畜生先生ポチま!   作:お話下手
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時系列は原作スタートの1年くらい前。 基本、話し事に年代がバラバラです。


【第一章】ポチの日常編
畜生先生ポチま!


 【2001年】

 

 春、麻帆良学園。 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの別荘にて。

 

 「ねーねー、エヴァンジェリン」

 

 ソファー座り込みながら軽い言葉と裏腹に重々しい雰囲気を放つ青年。 スーツ姿からしてこの学園の先生だろうか。

 無機質で人形みたいな目が不気味さを感じさせるが…。 口調は何処か幼い。

 

 「また下らんこと言うなら潰すぞ。 …なんだ?」

 

 潰すってなんですか。 玉ですか、そうなんですか。

 

 「そろそろ俺もね、オサレな必殺技が欲しいと思うんです、けど……断罪の剣は止めて下さい! せめて氷爆で!」

 

 「必殺技って…。 お前には魔力が無いだろう、第一争いは苦手ではないのか?」

 

 「苦手も苦手ですね。 でもね、どっかのとある学園第一位が言っていたんですよ、最強ではなく戦う気力すら湧かない無敵になれば戦わずにすむってね!」

 

 人形のような目が三枚目タイプに崩れる。 必殺技、即ち漢のロマン。

 一撃必殺から連携攻撃、代償を伴うタイプや仲間との絆により生まれる奇跡など様々な物があるが、彼には魔力が全く無いうえ魔法詠唱も出来ず身体能力も並み程度なので居合い拳どころか魔法射手も使えない。

 

 畜生! 才能のある奴が憎い!

 かめはめ波とか螺旋丸とか月下天衝とか使いてぇよおおお!

 

 「どうせそんなことだと思ったわ。 アホか」

 

 「クソ、こうなったらエヴァンジェリンから全魔力の供給を受けて俺無敵になるしかない!」

 

 吸血鬼最強の全力供給である。 きっとナルトみたいな尾獣になれるってばよぉ、サスケェ!

 

 「そんなことをすれば私はどうなる!?」

 

 「大丈夫、エヴァンジェリンには物理タイプの障壁になってもらうから」

 

 俺紙装甲だからね。 障壁ないし基本的に避けないといけないし。

 

 「死ね貴様あああああ!」

 

 怒りに任せて腕を奮う吸血鬼。 衝撃により青年は砂浜ごと凪ぎ払われて、ぐっちゃぐちゃのグロテスク物体に変わった。

 血塗れってレベルじゃない、骨とか脳ミソとか其処ら辺に転がるレベル。

 

 「ちょっとおおお!? 少しは手加減してよおおお!」

 

 口元と胸だけの肉塊が泣きながら叫ぶ姿はホラー。 しゅうしゅうと煙や泡を吹きながら再生する様子も合わせて、もはや人間ではない。

 

 「貴様が変なことを言うからだ! だいたい必殺技なのに何故肉体強化! あれか? やっぱり自分だけ助かりたいからか!?」

 

 「人聞き悪いこと言わないで! 刹那ちゃんやタッツー(龍宮)の為なら俺、命懸けるよ!」

 

 ガンッダアアアアアム! タッツーはきっと、本気出したらはかいこうせん使えると思うんだ。

 

 「そこに私はいないのな…」

 

 「そんなことはどうでも良い、重要なことじゃない! 問題は俺の必殺技! 俺も欲しいんだよ、闇の吹雪みたいな超かっこいい必殺技!」

 

 何故か不老不死である彼だが、その身体能力は魔力が一切無くただの一般人そのもの。 必殺技としたら体力に依存される気を使うしかない。

 

 「気を放出するようにしたらどうだ。 まぁ、元々機械であった貴様がどうなるか知らんが」

 

 「ああ、それですか…。 実はやったことあるんですよ」

 

 「あったのか…。 で、どうなった?」

 

 「尻アッーな、から出たんだよねー」

 

 「何? 尻穴?」

 

 いやもうビックリしたよ、深夜アニメ観た夜のテンションで頑張ったら、尻からウ〇コみたいに気の塊がジュドーンって。 おかげでアナルがひぎぃ!してらめぇ!して現場が凄惨なことになったわ。

 

 「偶然一緒にいたタッツーからゴミみたいな目で見られたし、独学はもうしない…」

 

 再生するのに時間が掛かって地獄のような痛みは味わうし、人として大事な物は失うし踏んだり蹴ったり。 ま、プライドなんて前々からなかったんだけど!

