フェイトオブエクシリア   作:シュキヨ

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新たな旅立ち 前編

 ジュードとミラがニ・アケリアに戻ると、入口の近くでアルヴィンとマシュが腕を組み、誰かを待つように立っていた。

 

 一方、ジュードたちの姿を認めたアルヴィンが軽く手を上げて声をかける。

 

「よう。遅かったな。……って、ミラも一緒か」

 

 ジュードは頷き、まっすぐ彼を見据えながら答えた。

 

「うん。僕……ミラと行くことにしたから」

 

「へぇ。身の振り方、決めたんだな。でも、どういう心境の変化だよ? 巻き込まれただけなんだろう? おたく」

 

 アルヴィンは興味ありげに片眉を上げる。

 

 ジュードは一瞬言葉を探すように目を伏せ、だがすぐに口を開いた。

 

「うーん……でも、もう決めたから。ミラの手伝いをするって」

 

「あっそ」

 

 アルヴィンは肩をすくめ、どうでもいいとでも言うように短く返す。

 

 そのやり取りを聞いていたミラが、不意に思い出したように声をかけた。

 

「そういえば、ここに着いたらお前たちに謝礼を渡すという約束だったな」

 

 すると、アルヴィン。「ああ、それなら……村のじいさんに払うって言われたけど?」と軽く返事を返す。

 

「村の人が?」アルヴィンの言葉にジュードが首を傾げる。

 

「ああ。『マクスウェル様を守ってくれてありがと~』ってな」

 

「ふむ。長老だろう。要らぬことを。――アルヴィン。それは私の謝礼ではない。故にそれは受け取らず、後で私が用意する品をだな……」

 

 ミラが真顔で言いかけたところで、アルヴィンは苦笑して手をひらひらと振った。

 

「あんたもあんたで真面目だな~。ミラから、あのじいさんにサンキュって言えば、それでいいだろ。じいさんもじいさんなりの誇りがあんだし、断るのも失礼ってもんだ」

 

「確かに。マクスウェル様への奉仕――それはこの村の人々にとって、なによりの喜びだと感じました」

 

 アルヴィンとマシュの言葉に、「ふむ……」とミラ。しかし、すぐさま「そういうものか?」と首を傾げて問いかける。

 

「そういうもんさ」

 

「そうか……」

 

 そうして、アルヴィンたちに諭されるように言葉をかけられたミラは少し考え込むも、すぐさま頷き「――わかった。では奴の好意に甘えるとしよう」と受け入れることにした。

 

「了解。……さてと、その話は良いとして、だ」アルヴィンは少し視線を村の奥へ向けて、ぼやくように言った。「その肝心のじいさんが、待てど暮らせど来ねぇんだよな~」

 

「そうなのか?」ミラが目を細める。

 

「はい。おかげで、ここに待ち惚けとなっていたのが我々の現状です」

 

 マシュが淡々と報告を付け加えた。

 

「村にいるんだよね?」ジュードが周囲を見渡しながら尋ねる。

 

「おそらくな。緊急時でもなければ、村の者が外に出ることは無い。イバルは別として」

 

 ミラの答えにジュードは頷き返す。

 

「なら、こっちから捜してみよっか」

 

「だな。ちなみに、じいさんに報酬もらったら、俺たちの仕事もそこまでだからな。俺たちがいる内にやりたいことがあったら、先に済ませてくれよ」

 

 軽い口調でしたアルヴィンの言葉に、ジュードとミラが頷くと、そのままの足でニ・アケリアの中心部へと歩き出した。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 村の中を歩き回ること数分。

 ようやく四人は、探し求めていた長老の姿を見つけることができた。

 

 ちなみに、ニ・アケリアに到着した時に最初にジュードへ声をかけてきた老人――その人物こそが、この村の長老だったのである。

 

「……おぉ、ここにあったか。……ん? マ、マクスウェル様! それにお二人も。お待たせして申し訳ありませんっ!」

 

 長老は慌てて膝をつき、深々と頭を下げた。

 

「構わぬ。それよりアルヴィンたちへの謝礼を用意していると聞いたぞ」

 

 ミラの静かな問いかけに、長老は深く頷く。

 

「はい。私たちは戦うことは叶いませんが、それでもマクスウェル様のお力にはなれるようにと、以前、村のみなで出し合ったお金がありまして。……まぁ、昔に集めた物でしたので、どこにしまったのか忘れていたのですが」

 

「それで時間がかかってた訳ね」

 

 アルヴィンが苦笑交じりに肩をすくめる。

 

「……そうか。それがお前たちの誇りというやつか」

 

 ミラの声音には、ほんのわずかに感嘆が混じっていた。

 

「はい。差し出がましい真似をしてしまい申し訳ありませんが、それでも何かして差し上げればと……」

 

「言ったろ?」

 

 アルヴィンが横目でミラに囁くように言う。

 

「うむ。――わかった。お前たちの誇り、ありがたく受け取るとしよう」

 

 ミラは厳かに頷いた。

 

「ははっ」

 

 ミラの言葉に長老は心底嬉しそうに笑い、頭を下げながら用意していた袋をアルヴィンに差し出す。

 

 アルヴィンはそれを受け取り、片手で軽く持ち上げた。

 

「毎度どうも」

 

「これで我々のお役目は終了ですね」

 

 マシュが淡々と告げる。

 

「ではな。アルヴィン。マシュ。色々世話になった」

 

 ミラが別れの言葉を口にする。

 

「うん。ありがとう」

 

「いえ、お気になさらず」

 

「そうそう。これも仕事のうちってね。だいぶ儲けさせてもらったし。……って訳で、またどこかでな」

 

 マシュの軽い会釈に、アルヴィンは軽口を叩きつつ踵を返すと、二人の傭兵はゆっくりと村を後にしていった。

お聞きしたいのですが、1話何文字ぐらいが読みやすいでしょうか?

  • 1000文字以内
  • 1~2000文字以内
  • 2~3000文字以内
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