箱入りキメラ   作:生きる

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何視点が最適なのかはわからない
すべて勘
読むときも勘で読むといいと思います


③出会ったのは

「ああ、ルヴェルさん、であってるか?」

 

「…?

うん。」

 

涙を止め困惑を浮かべて目をぱちぱちさせながらそのスライムを見つめる。

不思議そうな顔のままおもむろに呟く。

 

「中にいる?」

 

「!?わかるのか?」

 

「何となく。

少なくとも力ずくならこんな穏便には済ませられないはず。」

 

リムルは察しの良さにほう、と関心する。

そして、本当に誤解もなく争いになることもなく対話をすることができて安心している。

 

ルヴェルの方も父の無事に胸のざわつきは消え、初めて見るスライムボディをつついたり撫でてみたりしながら会話をする。

一見単純な好奇心による笑みに感じる表情にも、若干の安堵が垣間見える。

 

「俺はリムル、リムル=テンペスト!

さっきヴェルドラと友達になったんだが、なんやかんやあってヴェルドラは封印の解析のために俺の胃袋の中にいるんだ。」

 

納得の表情を浮かべている。

封印解除にかかる100年の時もルヴェルにとっては親元から離れたちょっとした留学的なものだ。

最も、父から封印されているなどという話さえ聞かされていなかったのだが、一般を知らぬから動けないのもそういうものだと思っていた。

 

「そうなんだ

わたしはルヴェルであっているよ。」

 

ルヴェルの触れ合いがエスカレートしてもはやこねくり回されながらリムルはハッとする。

 

(ってか、親子の関係を差し置いて俺が共通のファミリーネームを持ってるのって結構おこがましくね!?)

 

一言謝るため恐る恐る話題に出す。

 

「その…ヴェルドラがリムルって名前付けてくれて…」

 

ぷにぷに

 

「わたしも父様から貰った。」

 

ぷにぷに

 

少し誇らしげに笑う。

 

「それで…テンペストってのもヴェルドラと同格って感じでファミリーネームとして付けあったんだけど…

まさか娘さんがいるなんて思ってなくてだな…」

 

ぷにぷに

 

「??

次会った時にわたしも付けてもらうから別に。」

 

ぷにぷに

 

気にしていないようでリムルはほっと胸を撫で下ろしていたが、ルヴェルはと言うとどちらかと言うとほとんど意識を会話ではなくリムルの観察に向けていた。

ほんの数刻ほど前まで涙を流していたとは思えないほど熱心だ。

 

「あの…さっきから何をして…」

 

「観察。

父様以外の生き物に会うの初めてだからはじめてだからうれしい。」

 

「そ、そうなのか。

うん。研究熱心なのは良いことなだな!」

 

最低限の説明をした後すぐにまた観察…スライムボディを揉むことに専念しだす。

 

「『柔らかい』だね。

『ぷにぷに』?『ぷるぷる』?『つやつや』?」

 

当てはまる言葉を脳内で模索している。

 

(?)

 

身体を揉みながらなにか呟いているルヴェルを不思議に思った束の間、ルヴェルにぎゅうと抱きつかれる。

 

(!?!?)

 

「これは…『冷たい』?『寒い』?」

 

半径数メートルの彼女の世界では観測できなかった事象をひとつひとつ当てはめているようだ。

 

美少女が自信に抱きついているという緊急事態よりも困惑が勝っていた。

 

(これが所謂"電波系"ってやつなのか?)

 

どちらかと言うと、ただの子供の好奇心、探究心によるものだ。

 

なるほど、自分の役目を理解した。

この箱入り娘、もとい世間知らずに世界を教えてやること。そして身を守ってやること。

実際リムルの方がこの世界については詳しくないのだが。

 

「ぷにぷにで冷たい、が適した表現かな。」

 

大きな瞳ををぱちぱちさせる。

 

「リムルはぷにぷにで冷たい…なるほど。」

 

ふふ、と嬉しそうにその感触を堪能する。

 

(うっ!やっぱりかわいいな!!

にしても貧相な体つきだ…

もし誰かに遭遇しても服もほとんど意味なくてまずいし、まずはそこからだな)

 

「とりあえず、洞窟から出てみないか?