 

 「それで私からアイディアを貰いたいと…」

 

 「そうなんですよー。 お代官様、ハローキティ様」

 

 「おい、もう一度殺されたいらしいな」

 

 ちょ、まっ…! その魔力は本気じゃ(コズケミーカタストロフェー

 

 氷付けと共に砕け散る彼の身体。 因みに周りの人間どころか本人でさえも、何故死なないのか知らない。

 その理由として彼は発見された時、記憶喪失で自分に関することが何1つ知らなかった。 昔の知り合いがいたおかげか、なんやかんやで学園のお世話になっているが、一応ちゃんとした名前もある。

 その名はポチ、初めに拾ったエヴァンジェリンが周りの人が反対することを押し退け、嫌がらせのために命名した悲しき名前だった。

 

 「わんわんお! 俺復活!」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 「一番確実で手っ取り早いのは仮契約だな。 アーティファクトが手にはいれば単純に戦術も増えるうえ、必殺技に派生しやすいと思うが…龍宮真名か桜咲刹那のどちらかと仮契約するか?」

 

 「やだ! ていうか死ぬ! 死なないけど死ぬ!」

 

 「だろうな。 まぁ、私が許可しないんだが」

 

 となると、思い付く限りあと残された方法はやはり肉体強化を重点にしたタイプぐらいしかないな。

 

 「つまりアレだね、フリーザ様みたいに変身する奴か! 悪くない!」

 

 「変身する奴って…。 お前は似たようなことが出来るだろう」

 

 みんなが言っていた全身機械鎧姿になるのと、あとはハチミツプレイ金ぴかか?

 

 「ダメダメ、あれは変身って言わないの。 第一金ピカが許されるのは特撮ヒーローかロボット、或いは不動なデュエリストだけなんだよ! 俺の金ピカは蜂蜜塗っただけだからキモいし、エヴァンジェリンの髪の毛みたいな綺麗なブロンドだったら良かったんだけど…」

 

 「ほ、ほう? たまには良いことを言うじゃないか」

 

 「いやー、初めて見た時は天使かと思ったぜぇ」

 

 「ブゥーーー!? な、ななな!」

 

 「落ち着きのある出で立ち、艶やかな長髪、美しい顔と完璧なプロポーションはまさに天使だった! ラブリーマイエンジェルしずなたーん!」

 

 「はっ?」

 

 「あれ? どうしたの? …もしかして自分だと思った? フヒヒ、ねぇねぇどんな気持ち? ドキドキさせられて実は違ったなんてどんな気持ち?」

 

 以下リピート。 ねぇねぇどんな気持ちどんな気持ちとウザイくらい言われるエヴァンジェリンの目から徐々に光が消える。

 先程から見守っていたチャチャゼロは危険な空気を感じると、外野から楽しむため静かにその場から離れた。 流石に彼女の様子がおかしいことに気がついたポチは、困惑しながら距離を取る。

 

 「えーっと…。 え、エヴァンジェリンさん? エヴァンジェリン? あの、ゴメンね?」

 

 「何故謝る? 貴様が何を言おうと私が一々気にすることはないのだからな。 必殺技だったか? 調度新しい必殺技を編み出したとこだったんだよ、貴様限定のなぁ…」

 

 「マスター、楽しそうです」

 

 あ、これアカンパターンや。 うわー、どんな拷問かなぁ。

 楽しみだなぁ(白目) 茶々丸ちゃん、後片付け御願いします。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 「ん? 誰かと思えばエヴァンジェリンに茶々丸とポチ先生か。 珍しく早いな、おはよう」

 

 「む、あ…あぁ」

 

 「おはようございます。 ガンドルフィーニ先生」

 

 明朝。 職員室に向かう途中、廊下でガンドルフィーニとバッタリ出くわしてしまう。

 向こうは気さくに挨拶をしてくるが、このバカの影響によるものか、ここ数年で私に対する態度が急に変わっているせいで未だに此方は慣れない。

 貴様、私が嫌いではなかったのか? 前は敵意剥き出しだったはずだが…。

 それに対してコイツは…。

 

 「ガンドルちゃん、おっはー!」

 

 私が言うのもあれだが、なんて馴れ馴れしいんだ。

 

 「今日も元気だな、それと仕事中にちゃん付けは止めろ」

 

 お前も仕事中じゃないなら良いのかっ!?

