真剣で猟犬に恋しなさい!!   作:勿忘草

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今回は運動会の話で久々に原作キャラが多めに出てきます。


『川神運動会』

 

株を始めてから幾らの時間がすぎて今日は六月二十七日の金曜日。

 

今日は天気に恵まれ憎らしいほどに快晴である。

俺はそう感じてタオルと清涼飲料水を持って普段よりも速く家を出た、理由は簡単なもので今日は川神学園の体育祭である。

 

実行委員に立候補をしていたから用意の為に速く出て川神学園へと着く。

『人脈』の構成とかも有るしこういうのは苦手じゃあないからな。

それにしても照りつける暑さだな、汗がとめどなく出てくるからタオルや水分摂取をこまめにしないと競技次第では問題が起こるだろう。

 

準備も完全に終わって午前九時に開会式が始まる、開会式は生徒会長がしているが随分と汗ばんでいるじゃないですか、こりゃあ今日は体調の異変を訴える人が出るんじゃあないのか?

 

午前の競技は全員が白熱して競い合いそして上級生の対抗リレーを持って午前の部は終わった。

ただこの時点でS組の強さに驚き戦意喪失したクラスが出てきていた、俺のE組と一子のC組、キャップのA組は諦めていない。

 

特にA組とC組は一時的ではあるがS組を超えていた時が有ったくらいだ、ちなみにE組は一度も超えれてはいない、ただそこまで離されてはいないからチャンスがあるぐらいだ。

 

「えー、今日は快晴のため、熱中症の心配がある方、もしくは体調に異変を感じる方は受付への相談か救護テントまで行って下さいね」

 

そして昼休み中は基本的に注意を呼びかけたり、飲み物を支給したりしておく。

幸いな事に午前中で体調の異変を訴える人が出ても、流石に我慢してぶっ倒れる人は出なかった。

 

それから午後の部が始まり競技が幾分か終わり、午後の競技は学年対抗リレーを残すだけとなった。

 

俺は昼の間に食えなかった飯を食いながら得点のチェックをしてみる、俺のクラスはぴったりと位置をキープして、このリレーで一位にさえなれたら逆転優勝が出来る位置にまでこぎつけられていた、まあその大半は俺とモロが稼いだ得点だけどな!

 

走者三人にモロと俺がリレーのメンバーである、最初の三人が遅くなければ一位になる可能性は十分にあるんだろうけどな。

 

競技が始まりスタートの音が鳴り響く、そして自分のクラスを見た次の瞬間に俺は頭を抱える事態となったのだった。

 

「ねぇ、キョーヤ……」

「みなまで言うな、分かっている……」

 

そんな事を言ってる間にもみるみる離されていき一周が終わる頃には目も当てられなかった。

いきなり始めから半周近く離されているじゃねえか、どれだけお前ら足が遅いんだよ、それとも相手が速すぎるのか?

 

次の走者は一人目よりは速いものの結局距離は離された、このままいくとヤバイな、三人目が維持するか詰めるのが一番ましだろう。

 

「なんか寄せ集めが集まっただけのクラスに感じるな……」

「この差が広がらなければまだチャンスは有りそうだけどね」

 

三人目が距離を維持してくれた為差は広がっていないとはいえ、前の走者が作った大きな差を詰めるのはかなりの重労働だろうな。

俺はラインに立っているモロに応援の言葉を投げかけることにした、ちなみにもう他のやつらは走っている。

 

「悪いけど頼むわ、ちょっとでも詰めてきてくれ」

「任せてよ、相手は厳しいけど全力でやるからさ」

 

三人目を待って手を伸ばすモロ、バトンが渡った瞬間一気に加速していく、一周に近い差を埋めるために内側を抉り続ける、足への負担は半端なモンじゃないだろうな。

 

「ウェーイ!!」

「速いけど……負けないさ!!!」

 

モロが一番前を走るユキを見ながら必死に追い上げて差を少しづつ埋めていく、ここまで食い下がるなど思わなかったのか、驚きの表情を隠せてはおらず全員が後ろを見ていた。

 

「英雄、パース」

「一子、行って来い!!」

「キャップ、頑張って……」

「キョーヤ、そんなに詰めれなかったよ、ゴメン!!」

 

「王の疾走を目に焼き付けよ!!」

「うん、行って来るわ、タッちゃん!!」

「任せな、風の如く走り抜けてやるぜ」

「いや、十分だよ、後は任せとけ!!」

 

第四走者のトラック分が終わり、俺を除いた三人が先にバトンを受け取って走る、それから少し遅れて俺はバトンを受け取る。

さて順位は最後尾だが諦める気はないぜ、モロが渡してくれた思いを無駄にしたくないしな!!!

