箱入りキメラ   作:生きる

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リムルの言うルヴェルへのかわいいは猫や赤ちゃんへのそれと同じ


④外の世界には

ルヴェル視点

 

洞窟の外に出た。

何も悪いことはしていないはずなのに、罪悪感というものが押し寄せて来る。

いや、"申し訳なさ"だろうか。

 

なんでだろう、わからないね。

 

少し上を見ると光を放つ何かが青に浮かんでいる。

 

「『眩しい』…」

 

目をぱちぱちさせてその光と目を合わせる。

絶対いけない事なんだろうけど、見透かしてやりたかった。

一丁前にわたしを焦がそうとするその光の根源を。

 

リムルに肩を叩かれる。

今はそれどころじゃない。

 

「おーい」

 

無視。

今はあの光にガンつけるので忙しいから。

 

吸い込まれるような錯覚に襲われる。

もしこれが錯覚でなかったらどんなに素晴らしいだろうね。

 

「おい!

太陽を肉眼で見ると目悪くなるんだぞ!」

 

そんなこと、今は問題じゃない。

 

「まだもう少し観察してたい。」

 

「じゃあ置いてくからな!

しばらくしたら戻ってくるけど、この場から離れるなよ!」

 

「うん。」

 

 

リムルを怒らせてしまったかもしれない。

大丈夫。

動かないでじっとしてるのは得意だから。

 

…リムルが戻ってきたら謝ろう。

 

しばらくしたら満足したので光から目を離した。

あたりを見渡すと本当にリムルはいなかった。

あ、やっぱり置いていくんだ。

捨てられちゃったのかな、

 

まあいいや、よく見るとまだまだ色々なものがある。

暇つぶしには持ってこい。

 

あれってもしかして噂に聞く"木"というものかな、と心を躍らせていると

 

「そこのお嬢ちゃん、有り金全部寄越しな」

 

「人間?

わたしお嬢ちゃんじゃない。

お金も持ってないし。」

 

変なの2人組(チンピラ)に絡まれてしまった。

 

そもそもわたしは生物学的には…

 

「クソがッ!!余裕ぶりやがって!」

 

「おい!なかなか綺麗な顔してるぞ!金を奪うだけじゃ勿体ねぇな…」

 

顎を掴まれて顔をまじまじと見られる。

仕方が無いのでわたしも目をぱちぱちさせて"人間"を観察する。

 

「へんなかお

ちょっと臭い」

 

「あ゙??ナメてんのかクソガキ!!」

 

黙って胸ぐらを掴まれてやってる。

殴ったらリムルに怒られちゃうもん。

 

「”クソガキ”ってどういう意味?

呼称?」

 

1発殴られた。

下手くそでへなちょこな1発。

でも、結構”痛い”。

痛覚無効使っとけばよかったかな…でも人に与えられる”痛い”も初めて。

 

《告 物理攻撃耐性を獲得しました》

 

ふふ、やっぱり嬉しいかも。

 

「"ありがとう"。」

 

「お前ふざけてんのか??

もう良い、やっぱりぶっ殺してやる」

 

突き飛ばされた。

お礼は言った方が良いってリムルが言ってたよ。

まだ死にたくないな。

 

死んで欲しくもないな。

見てないものがまだまだいっぱいあるはず。

もったいないよ。

 

剣を抜いてこちらに向けてくる。

剣は危ないと父様が言ってた。

 

「オラァァァ!!」

 

切られるのは嫌なので、"人化"を解いて振られた剣を受け止める。

リムルに怒られてもいいや。

 

「なっ!何!?バケモノ…!!」

 

「バケモノ…それも呼称?」

 

まあいいや、仕方ないもんね。

 

殴る。

わかったことがある。

人の姿だとほとんどの力が出せない。

だからこうしてホントの姿になることでしか対処できない。

 

ヒトが吹き飛んだ。

初めて会った人間なのにいい思い出が残らないのは残念。

このヒトたちも死ぬのはもっと色んな物見てからでも遅くないと思うんだけど。

 

