幻想七天録~魔法と刃が起こす奇跡~    作:マトりっくす
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いやはや、またしてもお久し振りです!投稿遅くてごめんなさい!何でもしますから!(何でもするとはry)
シリアスというか重い展開が続きますが今回でほんの少しだけ1mmくらい換気しますのでお楽しみに(?!)
それでは本編どうぞ!


第三十話 見通す少女と山の鬼、そして…

前回のあらすじ

大翔が勇儀に殴り飛ばされた。

アリス「大翔……。」

 

大翔の姿は未だに砂埃に隠されて見えない。アリス達のいるところから距離があるため微細な差異には気付けないけれど確実に姿は見えていない。

 

少女「ねえ、金髪のお姉さん。」

 

そこで初めて少女は口を開く。アリスはその声に反応してその少女の方に向き直す。そして次の言葉を見詰めながら待っている。そのことを察したように黒髪の少女は言葉を続ける。

 

少女「あのお兄さんは大丈夫だよ。軽傷はあるけど大事には至ってないもの。」

 

その少女は見えていない筈の大翔の様子と安否を伝えた。彼女はそれを半信半疑で受け取ったが、少女の目を見ると今まで日本人らしい黒い目をしていたのが蒼い目に変わっていたのに気付いたため、一先ずはその疑問を飲み込んだ。

 

アリス「……そう、伝えてくれてありがとう。」

彼女の能力なのだろうととりあえず強引に納得して歩み始めると、瓦礫を吹き飛ばして大翔が飛び出してきた。服の所々が破け皮膚からは血が出ている。しかし先程の少女がいった通り軽傷のみで大事には至っていないようだ。

 

大翔「っつ……。」

 

体力の消耗はかなり大きいようで膝を突いて息を整えている。

 

アリス「大丈夫……!?」

 

そしてなんとか体を起こせるようになると抜き身の刀を鞘に納め、少しよろけながら少女や勇儀の方へ歩み寄る。

 

大翔「どうして…こんなことを……?」

 

動揺をその瞳に映して二人を見つめる。理不尽に殴られた、それも常人ならいとも容易く死んでしまうほどの威力で。その意図に関して、彼の思考がまったく届かず最後の手段として、その敵かもしれない相手に尋ねるという行動をとった。

 

勇儀「…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あっはっはっ!こりゃ失敬した!」

 

先程までの緊迫した 空気を吹き飛ばすような豪快な笑い声を上げながら謝罪の言葉を口にする。まったく罪悪感も誠意も感じられないが、一先ず敵意がないことは確認できた。二人ともその悪びれていない態度に呆気にとられていた。

 

勇儀「いや~、人違いだ人違い!雰囲気というか気配が長らく顔を見せない知り合いに似てたもんでさ、ついついカッとなってぶっ飛ばしちまった!悪かったねぇ、でも人間にしては規格外の頑丈さだ!あのままやりあってても面白かったかねぇ!」

 

と、見事なまでの理不尽な勘違いで殴ってしまったと弁明する彼女だが、二人はその横暴な言い訳など最早耳に入らないほど困惑していた。頭の周りには今にも疑問符が飛び出してきそうだ。

 

少女「勇儀。」

 

先程の少女がおもむろに彼女の名前を呼びながらその服の裾を握る。まるで子供が親と離れたくないという意思を表すかの様に。

 

大翔「えっとぉ……とりあえずお名前聞いても良いですか……‥?」

 

相も変わらず困惑しきっている二人だが大翔がなんとか現実を受け止めるべく、まずは名前を聞いた。

 

勇儀「私は星熊勇儀、これでも元山の四天王の一角を担っていたのさ。で、こっちが星弦結羽奈(ほしづるゆうな)。訳あって私が面倒見てる子さ。」

 

結羽奈「‥よろしく。」

 

