追加の支援が飛んでくる。

強化された力で押し返すように腕を跳ね上げパリィを行う。

そうしてがら空きになった胸元。

そんなあからさまな弱点をサムが見逃すはずもなく

 

行け!

 

寸分たがわず突き刺さった拳は一撃で致命傷を与え

魔物を光の粒へと返していく。

 

『反応消失。戦闘終了です。お疲れさまでした。』

 

機関のアナウンスで完全に倒したと確認してから警戒を解く。

たまにやられたふりをする魔物もいるから最後まで気を抜いちゃいけないんだよな。

 

しっかし接敵から20秒程度で完全消滅か。サムとの連携もいい感じなんじゃねぇか?

 

割と想定通りの動きが出来てた気はするな。

 

ボタンちゃんの支援もよかったしシラウメちゃんのパリィも上手くいったよね!

 

何度も練習したしな。

ま、できない方が問題だろ。

 

アクセサリも特に邪魔になりませんでした。私はむしろあった方が狙いがつけやすいかも?

 

そうだな。

オレも特につけてて違和感はなかったぞ。

 

僕も気にならなかったよ。

 

ま、何はともあれ・・・・

 

 

『『『パチンッ』』』

 

ハイタッチだ。

 

別に意図したわけじゃないんだけどな。

なんとなく手を差し出せば2人とも同じようにしていたよな。

 

こういうところで示し合わせなくても

行動が合うあたりめっちゃ仲良し!って感じがしてオレ好きだわ。

 

・・・・・口には出さないけど...

 

さて、帰りますか。

 

ん~そうだな。

もういい時間か。明日も学校あるしこのまま解散するか。

 

あ、そうでした。ではこのまま解散にしますか。

 

あれ?そういう意味じゃなったのか?

てっきりこの場で解散するって意味だと思ったんだけどな。

 

ココだったら本部に近いからサムの家も近いだろうし

オレも経由して帰りやすいからな。

 

あれ?サムちゃんってこの辺に住んでるんですか?

 

うん。そうだよ!そういえば言ったことなかったね。

 

まぁそうはいってもオレも近場のゲートが本部ってコトしか知らないんだけどな。

 

本部前まで送っていってもらいます?

 

ん~このまま歩いていかね?

明日の放課後の予定とか立てたいし歩きでもすぐ着くだろ?

 

そうですね。では徒歩で向かいますか!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「それじゃあね~」

それではまた明日。

 

手を振りながらゲートをくぐる。

 

黒いゲートにのまれた瞬間

あれほど大きく聞こえていた二人の声が一切聞こえなくなる。

 

ま、一瞬でうちの近くの支部まで移動したんだから当然の事なんだけど

何度経験しても不思議な感覚だよな。

 

 

 

そんな取り留めないことを考えながら歩きなれた道を家に向かって歩く。

 

10分程度で見慣れたうちの戸が見えてくる。

 

ただいま~

 

『ガラガラッ』

 

少しだけ建付けの悪くなった引き戸は明けると大きな音がする。

 

この音聞くと帰ってきた~

って気分になるんだよな。何せ10年前くらいからこんな感じだからな。

 

 

ふぃ、それにしてもまだ7時前だけどめっちゃ疲れたぜ。ま、それだけ充実した時間を過ごせたってことなんだけどな。

 

「ねぇゆかり?学校は?」

 

あ・・・・・

 

待ってくれ母さん。

これには深い理由があってだな。

 

なんというかその・・・学校行くより大事な音があったんだよ!

 

だからその振り上げた握りこぶしをおろしてはくれないか?

 

「なんてね。嘘よ。お友達を助けてきたんでしょう。よく頑張ったわね。」

 

大きくなってからは久しく受けていなかった

母さんからの抱擁。

小さいころからも数えるほどしか受けたことが無い。

けどそれでも一番落ち着くソレ

 

少し涙がこぼれそうになる。

 

「夕飯出来てるわよ。手を洗ってらっしゃい。」

 

嘘。オレの瞳からはボロボロと涙がこぼれている。

それを見なかったことにしてくれたらしい。

 

「食事の時に今日の冒険。聞かせてね。」

 

あぁ。期待して待っててくれ。

とんでもねぇ大冒険だったんだからな!

 

手早く顔と手を洗って食卓に着く。

 

ボタンって友達がいるんだけどよ・・・・・・・

 

そうして話し出せばその日遅くなるまで話題が途切れることはなく次の日に差し障るからと親父に無理やり布団に叩きこまれるまでオレの口が閉じることはなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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