真剣で猟犬に恋しなさい!!   作:勿忘草

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今回も日常回です。
次回は東西交流戦をしていこうと思います。


『交流戦の知らせ 胎動する計画』

マルギッテさんが転入してから一週間も過ぎて五月も終わる頃。

 

俺たち学園生は朝礼で知らされた『東西交流戦』について話し合っていた。

西の天神館といえば川神学園と同じほどの規模を誇っていて、武を重んじるところだ。

そこの学生が全員修学旅行で神奈川の方に来るらしく、それで川神学園に決闘を申し込んできたらしい。

それによって全学年により対抗戦が行われる事になった。

 

その作戦を立てる為に一時間目と二時間目は自習となった。

そこで一度教室でどのクラスに交渉をしに行くかを決めようとしていた。

 

「ここはF組と交渉するのが一番良いんじゃないだろうか?」

 

俺は一番受け入れなさそうな意見を口にする。

しかし意外な人物がその意見に賛成をする。

 

「そうじゃな、一番負けずに済む方法じゃ」

 

不死川の賛成意見に全員が驚く。

普段から『山猿』だとか言って選民主義を全面に出している、あの不死川が受け入れるなんて誰も予想できなかったのだろう。

 

「此方は負けるのが一番嫌なのじゃ、負けぬ為なら奴らの力も借りねばな」

 

腰に手を当て胸を張り、いつもの自分とは違うんだぞと示している。

 

「それじゃあキョーヤと不死川の二人でF組交渉行ってみるか?」

 

準がそう言おうとしたがそれは英雄によって遮られる。

 

「待たんか、クラス委員が共に行かねば交渉が進むことはない、我も行くぞ!!」

「流石でございます、英雄様あぁぁ!!!」

 

英雄が堂々と声高らかに言う、それに相槌を打つようにあずみさんが言う。

 

「じゃあボクも行こうかな、人数は多いほうが良いでしょ」

 

港が立ち上がって俺たちに同行する。

此処に残っているのはあずみさん、ユキ、マルギッテさん、準、トーマ。

いずれにせよ別のクラスの交渉は上手くまとめられるだろう。

 

「では行ってくる。他のクラスのことは頼んだぞ、トーマにあずみよ!!」

 

そう言って俺達はF組へと向かうのだった。

俺たちが入ってきた瞬間、ピリッとした空気が流れる。

険悪だからと言ってここまで敵視されるものか?

 

しかし見知った顔が俺を見つけて声をかけてきた。

 

「どうしたんですか、キョーヤちゃん?」

 

俺にちゃん付けで話しかけてくるのは、F組のクラス委員長である甘粕真与である。

同年代の男性にちゃんをつけるなんてのは珍しい気がする。

 

「今回の東西交流戦で協力する交渉人として来させてもらった」

 

俺は手短に用件を伝えると早速不死川がある人物を読んでいた。

こいつ行動が早すぎる、いつもの不死川とは一味違うぞ。

 

「川神はおるかの?」

 

不死川が一子を呼ぶ、するとすぐさま一子は向かっていった。

お互いが面と向かった状態で不死川が口を開く。

 

「今回の交流戦で此方たちを手を組まぬか?」

 

その言葉にF組のメンバーが目を丸くする。

普段の不死川からは想像もつかない言葉だ。

普段ならば罵って笑い飛ばす不死川が真剣な面持ちで交渉をしている。

その心意気を汲んだのか一子は頷いて口を開いた。

 

「当然よ、相手を驚かせてやりましょう!!」

「うむ、いい返事が聞けてよかったぞ」

 

一子が元気満々で返事をする。

それに対して不死川も笑顔で頷いた。

 

「俺様は別に構わないぜ、でも全員なんだろ?」

「そうだよ、全体としては九鬼とそっちの委員長で何とかできるんだろうけど、やっぱり直に交渉しないと無理な人もいるでしょ」

 

港とガクトが話し合っている。

あちらでも英雄が甘粕さんと話し合っていた。

俺も動き始めなければならない。

俺はこのクラスで一番活動的な奴を狙いに行く。

 

