東方亡霊侍   作:泥の魅夜行

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亡霊さん、その名は――――

 反射的だった。

 椅子を軽く押して机と椅子の間に出来た僅かな隙間から体を飛ばし、店から外へと飛び出す。

 霖之助殿と稗田殿には申し訳ないが、あの邪仙とは一秒も関わりたくない。

 走る私に驚く人々の中を私は走る。

 だが、

 

「え~い」

 

 邪仙の声と共に左手と右足が背後へ引っ張ら得るような感触がした。

 背後は引っ張ら得るような感触と共に前へ進む事が出来ずに、地面へ盛大に転んだ。

 

「っ痛……! なんだ、一体?」

 

「いきなり逃げないで下さいな。そんなに私がお嫌いかしら?」

 

「お嫌いでは無く、近づきたくないだけだ」

 

「嫌では無いのですね!!」

 

「話を聞け!! と言うか、纏わり付くなと言ったではないか!?」

 

「別に会いに来るなとは言われてませんわ」

 

 ああ、駄目だ。これに口で勝とうとするのが間違いだった。

 

「この左手と右足の引っ張ら得るような感覚は何だ? 何をした」

 

 動こうとするが、邪仙が空で引っ張るような動作と連動して左手と右足が動く。

 

「芳香ちゃんに食べられた体を有効活用してみましたの。私の手の中にある二つの球には亡霊さんの左手と脹脛が入っています。これが亡霊さんに近づくと、体と千切られた部位同士が元の場所に戻りたいと願い、亡霊さんの肉体とこの欠損部位が一本の糸で繋がれるます。結果、亡霊さんへ縄が巻き付く。そして、その手綱を握るのは私。仙人は力も強いのですわ」

 

 成程、そう思うが状況は最悪だ。

 つまり、自分の体の一部が青娥に支配されているような物。

 どうする? 人も集まって来た。これ以上、目立つのも霖之助殿や稗田殿へ迷惑が掛かる。

 

「……随分直接的になって来たな、青娥」

 

「いえいえ、これはただ、見せたかっただけですわ。これで貴方を何時でもどうこう出来るって……」

 

 背筋が冷える。

 この邪仙に体を支配されているなど、悪夢の未来しか浮かばぬ。

 

「まあ、今回は人里ですし、私と逢瀬をしてくれれば何もしませんわ」

 

「……」

 

 断れば確実に終わる。何がどうと説明できぬが確実に終わると私の勘が言っている。

 しかし、

 

「分かった。素直に言う事を聞くとしよう」

 

 今は、大人しく従うとしよう。

 

「やりましたわ!! では、お二人の元へ戻りましょうか」

 

 立ち上がることが出来た。

 青娥は私の手と足が封じられた球を懐へ入れる。

 そこか。

 

「では、行きましょう!」

 

 青娥に手を引かれ、もと来た道を戻ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霖之助殿、稗田殿……」

 

 逃げられた。

 もしかしたら、着いて来てくれるかと希望を持っていたが、にやにやと笑った稗田殿に霖之助殿が連れてかれた。

 確実に勘違いをしている。絶対に勘違いをしているぞ、稗田殿。

 このような邪仙となど、有り得ぬからな。

 

「あの子良い子ね~、今度お礼にいきましょうか?」

 

「黙れ。で、何処へ連れて行くつもりだ」

 

 視界に邪仙を入れず、これからの行先を聞く。

 

「そうですね。まずは、お着替えしましょうか? 亡霊さんは痩せていますけど素材は良さそうですから……」

 

「何故、涎を垂らす。離れろ」

 

「あん!」

 

 妙に艶やかな声を出して青娥はからだを揺する。

 その肢体から鼻孔を擽る花の香りと、ふくよかな胸部が揺れた。

 近くに居た男数名が目を見開いて一斉に此方を見た。

 

「あら~、服がズレてしまいましたわ。亡霊さん、直して?」

 

 無視した。

 

「もういけずですわね。私を無視した事をすぐに後悔させてあげますわ」

 

「服屋でどう後悔させるのだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

「あー、青娥?」

 

 服屋に入った。この服屋は外の世界から来た者が店主をしているらしく、和服の外にも見た事の無い服がたくさんある店だ。

 そこで私が青娥に渡されたのは、着ぐるみと言う服だった。

 全身を服で隠し、顔しか露出出来ない。

 顔の上には、ぺんぎんと言う動物の顔が付いている。

 不思議な生物だ。店主によると寒い所に住んでいる飛ばない鳥らしい。

 何故、そんなところに住んでいるだろう? 暑がりなのだろうか。

 それは兎も角、着ぐるみと言うのを着てみたが、動きにくくてしょうがない。

 手も服の中にあるので細かい動きが出来ない。

 全身ふっくらとした感触で、一回り程大きくなってしまった。

 そして、無反応だった青娥が、無表情で鼻血を垂らした。

 

「グッジョブ店主……ッ!」

 

「良い笑顔だな。ともかく鼻血を拭け。そして、脱いでいいか?」

 

「待って下さいまし! 写真!! 写真を撮るまでは!! 天狗!! 天狗は何処!?」

 

 何処かへ走って行った青娥。

 もしかして逃げられるのではないか、これ?

