はじまりの魔女様   作:TRTRMG

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ちょっと遅かったですが、タグを増やしました。



4:とある尋問に立ち会った記録人の証言

 

 

 ちょい前に上司が苦虫を噛んだような顔をして仕事を振ってきた時は、また面倒な罪を犯した奴が来たのだろうと嘆息したものよ。

 

 罪を犯して捕まって、取り調べを受けるって段階になると豹変する奴が多いしな。

 俺はやってないと叫ぶ奴、自身の行動を後悔し泣き喚く奴、じっと黙り込んだのちにぽつぽつ語り始める奴。どいつもこいつもとっととゲロっちまえばいいのに、無駄に逃げようとするんだ。面倒だろ?

 

 

 まあそれでも仕事は仕事だ。上司の顔は見なかったことにして、今日も取調室に来たわけよ。

 

 上司がなんであんな顔をしていたのか、いまなら分かるぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 魔女様めっちゃ怖かった。調書仕上げずに帰っていい?

 

 

 あダメ?はい。

 

 

 

 

 

 

 

 …何が怖いってよ、色々語るとこがあんだけどよ。

 

 まず尋問相手はアカルガな。あの、爆殺犯。

 

 そう、めっちゃ殺した強盗犯。

 

 

 んで、部屋に入る前に魔女様と合流して打ち合わせとかもすんのよ。

 

 優しい口調で話してくれるのよこれがな。『仕事とはいえ、尋問です。心労がかさむでしょうが頑張りましょう』とか、『仕事が終わったら菓子を食べましょう。甘くて美味しい菓子を持ってきたんです』とか気遣ってくれるわけよ。

 

 ほら、尋問官ってみんな気張っててこっちも緊張するじゃん?そこを考えてくれる魔女様の優しさが身に染みるわけよ。え?もう魔女っ子じゃんって?はは、そうかもな。

 

 

 

 

 んでな、部屋に入って尋問開始したわけよ。そしたら途端に魔女様の魔力がもうすっごいことなって。部屋の外でも感じたろ?そうだよな、すげぇよアレ。

 一般荷物の配達員が怯えてた?すげぇなそりゃ、どこまで広がったんだあれ?配達の人は可哀想だったな。

 

 淡々と進むんだけど、魔女様の魔力に怯えてアカルガが縮み上がっちまってよ。怒りとか呆れもなく、キカイ的に淡々とな。いやぁ、あれは一緒に居たから分かるがたぶんアカルガは生きた心地しなかったろうな。冗談抜きだぜ?あれは無理だって。蛇に睨まれた蛙どころか、竜に睨まれた蟻って感じだったな。

 氷とか絶対零度とか比じゃねぇぜ。魂も何もかも凍っちまいそうなアレですっかり俺まで冷えちまったわけさァ。

 

 

 ギャップって言うよな、こういうの。凄かったなぁ…ふわふわ笑ってた魔女様の顔超イケメンだったぜ。怖かったけど。え、俺が立ち会いたかっただあ?何言ってんだおめぇ、後から振り返ってそういやイケメンだったなって感想に至るくらいそん時は怖かったんだぜ?目くらいしか動かせなくて、横目に見るしかないくらい体が強張っちまうんだぜ?新人のおめぇにゃ早すぎるよ。あれは上司も苦い顔するさな。

 

 

 そんで、尋問が終わる頃にはアカルガは魂の抜けたような面で『おっかあごめんなぁ』とか唱える位になっちまってよ。色々話も聞いて多少可哀想に思うとこもあったけど、罪は罪だからな。償わなきゃならん。

 詳しい話は調書公開待ってな。この案件、その場で魔女様が機密指定されたもんで、なんも話せないのよ。まあ何か言えるとしたら、アカルガは被害者でもあった…ってくらいかな。もうこれ以上は言えん。

 

 んで、贖罪とか色々話しててな。魔女様の人生の中で立ち会った裁判の判例出して、これからどうなるかとかどんな判決になるかとかの話もしててな。いやー、長生きな魔女様は知識量もすげぇもんだなぁ。誰が建国当初の強盗殺人事件の判例知ってんだよ?頭図書館かな?