「とりあえず風間ファミリーから攻めるのが定石だからな」

 

そう言って俺はキャップの前に行く。

 

「提案があるんだが聞いてくれないか?」

「話は聞いていたから言わなくても良い

協力するってのは別に構わないぜ

バラバラで勝てるのが難しいならそういうのはバンバンやらなくちゃな」

 

キャップは話の流れを聞いていたから即座にいい笑顔で返事を返す。

それをきっかけに他の面子も協力を言い始めた。

 

「僕はOKだよ、むしろ喜んでさせてもらうさ」

「自分も一緒に戦うぞ!!」

 

モロとクリスお嬢様が協力を二つ返事で受け入れてくれる。

 

「大和、お前は協力してくれるか?」

 

俺は大和に話しかける。

大和は一拍置いてから顔を上げて椅子から立ち上がった。

 

「流石にこんな所で引きずったり邪推するほどの人間じゃないからな、協力する」

 

大和が立ち上がり協力を了承する。

 

「大和がやるならね…不本意だけど…」

 

椎名は大和が言ったから仕方ないといった感じだ。

出来ればそういう気持ちでやって欲しくはないんだが……。

というよりまだ話してもいない段階だと思うんだがそこは気にしないでおこう。

 

「ええと……S組はこのたび協力を真剣に考えているという事でよろしいですか?」

「うむ、話が分かる委員長でよかった。それでは他のF組の者たちへの通達よろしく頼むぞ!!」

 

一通り交渉が終わると英雄の声が響いた。

英雄がそう言って交渉は終わり、俺達はF組から出て行った。

収穫は大きかった、不死川が今回良い働きをしてくれたのが大きな理由だろう。

 

「なんか、不死川って触れ合い方変えたりした?」

 

そして疑問に思っていたことを俺が不死川に言う。

すると不死川はいつもの笑みを浮かべて堂々と言い放つ。

 

「おまえらが他人と仲良く出来て此方にできなければ恥じゃろ

だから少しずつ姿勢を変えて多くの友人を作ることを決意したのじゃ!!」

 

つまり俺達を見て自分から意識改革に乗り出したのね。

というかそれを仮にやっていたとしても二ヶ月でほぼ完璧ってさすがといわざるをえない。

 

「目指すは友達百人じゃ、ヒュホホホ!」

 

不死川はそう言って教室へと戻っていく。

友達百人とかどっかで聞いたフレーズだな……。

とりあえず俺は不死川に由紀江さんでも紹介しようと思った。

他人を立てたり気配りができる人だからきっと不死川のようなタイプでも問題なく接してくれるはずだ。

 

そう考えて戻った時にはすでに他のクラスとの交渉をトーマやあずみさんたちが終わらせていた。

まあ、F組ほど極端にS組を嫌悪しているわけじゃないから速く交渉の場が設けられたのだろう。

それにトーマの交渉術やあずみさんとマルギッテさんの力の事を考えれば不思議ではなかった。

 

それから放課後に本格的な作戦について話し合う為に空き教室を利用して会議をする事にした。

 

「それでは東西交流戦による会議を始める!!」

 

英雄が声高らかに言葉を放って会議が始まる。

 

「ところで相手の戦力としてはどれ程なんだ?」

 

準が気になっていることを言う。

確かに全員がつわもの揃いといった場合を考えれば気が気じゃないだろうな。

 

「ほとんどこっちの一般生徒と変わらない感じだな」

 

俺が知っていることを言う。

一般生徒と言っても武人が集まっているからこちらよりは心構えが強いだろうが。

 

「しかし西方十勇士といわれて一般生徒に比べて大きく戦闘力が異なる奴らがいる」

 

大和の言葉に全員が耳を傾ける。

相手側には腕の立つ奴が十人。

名前は聞いたことがあるがその十人を俺は全て把握していない。

戦うのだからこちらで割ける面子を考えなければならない。

一応挙げられるのは……

 

まず女性陣。

 

マルギッテさん、クリスお嬢様、一子、ユキ、不死川、椎名、エーリン。

 

次に男性陣。

 