という具合にとてもざっくりとした自己紹介を受けて二人もそれぞれ自己紹介した。大翔は鬼という言葉に反応し少し表情を曇らせたが、未だ混乱気味の頭を使い何とか状況を飲み込んだ二人はこの地底では珍しい人間である結羽奈に関して尋ねた。

 

アリス「えっと、なんでその子は地底に?地上なら人里だってあるでしょ?」

 

勇儀「訳ありなんだよ、まあ元は地上にいたのさ。でも結羽奈の眼が原因で追い出されちまったのさ。」

 

勇儀は少し苦い顔をしながら優しく結羽奈の頭を撫でながら話を続ける。

 

勇儀「金髪の魔法使いはさっきその効力を見ただろうけど、この子は『見えないものまで見えちまう』のさ。さっきの砂埃然り、人間の心理然りだ。場合によっては他人の本質や未来まで見えちまうかもな。まるで覚り妖怪みたいにな。その辺は本人にも分かってないみたいだけど、その眼を忌み嫌った人間達が人里からこの子を追い出しちまったのさ。まあ、他にも色々あるんだけど、そこに偶然通りかかった私が面倒を見てるって訳だ。」

 

ひとしきり結羽奈と勇儀の出会いを聞いて二人は人間の少女が一人、この地底の世界にいることに合点がいった。少しその生い立ちに同情を抱かざるを得なかった。

 

結羽奈「…でも、後悔してない、ここに来たこと。みんな優しいし、色んなことを教えてくれるもの。外見は怖い人もいるけど。」

 

しかし、あまり表情を変えなかった結羽奈が少し笑いながら三人の顔を見て前向きな現状を述べた。その小さくも強い少女に三人もまた笑顔で返した。

 

大翔「まあ、殴られたことはまだ若干腑に落ちない部分もあるけど、とりあえず謝ってくれたんだから水に流すよ。それで俺達がここに来た理由なんだけど」

 

話が一区切りしたところで大翔が自分達が何のために来たのかを 地上で起こったことも合わせて二人に伝える。

 

勇儀「なるほどねぇ、それだと地霊殿の問題児になるかねぇ。最近あまり外で何かをやらかしたって聞かないけど、私の知る限りはそんなことを出来そうなのはソイツしか知らないね。」

 

大翔とアリスは向き合って目的地を確認し、頷く。そして、人間と鬼という不思議な二人組に別れを告げて地霊殿に向かって歩みを進める。

 

大翔(また鬼に会った、確かに悪い人じゃなかった。……それでも、俺は……。)

 

本人の前でこそ明るく振る舞って見せたがやはりその表情は陰っていた。今まで『鬼』という言葉は軽蔑、迫害の意味で自らに降りかかってきた言葉だ。それまるで暗示のように彼自身にも『鬼は悪いもの』という概念が植え付けられているからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、勇儀と結羽奈

 

結羽奈「ねぇ、勇儀。」

 

勇儀「ん?どうかしたのかい?」

 

結羽奈「あのお兄さん、何だか変だった気がする。」

 

勇儀「変?まあ確かに吹っ飛ばされてあんなに簡単に許すなんて変わってるけどねぇ。」

 

結羽奈「そうじゃなくて、中身が、何ていうか勇儀に似てた。だから間違えて殴っちゃったのかな?」

 

勇儀「なるほどねぇ、これはちょっと様子見てみるかね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリスと大翔が歩いていくと、今までの和風な景色からは予想できないだろう西洋の大きな館が建っていた。以前訪れた紅魔館とはまた少し趣が違い、然程目立った装飾は見受けられないが所々にステンドグラスが見受けられる。屋敷というよりは教会に近いような不思議な外観と雰囲気だ。

 

大翔「ここもまた凄いなぁ……。」

 

その荘厳とも言うべき景観に大翔は驚きながらも感動していた。アリスは何食わぬ顔でその扉を叩いた。

 

