神の都合で全てが変わる世界で主人公やってます。   作:ラ メ ル テ オ ン

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戦闘の後始末

 

「さて…」

 

キングを亡き者にした少女はそう呟くと俺に向かって歩いてくる。造形のいい顔面から向けられる視線と先ほどまで話していた人間を動かなくした事実は俺に恐怖を与えるには充分で、

 

「こ、この事は誰にも言わないので殺さないでください!!」

 

俺は泣きそうにながら命乞いをした…そんな情けない姿に少女は、

 

「……そんな物騒なことしません。あの獣人の方も気を失っているだけです…そんな事より貴方、それは痛くないんですか?」

 

「…えっ?」

 

俺を宥めつつ頬を指さした。俺は疑う事なく指された右頬を触ると、

 

「痛った!!!」

 

ベチョ、と言う音と共に鈍い痛みが頭を駆け巡った。驚きのあまり手のひらを確認すると見た事ないくらい血がべっとりと付着している…

 

「えっ…何コレ!?人間ってこんなに血が出て大丈夫だっけ!ねえ俺死なないよね!」

 

俺は初めての大怪我に狼狽える。

 

「少し落ち着いて…って言うのも無理な話ですね。ロドリゲスその人の傷治してあげて」

 

「了解でゲス!」

 

少女がそう言うとロドリゲスは妙な踊りをし始め俺の周りが緑色の光に包まれ始めた。…見た目的に回復魔法でもかけてくれるのか?意外と優しいところある……あっ!

 

「いやいやいや!!大丈夫!もう落ち着いたから病院に行くよありがとう!」

 

「遠慮する事ないでゲスよ!ほら〜傷よ〜治れ〜」

 

「ちょっと待っ…!」

 

俺の遠慮も虚しくロドリゲスは魔法を発動させたのか緑色の光は霧散していき…俺の傷は治る事はなかった…やっぱり俺にメリットがある魔法でも効かないよな…

 

そんな世界の法則を受け付けない存在に、

 

「……何で傷が治ってないんですか?」

 

少女は疑いの目をかけてくる。やばい…せっかく疑って来た敵キャラが倒されたのに今度は魔法少女に疑われちゃう…

 

「それは…その…」

 

「よく考えてみれば私が射撃をする前、隠匿魔法をつかってたのに目があった様な気もするし……貴方一体…」

 

少女は先ほどの戦闘からも伺える地頭の良さをふんだんに使って俺が与えてしまった違和感を1つ1つ整理し始めている…これ以上この場にいるのはまずい……そう思った俺は、

 

「助けてくれてありがとうございました!また会えたらお礼します!」

 

感謝を伝えて急いでこの場から離れる。本当に…物語に関わるべきじゃなかった…

 

________________________

 

「はあ…疲れた」

 

「お前昼から登校なのに疲れてんじゃねえよ」

 

とんでもない事に巻き込まれた次の日の放課後俺は机に項垂れながらユウジと駄弁っていた。昨日あの後…家の近くの病院に駆け込んだが何故かどこもやってなくて通院を今日の朝に伸ばす羽目になった。

 

「お前…頬のガーゼ見えてねえの?俺朝から顔に針通してるんだぞこの学校の誰よりも疲れてるっての」

 

頬の傷はおそらくガラスを突き破った時にできていたみたいで傷が深すぎたあまり朝から医者に針で顔をいじられると言う精神的にくる事をやらされた。しかもここまでやっても傷は残ってしまうらしく物語に下手に関わった代償としてはなかなかに大きな物を払わされたと言っていいだろう…もう自分から関わりに行くのはやめよう…今回はこれくらいで済んだけど命がいくつあっても足りない…

 

「はは、ざまねえ!」

 

「…お前ひどくね?コレでも結構心痛めてるんだよ?」

 

「俺が知らないうちに噂になってる1年の美少女ちゃんとお近づきになってるお前にはこの扱いが妥当だね」

 

ユウジはそんな事を言いながら舌を出して煽ってくる。俺が知ってる限り一昨日までそんな奴いなかったぞ…世界が変わった影響がこんな所まで……

 

「何だよそれ心当たりがねえ…名前は?」

 

「一ノ瀬姫乃(いちのせ ひめの)ちゃんだよ!あんな可愛い子に俺も教室まで迎えに来て欲しいよ!昼飯一緒に食べる約束してたらしいじゃねえか!」

 

一ノ瀬…?なんかどこかで聞いた事がある気がするな…思い出せそうで思い出せねえ…何だっけ?

 

そんな事を考えていた時、

 

「昼から登校なんて…先輩意外と不良の方なんですね」

 

後ろから記憶に新しい声が聞こえて来た…勘違いを祈りながら恐る恐る振り返るとそこには…白髪碧眼で透き通る様な白い肌を持っている美少女が立っていた。もしかしなくてもプリンセスシューターさんですよね…

 

「あっ姫乃ちゃん!メール見てくれたんだ。俺使える奴でしょ?また頼み事があったら何でも言ってね」

 

「ええ、助かりましたユウジさん。立花さんとは個人的に話したい事があったので…それでは2人っきりになれる場所に行きましょうか」

 

一ノ瀬は捕食者が獲物に向ける様な視線を送りながら人目がない場所に誘ってくる…きっと黙ってついてこいと言いたいのだろう。バトル物の主人公ならこんな視線を向けられても物おじする事なく何か言い返せるのだろうが…

 

「はい…わかりました…」

 

目の前で巨人を討伐する所を見せられた俺にそんな勇気はなかった…

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