4月22日水曜日。
昨日は学食に行きそびれたために本日こそはと少し早めに学食に着いた。
タッチの差だったのか、先に席を押えて食券を買う頃には混雑してきた。
「あぶねー」
定食を受け取り窓際のカウンタータイプの席に着きご飯を食べ始める。
(昼からの講義はっと・・・)
この後の講義のことなどを考えながらご飯を食べていると、
「あ~萩野っち~」
「ん?奈那か」
丁度トレーを持った奈那に声をかけられた。
「奈那も昼ご飯か」
「そうだよ~でも席が空いていなくて」
周りを見ると確かに席はいっぱいだった。
「俺もう食い終わるから、そしたら席変わるよ」
「いや~悪いね」
残りをさっと食べて席を立とうとしたところ、
「あれ?先輩」
「桜さん」
パンを手に持った桜さんに今度は声をかけられた。
「おや~あなたは確かこの前萩野っちとご飯一緒に食べてた子かな?」
「え?そうですけど・・・」
「奈那、この子は後輩だ。そう問い詰めるな」
「あっごめん~」
「えーと、先輩ですか?」
二人が偶然出会ったことに驚きはしたが、俺が仲介して紹介すればいいなと考えていたところ、
「あ!萩野君!」
「萩野よーす」
「萩野じゃん」
「真くんー!!」
「萩野さん!」
「「「「「ん????」」」」」
まさかのここまで知り合った女子全員が同時に俺の所に来た。
「みんな!?えっどうしてここに??」
「私とひかりはお昼を食べにきたら萩野君の姿が見えたから」
「・・・私は萩野くんいたから声かけちゃった!」
速攻で苺さんはアイドルモードに変身した。
「わたしは真くんがいたから!絶対見逃さないよ!!」
「由衣も同じような感じです・・・」
それぞれ手にはトレーなり軽食などを持っていた。
いやいやこんな偶然あるか??とは思ったが、全員同じ大学の生徒なのだ。お昼時なら学食に集まっても不思議ではない。
「・・・この人たちみんな萩野君の知り合い?」
「そうだな・・・」
「「「「「「「・・・」」」」」」」
なんだこの空気、全員がお互いのことを見合っているぞ・・・
「・・・丁度そこの大テーブルが空いたみたいだし、そこで皆で食べない?」
前のグループが退いたのか全員が座れそうなテーブルを指さし安藤が提案する。
「それって、俺も・・・?」
「もちろん」
安藤さん、笑顔なのに目が笑って無くないですか・・・?
全員で席に座るが誰一人発言せず、皆俺を見ている。
これ、俺が何か言うの待っているよな。
「えっと、みんなこんにちは!偶然だけど俺が仲良くさせて貰っている人が集まったな」
「はい!私みんなのこと知りたい!」
この空気をどうしようかと考えていたら、安藤が颯爽と手を上げてくれた。
「まずは私からね!二年で萩野くんと同じ学部の安藤朱莉です!」
「朱莉の友達の前原ひかりだ」
「ウチはね~三年の風見奈那だよ~」
「一年の桜暦です・・・」
「私は南雲苺です!みんなよろしくね!」
「四年の五十嵐早苗、わたしが一番年上かな?」
「由衣は一年の高木由衣です!」
ぐるっと一回り、それぞれが自己紹介した。
「いや~萩野っちすごいね~こんな沢山の可愛い子と知り合いなんて」
「萩野さんすごいですね!」
「で、で、どの子が萩野っちのお気に入りなの~?」
おい!そんなぶっ込むような質問するなよ!!
俺の内心とは裏腹に安藤が声高く言った。
「私は今度萩野君と飲む約束しているよ!」
「あっ、それあたしもー」
「私は先輩とこの前相合い傘しました・・・!」
「由衣は先輩にサークル活動手伝って貰います!」
「私はアイドルやってて、萩野くんは私のファンって言ってくれました!」
「わたしは真くんの未来のお嫁さんなの~!」
皆それぞれが謎のアピールを始めた。
おいおい、赤裸々に話すのは恥ずかしいからやめてくれ・・・
「ふ~ん、そうなんだ~」
皆の発言を聞いた奈那がにやりと笑った。
「・・・奈那先輩は?」
「ウチはね~、萩野っちとデートしたよ」
「「「「「「!!」」」」」」
「ほら、みんな見て~」
そう言うと奈那はスマホを取り出して前遊園地に行ったときに撮ったツーショット写真を見せびらかす。
「萩野君!?」
「へー・・・」
「先輩とデート・・・」
「萩野くん、そうなんだ・・・」
「嘘!?真くんとデートなんて羨ましい!!」
「萩野さん、そうだったんですね・・・」
「へへ~これはウチが一歩リードかな~?」
俺は何も言えず周りを見渡した。すると奈那以外のみんなの顔が曇っていた。
(これ、もしかして俺思った以上に皆に好かれていた・・・?)
