サポート科、分倍河原灰斗   作:うめけ

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ベイビー披露会

 

 

騎馬戦終了後モニターには、本戦進出者一覧が表示されていた。ヒーロー科の名前が並ぶ中

 

《分倍河原灰斗》

《発目明》

 

サポート科からも二名。

 

「サポート科すげぇな」

「蜘蛛の奴も残ったのか」

 

灰斗は蜘蛛型マシンを分解しながらひとり反省会中。

 

「……脚部、やっぱ歪むな」

「耐熱不足」

「積載時の関節摩耗」

「推進補助時の振動……」

 

ブツブツ呟いている。

 

「何してるんです?」

「データ整理」

「本戦前ですよ!?」

「満足した」

 

発目が止まる。

 

「……はい?」

「欲しかったデータ、大体取れた」

「体育祭を実験場扱いしてます!?」

「うん」

 

周囲の生徒達も聞いてしまっていた。

 

「え、辞退すんの?」

「もったいな……」

 

「別に戦いたい訳じゃないし」

 

その言葉に嘘はなかった。本当に興味がなかったのだ。体育祭で欲しかったのは勝利でも名声でもない。

実戦データ。それだけ。

 

「……なるほど!!じゃあ私と同じですね!!」

「同じ?」

「ベイビー披露会です!!」

 

発目は胸を張る。

 

「全国へ向けた、超大規模宣伝イベントですよ!!」

 

その後灰斗は本戦辞退を申請した。教師側は少し驚いていたが本人の意思は固かったので認められた。結果、本戦トーナメント表から分倍河原灰斗の名前が消える。

 

「辞退!?」

「怪我か?」

「いや普通に歩いてるぞ」

 

理由が「データ取れて満足したから」だとは誰も思わない。

 

一方、発目は別方向で動いていた。

 

「あなたが飯田さんですね!!」

「む?発目くん!」

「提案があります!!」

「な、何!?」

 

意味は分からないが真剣そうではある。飯田は眼鏡を押し上げた。

 

「分かった!!正々堂々受けよう!!」

「ありがとうございます!!」

 

彼は騙された。

 

 

 

 

 

 

サポート科観客席で灰斗は静かにノートへ書き込んでいた。《蜘蛛型運搬マシン改良案》を

 

ドォォォン!!

 

歓声。本戦が始まっている。灰斗も少しだけ視線を向ける。

 

『発目明 VS 飯田天哉!!』

 

実況が響き観客席も盛り上がる。だが実際の試合内容は

 

「見てください!!私のベイビーをォ!!」

 

ベイビーお披露目のために、サポートアイテムを装備した飯田が振り回されている光景だった。

 

「な、なんだこれはァ!?」

 

完全に披露会。

 

「うわすげぇ!?」

「サポート科こんなの作れんの!?」

 

企業関係者達もざわついていた。

 

「出力高いな」

「荒いが発想力がある」

 

まさに発目の狙い通り。

 

「……ちゃんと宣伝になってる」

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜分倍河原家

 

テレビでは体育祭本戦特集が流れている。仁がソファで笑った。

 

「お前辞退したんだって?」

「うん」

「まぁお前っぽい」

 

軽いがどこか安心した顔でもあった。

 

 

 

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