本日4月20日月曜日。この世界にやってきて2度目の月曜を迎えていた。
「今日の予定はっと…」
本来月曜は講義がない日だが、本日は教授の都合により振替で講義がある。
その為準備をして家を出た。
「〜この場合は云々〜そしてここは〜」
元々この講義を取っている人は少ない+振替ともあって教室に人は少なかった。
(早く終わらないかなー)
教授の声を聞きつつも、話半分。あまり集中できないでいた。
(ん??)
講義が中盤の頃、不意に隣の方から視線を感じた。
(なんか見られてる??)
視線の方が気になり、そちらの方をチラ見する。
するとそこにはリクルートスーツを着て黒髪を纏めている女性がいた。
(あっ)
どうやらタイミングがあったのか、俺と彼女の視線がぶつかった。
「…!」
目が合った瞬間に向こうには視線を逸らされてしまった。
(またいつもの感じで見られてたか…)
よくある事だと思い、その後もチラチラと視線は感じたが無視して講義を聞いていた。
「では本日はここまで」
90分の講義が終了し、各々が席を立つ。
俺も荷物をまとめ席を立とうとした。
「あの…!!」
席を立った瞬間に隣から声をかけられた。
「俺…ですか??」
周りを見たが誰もいず、必然的に自分に声をかけたのがわかった。
「そう、あなたです!」
「えと、何用ですか??」
「あっ、えっとそれは…この後少し時間ありますか??」
この後は家に帰るだけなので特別用事はなかった。
何か用があって声をかけてくれたのだと思い、せっかくだしOKする事にした。
「大丈夫ですよ」
「だったら…ここじゃあれかな、付いてきて」
そう言うと彼女は席を立ち、俺に向かってついてこいとのジェスチャーをした。
とりあえずついていこう。
「えーと、先輩ですよね??」
「…」
「あのー」
「…」
前を歩く先輩?について行き構内を移動するが、俺の問いかけには答えてくれない。
「??」
不思議に思うが、今はついて行ってみよう。
ある程度歩いて、中庭のベンチの所に先輩が座った。
その姿を見て俺はどうすればいいのかと考えてたら、
手で自分の隣に座れと合図してきた。
「失礼します」
とりあえず着席。
人1人分くらい空けて座る。
「…」
「…」
(えっ、なにこの時間?)
座ったは良いものの、何も話さない先輩を見て困惑する。
「あの!!」
一、二分程経った頃にようやく口を開いた。
「名前を…教えて」
「萩野…真です」
「萩野…萩野真くん!学年は?」
「二年です」
「そっか、二年生か」
「えと、先輩ですよね?そちらは?」
「ごめんごめん!わたしは「五十嵐早苗」!四年生だよ!」
「五十嵐先輩ですか、初めまして」
「うん、初めまして!!」
「それで、俺に何のようだったんですか??」
自己紹介は済まし、本題について尋ねる。
「…真くんは、、、彼女いますか??」
「…いません」
「…だったら、わたしと、結婚して下さい!!!」
「…は???結婚???」
いきなりの発言に思考が停止した。
「お願いします、結婚して!!」
「ちょちょ待ってください!どういう事ですか??」
話が見えてこなかったので、一度落ち着いてもらい話を聞く事にした。
「実はわたし、色々うまくいってなくて…単位が足りなくて今更下級生用の講義にも出てるし」
あっ、それであの講義にいたわけね。
「それに就活も全然で…周りのみんなはどんどん就職先決まってるのに、わたしはなんにも引っ掛からなくて」
「そうなんですか…」
なんかいきなり重い話されてないか??
初対面の相手に言うことではなくないか??
「それで毎日、未来に不安を抱えて生きていたんだよ」
「はぁ…」
「だけどね、今日真くんを見た瞬間に閃いちゃったのです!!そうだ!この人のお嫁さんになれば未来は安泰だと!!」
「はいー??」
「もう見た瞬間ビビッと来ちゃって!結婚できれば全て万事うまく行くんじゃないかと!!」
言っていることはいきなり過ぎて理解不能だが、先輩が言っていることは一理ある。
この世界では結婚して配偶者がいる人は社会的地位が高い風潮がある、仕事にも困らないだろう。
「俺達、出会ったの今日が初めてですよ?それに先輩だって俺の事よく知らないじゃないですか?それで結婚は無理がありませんか?」
「確かに今日が初めて、でもね!!わたしの乙女レーダーが真くんは絶対に良い男だって言ってるの!逃しちゃダメなの!」
今までも迫ってくる人はいたが、ここまで圧が強いのは初めてでどう対処すれば良いのかに迷った。
「いや、いきなり結婚は無理ですよ…」
「わたし尽くすよ!」
そう言うと先輩はスーツの上からでも分かる立派な双丘を寄せてみせた。
(デっか!!)
並外れたそれに目を奪われはしたが、ここで屈するわけにはいかない。
「確かに先輩は魅力的な女性ですが…」
「うぅ、なんでよ〜!この体好きにして良いんだよ??」
この人なりふり構わなさ過ぎだろ!?
「えと、ごめんなさい」
「結婚してよ〜!!」
半泣きになりながら押してくる。勢いでOKしてしまいそうになるがグッと堪える。
「わたしの幸せな未来が〜…」
その姿を見てると何だが申し訳ない気持ちにもなってきたので、提案を一つする。
「いきなり結婚は無いですが、もしかしたらこの先仲良くなって関係が深まれば結婚する事になるかもしれなくもないですよ?」
「ほんと!?」
「あくまで可能性の話です」
「なら今すぐ仲良くなろ!ね!」
どこまでいっても圧が強い。
「こう言うのは時間をかけて距離を近づけていくものですよ。とりあえず連絡先交換しましょう。今はそこまでです」
「わかった!!」
スマホを取り出し連絡先を交換する。
「真くんの連絡先ゲット!」
スマホを胸に当てまるで宝物のように扱う。
「毎日連絡するね!」
「いやそれは…」
「よろしくね!未来の旦那様!」
「…よろしくお願いします」
完全に自分の世界に入ってる先輩に何を言っても無駄だろうと思い、曖昧に答えた。
「じゃあわたし次の講義にいくね!またね!」
話を終えると先輩はベンチから立ち上がり、校舎の方へスキップ去って行った。
「なんか凄い人と知り合いになってしまったけど、大丈夫だよな??」
今までにはいないタイプと知り合いになり、この先どうなるかが少し不安になった。
「アレ、凄かったなぁ」
不安にはなったけど、男の子だものちょっとだけ嬉しいと言うかワクワクしてる自分もいた。
先輩を見送った後に、俺も帰るかと思い席を立った瞬間。
「なにあんた結婚するの?」
「苺さん」
大学ではツインテールではなくストレートの髪型をしている苺さんに声をかけられた。
「本当にこの大学だったんだな」
「まぁね、所でたまたまさっきの会話聞こえてきたんだけど」
先輩の声が大きかったのか、話の内容が聞かれていたらしい。
「いや、流石にしないよ」
「そっか」
「あの人、何もん?」
「さっき知り合ったばかりの先輩」
「なんか凄い人だったね」
「圧強過ぎてビックリしたわ」
「モテそうだもんね」
「…ほどほどにはな」
「まぁあんたが結婚するかはどうでも良いけど、私のファンはやめないでね」
「それはもちろん」
「そ、ならいいけど」
「俺はこれで帰るわ」
「私も次の講義いくね」
苺さんと別れて今後こそ帰宅する。
もしかして苺さん、俺が結婚するかが気になって声をかけてきたのかな。
夜、五十嵐先輩から怒涛のライムが来た事は言うまでも無い…