 そん時の声音と言ったら、これがまた慈愛に満ちた優しい声でなぁ。アカルガがぼろぼろ泣き出しちまうくらいの。

 俺?隣でドキドキしっぱなしよ。色んな意味でな。

 

 

 んで、切り上げて部屋から出たわけよ。

 そうしたら魔女様が舌打ちして『ちっ、あのダボカスが』とか言ってんの!もう怖いよね、ほんま怖かった。普段ニコニコで何千歳も歳下だろう俺に敬語使って話してくる人がさ、尋問の話の中で出てきた奴に向かって汚い口開いてるわけ。矛先こっちじゃなくても怖くなるべ?鳥肌おさまんねー。おっと、機密機密。もうこれ以上はお口チャックな。

 

 

 

 

 

 魔女様はもう行っちまったよ?すんげぇ速度でどっかに飛んでったよ。はい?サイン欲しかった?

 

 『おや、仕事中にサインを書いても良いのですか?』なんて言われて断られるに決まってらーな。ちゃんと年1の握手会で書いてもらってこい。

 

 あ?抽選が当たらん?知らん知らん!俺は昨日まで魔女様に興味なかった一般人だぜ、魔女っ子の勝手なんか分かんねーっての!

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 犯人はあのダボカスでした。傷が酷かったし、家族もいるって言ってたから一緒に撤退したダボカスのせいでした。これ間接的に私が悪いな??くそ、私の尻触ってきた時にトドメ刺しておくべきだったな。

 

 なぜかあの時[人を爆弾に作り変える呪術]を習得していたダボカスは、家に戻った後子孫にこれを伝えていたらしい。で、今になってダボカスの子孫が黒幕となっていると。

 

 

 何百年越しだよ!えーと、起源は帝国建国直前で、西暦は9700年で終わったから…約900年越し?

 

 なんでだよ!!なんで今になって暴れ始めた!!9世紀も過ぎようとしているこのタイミングでなぜ!!

 

 

「ほんとに最悪…」

 

 

 何が最悪って、帝国の裏側がなかなかの腐敗ぶりをしていることを証明する一件だからだ。

 

 

 アカルガくんは私の顔も知られていないような超弩級の田舎で育った1人息子らしい。んで、ダボカスの子孫に騙されて呪術を流れで習得。そのまま、また流れで人を爆弾にしてしまい、その後言いようにされて自爆魔術刻印で命握られて、ついでに薬決めてハイになって帝都の銀行を爆弾で吹き飛ばしたと。

 

 アカルガくんもなかなか物知らずなところもあったから多少は同情した。ちゃんとした教育もしてもらえなかったようで、あまり良い家庭ではなかったらしい。実際尋問中に私の質問が分からなかった時があったし。日常会話で使わない単語…まあ尋問なんか日常にないんだけどさ。それ使ったらハテナマーク浮かんでたよ。

 

 家では虐待が日常化していた時期もあったとか。ぐぬぬ、やはり人は愚か。なんで作り直したのにまた同じようなことするんですか?7000年もあれば人間の中で格差生まれるよね!!当たり前だねごめんな!!

 

 虐待は帝国では死罪も適用されうる重罪だ。死罪でなくても、懲役200年とか普通に言い渡される罪である。日本とは段違いだね。私がそうしたんすけどね。

 

 あーでも、薬だけは擁護できないかな。強盗しろ、殺人もしておけ…だなんて命令に心を痛めて、潰すために飲んだらしいけど。たぶん裁判になってもそこだけはどうにもならん。反省してもらって。

 

 

 すでにアカルガの実家には巡検官を派遣させた。数時間もせずお縄につくだろう。彼の話を聞く限り対して魔術の腕もないらしいし。いやぁ、鳥の隊には申し訳ないかも。足の速さを使うのはこういうところじゃないってまた隊長ちゃんに愚痴られるぜ。今度菓子折り持っていこ。

 

 

 

 

 さっきから飛び回っている私は、アカルガくんの証言から自爆魔術刻印がダボカスの子孫本人が刻んだものと情報を得た。なので、空を飛び回りながら眼下の人間の魔力と照合して、しらみ潰しにダボカスの子孫を探している。ははは、御年8500歳の魔術やぞ。逃げられると思うな。