あと服も用意してやりたいし、外に行かなきゃ始まらないからな。

外に行けばきっと洞窟の比べ物にならないほど魔物がいるはずだ。」

 

「外!はじめて!」

 

目をきらきらさせてはしゃいているルヴェルに微笑ましく思っていると、いきなり持ち上げられ運ばれる。

まあ、楽しそうだからいいか…と半ば諦めである。

 

 

〈リムル視点〉

そんなこんなでしばらく外を目指してルヴェルに運ばれていると、目の前にデカめの蛇が現れた。

 

 

『水刃!』

 

俺は水刃で黒蛇を真っ二つにし、ルヴェルはその死体を観察する。

 

「もっと動いてるところ見たかった…」

 

とムッとした顔をしていたが、怪我を負ったり最悪死んだりするのよりは断然マシだろ!と心の中でツッコんでおく。

 

そしてしばらく目をぱちぱちさせたあと

 

「??変な感じするぅ…」

 

とルヴェルは左腕をさすっていた。

 

「どうかしたのか?」

 

「なんかくすぐったいだけ。

まあいいや、もう食べていいよ。」

 

ええ…うわ、蛇の死体きもちわる。おええ…

 

 

黒蛇から得た毒霧吐息を使って甲殻トカゲを溶かしたときは最悪だった。

かなりドロドロ溶けてく姿はうわ…思い出したくない…

あまりにもグロい光景にルヴェルの目を覆ってやったものの、よく見たい!と駄々をこねられてほとほとあきれた。

もしかして気持ち悪いという感覚がないのか!?と思うほどだ。

ムカゲにも同様に、喜んで!といった風に近づいて行った。

なんならムカゲには生きてるのを近距離で観察していた。

無敵か!?

 

 

そして、ブラックスパイダーを捕食したことで鋼糸を獲得し簡易的ではあるがルヴェルに用意してやることもできた。

 

「着方わかんないー」

 

変なところから頭を出したりひっくり返してみたり試行錯誤している。

仕方がないので俺が着せてやると、まともな装いによってやはり見違えるように見栄えが良くなった。

間に合わせの服ではあるが、年頃の女の子らしい。(200歳)

あとは…長ったらしい前髪もなんとかしてやりたいものだがスライムの身体ではちゃんと切ってやれないだろうな。

とは言っても人間の姿になってもうまく切ってあげられる自信はないが。

本人は気にしていないようだからしばらくはそのままでいてもらおう。

 

 

コウモリを捕食したことで超音波を用いて声を発することができるようになった。

 

「アメンボアカイナアイウエオー」

「あめんぼあかいなあいうえおー」

 

「ワレワレハウチュウジンデアル!」

「われわれはうちゅうじんである!」

 

いきなりちゃんと話せるようになった俺に目を輝かせながら、俺の発声練習に合わせてルヴェルが復唱してくる。

ふむ、真似っ子期ってやつか?

 

 

それから俺たちは様々な魔物を倒していった。

俺たち、といより基本的には俺しか戦ってないけど。

俺が倒してルヴェルが観察というルーティンができあがっていた。

 

試しにルヴェルに1回戦ってもらったらその辺一帯が吹き飛んだ。

手加減を学んでこなかったらしい。

ヴェルドラの"教育の賜物"だろうな…

 

俺はその時初めてルヴェルの“本来の姿”を目にした。

たしかに、異質な見た目だった。

まだこの世界の一般的な魔物を少ししか見てきてはいないがそんな俺でも特別な存在だというのが見てとれた。

大賢者に解析をお願いしても、さっぱりといったようだ。

大賢者にわからないならいくら考えても仕方がない。

あと、大賢者曰くルヴェルは”本来の姿”だと魔素の量が桁違いに増えるそうだ。

絶対人前でその姿になるなよ!!と念押しすると「父様にもさんざん言われた」と不満げに漏らされたのだった。

 

 

しばらくしたら洞窟の出口らしきものがみえてきた。

 

「!!扉が開くぞ!」

 

俺が身を縮こませるとルヴェルも真似してしゃがんで縮こまろうとする。

かわいいな。

 

三人組が去ったのを確認して外に出る。

 




ルヴェルは基本耐性を切ってる
なぜなら全てを生で感じることができるから
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