 

 「えーっ。 奥さんにはちゃん付けで呼ばれているのにズルい」

 

 「なッ!? なんでそれを知ってる!」

 

 「え、この前“昼顔”みたいにお宅へお邪魔したら教えてくれた」

 

 同僚の家で何をやっているんだ貴様ーーー!?

 

 「なんだとおおおおお!」

 

 流石にガンドルフィーニも自身の妻が寝取られると聞いて、褐色の肌が一目で分かる程真っ青に変化する。 新婚のうえ、愛妻家だ。

 このままポチが消し炭にされるのだと思っていたが…。

 

 「そのまま調子に乗って壁ドンしたら、物理的に壁ドーーーンされたけどね」

 

 「ふはははは! ざまーみろ!」

 

 既に制裁された後らしい。 ガンドルフィーニに嬉しそうである、教師としての威厳を保て。

 しかし物理的に壁ドンとは一体なにをされた。

 

 「こう、ね。 トンカチで頭蓋骨をドンドンドンドン。 ニコニコ笑いながら…」

 

 「笑いながら!? 怖すぎるぞ!」

 

 「ちょっと待て! 私の妻が本当にそんな残虐なことをしたのか!?」

 

 「本当だよ。 いやぁ、サイコなおかげで頭がブレイクして部屋が脳汁まみれに」

 

 「だからこの間部屋の模様替えをしていたのか」

 

 「心当たりがあったんだな…」

 

 コイツの妻は一般人と聞いていたが、よくそんなことが出来たな。

 

 「ガンドルちゃん…じゃなくて、先生。 君の奥さんは鬼嫁の素質があるよ」

 

 「そんな素質はいらない!」

 

 最早鬼嫁が可愛いレベルだと思うが、黙っておこう。 ガンドルフィーニに悪夢のような未来が見える。

 

 「ちゃんと奥さん大事にしてね?」

 

 「ちゃんとしてる!」

 

 「そ れ は ど う か な ?」

 

 「何!?」

 

 「ガンドル先生は大切にしてるつもりでも、奥さんからは愛情が薄くなったと感じられるかもしれない…」

 

 「そ、そんなことはない…!」

 

 ポチの悪魔の囁きが続く。 やれ教師としての忙しさに家へ帰宅するのが遅くなっていないか、やれ麻帆良学園の警備で家をあける回数が増えていないか、やれたまには家族サービスしろだとか。

 ガンドルフィーニの表情は固い。

 

 「た、確かにポチ先生の言うとおりだ。 最近、家に帰るのが遅く、空ける回数も増えた。 だが私は教師、そう簡単に休むなど…」

 

 「情けないぞぉ! ガンドルフィーニぃ!」

 

 いきなりどうした。

 

 「己の愛する者さえ大切に出来ない者が何が教師だぁ! 恥を知れぃぃぃ!」

 

 「はっ!」

 

 お前も、はっ!ではない。 何か間違いに気づいたような顔は止めろ、膝ま付くな、ポチが最もらしいこと言ってるがお前自身間違っていない。

 

 「そうだったな…。 待っていろジュリアス! 今逢いに行く!」

 

 「待てガンドルフィーニ! 貴様一間目の授業はどうするつもりだ!?」

 

 「すまないがポチ先生。 生徒達を、頼む…!」

 

 この馬鹿に授業を任せるつもりか!? それこそ大惨事だぞ!

 任せるならタカミチ…いやアイツは出張か。 いざという時、役に立たない!

 

 「任されたぜガンドル! 逝ってこい!」

 

 お前も軽々しく受けるんじゃない!

 

 「あぁ! うおおお! ジュリアスエメリー!」

 

 「おい! 戻ってこい、ガンドルフィーニ! ガンドルフィーニいいい!? そもそもジュリアスエメリーって誰だあああああ!?」

 

 その日、ガンドルフィーニは帰ってこなかった。

 

 「クククッ、巧くいった…」

 

 暗黒神のような邪悪な笑みで、一人笑い声を上げる畜生。 怪しいと思っていたが、やはり何か理由があってこその展開だったのだろう。

 ろくでもない理由に間違いないが。

 

 「…何が目的だ」

 

 「これで刀子ちゃんのパンストが手に入るんだ。 フヒヒ」

 

 「はぁ!?」

 

 刀子とは、あの神鳴流の教師か。

 

 「実はこの前飲みに行った時さ…」

 

