フェイトオブエクシリア   作:シュキヨ

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正しい道を選ぶということ

 ――夜。

 といっても黄昏域であるが故、外の明るさは変わらないので、夜の雰囲気を出すためにとカーテンを閉め切られた部屋にて、明日のための準備を済ませたジュードは、布団に身を横たえていたが、どうにも心が落ち着かず、眠気は訪れなかった。

 

 そうしてふと部屋を出てみると、共用スペースの所にミラが居た。

 

 今までに見たことが無いような顔をした彼女の横顔に、どこか言いようのない感情を抱いたジュードは声をかけてみることに。

 

「眠れないの?」

 ジュードの声に、ミラは振り返った。その瞳には疲れよりも、強い決意の光が宿っていた。

 

「ジュードか……。そういう訳ではない。……ただ。そろそろ私も、覚悟を決めなければいけないと思ったら、ついな」

 

「覚悟……?」

 ジュードの問いは自然と小さな声になる。彼女の言葉に漂う重みを感じ取ったからだ。

 

 ミラは天井に視線を移し、見えない空に思いをはせるように淡々と告げた。

「そうだ。四大の力を使わずとも、今の私――いや、私たちの力があれば、クルスニクの槍を破壊することは可能だろう」

 

「え? 四大精霊を解放する前に壊しちゃっても大丈夫なの?」

 ジュードは思わず問い返す。

 

「……無事では済むまい。像をなせず霧散するだろう」

 言葉は静かだったが、その響きは刃のように鋭く胸に突き刺さった。

 

「でも、大精霊は死なずの存在なんだし……」

 

「確かに時が経てば、再び大精霊は現出できるだろう。だが、それは新たな意志をもった新たな四大だ」

 

 ジュードは唇を噛み、重くうなずいた。

「それって……ミラとずっといた四大精霊は消えちゃうってことだよね……。そっか、だから覚悟って」

 

 ミラは静かに目を閉じた。

「精霊は人格や記憶が重要なのではない。精霊は存在そのものこそが重要なんだ」

 

 彼女の声は冷静に響くが、その奥には深い孤独と痛みが潜んでいた。

 

 ジュードは何も言えず、ただ彼女を見つめる。

 

 やがてミラはかすかな笑みを浮かべながら呟いた。

「私は……四大に恨まれるだろうな」

 

「ミラは……四大精霊も他の微精霊も、みんな大事な存在なんだね」

 ジュードの声は震えていた。

 

 だがミラは静かに首を振る。

「違うよ、ジュード。私には精霊も人間も関係ない。すべてが等しく愛おしい命だ」

 

「ミラ……」

 

 彼女の言葉は、共用スペースに吸い込まれていくように消えていった。ジュードは胸が詰まり、何も返せない。ただ彼女の横顔を見つめるしかなかった。

 

 こうして二人は沈黙のまま、夜の時間帯とも言える時間は深く、更けていった。

お聞きしたいのですが、1話何文字ぐらいが読みやすいでしょうか?

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