水瓶座の3人/ゆるゆる日常

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第1話

「掃除せねばなるまいな」

 

ポツリ呟く。

 

場所は宝瓶宮。

となればいるのはカミュだ。

 

「掃除…」

 

 

 

 

そんなこんなで呼び出される愛弟子二人。

全く嫌がらない辺り、カミュの人徳か。

 

「よし

シベリアに行くぞ」

 

「…え

今からですか」

 

何の理由も分からず

 

『明日、宝瓶宮に朝8時に集合

遅刻厳禁

持ってくるものはありません

 

あ、朝ごはんは出ないから、ちゃーんと食べて来なさい』

 

と言われ、素直に来ただけなのに。

 

また、長距離移動。

 

「今からだが

 

予定でもあるのか?」

 

気持ち悪い盲目カミュ信者の氷河にはいややもない。

 

「ないよな、アイザック」

 

「……………うむ……」

 

本当は、釣り雑誌なんか見ながらゆっくりする予定だったのだが。

 

…たまには付き合わねばなるまいな。

 

あのシベリアの清廉な空気は嫌いじゃない。

 

だから。

 

 

 

 

「変わりませんね、ここは」

 

「久しぶりだろう、アイザック…」

 

「…うぅう

こうやって大きくなったお前達とまたここで一緒にいられるとは

 

生きてて良かった…」

 

本日、先生は一体何回泣くのか。

カウントしてみようかな…

 

アイザックは思った。

 

 

「さ、家中ホコリだらけだろうから、気合い入れて掃除するぞ」

 

長いこと宝瓶宮にいたから、大掃除という訳だ。

 

からんからん、と玄関がなる。

 

「ちょっと待て

 

…着替えろ」

 

「シベリアの玄関先でですか

 

まて氷河

少しは疑問に思え

今ご近所が回覧板など持ってきたら確実に通報だ

寒いし」

 

んもう、素晴らしいアイザックの冷静さ。

雄々しい大地のように、流されない。

 

だが、やはり人の話を聞かない二人。

 

 

 

氷河の大きな荷物は確かに不思議だったのだ

 

別段厚着するわけでもないから。

 

「アイザック」

 

「む?」

 

「ジャージでいいか」

 

「………あ、あぁ…」

 

びびっと取り出され渡されるそれ。

なんか、海の中でもよく見る。

 

カノンの普段着だからだろう。

 

 

「…これは」

 

氷河に渡された布っきれ。

 

「…氷河

俺にノリツッコミを要求するな

ジャージを寄越せ」

 

こういう無表情でボケる所はカミュ譲りで昔と変わらない。

 

「似合うと思うぞ」

 

「シベリアで海パン一枚で過ごせというのかお前は」

 

ぽん、と肩に手を置かれた。

師だ。

 

「アイザック

 

そんなの、関係ない」

 

ダブルプレー。

 

その絶妙に古い、切り返しの効かない行動に一瞬殺意を覚えた。

 

イラッとした。

 

「…氷河、ジャージ」

 

「うむ」

 

 

着替え完了。

 

 

「よし、やるか

 

…どこから、やろう」

 

「とりあえずカミュ

上のホコリを落としてから下を掃くものなのだ

 

まずはホコリを落としますよ」

 

アイザック。

 

「うむ、了解

だが、アイザック…」

 

「はい?」

 

「ここ、電気水道ガス全て止めてある

 

止めてからあの12宮突破に向かったからな

 

基本料金だけでも勿体ない」

 

「…カミュ、水は心配いらない」

 

氷河。

 

そりゃそうだ。

何の為の水瓶座。

 

「とにかく、空拭きでもいいからホコリ落としてからです

さぁ、始めますよ

 

こら、一箇所に固まんな」

 

陣頭指揮、アイザック。

 

 

ぱたぱた、けほけほ。

 

大人しく作業に取り掛かる三人。

 

やらせておけば、目標を見つけられればちゃんとできる。

 

 

「掃除するんなら、前もって言ってもらったら、ちゃんと計画とか立ててやったのに…」

 

アイザック。

 

「仕方ないだろう」

 

「お前がそうやって師に何も言わないから、あの人の病気が酷くなるんだぞ

分かってんのか」

 