"悪意のある者に殺されそうになったら対処しても良い"と父からも言われている。

身を守るために、わたしは育ったのだから。

 

「バ、バケモノ!やだ!死にたくない!」

 

わたしも死ぬの嫌なんだけどな。

もう一人も殴り、吹き飛ばす。

 

一件落着。

人に擬態して手の甲を摩る。

やっぱり嫌だな殴るのは。

"あの姿"になるのも、あれが本来のわたしのはずなのになんだか少し気分が悪い。

 

 

「ルヴェル!何があったんだ!?」

 

リムル、来てたんだ。

 

「ねえ、"バケモノ"ってどういう意味なのかな?」

 

「…っ!

とにかく!もう危険な場所ではひとりでいるなよ!

安全が保証された場所以外は俺と行動すること!」

 

「でも、置いてったのはリムルなんだけど。」

 

「うっ!わかった!

じゃあ観察も安全な場所ですること!

もし1人の時にこういうことがあったら、まず対話を試みること」

 

「ん。」

 

これからリムルといたほうが都合がいいだろうし文句は言わない。

 

吹き飛んでったヒトが多分死んじゃってるのはナイショ。

きっとリムルは人間のことが好き。

善人とでも悪人とでも共存を望むんだろうから、知ったら悲しむ。

 

「それで、さっきゴブリンたちが…」

 

だからわたしも人として…

 

 

 

リムル視点

 

ルヴェルと一時的に別れた俺はゴブリンたちと会い、村に招待されることになった。

 

「悪い!ツレを置いてきてるんだ!少し探してきてからでもいいか?」

 

そう言ってルヴェルを探しに行く。

 

冷静になってから、ルヴェルを置いてきたことについて、少し後悔している。

 

ヴェルドラから託された子なのに見放してしまったこと、たとえ俺より長く生きているのだとしても幼い女の子を1人にしてしまっていること。

そもそも精神年齢で言えば俺の方が大人なんだからすぐに頭ごなしに怒ってしまったのはかなり大人気ない。

 

もちろん、今回の件にはルヴェルにもだいぶ非があるのだが。

 

とにかく、何事もなければいいんだが…

 

洞窟の方向へ向かうと遠くてよく見えないが、胸ぐらを掴まれているルヴェルの姿が見えた。

 

何してるんだアイツ!?

急いで向かうが遅かった。

何かを話したあと剣がルヴェルに向けられる。

剣が振り下ろされるよりも早く、ルヴェルが姿を変えた。

 

そして2人を殴り、吹き飛ばした。

 

2人目の時は、きっと俺はルヴェルのことを止めることができる距離にいた。

でも、出来なかった。

ルヴェルが…恐ろしかったのかもしれない。

どうしようもなく、化け物だった。

そして、目が離せなかった。

 

 

果たして、事が済んだ。

人化したルヴェルの姿を見て少し安心してしまう。

 

「ルヴェル!何があったんだ!?」

 

「ねえ、"バケモノ"ってどういう意味なのかな?」

 

「…っ!」

 

何も言えない。

俺は、そう思ってしまったから。

 

「とにかく!もう危険な場所ではひとりでいるなよ!

安全が保証された場所以外は俺と行動すること!」

 

「でも、置いてったのはリムルなんだけど。」

 

図星を突かれる。

 

「うっ!わかった!

じゃあ観察も安全な場所ですること!もし1人の時にこういうことがあったら、まず対話を試みること」

 

「ん。」

 

「それで、さっきゴブリンたちが…」

 

ルヴェルに持ち上げられながらさっき起きたことを話す。

 

俺を支えるルヴェルは少し、震えている気がした。

 

 

 

大丈夫。

 

俺が守ってやるから。

 

俺が、守れるようになるから。

 

俺はお前を、バケモノなんかにしない。

 

そう心の中で小さく呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…リムル、ワガママでごめんね」

 

「ああ、いいんだ。

こちらこそ大人気なくて悪かったよ。」

 

「うん。

"ありがとう"。」

 




若干のすれ違いと、小さな決意
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