 少し前に彼氏からフラレた刀子はその悲しみを振り払うため、ポチを連れ回して飲み歩いたらしい。 3件目辺りで互いに意識が朦朧するなか、気づけば奥さんとラブラブのガンドルフィーニが羨ましいと話していたようだ。

 そろそろ三十路が近い刀子である、このタイミングで彼氏を失ったのがかなりの焦りを生み出した。 ガンドルフィーニ爆発しろーガンドルフィーニ末長く爆発しろーと、両者大声をあげながら羨ましがっていたが、不意にガンドルフィーニに奥さんから最近旦那の帰りが遅いと相談されていたことをポチが思い出した。

 酔った勢いで俺達がキューピッドになろうぜ!と、刀子と意気投合し、そのままではつまらないから、次いでに巧くやった方は相手の言うことを何でも聞くということにしたようだ。

 

 「刀子は覚えているのか?」

 

 「勿論覚えていたよ。 シラフでもヤル気満々だった」

 

 「……」

 

 …あの女はこういうのをあまり好まないと思っていたが、まさかな。

 

 「何でもだからなー。 パンストじゃ、ちょっと勿体ない気がするし……もっと大胆に攻めて“くぱぁ”をお願いしようかなー。 見るだけならセーフセーフ!」

 

 お前が縦に“くぱぁ”されるのが、簡単に予想出来た。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 「えー、ということで…ガンドルフィーニ先生の変わりにポチが授業をしまーす」

 

 『はーい!』

 

 ポチの言葉に皆、一斉に元気良く返事を上げる1ーA組メンバー。 バカレンジャーと呼ばれる神楽坂明日菜達は嬉しそうだが、委員長である雪白あやかはあまり顔色が優れない。

 まぁ、コイツの授業はいつも学業とは関係ない物しかしないからな…。 だが、自習だけにしてほったらかしにしないだけマシなのか彼女自身からそれ以上言うことはなかった。

 だからそんな風にどうにかしろの目で此方を見るな。 この前は錬金術の授業でその前は並行世界の話しだった。 さて、今日は何か……。

 

 「今日は皆さんにポチの必殺技を考えてもらいたいと思います!」

 

 『おお!』

 

 お前まだ諦めていなかったのか!? そして何故一部目を輝かせる!?

 

 「エフェクトは派手に、名前は最高にカッコいい物で。 威力についてはあまり求めていないので安心してください」

 

 「つまり、実用性より見た目重視でござるな」

 

 「Yes! では仲の良い5人グループを作って話しあってください、ポチは見回りながら参加するので。 それじゃ、始め!」

 

 ポチの合図と共に一斉にグループが作られる。 やはり仲が良い者同士、席が離れていても簡単に出来てしまうが、対する私は今までこのクラスとあまり積極的に関わっていないせいか、残り者同士どころか全く出来ない、そう思っていたが…。

 

 「エヴァちゃん。 ポチの奴、また変な授業始めたね」

 

 「か、神楽坂明日菜…」

 

 いつの間にか私の横の席に座っているバカレッドこと神楽坂明日菜。 その横にはじじいの孫である近衛木乃香と、更にはその親友である刹那もそばに近寄ってきた。

 

 「な、なんだお前達」

 

 「なんだって、グループ作るんだけど…?」

 

 「エヴァちゃんならポチの好みとか知ってそうやしなぁ」

 

 「勿論です。 マスターはポチ先生の好き嫌いを熟知しており、更には身体の味…「おい止めろ」…飽きずに喧嘩しています」

 

 神楽坂明日菜は呆れた顔で此方を見るが、茶々丸よ。 お前、本当は何を言おうとした。

 

 「好みならお前達も良く知ってるだろう。 別に友達ではない私に聞かずとも…」

 

 「え、友達じゃないの? 私達?」

 

 神楽坂明日菜は何を言っているという顔で私を見た。 不思議と胸の奥がむず痒い感覚に囚われる。

 私は今、どんな顔をしているのだろうか。

 

 「友達になるの、嫌やったかなぁ…」

 

 近衛木乃香が悲しそうな表情を浮かべ、刹那はどうしていいのかおろおろしている。 クソっ、これでは私が悪者みたいではないか、いや…悪者なんだが。

 どうにも居心地が悪いため、仕方ないが此方からも何か言わなければならない

 

 「いや、別に…嫌では、ない……」

 

 「なら決まりね!」

 

 「えへへ、嬉しいなぁ」

 

 「良かったですね、お嬢様」

 

 顔が熱くなるのを感じる。 これも全部ポチのせいだ。

 苛立ち気に奴を睨み付けてやろうと探した瞬間、本人とバッチリ目が合ってしまう。 まさか見ていたのか!?

