姫宮高校の小さなエース   作:空央葉

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プロローグ

 

中学で無名の存在だった私は家からの距離で姫宮高校に入学した。

 

「山本青葉です。中学は投手で右投げ右打ち。先輩たちに負けないように一生懸命頑張ります!!」

 

高校の入学式から数日後、私を含めた新入生は先輩たちに挨拶。

 

「新入生はレギュラーを奪うつもりで励んでほしい。レギュラー陣は新入りに負けないようにしてね!」

 

新入生の挨拶の後、在籍している先輩たちの挨拶。

 

(あの人たちはマネージャーなのかな?)

 

選手たちとは別の場所にいる2人の先輩。ユニフォームを着ているから部員ではあるんだろうけど。

 

「キャッチボールしてね」

 

二組に別れてのキャッチボール。新入生の数は5人で奇数で1人あぶれる形となり、あぶれた私は初日に先輩に声をかけづらいなと思いながら相手を探していると。

 

「一緒にやる?」

「あ……お願いします。えっと……」

「吉田美月。よろしくね」

 

吉田先輩は相手がいないならやるよと誘い、私たちは距離を取ってからキャッチボールをはじめる。

 

「緊張しなくていいよ」

「はい」

 

先輩を相手のキャッチボールってしない人の方がいないような……。

 

「山本さんは投手の他にポジションはやったことがある?」

「内野を守ってました」

「何処?」

「セカンドです」

 

中学では投手の他に内野のポジションを守っており、内野手兼投手で大差の展開では投げていた。投手としては平凡なタイプで打者を圧倒するほどの球威はないけどコーナーをつけるコントロールには自信がある。

 

「こっちではどっちをやるの?」

「求められたら何方でも。こだわりはないので」

 

野球を始めた頃は投手でエースを目指すのは理想と思っていたけど、中学で内野をやるようになってから、試合に出られるなら何方でもいいと思うようになった。

 

「いいボール投げてるよ」

「ありがとうございます」

 

軟式出身なので、これから硬式に慣れていく段階なんだけど、先に経験している人から褒められるのは自信になる。

 

「山本さんは何でうちにしたの?」

「ここが一番近かったから。自己紹介の時も話したんですけど、中学では無名な方だったので……」

 

中学ではレギュラーの立ち位置ではなく、たまに試合に出る立場の選手で、甲子園を狙うような強豪のスカウトの目には留まらず、家からの距離で姫宮高校に決めた。

 

「山本さん、投げてもらうからこっちに来て!」

「あ、はい!」

 

キャッチボールが終わってから、ポジションについての守備練習。投手希望の私は吉田先輩にお礼を言ってから、グローブを持ってマウンドに向かった。

 

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