GOD SPEED LYCORIS   作:フォイオ

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暗殺者

 

 あのエリアXの爆発後、マスクドライダーシステムについてDAの機密データに侵入して一通り調べた。俺は天の道を征き、総てを司る男。ハッキングもお手のものだ。機密データでは既にマスクドライダーシステムの開発は実験段階を終えていたらしい。

 

俺がエリアXで破壊したゼクターは全て偽物だった。

 

マスクドライダーシステムの実験が終われば残るは適合者の選抜のみ。適合者候補はDAでも上位のスペックを持つ人間に絞られる。

 

なお、ゼクターとの相性も考慮し人材が選出される。今わかっている適合者は資料に書いていた錦木 千束のみ。

 

これ以上、ネイティブ側の戦力が強化されればいずれ邪魔な俺を抹殺しに刺客を送ってくるだろう。

 

以前、ネイティブが人類全てを同胞に変える計画を阻止し親玉を排除した。その関係で奴らは執拗に俺を狙ってくる。

 

その時、敵として送り込まれた錦木 千束と戦うのだけは避けたい。

 

まずは、引き続き調査を継続しつつ原作で死亡する人間の救済でもしよう。千里の道も一歩からと言うしな。焦らず慎重に行動しよう。

 

そう言えばもう原作でいう5話目が始まった。その間、俺は地下鉄襲撃事件の犯人である真島を捕まえて簀巻きにしてやった。これで延空木の事件は起きないだろう。不確定要素は消さないとな。

 

それと5話の内容は機械に繋がれた車椅子の老人 松下もといそれを操っている吉松シンジが錦木 千束に人殺しをさせるために芝居を打って吉松が手配した暗殺者と殺し合いをさせる話だったはず。

 

それも知らずに千束は夜鍋して作った観光資料を元に松下という存在しない架空の人間(本来は薬の中毒症状で寝たきりのただの老人)と日本観光を楽しんでいるだろう。

 

いつネイティブが錦木 千束に接触してくるかわからない状況で彼女たちから離れるわけにはいかない。さらにはワームの脅威もある。気を引き締めなければ。

 

 

「あれ?また見られてるような……」

 

 『どうされたんですか?』

 

「任務に集中してください、千束」

 

 

また勘付かれたか。やはり、錦木 千束は侮れないな。もうここまでいくと偶然ではすまされない。錦木 千束は本能的にクロックアップ世界の俺を感知している。恐ろしい奴だ。さすが、旧電波塔の事件で俺のクロックアップシステムを壊しただけはある。

 

 

「うーん、気のせいかなぁ?最近誰かにすごく見られてるような気がするんだけど……」

 

「変なこと言ってないで観光を続けますよ」

 

「ごめんごめん」

 

 

さて、ようやく錦木 千束一行が移動を始めた。この後は暗殺者が本格的に松下を殺しに行動を始めてたきなと激しい銃撃戦を始めるはずだ。

 

俺はカブトエクステンダーに乗り込み、付近の工事現場に張り込みをする。あぁ、そういえばミズキは暗殺者に捕まるんだったな。まぁ、ミズキは放っておいていいだろう。あいつが死ぬことはない。

 

考え込んでいるうちに銃声が聞こえてきた。派手にやるものだ。俺も混ぜてもらおうか。

 

 

「なっ?!目の前で銃弾が真っ二つに?!」

 

 

本来であればたきなの足を掠めるはずの弾丸は俺がカブトクナイガンが切り捨てた。おばあちゃんが言っていた。女の子を傷つけるのは男の子が最もやってはいけないことだとな。

 

 

「たきな!」

 

「千束?!」

 

「チッ!」

 

 

工事現場の鉄骨から勢いよく千束がジャンプして暗殺者に近づく。その間、無防備になった体に暗殺者の銃が撃ち込まれるも千束はさも当然かのようにかわし続ける。

 

俺はそれを見届けて場を離れようとしたが、その時突然アクシデントが起きた。

 

 

 『CLOCK OVER!』

 

「あれはカブト?!」

 

「どうしてカブトがここに?!」

 

「何者だ奴は?!」

 

 

面倒なことになった。また姿を見られてしまった。こういう時はあれだ。いつものポーズだ。

 

 

「おばあちゃんが言っていた。子供は宝物。この世で最も罪深いのは、その宝物を傷つける者だ。とな」

 

「何をふざけたことをぉおお!!」

 

 

暗殺者のロン毛の男が銃弾を俺に撃ってきた。俺は銃弾を偶然持っていた箸で一つ残らずつまみ取り手の中に集め粉砕する。

 

 

「おばあちゃんが言っていた。未熟者ほど喧嘩するってな」

 

「ばかな……」

 

「うそ、箸で銃弾取っちゃったよ……」

 

「これがカブトの力ですか?!」

 

「返すぞ」

 

 

俺は手の中で粉砕された銃弾をロン毛の男に投げつける。勢いよく投げられた粉末状の弾丸は奴の顔面を打ち強烈な衝撃を与えた。

 

 

「ぐぁああああああ?!」

 

「いまだ、千束」

 

「どうして私の名前を?!」

 

「急げ」

 

「う、うん!」

 

 

俺の言葉でようやく動いた千束がロン毛の男を非殺傷弾で無力化する。残ったのは俺と千束とたきな、それと気絶したロン毛の暗殺者だった。

 

 

「じゃあな」

 

「ま、待って!私あなたにどうしても聞きたいことが!」

 

 『CLOCK UP!』

 

「行かないで、お兄ちゃん!」

 

 

俺はその言葉に足を止める。しかし、決して振り返りはしない。仮面ライダーという宿命を背負った時に俺は人であることを捨てた。俺は人間 天道 ソウジではない。ただの仮面ライダーカブトだ。

 

 

「どうして姿を見せてくれないの、お兄ちゃん……」

 

「千束……戻りましょう」

 

 

俺は声を無視してカブトエクステンダーに乗り夕日を背にバイクを走らせた。やはり、バイクはいい。孤独を楽しめる。

 

それにクロックアップの世界では誰も俺に気づくことはない。まるで世界が俺を中心に回っているような感覚すらする。

 

しかし、千束はまだ覚えているのか。あんなに小さかったのに。男児3日会わざれば刮目せよの女の子バージョンだな。昔は何かあればお兄ちゃんお兄ちゃんと呼んでいたのに。

 

まぁ、今更こんな話をしても仕方がないか。そろそろネイティブの動向でも探るとしよう。奴らはきっとまた何か企んでいる。天に立つのは人類か、ネイティブか。その鍵は……俺が握る。

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