 ポチは私にグループ出来たのが良かったのか、無機質な目を歪めてニカッと、屈託の無い笑みを向ける。

 …長い間共にいるが、たまにこんなことがある。 アイツが本当に馬鹿なのか分からなくなるくらい。

 なんにせよこれで、私、茶々丸、神楽坂明日菜、桜咲刹那、近衛木乃香のメンバーが揃い5人グループが出来る。 ポチが教師になってから昔みたいにハブられることはなくなっていた。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 「ポチさんの好みで選んだ方が採用されやすいでしょうね」

 

 「だろうな。 アイツはジャンプとかマガジンとか少年漫画が好きな奴だ。 そこら辺でアイディアを捻るのも良いだろう」

 

 「早速ネットで検索してみたで。 えーと、フタエノキワミ、アーッ!……なんやこれ」

 

 それはネタだ、アイツは好きだが完全に駄目な方向性へ展開が進む、必殺技とは言えない。 却下。

 

 「でもポチって避けるの得意だけど、刹那さんより力弱かったわよね…。 必殺技以前の話しだと思うけど…」

 

 「ばっ…。 神楽坂明日菜、アイツがいる前でそんなこと言うな!」

 

 ほら見ろ、泣きそうな顔で倒れてる。

 

 「だから見た目重視なんですね。 此方が泣きたくなってきました、可哀想に…」

 

 おいいいいい!? 桜咲刹那、死に体に鞭打つ言葉は止めろ!

 奴から血涙が出てるではないか!

 

 「しっかりしろポチ、傷は浅いぞ!」

 

 「もう駄目ぽ。 ドッヂボールでしか役に立たない弱者は屍を遺すワン…」

 

 「ポチーーー!?」

 

 「エヴァちゃん、本当にポチと仲が良いのか悪いのか分かりにくいわよね」

 

 「ほんなら、うちらは必殺技について考えておこうか」

 

 「名前には、数字を入れたりしたらカッコいいですね。 壱撃とか、百烈など…」

 

 「それええなぁ。 昔、お父様がそんな名前の芸をやっていたの覚えとる」

 

 「ぶううう!? 長ー! 見られてますよおおお!?」

 

 「刹那さんどうしたの?」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 ぱんぱかぱーん!

 

 「えー、時間になったので各自発表してもらいたいと思います。 まずは楓グループから」

 

 「拙者達が考えた結果、やはり小道具に頼るのが良かろうかと。 先生は手先が器用でござるからな」

 

 「ほほう。 確かに先生は器用ですよ、主に竿いじ(ry…なんでもないです、だから龍宮(りゅうぐう)さんそのコインを仕舞ってください」

 

 「素直な犬は好きだよ。 だが、前から言っているよう私はリュウグウではなくタツミヤだ」

 

 失礼、噛みましたワン。

 

 「楓さん、続きをお願いします」

 

 「うむ。 故に起爆札を作り上げ、自爆特攻などは如何でござろうか。 先生は頑丈と回避が取り柄と噂のようで…。 その名も、爆遁 畜生自爆の術!」

 

 「NARUTOから引っ張ってきたのは良いですが、名前に悪意を感じるうえ超痛そうなので却下でーす」

 

 …なんで楓ちゃん、俺が死なないの知ってるの?

 

 「次は古さんのグループ」

 

 「はいネ! 先生私と勝負して欲しいアル!」

 

 「バカイエロー話しを聞いていたかい? 先生の必殺技を考えてって言ったの! なんで戦うの!?」

 

 「だて先生、いつも誘うけどいつも逃げられるネ」

 

 「当たり前だよ! 古と戦ったら、かすっただけで死んでしまうわ!」

 

 防御はトゥーフー。 攻撃は爪楊枝。

 古ちゃんどころか、木乃香ちゃんにも勝てる気がしない!

 

 「…今まで私の攻撃、全部避けてるアル」

 

 「だから必死なの! 避けなかったら必ず死ぬの!」

 

 腸とか胃とた飛び出したら後処理が大変よ? 臭いが凄いのなんの。

 

 「…っていうか古さん、必殺技は?」

 

 「……」

 

 「えー、古さんには後で宿題をプレゼントします」

 

 「酷いアル! 職権乱用ネ!」

 

 先生悪くない! 悪いのは止めなかった超ちゃん達を怨みなさい!