丁度半周差ほどだがアンカーの二周ルールのおかげでチャンスはある、さて、全力で走っていきますか!!

 

「カアアアアアア!!!!!」

 

ビキビキと音を立てて今まで溜めてきた足の力を解放する、狙うのは一番だけだ。咆哮を上げて前にいたキャップ達を追いかける、二周目までに横へ並べばいいだけだ。

 

「まだまだ速度の方は上げていくからな!!」

 

重りを外すには余裕がないだろうな。

もし、これが半周ぐらいならまだ良かったんだがとにかくがむしゃらに走って少しずつでも詰めるだけだ。

幸い一周が二百メートルだから速度が乗れば十分にチャンスがあると思っていいだろう。

 

内側に抉りこむようににカーブへと入り込み大胆に最短距離を走る。

ミスを犯してしまえば進路による反則をとられる可能性もある、しかし今その様な事に構っている暇なんてないのだ。

 

丁度二周目に差し掛かるときようやく俺はキャップの背中につくほどぴったりと後ろの位置へと着いた、いや、本当に長い道のりだったわ。

 

「二周目へ突入します、現在一位はA組です!!、そしてなんと半周差がついていたE組の選手が追いついております!!!」

 

三年生の先輩が実況で言ってくれるのは分かるがあっちが百メートル走る間に二百メートル詰めるって本当に苦労するんだな。

 

「このまま勝たせてもらうぜ!!!」

 

キャップがそう言って速度を上げる、だからと言ってそう簡単に逃げ切らせるわけにはいかないだろうが、このまま追い抜いてやる。

 

「さすがキャップね、でも負けてられないわ!!!」

「一子殿が本気であるなら我も本気だ……覚悟せよ、風間!!」

「仕方ねぇ、完全に火がついたからなぁ!!!」

 

そう最後に俺が言った瞬間、英雄と一子が行動をとる、一子はブルマをあげて股関節近くに着けていた重りと肩口に着けていた重りを袖を捲って外す、そして英雄は服を脱いで褌一丁となる。

おいおい、俺なんてそんな事してる暇すらないんだけど……そして俺を含めた3人が『必死』にトップを追い始めた。

 

「うぉ、全員速いな、だが風は誰にも……!?」

「おい、誰にもなんだって?」

「聞こえなかったな、風がどうだというのだ、風間!!」

「追いついたわよ、キャップ!!」

 

全員の加速力によって差がついていた俺以外は一気に横並びへと変わる、外側であろうとお構い無しに抉りこみカーブを越えてなおもポジションは変わらなかった。

しかし少しばかりの差ならばこの直線での伸び次第ではひっくり返せるだろう、あとは必死でそのポジションを奪うだけだ。

 

「シャアァ!!!」

「ていっ!!!」

「フンッ!!!」

「オラァ!!!」

 

全員が直線を駆け抜けてそのまま最後の力を振り絞ってゴールテープを切る、結果はどうなっただろうか、正直差を埋める為に無我夢中で走ったから分からない。

 

「一位!! A組 風間翔一!!、続いて S組 九鬼英雄!!」

 

英雄は腕を組み威風堂々と、キャップは片手を挙げて歓声に応える。

 

「静粛に!! E組 澄漉香耶!!、そして最後に…… C組 川神一子!!」

 

そして呼ばれると飛び上がって喜ぶ一子、俺は息を吸い込み咆哮をあげて歓声に応える。

 

三年生の実況が大きな声で叫ぶ、そりゃそうだろうな、なんせここから出た結果は……

 

「なっ……なんと四クラス同着一位!!、なんと言う驚愕の結果でしょうか!!」

 

さっきまでの歓声は更に大きなものとなって川神学園全体が揺れていた、どうにか1周目の時点で相手との距離を極力縮めたんだな。

俺としては最初に重り外しとくか、もしくはあと五メートル直線が有れば勝てたかもしれないけど距離を詰めるのに必死でそんな余裕がなかった。

…って言うかモロと俺が走る前にあれだけの差が有った時点でどんだけお前ら遅いんだよと言いたい、本当に面倒だったわ。

 

体育祭は結果としては四人同時一着の加点で順位は変わらずS組の優勝で終わった、流石に選抜クラスなだけあるわ、全員の能力が平均して高いもんな。

 

俺は『人脈』を集めたら来年はS組に入ろうと決意した、切磋琢磨していく中で精進していくのも一つの手だろうからな。

とりあえず閉会式で片づけをしていく、先生への印象を良くするのも一つの手だ。

……『人脈』を作るって難しいよ、俺はそう思って作業に没頭したのだった。




次回の投稿が終わったら番外編を投稿しようと思います。
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