「病気とは何だ」

 

憮然、氷河。

 

「欠点も分からず、見ようとせぬままでは、お前たちの関係は馴れ合いでしかない

…ということだ」

 

リビングパタパタ。

 

とりあえず今日は良く使うところ、リビングとキッチン、玄関からやる。

 

「欠点は分かっている

だけど」

 

「む」

 

「だけど、それを補って余りあるほど、俺はあの人を信頼している」

 

「…だから、駄目なのだ」

 

「アイザック

お前には悪いとは思っているのだ」

 

キッチンとリビングで話す。

 

カミュは一人寂しそうに玄関を掃いている。

 

「なにが」

 

「俺がこういうポジションだから、自分はしっかりしなくちゃと思って頑張ってるんだろう」

 

「…」

 

「大丈夫さ

甘えても」

 

「…お前な」

 

「図星だろ?」

 

「…それは、教えてやらん」

 

「何だよ

絶対そうなんだろ?

 

本当はすっごい好きなくせに」

 

「氷河

口より手を動かせ」

 

「認めたらどうだ」

 

「うるさいな」

 

「…フッ

意地っ張り」

 

 

二人とももちろんお互いが嫌いだなんてことはない。

だから、言い合ってもすぐ笑える。

 

そんなことくらいで壊れてしまうものではないことは本人たちが一番知っている。

 

 

 

そんな楽しそうな弟子たちの姿を後ろからヒッソリ。

玄関掃除し終わったなら、別のところをすればよさそうなものだが。

 

 

「じゃあ、拭きますよ」

 

「カミュ

 

水」

 

氷河。

 

「バケツ…何か水を溜めるものないか」

 

「聖衣」

 

「…汚水も溜めるのだぞ

勘弁してくれ」

 

可哀相な水瓶座聖衣。

 

「家の中にあるでしょう

なければ氷をくり抜くまでだ」

 

「それより、雑巾あんのか」

 

「なに?

そこからないのか?」

 

準備不足だ。

 

「…服…」

 

カミュが恐ろしいことを言いはじめる。

 

「ふ、ふく!?

 

それはいくらなんでもヤバいですって!

 

絶対どっかにあるはずだ!」

 

がさごそ、がさごそ。

 

こんな時の為の物置。

 

ちょっと凍っているが、何枚も見つけだした

 

 

多分、こういうものはアイザックより氷河が知ってなければならないはずなのに。

 

 

「あ、いけね

ホコリ落としっぱなしだから、掃かないと」

 

「ほうき、ほうきー」

 

「…掃除機は、ないな…

使えないんだった」

 

「アイオリアがいたらいいのに」

 

でんきタイプ。

 

「掃いたら、拭く…」

 

テキパキとはいかず、カツカツぶつかりながらだったが、お昼には一通り終わった。

 

 

 

 

「ハァッ

 

やっとリビングに座れるな」

 

「お疲れだった

二人とも」

 

カミュのくれる水。

ただの水。

 

「風呂に入りたいな」

 

「水ならある

それでいいなら」

 

水っ風呂。

 

「俺は、腹が減った…」

 

見渡す限り、何もない。

水しかない。

 

あと氷と、かき氷削るやつ。

シロップ。

 

なんだこりゃ。

 

「…何も、ないんですよね

 

普通、ちゃんと飲み物食べ物道具買い揃えてするものですよ

カミュ」

 

「覚えておきます」

 

素直に謝る。

 

ゴミは1ヵ所にまとめて玄関付近に。

ここには置けない。

 

 

「…俺、飯買ってき」

 

ピンポーン。

 

ジャストでピンポイント。

ご都合主義。

 

「誰だ?」

 

買いに行く、と言いかけたアイザックがそのまま玄関へ。

 

 

カチャリ。

 

誰もいない。

 

…ピンポンダッシュか

と、彼の表情が曇る。

 

だけど、足元に人の感覚。

 

「………誰だ?」

 

「…あの

 

ボク…」

 

小さな男の子。

何だか大きなバッグを抱えて。

 

「ん

 

どちら様か

知り合い?」

 

「ヤコフって言うんですけど

 

カミュ先生と、氷河に

 

ごはん」

 

そうか。

この子がいたから氷河は生きてこれたのだな

 

「…俺の名前はアイザック

俺もカミュ先生の弟子だ

 

今、掃除をしていたから、ホコリっぽいと思うが

足元に気をつけて入ってくれ」

 

「あ、はーい」

 

素直だ。

いい子。

 

 

 

そう。

アイザックとヤコフ、初対面なのだ。

 

アイザックがぴゅーと流されてからの氷河の友達だから。

 

 

「カミュせんせ、氷河!