 宿題もポチからの愛の鞭よ!

 

 「えー、次は春日さんのグループ。 春日さん、ココネちゃんをポチにください」

 

 「あげませんよ!? っていうか、アタシが発表する流れなの!?」

 

 だってみんな目を反らすから。 あれじゃニコポもできない。

 

 「ココネちゃんくれたら、今後一切春日さんに宿題を出しません」

 

 「よっしゃあ! あげちゃう!」

 

 「あほかぁーーー!?」

 

 おー、明日菜ちゃんの蹴りが…。 春日ちゃん白目剥いてるけど大丈夫?

 …発表してくれる人が脱落したからこのグループは無理か。

ずっと目を合わせる様子がないし、そんなに先生が嫌いなの…?

 

 「次は…ショタコ(ry──委員長、お願いします」

 

 「先生? 今、明らかに何か言いかけましたわよね」

 

 「そんなことはありませんよ委員(ry──ショタコンんんんんん!?」

 

 痛い痛い!? あやかちゃん、腕が折れる折れる!

 ポキッといっちゃう! ポチの前足がポキッといっちゃううううう!

 

 「なんで委員長の攻撃は喰らうノネ…」

 

 「優しい方だ。 私のお仕置きはもっと凄いぞ?」

 

 古ちゃん助けて! エヴァンジェリンもお仕置き自慢とかいらないから!

 

 「オホホ! 名誉棄損な口はこれかしら!?」

 

 「委員長のそれがポチ先生の必殺技で良いんじゃないかな?」

 

 残念ながら先生にあやかちゃん程の腕力はありません!

 

 「じゃあ…次、朝倉さんは……やっぱ止めた。 相坂さんで」

 

 「なんで私を飛ばすんですか!? しかもいない人使命してるし!」

 

 だってぇ、和美ちゃんてば絶対なんか質問してくるでしょー? ポチは野次馬根性だけど、逆にされるのは嫌なんだよねー。

 この前も全力で逃げたし、何年続くか覚えていないけど君もしつこいからなー。 あ、さよちゃーん! 元気ー?

 

 「先生がちゃんと私の質問に答えてくれたら、とっておきの必殺技を教えてあげますよ」

 

 「さて朝倉君、私で良ければどんな質問でも答えてあげるよ。 HAHAHAHA!」

 

 「わかりやすっ。 じゃあ、先生の本名。 ポチって名前は流石にないでしょ」

 

 「平仮名で“とあ”ですが何か」

 

 「またまたぁ、そんな平仮名でとあって…女の子じゃないんだから!」

 

 「…………じゃかぁしい、ボケ」

 

 「え、マジ?」

 

 おい、その…うわぁキラキラネームだよ、大人なのに可哀想。 みたいな目は止めろ。

 ポチだってね、これが自分の名前って信じたくないんだよ! “とあ”ってなんだよ!

 何気に俺は記憶喪失だから余計質が悪いし! 昔の俺を知っている詠春ちゃんとエヴァンジェリンが言っていたから間違いないと思うんだけど!

 

 「じゃ、じゃあ…先生は昔、麻帆良学園の生徒だったと聞きましたが、何故教師に? 正直、全く合っていない……」

 

 失礼な! 俺だってね、これ程責任感がある仕事なんてしたくなかったんだ!

 

 「先生はね、学園から出られ──じゃなくて出ちゃいけないの! この仕事だってエヴァンジェリンが絶対やれってしつこいから!」

 

 「ほうほう、確かに先生を外に出したら犯罪者になりそうだしね。 しかもここでエヴァンジェリンさんが出るか……」

 

 おいこら待て、犯罪って酷いだろ。 俺はロリコンではないが、ココネちゃんを激情に愛してるだけだ。

 エヴァンジェリンとか却下だしー。

 

 「そういえばお前と再会した時…」

 

 エヴァンジェリン止めて! あれは事故だったんだ!

 

 「なんか高畑先生から凄い扱いを受けていると聞きましたが、どういう意味ですか? 理由も」

 

 「あの人ポチのお尻を狙っているみたい…」

 

 昔からの友達だけど、常に目が合うからな、豪殺居合い拳で俺の処女を奪うつもりなんだ。 俺が死なないからってハードコアなプレイをするに決まっている。

 

 「そんなわけないでしょー! 高畑先生の出鱈目言ったら許さないからねー!」

 

 いやいやオジコン明日菜ちゃん、現実を見ろ。 俺の写真見ながらニコニコ笑っているの見たんだよ! 絶対ダメな奴だって!