モロ、ガクト、キャップ、タッちゃん、俺、港、雁侍、準。

 

合わせて十五人もいるのか。

拠点防衛のようにして何人か割いたりするのも悪くはないかもな。

 

ちなみにあずみさんと英雄は除外している。

大将が英雄になる以上は守る為にあずみさんが居なくてはならないからだ。

 

「ここで重要なのは誰が誰を担当するかですね」

「一応参考までにどれだけ情報がある?」

 

俺がトーマに聞く。

名前が知っている奴が一致していれば良いぐらいの考えだ。

もしかしたら全然聞いた事もないダークホースが当日現れるかもしれない。

するとトーマが頭を指で叩き思い出すしぐさをしながら次々と名前を言っていく。

 

「私が知っているのは弓矢使いの毛利、剣士の石田、槍使いの島、砲撃手の大友、オイルレスラーの長宗我部、ハンマー使いの宇喜多といった所でしょうか」

 

トーマが十人の内の六人の名前を挙げる。

なかなか名前を聞いたことのある面子がいる。

 

天下五弓の毛利。

接近戦では西でも随一を誇ると言われる長宗我部。

砲撃手の大友も火力による殲滅では有名だ。

 

と言っても普通ならば武術の世界に生きたりしていないと分からないものだが。

そう考えればやはりトーマの情報網は凄いな。

 

「それでは今から担当を考える事にするか」

 

「担当と言っても一人対一人の状況を無理に作らなくても良い

何故ならばこちらは相手よりも人数が多いんだ

ツーマンセルで確実に相手を倒すのはどうだ?」

 

「そうだな、ではその路線で今挙げられた六人の担当を決めるとしよう」

 

「あいにく射程が長い奴もいないから単独になるけど、毛利は京に任せないときついか」

 

大和が言う。

その意見に椎名が頷く、妥当な所だろう。

 

「大友は俺がいく、武器は戦力差が覆るからな

この勝負は最悪他人を巻き込むから単独にしてくれ」

 

大和に続いて俺が担当するべき相手を言う。

武器使い、しかも火力への特化型。

多少の差ならばゆうにひっくり返されてしまうだろう。

それならばできるだけ実力が高い奴が行かなくてはならない。

そして砲撃の範囲次第では他人への被害が計り知れない。

だからこそ単独での勝負を願った。

マルギッテさんと同等の実力を持つ俺がいくことに誰も反対はしなかった。

 

「大将はマルギッテに任せてみようと思うがいいか?

また、誰か一人つけて戦いを有利に働かせても良いのだぞ」

 

英雄がマルギッテさんに提案する。

確かにその考えは間違っていない。

大将ということは基本的には最大戦力だ。

それならばこちらも最大戦力もぶつけるのが常套手段だろう。

あずみさんが離れられない以上はマルギッテさんが適任となる。

 

「引き受けましょう、負けはないと知りなさい

そして一人つけるのあればお嬢様と共に戦わせていただきます」

 

笑みを浮かべてマルギッテさんが了承する。

更にクリスお嬢様とのツーマンセルといった限りなく最高峰に近いコンビの結成。

コレで一応大将首は楽に考えることができた。

 

「島はワン子で良いんじゃねえか」

 

ガクトが言う意見に耳を俺は傾ける。

槍に近い射程があるのは今のところ一子の薙刀だ。

レイピアよりは良いだろうと思う。

 

「そうだな、槍に勝つには一子の薙刀が有効だろうよ、で誰か一人つけてもらっておいてもいいんじゃないのか?」

「そう言ってくれてるのは嬉しいし、何より私も討ち取りたいわ、だからやらせて!!