パンとか持ってきたよ」

 

「おぉ!

ヤコフ!」

 

顔見知りだから、こちらは戸惑いがない。

 

バッグを降ろして、中身をとんとんと出してゆく。

 

「どうせ飲むものもないんでしょ?

持ってきたよ

ウヰスキーとか、バーボンとか」

 

とんとん。

 

「なに」

 

「ありがとうヤコフ」

 

小さな子が酒瓶をかかえる不思議。

 

そしてその中から出てくるタッパ、パン、チョコレート。

これは多分ヤコフの好き嫌いで選ばれているに違いない。

 

「お父様とお母様によろしくな」

 

カミュが言う。

 

「うん!

パパとママは知ってるから」

 

ここに行くことを。

 

 

ポソッと氷河がアイザックに告げる。

 

「ヤコフの親、地元でもかなりの実力者でな

 

アラスカ州知事と親戚だったり」

 

「…そのネタは危険だ!

 

そうか、だからお前はシベリアに一人でいても生きていられたのだな」

 

「食費はヤコフ持ちだったからな」

 

「自慢げにいうことじゃない」

 

弟子二人でぽそぽそ。

 

向こうでは赤いのと小さいのとでお昼ご飯準備中。

準備といっても、タッパ開けるくらい。

 

 

「俺はその代わりに、氷山砕いたりしてたがな

 

ホラ、車通れない時とか」

 

ある意味ボロい商売。

だって、聖闘士ならば多分誰でも出来る。

 

「犬ゾリ…」

 

「ちょっとした距離なら車の方がいい

 

俺も運転させてもらっていた」

 

あの時のあのドラテクはシベリア仕込み。

それは確かに日本には向かないだろう。

 

 

 

「カミュ、火ぃーはー?」

 

「ない

ガスも切ってしまった」

 

「……もう、帰って来ないの?」

 

寂しそうに聞く。

 

「いや、そうではないんだ

ただ、私は日頃使わないガスをつけておくのが勿体なくて

 

お前の所と違ってウチはお金がないのだよ」

 

切ないくらいの台所事情。

 

「じゃあボクの別荘にするから

買い取るから!」

 

「……のん?」

 

意味不明な答え。

 

「だめ?」

 

「いや、ダメっていうか…

お金…とか色々と資金的な問題が」

 

「それは大丈夫!」

 

ニコリ。

 

「え」

 

カミュ、ビックリ。

 

「せんせー

 

…今、サブプライムローン問題から端を発す株の乱高下とかで、経済界は揺れに揺れだよね?」

 

「さぶぷ、らいむ

…なんか美味しそうだな」

 

そんなもん知る訳がないカミュ。

 

「泣く人間がいれば、笑う人間もいるんだよ

 

先生」

 

ニヤリ。

それは子供の笑いではない。

 

「だから、お金は大丈夫!

 

ボクが買い取ってここ別荘にするから!

いつでも帰ってきていいように」

 

凄い。

 

だから生活力のない聖闘士は身近に経済力のある人がいるのかもしれない。

 

「…とりあえず、もう二人の所に行こう」

 

暖かい魔法瓶のスープを注ぎ分けて。

 

 

「あ、美味い…暖かい…」

 

「さすがヤコフのママンだ」

 

氷河、恐らくかなりヤコフのママンにお世話になっているハズ。

 

ヤコフ、カミュ先生の膝の上。

 

「…ヤコフ

君のお母さんは私のこと、何か言っているか

 

20歳になっても仕事も学校も行っていないだとか、ニートじみているとか」

 

「ううん

 

可愛い人ねぇ、って」

 

パン、ぱくり。

そして彼の飲み物は紅茶。

 