 

「脱ぐか……」

 

「何を……しているんですか?」

 

 振り向くと、呆れた目の華仙殿がいた。

 

「おお、華仙殿。このような所で会うとは奇遇だ」

 

 歩こうとして服に足を取られて転びそうになる。歩きずらい服だ。

 一歩一歩進んで華仙殿へ近づく。

 

「奇遇と言うか、その格好は……」

 

 華仙殿の視線が上から下へ動く、確かに変わった格好であるがな。

 

「邪仙に無理矢理着せられた」

 

 邪仙と聞き、険しい顔になる。

 

「まあ、華仙殿。流石に邪仙も人里では動けないだろうさ」

 

「あまり、油断が過ぎるのでは? 動けないなら、貴方は此処へ来てませんでしょう?」

 

 痛い所を突かれる。

 

「まあ、少しばかり体を人質に取られているが」

 

「人質!? 亡霊殿、大丈夫なんですよね!?」

 

 私は華仙殿の剣幕に押されて背後へ一歩下がろうとした。

 着ぐるみとは思いの外、動きづらい。

 下がろうとしたらそのまま服を踏んで床へ倒れてしまった。

 

「う、動けぬ!!」

 

「何をしてるんですか……。ほら、手を出して」

 

「いや、華仙殿、そろそろ青娥が戻ってくるだろう。助けるより少し教えて欲しいことがある」

 

 私の問いに、華仙殿は首を傾げながらも答えてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふ、まさか転んで立てなくなるなんて可愛らしい事ですわ」

 

「……五月蠅い」

 

 あの後、華仙殿が離れるとすぐに青娥が戻って来た。

 かめらとやらが見つからず残念だったようだ。

 

「夕暮れは綺麗ですわね」

 

「ああ、数回も見ていないが綺麗だと断言できる」

 

 人里が薄暗く、橙色に染まり始め、提灯や家の中に光が灯る。

 

「私の体を収めた球を返して壊してくれるか?」

 

「嫌。何度も言いますが、私は亡霊さんが欲しいの。あれがある限り、私は亡霊さんを好きに出来るもん」

 

「聞くが、何故、すぐに私をどうこうしない? あの時の様に」

 

「されたいのですか?」

 

 まさか。死んでもごめんだ。あ、もう死んでいるか。

 

「不思議に思っただけだ。芳香をけし掛けたり、このように逢瀬の真似事をしたり、貴様は何を考えている」

 

「亡霊さん。私は、今まで好き放題してきましたわ。仙術を覚え、自身の欲求に従い。貪り、喰らい、壊して直して汚して捨てて。沢山してきましたわ」

 

 嗤う。初めて会って、私の魂を掴んだ時とは違う、侮蔑を含んだ笑い。

 

「私に靡かない。私に面と向かって邪魔者扱いする。そんな殿方は初めて。そして、綺麗な魂。ふふ、こんな方は今まで出会ったことありません。初めて見たから、私のモノにならないから。でも、逆に欲しくなってしまう」

 

 私へもたれ掛る。

 

「そうか」

 

 この場所だ。

 私は、もたれ掛る青娥を掴み、一本の路地へ押し入れた。

 

「あら? まさか、亡霊さんの方からだなんて……。でも、私は何時でも準備は良いですわよ?」 

 

 壁に無言で青娥を押し付ける。

 左手には闇。その闇の一歩手前にあるのは木箱。

 中には大工か何かが使わなくなって放置している、長い木の棒がある。

 華仙殿に教えて貰った。木材が置きっぱなしになっている場所だ。

 家の改築時に残り物として放置され、家の人も捨てようと思うが中々捨てず放って置かれた物。

 華仙殿が引き取って小屋の修復に使おうと思っていたものを、一本使わせて貰う。

 私の体を封印した球は懐に隠し持っているはずだ。

 服だけ切り裂いて、球を奪う。

 もう少し、もう少し完全に邪仙の注意をこちらに持っていく。

 

「さてな。しかし、私にそれ程の価値があるとは思わぬ。何せ、血で塗られた獣の魂かも知れぬぞ?」

 

 軽口のはずだった。

 だが、青娥はその言葉を待っていたかのように、笑みを深くした。

 

「その通り。貴方のその内側に潜んだ狂気にも惹かれたのですわ」

 

 な……に?

 私の動きが止まる。

 そうだ。私は獣だ。あの過去を思い出すたびにそう思う。

 だが、何故こいつがそれを知っている。

 れみりあ殿の様に運命を見たのか? 

