うちは呪術師専用図書館じゃないんですけど   作:山茶始

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12.見えないものを見ようとするが見えない

 

「『推理小説』、『桐島、部活やめるってよ』、『図書館戦争』……有名なやつを片っ端から読んでいる?」

「悟はそういうのばっか読んでるよ」

「別にいーだろーがよ!」

 

 五条くんが持って来た3冊はなんだか彼の欲求というか性格を垣間見た気がする。というかこれが書庫にあるのか、選書誰がしてるんだろ、センス良いな。学校司書さんとかいるんだろうか。

 良いなぁ学校司書。私も昔なろうか迷ったけど、私には子どもやお年寄りの相手は無理だって諦めたんだよな、もったいないことしたかも知れない。でも司書って狭き門だからあんまり就職で楽というわけでもなくて、なら教職取って国語教師やったほうがまだ堅実ってイメージあるんだよな……あと大学の交通費がね。

 

 さて、実は私全部読んだことあるのだが、五条くんがせっかく持って来てくれたので読むとしよう。読み返しても褪せない名作であることは確かだし。

 

 意気揚々とページを捲ろうとしたら、ガラッと保健室に誰か入って来た。女の人だ。

 

「目覚めたら私に知らせろって言ったよなクズども」

「あ、硝子。ワリーワリーなんか大丈夫そうだったから」

「私は本を取りに行った五条に言ったはずだったんだけどね」

「大丈夫か決めるのは私だ。で、そっちはなんか不調なところある?」

 

 白衣を着たボブカットの女の人は、五条くんたちにラフに話しかけている。と思ったら急にこっちを向くからびっくりした。ちょっと影のある美女だ! 白衣着てるってことは保険医さんなんだろうか。

 

「あ、なんかよくわかんないけど頭痛とかも全然無いんで、大丈夫です」

「まぁ硝子の反転術式ならあらかた治ってるでしょ。跡残りそう?」

「いや、一週間程度で消えるよ」

「反転術式?」

「ホイミ」

「あ、把握」

「そこはベホイミかベホマズンくらいにはしとけよ」

 

 なるほど回復技もあるのかぁ。いよいよファンタジーだ。だから最強議論とかがちょくちょく湧いてたのか。そりゃバトル系の世界なら強さtierとかあるよな。

 

「あんたがクズ2人のカウンセラーしてた書斎の人か」

「カウンセリングはした記憶無いけどね」

「あと情操教育」

「私は幼稚園の先生かな?」

 

 本読ませてただけやぞ。なんでや。

 

 とにかく自己紹介をすると、女の人は家入硝子さん。ざっくりヒーラーの役割をしてる五条くんたちの同級生だそうな。えっ同級生?? 大人の色気があり過ぎて年齢近いと思ってた……最近の若い子怖い。

 喫煙者なのか、うっすらとタバコの匂いがする。それがさらに色気をマシマシにしている……。すごいな、この人が近くにいてよく色々狂わないな五条くんたち。

 

「まぁ、大事ないなら良し。跡はまだ消えてないから包帯は外すなよ」

「ありがとうございます」

 

 お医者さんの言うことには素直に従っとくべきだ。今回なんて死にかけたからね。

 

「それにしても、君らに全然関与してない私のせいで計画が狂うってなんだろうね?」

「最近は名前があったりしっかり言語を話す呪霊も増えてるからなー、一回こっちでしっかり調査した方がいいかもな」

「ああ、また厄介な火山の呪霊とかのような奴らが出てくるかも知れない」

「呪霊?」

「シオンタウンのゆうれい」

「把握」

「それでいいのか??」

 

 やっぱ特殊な道具が無いと見れないんだろうか。いやバケモンなんて見たくないけどさ。

 夏油くんがなんか、手になにかを置くようなジェスチャーをする。手のひらには何も無い。突然どうした? 

 

「今傑の手のひらに呪霊いるんだけど、見える?」

「見えない」

「呪術師のセンスは無いな」

「あってたまるか」

 

 メガネ越しでも外しても見えない。五条くんたちには何が見えてるんだろう? 私にはセンスが無いらしいけど、センス次第なのか、呪霊が見えるかって。

 というか呪霊って敵なんでしょ? なんで夏油くんが持ってんの? 

 

「コイツポケモンマスター」

「理解」

「こんなポケモンは嫌かな……」

 

 はーん夏油くんにそんな特技があったとはね。

 

「じゃあ夏油くんなら、さっきポロッと言ってた『名前があったりはっきり言語を喋る呪霊』も楽勝なの?」

「僕も楽勝ですけど??」

「まぁ、倒したらゲットできるね。最近だと『真人』、『漏瑚』、『花御』あと『陀艮』って呪霊をゲットしたかな。かなり強かったから手に入れられて良かったよ」

「へー、あ、出さなくていいです見えないんで怖いんで」

 

 見えないものがそこにいるってなんかこう、日本系のホラーでよくあるからさ……。今まさにその状況なんだと思うと怖くなってきた。私以外全員見えてるのも、なんか、うん、不安になるというか……。

 

 私だって怖がるものは怖がりますけど?? なんだお前らその顔。「この人に恐れるものがあったのか」みたいな顔しやがって。普通に京極夏彦作品とか読んでゾッとするタイプです〜。

 あ、でも「日本現代怪異事典」はうっかり買っちゃった。なんか怖いのダメなくせに都市伝説とか洒落怖的な話読むのは好きなんだよね……起源とか遡ってみたり。そして夜電気つけて寝る羽目になる。ずっと学ばない。

 

「怪談なんかよりコイツらのほうが絶対怖いのにな」

「硝子さんそれどういうこと?? 仮にも元クラスメイト現同僚を呪霊と同列にしてません??」

「心外だなぁ」

「いいか、コイツらの言うことは8割戯言だから聞き流せ」

「ウッス」

 

 津美紀ちゃんしかり、家入さんしかり、この世界でもやっぱ女の子は男子を引っ張ったりまとめたりしてるんだな……そして上下関係を構築するんだな……。なんかこういうの見てると安心するわ。

 

「そういえばその本たち何?」

「五条くんオススメセレクト」

「in高専の書庫」

「有名なの片っ端じゃん、ウケる」

「ミーハーでもいいじゃないのよ!! メイのバカ! もう知らない!」

「誰ポジだよメイ」

 

 一冊目、何から読もうかなぁ。




この最強コンビ、日本どころか世界滅ぼせそう

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