 これまたアカルガくんの証言だが、子孫は帝都に居を構えているらしい。私に捕まりたいのか、阿呆なのか。たぶん両方だな。喜べ、ボコボコにしてやるよ。

 

 

「…見つけた」

 

 

 いたいた。本当に阿呆なのかな、帽子もマスクも何もしていない。おかげでお顔がばっちりだぜ。…肉が多い奴だな。

 

 

 子孫は、接近する魔女をようやく認識したらしい。魔女がもうすぐ到達するというところで、顔を真っ青にして、汚い身体強化の魔術をごてごてと体に貼り付けて、どたどたと逃げ出した。デブっちょなのもあるけど、走り方がとても汚い。そしてあまりに拙い魔術の腕。口が悪いかもしれないが、どう見ても雑魚の部類である。ボコボコにするまでもないな、こりゃ。

 …アカルガくん、これに騙されたのか?だいぶ…アレだな、うん。

 

 

「うわあああぁぁっっ!来るなぁっ!」

「手応えなさそうだな」

 

 

 大した距離も走らずに息切れし、こちらを振り返りながら懸命に腕を振る子孫。おい、前を見て走らないと…あー、転んだ。空き瓶に足引っ掛けて転ぶ奴って実在したのね。

 

 脂汗ひどくて触りたくないななどと考えながら、彼女は魔法を起動する。

 

 

 原初、全てのはじまり。

 

 生き物は海から、水から産まれた。

 

 魔法も同じく、水から始まった。

 

 

 

 太った子孫に、逃げ道はない。

 

 彼のいた道を埋めるほどの水の中、彼にできるのは死なないことを願うことだけ。

 あと、浮かぶくらいかな。ブイみたいに浮くくらい。流石に浮けるよな。

 

 

 あっ、溺れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日の帝都の人間たちは、例の事件の黒幕の逮捕の話で持ちきりだった。

 

 アカルガが逮捕された日を含めて3日で、真犯人が捕まったことになる。

 

 

 

 魔女に心酔する者、褒め称える者。

 

 魔女がいなければ犯罪者1人捕まえられないと巡検官達を批判する者、恐怖で魔女に震える者。

 

 

 様々な人々がいるが、しかし数日もすれば、また別のニュースで新聞は埋まり、彼らは忘れていく。

 

 

 

 

 こうしてまた、帝都の日々は過ぎ去っていく。

 

 

 

 

 






記録人…脳を焼かれた。

アカルガ…脳を焼かれた。

記録人の後輩…記録人から話を聞いていた人。この新人の脳は、すでに焼かれている。

アカルガの親…父親は既に死去。母親はアカルガの稼ぎで飯を食べていた。結果はお察し。

鳥の隊…魔女っ子の隊長がうきうきして魔女からの指令を拾ってくるので、隊員達は少し疲れている。

ダボカス…痩せぎすの、不幸そうな面をした男。重症と家族を理由に戦線から引いたが、そこまで重症じゃなかったし家族からは絶縁されていたので、彼を待つ者は誰もいなかった。魔女達にバレることなく距離をとり、戦争が終わった後は誘拐した戦争孤児との間に子供を残した。
ロリコンで卑怯でカスで怠惰で人でなし。あとついでにパチンカス。最後は子供達に滅多刺しにされて殺された。死体はバラバラに解体され、家畜の餌にされた。残等。
ちなみに彼の生涯で1番ひどかった怪我は、最後殺された時を除けば魔女の尻を触って反撃された時。顔面骨折で済んだらしい。

ダボカスの子孫…ダボカスの人でなし精神が覚醒遺伝した太っちょ。周囲への迷惑を考えないタイプ。泳げない。
古びた手記の現在の持ち主。

魔女…ついに年齢判明。誰よりも長く生きているため対応力や技のレパートリーが豊富。総合的な戦闘力で測れば、最強は彼女。彼女自身は『私は研究者なだけで戦士じゃないから強くないよ』としているのだが、最強の魔法使いは誰かという議論では毎回殿堂入りする。
特定の相手の前だと口調が昔のそれに戻る。

はじまりの魔法…一般には水を生成する魔術として知られている。詳細は機密事項らしい。



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  • 三人称視点メインが良いだろう
  • 一人称三人称混ぜ込んだ視点で良いだろう
  • 気にせんでええからはよ続き書け
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