翌週サポート科実習
課題は《災害救助支援》。瓦礫地帯を想定した、運搬・補助訓練だった。
実習棟内には崩落区画が再現され、コンクリ片や鉄骨が散乱している。
「今回は“戦闘”じゃねぇ」
生徒の前でパワーローダーが言う。
「助ける側が、どう動きやすくなるかを考えろ」
周囲の生徒達が頷く。
「燃えてきましたねぇ!!」
発目がいつもの巨大装備を引っ張ってくる。
「今回は何」
「超重量物持ち上げアームです!!」
「床抜けそう」
「可能性はあります!!」
不安しかない。一方灰斗は静かにモールを並べていた。以前より少し大型で脚部を強化しフレームを増設したもの。そして頭部に小型ランプ。
《モール改》
「ついに安全表示付きですか!!」
「動作状態見えた方が安心するから」
「成長してますねぇ!!」
実習開始。各チームが瓦礫地帯へ入り発目は開始三分で壁を壊した。
「想定より脆かったです!!」
「お前の出力が高いんだ!!」
パワーローダーの怒声が響く。
灰斗は別区画にいた。崩れた鉄骨地帯で人が通るには狭い。
「……モール」
カサカサ……
複数のモールが前進し狭所へ侵入。障害物を確認しルート共有。以前より明らかに滑らかだった。
「ルート確認」
ピッ
頭部ランプが青点灯。安全経路を表示。周囲の生徒達が少し驚く。
「分かりやす……」
「前より普通に使いやすいな」
“使いやすい”。その評価が前より少し嬉しかった。
モール達が瓦礫を持ち上げる。一機では無理だが、複数機が自動連携。位置を調整し荷重分散。持ち上げが成功。
「おお!?」
周囲がざわつく。以前のモールなら無理やり持ち上げて壊れていた。でも今は違う、無理をしない。できる範囲で連携する。
「判断してる……」
近くの生徒が呟く。灰斗は端末を見る。
《負荷超過回避:正常》
以前追加した安全制御だった。
その時ゴゴゴ……と崩落音がした。
「!?」
上部瓦礫が崩れる。
カサッ!!
モール二機が前へ出る。脚部固定し簡易シールド展開。
ドゴォッ!!
瓦礫が直撃しモールの脚が歪む。一機が停止しもう一機もひび割れる。灰斗は壊れたモールを見る。複製すれば補充できると、前なら多分そう考えていた。でも今は違う。
「……よく耐えた」
それは初めて機械へ向けた労いみたいだった。
実習終了後パワーローダーが壊れたモールを見る。歪んだ脚。削れた装甲。だが完全破壊は免れていた。
「……改良したな」
「壊れる前提、減らしました」
パワーローダーは少しだけ笑う。
「そうか」
前より少しだけ評価している顔だった。