朝の柔らかな光が宿の窓から差し込み、昨夜の疲れを癒したジュードたちは静かに目を覚ました。
心地よい休息の余韻に浸る彼らの前に、扉を叩く音とともにユルゲンスと昨日居た男女が現れる。
「よく休めたようだな」
低く落ち着いた声で告げるユルゲンスに、ジュードは姿勢を正し、丁寧に頭を下げた。
「おはようございます」
「ああ、おはよう。さて――今日の予定だが」ユルゲンスの表情は穏やかでありながら、どこか張り詰めた気配を帯びていた。「参加者の関係で、本戦は今日一日ですべて行うことになりそうだ」
「今日だけですか……ずいぶんハードなんですね」
ジュードの声には驚きと緊張が入り混じる。その傍らで腕を組んだ男が肩をすくめた。
「何戦あるかは、今日発表の組み合わせ次第だがな。もっとも、例年通りといえば通りだが」
ユルゲンスは頷き、視線を全員に巡らせる。
「鐘が鳴ったら、闘技場まで来てくれ。それが大会開始の合図だからな」
「わかりました」
「では、私たちは闘技場で待っているよ」
短い言葉を残し、彼らは足早に立ち去っていった。宿の外からは、すでに街のざわめきが広がり、シャン・ドゥ全体が祭りに沸くような熱を帯びているのが伝わってくる。
「……さて、時間ができたみたいだけど、どーするよ?」
緊張の糸が切れたようにアルヴィンが口を開く。その声には、少しでも気を紛らわせようとする軽さが滲んでいた。
「私は広場を見てくる。少し気になることがあるのでな」
ミラは窓の外に視線を向け、真剣な眼差しを見せる。
「では、ご一緒いたします」
ジャンヌは迷いなく応じ、その横顔には騎士らしい忠義の色が宿っていた。
「私はその辺をブラブラしてきますね~」
軽やかに笑うXの声に、アルヴィンが「なら、俺も」と気安く続く。
「フォウ!」
窓辺で落ち着かない様子の小さな獣に、マシュが柔らかく微笑む。
「どうやらフォウさんはシャン・ドゥの熱気にあてられたご様子。であれば、それを落ち着かせるのに時間がかかると思われます」
「では、せっかくの他国ですし、観光でも。ご一緒にいかがですかな? エリーゼさん」
ローエンの紳士的な誘いに、エリーゼは小さく頷く。
「はい、です」
「見て回ろうー!」と、ティポが元気に声をあげた。
「ジュードはどうするの?」
レイアが身を乗り出し、期待を込めた瞳を向ける。
「僕? 僕は……」
答えを濁すジュードの言葉を遮るように、レイアはにこやかに笑った。
「ジュードも観光ね! 決まり!」
「いや、僕まだ何も……」
「ま、どうせそんなに色々出来る時間がある訳じゃねぇだろうし、ブラブラすんのがちょうどいいかもな」
アルヴィンが軽く笑って肩を叩く。
ジュードは観念したように息を吐いた。
「そう……。まぁ、そういうことなら」
「それじゃ、鐘が鳴ったら闘技場へ直行ってことで」
アルヴィンの言葉に、全員が頷く。
外から吹き込む風は、遠くの歓声と何かの音を運んでくる。街全体が熱気を帯び、今にも爆発しそうな高揚感に包まれていた。
彼らの一日は、始まったばかりだった。
お聞きしたいのですが、1話何文字ぐらいが読みやすいでしょうか?
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