うーん、つけようとしてもすぐには決められないわ」

 

タッちゃんの一言も有り一子が承諾をする。

一子は自分と一緒に戦う相手について決め損ねていた。

別に今すぐでなくても良いからそうせかす気はない。

 

コレで残りは二人の担当だ。

 

「宇喜多は……不死川さん、お願いして良いですか?」

 

ハンマーを使うということは力に富んだ相手ということだ。

その攻撃をかいくぐって力を利用するには柔道をしている不死川が適任なのだ。

トーマのお願いに対して不死川は堂々と言い放つ。

 

「うむ、葵君の言葉を聞き入れよう、奴に此方の華麗な投げ技を馳走してやろうではないか

ちなみに助っ人はいらぬ、投げる時に巻き込む可能性もあれば相手のハンマー次第では危ないからの」

 

不死川が笑みを浮かべて頷く。

堂々とした佇まいが今は頼もしい。

そして理由も至極全うな理由で一緒に戦う相手は必要ないと伝えた。

普段ならば『邪魔』だとか『山猿と一緒では此方が鈍る』といった感じなのだが、心構えを変えたからだろう。

皆もその意見に目くじらを立てることなく頷いた。

 

「長宗我部はもうガクトだろ」

 

キャップの一言に俺を含めた全員が頷いて肯定する。

港よりもパワーがあるのだからまさに適任だろう。

 

「おう、任せとけよ、俺様の力で倒してやるぜ!!

ちなみに一緒に戦ってくれる奴は考えれてない!!」

 

力瘤を見せて元気に言うガクト。

俺を含めた全員がその姿を見てこいつに任せても大丈夫だと思い頷いていた。

助っ人については相変わらず頭を使わない意見では有るが仕方ない。

一子も言っていたがおいそれと決められるものでもない。

 

一応コレで大まかでは有るが誰が誰の担当をするのか決まった。

 

「それではこれをもって作戦会議を終わる、各々きちんと励めよ!!」

 

英雄の言葉で放課後の作戦会議が終わる。

全員が各々の思いをもって全力で『東西交流戦』に望むのだった。

 

.

.

.

 

そして……香耶達とは関係ないところで計画は動き始める。

 

夜の九時に差し掛かる頃。

 

九鬼財閥の近くにあるバーに男女合わせて十人が集まっていた。

 

一人は余裕綽々と言ったようなどこか楽しさを含んだ笑みを浮かべた男だった。

格好は不思議というかなんだか変な感じの印象がある。

 

頭にはニット帽。

服はポケットが沢山ついたミリタリーコート。

頭に被ったニット帽の下にはバンダナ。

また表情を悟られにくくする為かサングラスをかけている。

 

そして他のメンバーは何をする気なのかという怪しさから来る怪訝な顔。

もしくは楽しい催しをするのだという期待を持った顔をしている。

 

この面子を呼んだ男の名前は深道。

 

そしてそれ以外の面子は

 

『鬼人』 逢間長枝

『サブミッション・ハンター』 小西良徳

『合気の戦姫』 皆口由紀

『エアマスター』 坂本摩季

『クレイジーパンチャー』 楊鉄健

『爆殺シューター』 坂本ジュリエッタ

『不死鳥の浸透勁使い』 屋敷俊

『スカイスター』 サンパギータ・カイ

『根性の怪物』 北枝金次郎

 

いずれにせよ三年前にインターネットの会員配信型のストリートファイト

『深道ランキング』において上位を占めた面子たちだ。

 

「全員よく来てくれたな」

「で、一体何の用なんだ?」

 

俺は深道に話しかける。

一人だけ呼ぶのではなくこの大所帯を用意して一体何を考えているのだろうか?

 

「念のために言っておくがあの男二人がいない状態で勝負しろと言うのなら……負けないぞ?」

 

俺は不敵な笑みを浮かべて深道に言う。

昔の俺ならばここで深道に掴みかかって殴っているところだ、

 

「昔のお前とは違うな、同棲して余裕でも出たのか?」

 

深道が冷やかすような言い方で俺に言ってくる。

結局からかわれている俺を見て由紀さんも少し笑っている。

そうだ、俺は終わってからの恋を勝ち取る為の戦いに勝利した。

その結果、実に三年間もの間同棲している。

それからは逢間を名乗らず由紀さんの皆口姓を使わせてもらっているので今は皆口長枝だ。

 

「俺達を呼んだのはこうしてわざわざ冷やかす為じゃねえだろう?」

 

金ちゃんが深道に言う。

長戸がこの場にいないだけでも驚きだ。

そしてその言葉は間違っていない、からかう為に呼んだわけではないはずだ。

 

