フェイトオブエクシリア   作:シュキヨ

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――既視ある騎士と新たなお友達――
初めましての騎士様? 前編


 ニ・アケリアの街を後にしたジュードたち。

 

 柔らかな日差しが岩肌を輝かせながら、両脇を切り立った崖に挟まれた細い道は、足元まで伸びる長い影で覆われ、空気はひんやりと湿っている。歩く先には、緑の茂みが風に揺れ、遠くで水の音が静かに、而して確かに響いている。

 

 そんな砂混じりの地面を踏みしめるジュードたちの耳に、不意に金属のぶつかり合う音と乾いた銃声が届いた。

 

「む? 何やら音がするな」

 

 ミラが眉をひそめる。

 

「そうだね。……って、この音、アルヴィンの銃の音じゃない?」

 

 ジュードはすぐに気づき、足を止めた。

 

「確かにな。急いで行ってみるとしよう」

 

「承知いたしました」

 

 ミラの言葉にジャンヌは頷き、三人は音の方角へ駆け出した。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 白くきらめく足場の砂が、穏やかな波にそっと撫でられている。遠くには、空へと弧を描く巨大な岩の門がそびえ、その向こうに霞む山並みが青く連なっていた。水面は鏡のように静かで、雲の切れ間から差し込む陽光が、淡い金色の道を海の上に描き出すも、そんな穏やかさとは真逆の人の営みが、その場に辿り着いたジュードたちの視界に広がっていた。

 

「アルヴィン! マシュ!」

 

 ジュードの声に、銃と剣を手に必死に攻撃を避けていたアルヴィンが肩をすくめて振り返る。

 

「おっと! 助っ人登場ってか?」

 

「いえ。おそらくニ・アケリアを発った彼らに、ただ単に追いつかれただけかと」

 

 一方、何者かの攻撃を何とか盾で受け止めていたマシュは淡々と事実を述べる。

 

「夢が無いね~。まぁいいさ。それより、ちょいと手貸してくんない? こいつ、ヤバいぐらい強くてよ。おたくらにも関係ねぇ話じゃねぇし」

 

「こいつ……?」

 

 ジュードは視線を少女へと移す。

 

 風を切るように長いマフラーが背後へと流れ、青いパーカーの裾はわずかに揺れている。深くかぶった黒いキャップからは一本のアホ毛が飛び出しており、キャップの下からは陽光を反射する金色の髪がこぼれ、手に握られている剣は、金と銀の装飾が光を受けて鈍く輝いている。

 

 足元には黒い編み上げのブーツがしっかりと大地を踏みしめ、全身からは迷いを知らぬ自信が漂っていた。

 

「……おや。やはりあなた方もこちらに居ましたか。であれば、これは好都合というもの。漸く私の目的が果たせそうです」

 

 おかげで衣装こそ違えど、それは見間違えるはずがない少女の姿であったとジュード。――かつて船上で彼らを追い詰めた、ラ・シュガル随一の剣士。

 

「あなたは……! 騎士王(セイバー)アルトリア!!」

 

 ジュードの叫びに、少女は口元に笑みを浮かべた。

 

 その声音は落ち着いていた。だが次の瞬間、彼女は胸を張り、やけに芝居がかった口調で名乗りを上げる。

 

「はてさて、いったい誰のことを申しているのでしょう? 私の名は……えっと……そう! セイバーX! 星から湧き出る聖なる泉より、悪を断ずるためにやってきたスーパーヒロイン、謎のセイバーX! です!!」

 

「謎の……」

 

「セイバーX……だと?」

 

「……なにそれ?」

 

 ジャンヌは小首を傾げ、ミラは眉間に皺を寄せ、ジュードは素で困惑していた……が、無理もない。

 

 なにせ今目の前にいる少女は、どう見てもアルトリアその人にしか見えないというのに、妙ちきりんな名乗りをあげ、アルトリアであると否定してみせたのだから。

 

「先ほどから申している通り、私は謎のセイバーX! 通りすがりの正義の執行人でしかなく、そのアルトリア何某というのは果して誰のことでしょう?」

 

「さっきから、こんな感じなんだよなぁ」

 

 アルヴィンがため息混じりに肩を落とす。

 

「そ、そうなんだ……」

 

 ジュードも言葉を失った。

 

「それよりも! 全員揃ったのならお覚悟を! 我が名において、貴様ら全員、我が聖剣の錆に……って、今の私は聖剣を持っていないんでした。そもそも、この体で使える訳ないし。……おほん! 改めて……この剣の錆にしてくれよう!」

 

「なんか、やたらテンションがおかしいし」

 

「正直、調子が狂います」

 

 アルヴィンとマシュのぼやきに、ジュードは目を丸くした。

 

「マシュですらそんなことを言うなんて……」と。

 

「偽名を使っているのに、我が名においてとは……そこに誇りなどはあるのだろうか。そもそもあいつどこかで」

 

 一方のミラは違う点を指摘しているが、すかさずジャンヌがツッコミに入る。

 

「我が主よ。その点はハッキリ言ってどうでもいいところかと……。素晴らしい着眼点ではございますが」

 

 こうして、一通りのリアクションは終えた――というより、変な空気にどうするべきかとジュード。

 

「……えっと、とりあえずどうしよっか?」

 

 ミラの顔を窺いながら、これからのことを相談する。

 

「うむ。向こうがやる気なら、こちらも応えねばなるまい。どうせ、ここを通るには奴を倒さねばならんしな」

 

「んじゃ、俺たちも加勢するぜ」ミラの決定にアルヴィンが身を寄せ、武器を構え直す。「どうやら奴(やっこ)さん、俺たちを見逃すつもりはないみたいだしな」

 

「当然です。あんなタイミングで助力した者を、無関係だと見逃す道理が無い」

 

「だよな~って、それを知ってるのならやっぱりおたく、そのアルトリア何某なのでは?」

 

「さて、なんのことやら?」

 

「あ~、はいはい」

 

 口を滑らせたはずなのに、それを認めないとばかりの少女には、流石のアルヴィンもすっかり投げやりだ。

 

「防御はお任せを」

 

 アルヴィン同様、自身の身の振り方を決めたとマシュ。

 

「ありがとう、マシュ」

 

「では、行きますよ!」

 

 こうして、5人による戦闘が決まったと、謎のセイバーXを名乗る少女も剣を抜き放ち、空気を張り詰めさせる。

 

 次の瞬間、嵐のような戦いが幕を開ける――。

 

お聞きしたいのですが、1話何文字ぐらいが読みやすいでしょうか?

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