アリス「誰かいるかしら~?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大きめの声で尋ねるがアリスの声が地底の壁に当たり木霊するだけだった。

 

??「ん?」

 

しかし先程まで二人以外にはそこに誰もいなかった筈がアリスの後ろにもう一人少女がいた。髪色が緑色で、服も全体的に緑でまとまったものを着ており不思議な紺の眼のようなものからコードのようなものが伸びており、その瞳は閉じられている。

 

大翔「…っ!君は誰だ?!」

 

即座に右足を軸にして左足を後ろにずらし、体の中心をその謎の少女に向けるようにしながら腰の刀に手を掛けた。

 

アリス「…!貴女、こいしね?」

 

ところがアリスは警戒する様子もなく近寄る。どうやら顔見知りのようだ。大翔は面食らった様子で唖然としている。

 

アリス「この子は古明地こいし。私達が訪ねてる地霊殿の主、古明地さとりの妹よ。貴方が来るまでは結構私の家に来てたのよ。」

 

こいし「よろしくね~お兄さん♪」

 

軽くこいしの頭を撫でながら彼女の紹介をする。すると大翔も警戒を解き自己紹介をする。

 

大翔「えっと、よろしく。俺は大翔。天津大翔っていうんだ。急に敵意を向けてごめん。悪気はなかったんだ。」

 

紹介というよりもむしろ弁明に寄った形になったが一先ずは謝罪の意を述べた。

 

こいし「ううん、ぜーんぜん大丈夫だよ~。宜しくね、おにーさん♪」

 

こいしは満面の笑顔で返す。無邪気な子供のように純粋な笑顔だった。その表情のお陰で大翔の罪悪感が軽くなり、表情も明るくなった。凝り固まっていた感情もほどかれていた。もしかしたら事件の犯人の仲間かもしれないというのに。

 

大翔(でも、この子は…なんとなくだけど、何も知らないし何もしてない気がする。)

 

そして改めて目の前の扉と向き合う。大翔は唾を飲み込みこれから対峙する人がどんな人物であっても物怖じせずに自らの目的を果たすことを決意した。ここにいるのが、山の上の爆破現場を作り出した張本人かもしれないのだから。

そして扉の取手に手をかけようとしたとき……

 

こいし「たっだいま―!お姉ちゃ―ん、お客さんだよ~。」

 

両手で両方の扉を開けてこいしが走り込んでいった。折角の決意もこうなっては形無しだ。妹を見るような優しい目で見ながら笑いながら入っていくアリスを横目に倦怠感のこもった溜め息を吐いて大翔も入っていく。

 

??「あら、おかえりなさい、こいし。お客様というのはそこの二人のことね?」

 

こいしとよく似た顔と服装をした少女が中央の階段を降りてくる。こいしとの相違点と言えば服の色がピンクを基調としたもので、独立している不思議な眼は開かれており色も赤だ。髪もピンク色だ。

 

大翔「えっと……俺達は」

 

事情の説明をしようとする大翔をその少女は手で制止する。

 

??「まずは自己紹介から。私は古明地さとり。ここ、地霊殿の主です。貴方達の用件は分かっています。私のペットにご用があるのでしょう?天津大翔さん?」

まだ一つも情報を開示していないのにも関わらず、彼女は言い当てて見せたのだ。目的と大翔の名前を。彼が世間知らずと言えどもその名を耳にしたことはある。ついさっきも聞いた。そして確信している。この少女は……

 

大翔(覚り…妖怪……!)




いかがでしたか?ようやく地霊殿に到着です。ですがこの第二章が大きく動き出すのはこれからですのでお楽しみに!
大翔「地底には変わった人が多いね。」
人ではなく妖怪だけども、確かにキャラの濃さは中々だね。
大翔「これから先どうなっちゃうのかな?地霊殿で事件解決になるのかな?」
さあ~?それはこれからのお楽しみだよ。
ということで次回も~
大翔「ゆっくりしていってね!」





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