「ああ、すまないな……ところで川神百代って知っているか?」

 

全員がその名前を聞いた瞬間目を細める。

勝てないとか戦う気がないと考えているのは一握りだけだろう。

それ以外は戦っても良いと真剣に考えているレベルだ。

 

「まあ、お前らに戦えと言っているわけではない」

 

『なんだ』といったような顔を大多数が浮かべる。

当然その中には俺も入っている。

勝てる可能性で言えば決して低くない面子がここには集まっているからな。

 

「今回俺が考えているのは川神百代に一泡吹かせるための人材発掘。

そしてその方法としては競争心の強い川神学園の学生を使ったランキング戦だ」

 

なるほど、さしずめ『川神ランキング』といった所か。

 

「そのイベントの際に特別な事があれば、お前らにも召集が掛けられるかもしれないからこうやって呼んで喚起しているんだ」

 

「で、いつ行われるんだよ、深道?」

「予定としては川神学園の学長に話をして大掛かりな形にする、それまでに要する時間はおおよそ一ヶ月といったところだな」

 

小西の質問に深道が答える。

確かに今からとなるとそうすぐにはできないだろう。

ただ、九鬼財閥が協力をすれば舞台などはすぐに用意できるだろうが。

 

「しかし面白い情報があるな」

「何が面白いんだ?」

 

エアマスターが聞いてみると深道は不敵な笑みで情報の中身をいう。

 

「かつてのランカーたちが参加するであろう学生を師匠の立場として鍛錬している」

 

一瞬空気が変わる。

仮に有能な奴や上位の奴が教えていたらそれだけで勢力図が変わるからだ。

 

「長枝が澄漉香耶、小西が港三千尋

屋敷が風間翔一、楊鉄健が井上準

サンパギータ・カイが澄漉小雪

ここにはいないが佐伯四郎が島津岳人

後はコーチとして短期間だが坂本ジュリエッタが師岡卓也といった風にな」

 

俺を含めて呼ばれた奴らが顔を見合わせる。

半数近くがまさかそういう事をしていたなんて想像できなかったのだろう。

俺としてはジュリエッタの奴が人に教えていたのが不思議で仕方がない。

 

「相変わらず何処で仕入れてくるんだか……」

 

鉄健の奴が肩をすくめる。

確かに全然誰にも明かしていないものをよくとって来れるな。

素直に感心する。

 

「今回伝えたかった事はこれだけだ、また連絡させて貰う事にする」

 

そう言って深道が店を出る。

その出ていく時に一言バーテンダーの人に何かしら呟いていた。

 

「せっかくだから何か飲みませんか、由紀さん」

 

俺はカウンターに座って手招きをする。

そして隣に座ってこんなことを言ってきた。

 

「私、何を頼めば良いか分からないわ」

 

確かにお互いこういった場でお酒を飲んだことはない。

レストランに行ったりはあるがバーなんて初めてだ。

 

「あのお兄さんがおごりだといっていた、好きに注文すればいい」

 

バーテンダーの人がそんな事を言ってくる。

深道の奴わざわざそんな事をしなくても良いのにと俺は思った。

 

「じゃあ私たち二人をイメージしたお酒をくれないかしら?」

 

その注文を受けるとバーテンダーは一目見て笑った後にカクテルを造り始める。

そして完成したものを俺たちの目の前においた。

 

「それじゃあ……」

「乾杯ね」

 

僅かに触れ合う程度にグラスを近づける。

グラスの当たる音が鳴ったら少し小さめに一口飲んでいく。

 

そして一口飲んだグラスを互いに変えて飲んでみる。

僅かな量を飲み、味わう。

味を知ったとき思わず込み上げてくるものがあった。

 

「交換しましたけど、コレって…」

「似た者同士って事かしらね」

 

そう言ってグラスを傾けて微笑みあう。

 

川神の夜は戦いの嵐が吹き荒れるであろう前に静かにただふけていくのだった。




次回からSのキャラをどんどん出していこうと思います。
何かしら指摘がありましたらお願いします。

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