フェイトオブエクシリア   作:シュキヨ

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感動の再会?

 凍てつく森を抜けた先、ジュードたちは荒々しい岩肌に穿たれた洞窟の前に辿り着いた。

 周囲の寒さとは打って変わった暖かい色の光が入口から吐き出される様は、まるでこことは違う世界の入口かのようで、ジュードたちはそんな洞窟の入口を前にたじろいでいる。

 

「うへ~……。既にここから熱気がムンムンだよ~」

 額の汗を拭いながらレイアが呻く。

 

 マシュは岩壁に手を触れ、じっと耳を澄ますようにした。

「どうやら中は火山地帯のようですね」

 岩肌の奥から聞こえてくる低い響き――それは地の底で燃え盛る火が、絶えず地鳴りを立てている証に思えた。

 

 ミラが振り返り、真剣な眼差しをジュードへ向ける。

「ふむ。ジュード、君はどう考える?」

 

 ジュードはしばし黙し、洞窟の黒い口を見つめた。生ぬるい風が顔を撫でるたび、背筋をざわつかせる。

「そうだね……。もっと楽な道があれば、もちろんそっちを選ぶべきなんだろうけど……それはア・ジュール兵も同じだと思う」

 

 Xが頷き、慎重に言葉を繋ぐ。

「なるほど。その辺りに検問を張っている可能性は十分にありますね」

 

「それに、僕たちはこの辺りの土地勘が無いから、下手な近道、楽な道探しはかえって遠回りになっちゃうかも」

 

「私もジュードさんの意見に賛同いたします」マシュもジュードの意見に首を縦に振る。

 

「……わかった。では、ここを通るとしよう。幸い、ワイバーンが入れる大きさだ」

 ミラは力強く宣言した。

 

「しょうがない……頑張るかぁ!」レイアは空元気を振り絞るように両手を挙げた。

 

 そうして仲間たちが洞窟へ足を向けようとした、その瞬間。

 

「フォウ!」

 甲高い鳴き声が熱気を切り裂いた。フォウが突如姿を現し、何かに反応するように空を見上げる。

 

「フォウさん?」マシュが目を見開いた。

 

 彼らがフォウに釣られ空を仰ぐと、くすんだ青い空を背に一羽の鳥が降り立ってくる。羽ばたく音は小さくとも、その姿は見覚えがあった。

 

「あれって……」ジュードの目が細められる。

 

「アルヴィン君の鳥じゃん!」とレイアが声を上げた。

 

 ミラは険しい目で鳥を見据える。

「マシュのマナを記憶していたのか?」

 

 鳥は迷うことなくマシュの差し出す腕へと舞い降りた。熱気に包まれた洞窟の入り口で、その羽毛だけがどこか涼やかな風を纏っているように見えた。

 

 その足には、小さな紙片が括りつけられている。

 

「これは……」マシュは慎重にそれを解いた。

 

「何が書いてある?」ミラが問いかける。

 

「もしかしてエリーゼと合流できた?!」レイアの声は期待に震えていた。

 

 しかし、紙片を開いたマシュの表情は曇った。

「いえ、エリーゼさんはまだ見つかっていないようです」

 

「そっか……」レイアの肩がわずかに落ちる。

 

「それじゃあ、一体何の用で鳥を?」

 ジュードの問いに、マシュは文を目で追いながら続けた。

「どうやら、我々の所在を知りたいようです」

 

「はてさて? どういう風の吹き回しなんです?」Xが顎に手を当てる。

 

「さぁ? これには何も」

 

 マシュは小さく首を振ると、手紙をミラに差し出した。

 

 ミラは受け取り、目を走らせる。そこには本当に、淡々と所在を問うだけの簡素な文が記されているのみだった。

 

 ミラは短くうなり、手にした紙片を指先で折り畳む。

「うむ……」

 熱気に霞む洞窟の前で、答えの出ない沈黙が漂った。

 

 その時、ジュードが小さく声を上げる。

「でも……合流できるのなら、ちょうどいいかも。さっきも言ったけど、僕たち、この辺りのことはよく知らないから」

 彼の声には、どこか救われたい思いが混じっていた。

 

「そっか。アルヴィン君に道案内を頼めるってことだね」

 レイアが頷き、少しだけ顔を明るくする。

 

「そうだな」

 ミラも同意するように頷くが、その声音は慎重だった。

 

 Xが腕を組み、唇に指を当てて考え込む。

「問題はどうこの場所を説明するかですね……」

 

「いや、その必要はねぇぜ?」

 

 不意に聞こえた声に、一同の視線が森の奥へと跳ねた。

 木々をかき分ける音と共に、アルヴィンが姿を現す。

 

「アルヴィン?!」

 ジュードが驚きに声を上げる。

 

「いや、鳥の意味!」レイアが叫ぶ。

 

 アルヴィンは肩をすくめ、にやりと笑った。

「はっはっは。一応、色々報せとこうと思ってこいつを飛ばしたんだが……ついでに『鳥を追えばお前らに会えるんじゃね?』って思って後を追ったらよ、意外とすぐ近くに居ましたとさ――って訳」

 

「そっか」

 ジュードの肩から少しだけ力が抜ける。

 

 だがミラはその報告を冷静に受け止め、鋭い問いを投げた。

「アルヴィン。結局、エリーゼは見つかっていないのだな」

 

「ああ……」

 アルヴィンは頭を掻きながら苦笑した。

「俺はラコルム街道、ローエンの爺さんはニ・アケリア方面って手分けしたんだが……俺の方はハズレだったぜ。悪いな」

 

「そっか……」

 レイアの表情に陰が差す。

 

 しかしミラは気を取り直すように言葉を繋げた。

「だがちょうど良い。我々はこの洞窟を抜け、ファイザバード沼野の近くまで進もうとしているのだ」

 

「ファイザバード沼野? なんでまた……」

 アルヴィンが目を細める。

 

「詳しくは道中話す。それより、ここを通って我々は南下できるだろうか?」

 

「あぁ、問題ねぇよ」アルヴィンは即答した。「ここはノール灼洞って言って溶岩が流れる地帯なんだが、その先にはトウライ冷原が広がり、さらに進めば、ファイザバード沼野に抜けられるはずだ」

 

「溶岩の後は寒い地帯なの?」

 レイアがうんざりした表情をするとアルヴィンが苦笑いしながら反論する。

「ああ、そうだよ。とはいえ、文句は精霊に言ってくれな。暑さ寒さは霊勢のせいってね」

 

 一方アルヴィンたちの軽口を気にせずミラが口を開く。

「そうか。なら、ここを進むとしよう」

 

 ジュードが問いかける。

「アルヴィンも一緒に来るの?」

 

「そうだな」アルヴィンは一瞬迷ったように視線を泳がせ、それから軽口のように言葉を紡ぐ。

「たぶんエリーゼ姫は爺さんの方に行ったんだろうから、俺はあんたの力になるよ。マクスウェル様」

 

 ミラはわずかに笑みを見せる。

「ふっ。よろしく頼む」

 

「ああ……」アルヴィンの返事は短く、どこか沈んでいた。

 

 マシュが小さくその名を呼ぶ。

「……アルヴィン?」

 

 しかし彼は答えず、ただ視線を逸らすだけだった。

 

 ミラが全員を見渡し、声を張る。

「では、道の憂いはなくなった。早速進もう」

 

 洞窟の奥から吹き出す熱風が、再び彼らの頬を撫でた。

 こうして一行は、アルヴィンを仲間に加え、赤く揺らめく暗闇へと歩を進めるのであった。

 

お聞きしたいのですが、1話何文字ぐらいが読みやすいでしょうか?

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