 

 「ぐふふ、タカミチ×ポチ。 いけるかも…」

 

 そんなの創られてたまるか。

 

 「おかしいな、話しではポチ先生を尊敬しているって聞いたけど…。 じゃあ次、エヴァンジェリンさんと一緒に暮らしているって噂だけど本当なの? あと恋人?」

 

 「本当だよ、エヴァンジェリンが働かなくていいから住めって」

 

 あたいが養ってあげるけんっ! 紐になりぃや!

 

 「誰もそんなこと言っとらんわっ! それと私とポチは恋人などという関係ではない!」

 

 恋人という関係じゃない、ねぇ…。 簡単に説明すると…食糧かな?

 この前肩ロース喰われたし。

 

 「なんか逆にわからないことが増えたなぁ。 …そういえば刹那さんとも仲が良いと聞きましたけど、幼なじみらしいですね」

 

 あらー、そこまで下調べしていたのか。 こりゃ適当なこと言えねぇな。

 ていうかエヴァンジェリン、刹那ちゃんを睨まないでください。 怖がっています。

 

 「幼なじみって言っても近衛さん程じゃないし。 2人が7歳の頃から付き合いだからね」

 

 初め紹介された時はビビったわぁ。 2人をあげるーって、夢かと思って思わず学園長を殴ってた。

 あの人、そのうち詠春ちゃんに斬られるぞ。

 

 「それよりさ。 そろそろ必殺技について教えてくれませんかね?」

 

 いい加減質問ばかりで疲れちゃったよ。

 

 「え、ああ…夕映ちゃんが教えてくれるようですよ」

 

 「いきなり何を言い出してるですか!? 私、全然考えてないですよ!?」

 

 なんだと…? 和美ちゃん、いや…朝倉よ。

 貴様は俺を騙したというのかあああ! 夕映ちゃんも全然考えてないとか何気に酷ッ!

 

 「許すまじ。 ウソをついた朝倉さんにはポチのブロマイドを差し上げます」

 

 「いらない!」

 

 即答かい! 普通ここは「え、ポチのブロマイド? ……ちょっと欲しい、かな?///」…な展開だろ!?

 ちっ、和美ちゃんにすらフラグ建てられないとか、俺はどんだけスペック酷いんだよ! 前はタッツーに撫でポしようとしたら、腕を撃ち抜かれたからね!?

 試しに和美ちゃんにやってみるか…?

 

 「フッ……」サワサワ

 

 「うわぁ…ポチに髪触られたぁ…」ゾッ

 

 赤くなるどころか照れもない。 怒るどころかガチで引かれている表情をされてしまった。

 所詮、撫でポなんて幻の存在やったんや。 もしくはイケメン限定やったんや。

 畜生が何やったって…。

 

 「うわあああああん! ラストは桜咲さん! お願いしますッ!」

 

 「先生、泣かないでください。 そしてエヴァンジェリンさんではなく私を指名ですか」

 

 エヴァンジェリンは今朝話したけど、役に立たなかったの! 明日菜ちゃんはポチに厳しいし、木乃香ちゃんはツッコミがハードだから勘弁! トンカチで殴るとか洒落にならん!

 刹那ちゃんはぁ、ポチに優しいもんねー! 

 

 「私の場合、突っ込むのも疲れたんです。 …まぁ一応、必殺技は考えましたが」

 

 「マジで!? ポチ期待しちゃう!」

 

 「まずは必殺技の名前ですね。 漢数字をいれるのは良い考えだったので、先生の戦闘能力0と関係のある武器を合わせて……零式突破。 などは如何でしょう?」

 

 『おお!』

 

 「ヤバイ、何それカッコいい。 語呂が良いし厨二病ビンビンじゃん!? 流石せっちゃんやで!」

 

 「いえ、それほどでも。 明日菜さん達と話し合った結果ですから」

 

 「で!? その零式突破とやらは、どうやったら使えるの!?」

 

 「ハチミツを全身に塗って金ぴかモードになるだけです」

 

 結局ハチミツプレイじゃねぇかあああああ!

 

 

 




9月26日、細やかな修正をチラホラ。 明後日までには全て統一します。







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