フェイトオブエクシリア   作:シュキヨ

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新しい仲間

 合流場所である先程の所に戻ったジュードは手を振り上げ、仲間の姿を見つけると声を張った。

 

「――あ、ミラ!」

 

 小さな手を引きながらミラ、アルヴィン、マシュ、そしてジャンヌの元へと駆け寄るジュード。その隣には、まだ不安げな表情を浮かべるエリーゼがいる。

 

「どうやら話はついたみたいだな」

 

 ミラは静かに目を細め、二人を迎えた。

 

「う、うん。まぁ……そっちは?」

 

「特に有益な情報は無かったな」

 

 淡々と告げるミラに続き、マシュが補足する。

 

「はい。ラ・シュガル軍はMr.ジャオの手により完全に撤退したようですが……」

 

「それ以外のことはわかんねぇんだと」アルヴィンが肩を竦めた。

 

「そっか……」

 

 ジュードの表情にわずかな落胆が走る。だがアルヴィンは苦笑し、鼻で笑った。

 

「ま、俺たちのことをよそ者だなんだと散々罵ってくれちゃうような村だ。外の世界なんて興味ないんだろうさ」

 

「という訳だ。ここにもう用はない。すぐにでも発つぞ」

 

 ミラの言葉に、ジュードは慌てて口を挟む。

 

「待って、この子のことで話があるんだ」

 

 彼の真剣な声音に、ミラは背中を向けたまま小さくため息を漏らすと、「……手短に頼む」と促した。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 事情を聞き終えたアルヴィンは、どこか達観した調子で言う。

 

「……なるほどね。とことんついてないな。嬢ちゃんも」

 

「嬢ちゃんじゃないよー! エリーだよー!」とティポが抗議の声を上げる。

 

「そもそもこのぬいぐるみは何? なんで喋ってる訳?」アルヴィンの皮肉に、ティポが更にむくれる。

 

「ぬいぐるみじゃないよー! ティポだよー!」

 

「ティポね~。立派な名前だこと」

 

 そんな掛け合いを横目に、ミラは淡々と結論を口にした。

 

「村民がエリーゼを疎んでいることは間違いなさそうだが、ジャオという男が戻らねば状況は変わるまい」

 

「同感です。あの村長の態度からもそれは伺えました」

 

 ミラの言葉に同調したジャンヌ。

 そんな二人の言葉を否定するように事実を告げるジュード。

 

「でも、エリーゼはそのジャオって人も友達じゃないって」

 

「ほ~ん。ジャオがいたら閉じ込められて、いなければ疎まれ迫害されるねぇ~。……救われないな」アルヴィンの呟きは冷たくも現実的だった。

 

「だからね。その……一緒に行けないかなって……」

 

 ジュードの声には迷いしか浮かんでいないと、視線はミラの方ではなく地面の方を見ている。

 

「連れ出してどうする? その先のことを考えているのか? 私の目的は、わかっているだろう?」

 

 おかげで突き放すようなミラの言葉も最もだとジュード。

 

「……うん。でも少なくともここに居るよりかはマシだと思うから。だから……」

 

 而して、それでも譲らないとばかりに言葉を告げるジュードを、ミラはじっと見つめ続ける。その視線には、自分を試すようなものを感じるとしつつ、そのあまりにも真っすぐ過ぎる視線には、やはり目を背けたくなるほどの威容を感じるとジュード。やはり、視線を逸らすように、ミラの姿を見ていない。

 

 おかげで誰も口を挟めない沈黙は、一瞬にも永遠にも感じられた――が。

 

「……いいだろう」

 

 しかし、唐突に告げられた答えに、ジュードは目を丸くした。

 

「ホント?」

 

 而して、アルヴィンまでもが驚いているところを見るに、ミラの答えは全員にとって予想外だったことだろう。だがミラは表情を崩さぬまま、静かに問いかけた。

 

「……ジュード。キジル海瀑で私が言ったことを覚えているか?」

 

「え?」

 

「とにかくやってみればいい。君のなすべきことを、そのままの君で。それで答えが出るかもしれない――と」

 

「うん。覚えてる」

 

「今更撤回するつもりはない。これは、あの時の答えを出すためと捉えていいか?」

 

「それは……」

 

 ミラの混ざりけない瞳にまたもや気圧されるジュードだが、そうして見たエリーゼの不安そうな顔を見て覚悟を決める。

 

「……うん。そのつもり」

 

「では好きにしたまえ。だが、どのようなことがあっても、私は立ち止まるつもりはないということは忘れないでほしい」

 

 厳しいながらも確かな承認。それを受け、ジュードは安堵と決意を胸に笑みを浮かべた。

 

「わ、わかった。……それじゃあ、エリーゼ。これからよろしくね」

 

「は、はい……」と彼女は小さな声で答えた。

 

「わーい! お友達が沢山できたー!」ティポは体を振り回しはしゃぎ回る。

 

「誰が友達だって?」アルヴィンがぼそりと呟くと、ティポは「な!? ヒドイ―!」と泣き叫ぶ。

 

 ジュードは苦笑しながら、エリーゼに優しく言った。

 

「あはは……。大丈夫。僕はエリーゼのお友達だからね」

 

「……え? あ……」

 

 思わず頬を赤らめるエリーゼ。

 

 その代わりにティポが弾む声で「わーい♪ 友達―♪ ジュード君は友達―♪」と大げさに喜びを表すのだった。

 

「……では行くとしよう」

 

 ミラの合図で、一行はついにハ・ミルを後にした。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

「……」

 

 それは村を出ていく自分を見つめる幾人かの村人の視線。

 

 それに気づいたエリーゼはそんな村人たちに小さく手を振る。

 

 ――しかし、誰一人として応じる者はいない。

 すぐさま興味を無くしたように、いつもの営みに戻っていく。

 

 おかげで彼女は凹んだように、少しだけ俯いてしまうも、すぐさま頭を振り静かにジュードたちの後を追った。

 

 

 それが今の自分の進む道だと信じて。

 

 

お聞きしたいのですが、1話何文字ぐらいが読みやすいでしょうか?

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