「そうか?」

 

「ん

 

なんか、どうじんしでは絶対ウケだわうふふって言ってた

 

意味分かんないけど」

 

「…」

 

「泣くな、カミュ」

 

アイザック、聞かないようにして、美味しいミネストローネを食べ進める。

本当に美味しい。

 

「それにね、仕事だって言ってるの

 

カミュ先生は格闘家なんだけど、まだまだ芽の出ないマイナーだからお金は稼げない、って」

 

多分、間違ってはいない。

 

「ママも大変だと思ってるみたいだから」

 

「申し訳ない…」

 

「ううん、いいの」

 

ぱくぱく。

 

 

アイザックをじっと見つめるヤコフ。

 

「む

何だ?」

 

「あーん」

 

「……」

 

初めて、年下にねだられた。

 

どぎまぎ。

 

「…はい」

 

思わずパンを手渡し。

 

「んもー!

アイザック、そんなんじゃ彼女出来ないよ!」

 

8歳のコに怒られる。

 

「だ、って

 

どうしたらいいんだ?」

 

「口開けてるんだから入れればいいんだ」

 

弟弟子に教えられる。

 

「あーん」

 

そして弟弟子が口を開ける。

練習。

 

「…」

 

ぎゅむっ、ぎゅっぎゅっ。

 

「!

ダメだよアイザック!

押し込んじゃ!」

 

「いけないのか」

 

「死んじゃう死んじゃう!!」

 

「…………」

 

だが、本人リスのようになりながら、もぐもぐ食べている。

割と普通。

 

「…アイザック」

 

「うむ」

 

「聖闘士以外の人間には小さくして、あげた方がいいよ」

 

「よし、覚えておく」

 

 

 

そして。

 

 

「叔母さんが一気に有名になっちゃってさ

 

困ったね」

 

「ああ

アラスカの」

 

「…そんなこと

あらーすか」

 

カミュのオヤジギャグに完璧に凍り付くアイザック。無視する氷河。一瞬遅れてキャッキャするヤコフ。

 

「よし、今日冴えてる」

 

自画自賛、カミュ。

 

「うっ、うぅうう」

 

「どうした

どうして泣くのだアイザック」

 

「ひょうがぁあ

なぜカミュはあんな風になったのだぁああ

 

あんなに哀愁すら漂うオヤジギャグをサラリと言えるだなんて、あのカミュではない!」

 

滝涙。

 

「……生き返った時に、年寄りと一緒だったからだ」

 

シュラとサガが聞いたら、ぶん殴られそうなセリフ。

 

そして多分、それはカミュの気質だ。

 

「カミュ、もっとー」

 

無邪気にヤコフが言う。

 

天使の微笑みでそれに答える先生。

 

「台湾に行きたいわん」

 

「ギャー!!」

 

「落ち着けアイザック…

師は氷と水の魔術師といわれているのだ」

 

「怨念がおるねん」

 

「きゃははは」

 

「だから何なのだ!

止める手を離せ!

 

一発、一発でいいから殴らせろ!」

 

「昔、白金を盗んでみつかったヤツがいる

ものが白金だけに、これが本当のプラチナ奴」

 

「周りを吹雪に巻き込む…これは技だ!」

 

「そんな訳あるか!!

目を覚ませ氷河!!」

 

「蛇がいっぱい穴にいる

これが本当の穴混んだ」

 

「あははは」

 

吹雪とバタバタする男の子二人。

 

フッとカミュが氷河を見た。

 

そして放つ拳に防御する彼。

 

「せんせー攻撃!」

 

「せいとー防衛」

 

「氷河!

お前までそんな下らないことを!

 

これは伝染性のビョウキなのか!?」

 

「周りを一瞬にして凍らせる

これも立派な技なのだよ

 

小宇宙いらないけど効果はバツグンだしな」

 

相手が脱力感に苛まれるから。

 

「お前も使えるようになるさ」

 

ニコッと笑う我が師にアイザックが、本当に殺意を抱きかけたのは言うまでもない。

 

 

「おもしろーい!」

 

「ヤコフ…」

 

「先生がくっっだらない事言った後の、何とも言えないシュールな間、ダイスキ!!」

 

にこぱー。

 

「…褒めてくれて、いるのかい?」

 

「もちろんだよぅ!」

 

ヤコフ、もしかしたらかなり強いコかも知れない。

 

 

 

 

「では、この家はヤコフに譲渡…と」

 

「エ!?」

「え?

