その日、一つの土地が地獄に変わった。周りの小国の後の記述にはこう記されている。天から雷が振り注ぎ、地から炎の渦が巻き上がる。その様は世界の終わりかと思われる物で7日7晩に渡り地響きと破壊の衝撃が大地を揺らしたと
だがそれがたった2人の魔法使いの戦いによる物であったと知る者は当事者を除く、後の大魔法使いフランメとフリーレンだけであった。
「ハア、ハア、ハア…ハッハッハ…強すぎでしょ…師匠、ガッハァ…一応、あらゆる対策を立てて来たんだけどね」
8日目の朝日が昇る頃勝敗は決した…ズタボロになり脇腹が抉れ、左手を残し他が千切れた状態で地に伏しているのは…アビス
「クックック、そう言うな…これまでの長き生で私と戦い、これほどの傷を与えたのはお前が初めてだぞ…フフフ…私の初めて…嬉しいか…アビス」
「ええ、男冥利に尽きますが…ベットの上なら更に良かったですよ」
ゼーリエは五体満足だが足は魔法で何とか動かせる状態で両腕は黒焦げで痛覚もなくなっている状態になっていた。
また体の中も毒や内部の臓器を幾つか損傷していて口の端からは血が溢れていた。
「ごっふ…本当に良くやった…僅か2年、外にやっただけで……私の予想を超える成長、魔法の数々…それで、コレからどうする…私の元に戻るか?まだ修行を続けるか」
「…私は貴女の元を去ります」
そう告げるとゼーリエの眉が僅かに下がる。
「…まだ諦めないのか」
「ええ、どれだけ時間が掛かろうと諦める気はないですよ」
傷を癒した次の日にはアビスはゼーリエの元を旅立とうとしていた。
「師匠、コチラを」
「ん?…お前、こんな物を渡しても私には意味がないだろ」
ゼーリエに手渡された物は料理書であった。アビスが前世の知識で再現出来る限りの料理が記されていた。
「意味はありますよ…私が貴女を倒し時には妻となり美味しい手料理を振る舞って貰いますから」
「ぷっ…アッハハハ」
一頻り笑ったゼーリエは彼の顔を見た、其処には何処までも本気な何時もと変わらないアビスがいる。
「昨日の敗北で心が折れたか、心配だったが…その様子なら大丈夫のようだな…いつか…お前が私に勝てたら…食わせてやるとするさ」
次の戦いは何時になるか、ゼーリエは再び挑むであろう男の背中を見送った。
しかし
この日より70年の月日が過ぎても彼は現れず、旅立ちの日に交わした約束が今生の別れとなってしまった。
アビスとの出会いから3000年の月日がたった。
「…
「んあ……ハア、寝ていたのか…よりにもよってあの夢とは」
「師匠が居眠り何て珍しい事もあるね…明日は嵐かな?」
先日、弟子にした人間の少女が窓を空けて空を見上げていると頭にボカンと魔導書が命中する。
「いった〜!!」
「下らん心配より、課題は出来たのか」
「もう!だから起こしたんじゃない」
プンプン怒りながら課題にした魔法を見せ始めた。
「よし…次はこっちの魔法だ…出来たら見せろ…?何だ人の顔をジロジロと」
目をパチクリさせながら弟子がニコっとしながら
「師匠!何か良い夢見ていたでしょ」
「良い夢か……フン、下らん夢だ…果たせぬ約束をした挙句、詫びの一言もなく消えた…身の程知らずの愚か者のな」
「え〜、絶対嘘だよ…だって師匠…文句言ってるけど優しい目してるもん」
「私はいつでも優しいだろ
「ひぃ〜、全然優しくな〜い」
自身の大好物を無しにすると聞き急いで課題に取り掛かっていく。そんな弟子を見ながら僅かな寂しさを孕んだ瞳で空を見上げた。
(嘘つきが)
ゼーリエ様は優秀な弟子には何だかんだで甘いと思うのでこんな感じだと思います。
アビスは原作の中央諸国の国で研究を続け魔族の退ける結界の作成に人生を費やしました。居場所を掴んでいたゼーリエ様ですがアビスが自分で来るのを待ち続けていました。
自分からだと師匠としての威厳がと悩んでいたが、それから少ししてアビス死亡を耳にしました。
次回はアビスの詳しい生涯になります。