 それとも、もっと別の方法で?

 何にせよ。私は動きを止め、青娥へ言葉を返してしまった。

 

「狂気? 可笑しな話だ。綺麗だと言ったのは主だろう?」

 

「ええ、貴方の魂はとても綺麗で美しい。それは見惚れるほどに。でも、その実、貴方自身も気づかぬ狂気が貴方には眠っている。この場合、自身だから気づかないのかしら? 自分は正常だと思っているなら、なおさらね。妖怪にとっての当たり前の食人が人にとっては禁忌であるように、貴方の想いもはたから見れば狂気でしかないのに」

 

「……」

 

「その内に眠る、狂おしい程の想い。無意識なのかしら噴火する火山に蓋をするその在り方は。ねえ、誰を護りたかったの? 誰を護れなかったの? 何故、後悔してるの? 想いは見える。感情もみえる。でも、記憶は分からない。覚えない。私はね、貴方の全てが知りたい。だから、貴方の過去も知りたい」

 

「そうか。私も何度も言おう。断る」

 

 笑いは崩れない。私の返答が分かっていたと言わんばかりに。

 

「そう、じゃあどうするの?」

 

 こうしようと、手を伸ばした。

 だが、それよりも先に私は闇の中から飛び出した飛来物によって通りへ弾き出された。

 

「が……っ!!」

 

 着地。

 しまった。完全注意を逸らすどころか、私が引きつけれらていた。

 路地から出て来るのは、青娥と芳香。

 言葉など無視していればよかったと、悔いるが終わった事だ。

 それよりも、私はかなり不利な状況に立たされている。

 既に日は沈んだ。

 相手は二人。片や邪仙と言えどその実力は屈指の青娥に、片や不死身のキョンシーの芳香。

 それに対して武器も無く、左腕と右足を何時でも封じられてしまう私。

 それでもまだ救いなのは、ここが人里であり、民家がある通りである事。

 ここで暴れれば確実に、騒ぎになる。

 

「ここでは戦えない、とでも思っているのでしょう? 御心配なさらず別に戦う気はありませんわ。だって、まだ果実は熟していないのですから。ですが――――」 

 

 芳香が消える。

 上。

 どう移動したのかは分からない。だが、口を開けて芳香が落ちて来る。

 

「四肢を奪うのもまた一興かと思いまして」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 落ちたのは手首。

 咄嗟に避けたが右の手首を噛み切られた。

 血は流れない。死した者は血すら流さぬ。

 傷一つ無い手を想像し、手を生やす。

 

「貴様……っ!?」

 

 駈け出そうとした瞬間、青娥が指を鳴らした。

 地面から飛び出した、腕に足首を掴まれた。

 

「馬鹿な!?」

 

 それだけでは無い。次から次へと地面から生える手、手、手。

 地面を突き破り見えた者達は、腐り果てた死体だった。

 

「……っ!?」

 

「私の死霊術です。私の得意分野ですわ」

 

「この、者達が何故、人里の地下から出てこれる!!」

 

「違います。私が召喚したの」

 

 指を振って、青娥が否定する。

 体中を掴まれ、青娥の元へ引っ張られた。

 

「どうです? よくわかってくださいましたか? 結局、私と亡霊さんでは戦いにすらならない。これが必然、これが結果」

 

「さてな。そうとは限らんかもしれんぞ? 何せ、自分から近づいてくれたのだ、有難い」

 

 青娥の顔に疑念が走る。

 遅い。

 

「『吹き飛べ』」

 

 その言葉を、私の体を拘束する死した者達が青娥へと勢いよく飛んで行く。

 

「……なッ!?」

 

 激突。青娥に死した者達がぶつかり、飛ばされていく。

 今までの様に痛みは無い。

 これにより、私は自分の持つ力を完全に把握した。

 私は発した言葉にその言葉通りの力を宿し、それを纏わせることが出来る。

 木の枝に『刀』を纏わせることで刀へと変化したように。

 体を拘束した者達へと、『吹き飛べ』と言う言葉通りに吹き飛んだように。

 

「これが、私の力か」

 

「青娥ー!」

 

 芳香が地面へ倒れた青娥へと近づく。

 派手にやり過ぎた。今の音で周囲が慌ただしくなり、民家から人が出て来る。

 逃げるか、と思うがその者たちは、私達を見ても声も上げず、首を傾けながら戸を閉めた。

 

「何?」

 

「……ふ、ふふふ、素晴らしいですわ。こんな力を持ってるなんて」

 

 ゆっくりと青娥が起き上がる。

 

「主、何をした?」

 

「認識の阻害、この辺りの者は私達に気付きませんわよ」

 

 ゆっくりと、傷がついた頬を撫でる。

 