 

…渡すのですか」

 

二人は先程の話を知らないから、そりゃビックリする。

 

「ボクがちゃんと綺麗にするから、心配しないで!」

 

「…絶対的にヤコフの方がきちんと管理してくれると判断したんだよ

 

な?」

 

頭を撫で撫でしている。

 

「ウン!

 

いつでも来れるようにしておくから!」

 

「ありがとう」

 

「どういたしまして!

 

…あっ」

 

何かを見つけたようで、ヤコフが小さく言う

 

そこは台所。の、隅。

 

結構大きな冷蔵庫。

 

「せんせ、あのれーぞーこ」

 

「む」

 

反応がやたらと早かった。

 

「あれはいい

私が処分する」

 

「…処分してしまうのですか?

あれだけ大きなものを」

 

「構わん」

 

心なしか、表情も引き攣っている気がする。

何だろう。

 

自分が流された後に何かあったんだろうかな

 

 

「カミュ、どこか壊れて?」

 

無言で流して、つかつかとそれに近づいて。

 

「…フリージングコフィィンッッ!!」

 

 

流れる沈黙。

微妙すぎる空気。

 

 

「うむ

 

ほら、もう使えないだろ?」

 

「…」

 

「…」

 

「…」

 

今、使えなくしたのはカミュ。

それを言いたかったけれど、そんなことを受け付ける雰囲気は皆無だった。

 

 

「知らなくていいことが、世の中にはあるのさ…」

 

「何か…入れてたのですか」

 

「クリス

 

いや、何も入れる訳がないだろ

使えないのだから」

 

クールさを間違えた方向に発揮。

 

弟子も疑問に思う。

 

「くりす?」

 

「…クリスマスツリー…」

 

「そんな馬鹿な

無宗教だから祝った覚えがない

 

何にももらった記憶などありませんよ」

 

氷河。

幼い頃のイベントはよく覚えている。

周りは華やかなのに、自分達は訓練ばかりしていたら尚更だ。

 

 

「…お前達は師匠のすることに口だしするのか?」

 

「いや、ただ疑問なだけです」

 

「人間、一つや二つ

秘密のある方が楽しいだろうそうだろう

 

分かったら、私の心を痛めさせないでくれないか」

 

そう言われたら、黙るしかない。

 

 

だって言える訳がない。

 

そこに水晶聖闘士がいるだなど。

 

そんなもの私は認めない。

氷河とアイザックの直接の師は私なのだ。

原作にないものは、現実にもないのだ。

消してしまえ。

よし。

 

原作にないんだから、大丈夫。

 

 

まさか言える訳がない。

 

 

カミュの強さはお墨付き。

 

 

 

 

「さ、では帰るか」

 

「そうですね

俺、疲れました」

 

アイザック。

 

「また来てくれるよね?」

 

「もちろんだ!」

 

撫で撫で。

 

「じゃ、次は完璧に綺麗にしておくね!」

 

ヤコフの底力の深さと、カミュの破壊力を確認した本日だった。

 

 

 

 

 

「ただいま…」

 

「おう、お帰りメロン!」

 

ピンク頭に言われる、うみなか。

 

「疲れてるな」

 

「カミュが

師がオヤジギャグ万歳になっていた…

知らなければ良かったよ」

 

苦笑いするしかない。

 

「お前もそのうちそんな風になるんじゃない?」

 

「そんなこと

ないじぇりあ…あ」

 

「さっむ!

うわっ凍る凍る!!!」

 

この後もちろん、彼が自己嫌悪に陥ったことは言うまでもない。

 

雄々しいからこそ、中々流されない。

 

時には流氷のように巻き込まれてしまった方がラクなこともある。

 

ただ、自分のプライド次第だ。

 

 

 

 

「俺、寒いことなんか言いたくない!

あんな技使えなくても困らないのに~!!」

 

 

病気伝染拡大中。

 

 

 

 



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