この世界が貞操観念逆転世界、+これまでにあったことを考えると自分が思ってた以上の感情を向けられていたのかも知れない。
流石にこの女子達の雰囲気を見て、??とはならない。
「奈那、それくらいにしてくれ」
「ごめんごめーん」
俺としてはここで優劣をつけるつもりなど無く、今はみんな等しく思っている。
「俺としては誰かが特別なんてないよ、みんな俺には釣り合わないくらい素敵な人たちだ」
「萩野君!!」
「へー、言うじゃん」
「先輩!!」
「よかったです!」
「うわ~信じてたよ~!」
「流石萩野さんです!」
「ちぇ~、まぁ今はそれでいいや!みんなごめんねー」
俺の言葉を聞いて奈那も納得したのか牽制をやめた。
「そうだ、せっかくこうやって顔見知りになったんだし、みんな友達になろ~!」
そう言うと奈那は手に持ったスマホを掲げた。
「いいですね!是非なりましょう!」
安藤が続く。
「じゃあ皆連絡先交換しよ~」
その一言をきっかけにみんなで連絡先の交換会が始まった。
流石奈那のコミュ力だな、うまく場を盛り上げてくれた。
「それにしても早苗さんのお嫁さん発言は何だったんですか?」
「ふっふっふ、それはね~わたしは将来真くんと結婚するから!」
「先輩、ほんとですか?」
「いや、今のところその予定はない」
「真くんぅぅ~!!」
「苺はアイドルやってるんだって?」
「由衣知ってます!三つ星アイスですよね!」
「知っててくれたんだありがとー!」
「同じ大学にアイドルがいたなんて」
「応援してくれると嬉しいな!」
「えっ!?一年であの講義受けてるの?」
「はい、すごく講義が楽しみです」
「うっ、眩しい!」
「その関係で先輩と知り合ったんです」
「由衣ちゃんはボランティアサークルやってるんだ」
「はい!とっても楽しいです!」
「へーそいつはすごいな」
「みなさんも機会があれば一緒にやりましょう!」
「奈那先輩っておしゃれですよね」
「そう~?ありがとう~」
「髪はインナーカラー入れてるんですか?」
「そだよ~」
「大人っぽいです!」
「ファッションのこととか聞いてね」
女三人寄れば姦しいとは言うが、七人も集まればワイのワイので大盛り上がりだ。
俺も会話に混ざりながら楽しい時間を過ごしたと思う。
ご飯を食べ終えて話をしていたらあっという間に次の講義の時間が迫っていた。
「そろそろ時間だし、今日はここらで解散にするか」
とりあえず俺がいったんこの場を締める。
「あー!楽しかった!」
最初は怖い顔していた安藤も最後には笑っていた。
「じゃあみんなここで、またな!」
その声を皮切りにそれぞれ行くところに向かっていった。
俺って言う共通の存在で知り合ったために一時はどうなることかと思ったがみんないい人達みたいで良かった。
自分の知り合い同士が仲良くなるのは素直に嬉しかった。
「さて、俺も次の講義いきますか!」
この時の俺はるんるん気分であった。
偶然に起きたこの会合、これにどんな意味があったかも知らずに・・・
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「萩野君、いけないよあんなに可愛い子侍らせて。隣は私なのに」
「朱莉にも他の奴にも譲らない」
「絶対ウチのものにするよ~」
「きれいな人ばかりだけど、負けたくない・・・!」
「あんたはさ、私だけを見てれば良いんだよ」
「真くんのお嫁さんはわたし、わたしなんだよ」
「萩野さん、由衣とこども作りましょうね?」
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