「ああ、痛いわ、痛い、痛い痛い痛ぁぁぁぁぁい!!!! でも、気持ちいい!! 出来ればこんな塵よりも貴方自身が殴ってくれればよかったのに」

 

 私が吹き飛ばし、直撃した死人達を片手で掴みあげ、一瞬のうちに頭蓋を握り潰した。

 

「もう、いらない。芳香ちゃんと亡霊さん以外いらないわ。さあ、いってらっしゃい。これが貴方達の最後の見せ場よ」

 

 再び地面が隆起する。だが、先程の比では無い。

 噴き出す様に死体が吹き出した。

 手が欠けた者、目が無い者、肉が無い者、夥しい死臭を撒きらして私を囲み、飛び掛かる。

 

「この!!」

 

 一人を殴り、背後からのを蹴飛ばし、飛び掛かる者を掴んで投げ飛ばす。

 動きを止めず、集団の隙間を掻い潜り、飛び上がっては頭を足場に飛び移る。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

「きりが無いな!!」

 

 殴り飛ばそうが、蹴り飛ばそうが、何度でも彼らは立ち上がる。

 

「さあさ、亡霊さん頑張って!! ほらほら、もう貴方達は亡霊さんを魅せるだけに存在してるのよ? もっと亡霊さんを彩って!」

 

「死人と亡霊の舞など見たくも無いわ!!」

 

 だが、何故だ。この光景、否、この状況、何故か心がざわめく。

 恐怖? 確かに恐怖だろう。

 死人の群れが襲ってくるのだ。恐怖はあるのだろう。

 だが、違う。そんな恐怖では無い。

 心の奥底より湧き上がるこの感覚。

 恐怖、焦燥、悲嘆、漠然として感じるこれは何だ?

 思い出すな。

 思い出せ。

 二つの感情が私の心でせめぎ合う。

 不意に、死人達の動きが止まる。

 何だ、と青娥を見た。

 

「あらやだ、ばれちゃった」

 

 直後に何かが砕け散る音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何をしている!!」

 

 聞こえたのは鋭い声。

 

「何だっ!? これは……!!」

 

「あらら、戻りなさい」

 

 青娥の声で、死人たちが一瞬で消える。

 

「霍青娥だな!! 人里で何をしている!?」

 

「あらやだ、ごめんなさいね。ちょっとした余興よ」

 

 青みが掛かった銀の色の髪を持つ女性だった。

 厳しい雰囲気とその怒気から真面目な雰囲気が伝わってくる。

 

「――――!! ――――」

 

 だが、その声も私には聞こえない。

 その女性の隣。

 私は声も出せずにその女性を見ていた。

 金、それに紫の色味が掛かった長い髪。

 

「ああ――――」

 

 瞳の金色は吸い込まれる程に美しく、優しい色。

 

「あああ――――」

 

 服は違う。

 私の知っている服では無い。

 だが、変わっていない。

 何も変わっていない。

 

「嘘……」

 

 声が聞こえた。か細いその声すら、私には鮮明に思い出せる。

 護れなかった。

 

「ああああ――――」

 

「加持……丸……?」

 

 私のナヲヨンダ。

 全てが、一斉に蘇る。

 全て全て全て全てすべてすべてすべてすべてすべてスベテスベテスベテスベテスベテスベテスベテスベテ……!!

 私は……俺は……――――。

 白蓮先生――――一……輪。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰もが反応出来なかった。

 悲鳴が上がる。その悲鳴は、悲憤であった。

 心を締め付けると同時に震え上がらせる声。

 次にドス黒い煙が男から噴き出した。

 銀の髪の女性、上白沢慧音が慌て。

 青の髪の女性、霍青娥は驚愕した。

 そして、金と紫の女性、聖白蓮は、わき目もふらずに男に駆け寄った。

 後、一歩の距離で男は消えた。

 何処へと皆が思った瞬間だ。

 霍青娥と宮古芳香が斬られた。

 ズタズタに。それこそ、紙ふぶきの如く肉片が舞う。

 男は黒いナニカに飲み込まれていた。

 男は跳んだ。

 屋根を足場にまるで、獣の如く空へと身を躍らせて里の壁を一息に飛び越えた。

 

「待って!! 加持丸――――ッッッ!!」

 

 白蓮は外聞を捨て叫んだ。

 だが、もう男は、白蓮が加持丸と呼び、亡霊と呼ばれていた男が戻ることは無かった。

 

「嘘嘘嘘うそうそうそ……!! 加持丸、本当に貴方なの!?」

 

 白蓮から、涙が流れた。

 あらゆる感情が、マーブルのように掻き混ぜられ白蓮の中に生まれ、それをぶちまけ、吐き出すような涙。

 人々が集まる。

 だが、聖白蓮の、涙は止まることは無かった。




「あらら、壊れちゃった」

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