畜生先生ポチま!   作:お話下手
<< 前の話 次の話 >>

7 / 29
龍宮のエヴァに対する呼び方があってるかわからない…。


龍宮とポチ

 【2001年、夏】

 

 「タッツー、一緒にごはん食べよう!」

 

 「ポチ先生、前から思っていたのだが…その呼び方の意味はなんだい」

 

 「え、タッツーはスナイパーでしょ? みずタイプのアイツも特性がスナイパーだから…」

 

 「ポケモンか」

 

 昼休み、ひとり教室から弁当を持ちながら出てきた龍宮真名を待ち受けたのは、オタマロみたいなムカつく顔をしながら飛び付いてくるポチ。 一瞬殴り飛ばしたい感情をギリギリで抑えつけ、クールに受け止める。

 

 「いいのかい、エヴァンジェリンに怒られるのだろう?」

 

 「いいんだ。 今ケンカ中だし」

 

 「ほう。 それは私と一緒に食事をすることと、何か関係があるのかい」

 

 流石鋭いと汗をかくポチ。 エヴァンジェリンとのケンカ原因、それは彼が給料日前だと言うのにお小遣いを全て使い切ってしまったことにある。

 

 「先生の給料は彼女が管理しているということか」

 

 「なんか、不老不死は年金に適用されないから今の内に少しでも貯金した方が良いと。 俺も利子だけで生活出来るようしたいからね」

 

 目指せ! ニートマスター!

 

 「社会人失格だな」

 

 そしてエヴァンジェリンの管理理由が吸血鬼らしくない。 やけに所帯染みてる。

 

 「でね、最近Amaz〇n使いだしたんだ。 ポチはこの学園から出られないからさ」

 

 すると使い方を知った途端、今まで欲しくて中々手に入らなかったフィギュアやマニアグッズに調子こいてポチりまくり。 Konozamaすることはなかったが、みるみるうちに所持金は底を尽き無駄使いしたペットに雷が落ちたのである。

 

 「ポチがポチる…ククク」

 

 「いや、別に面白いことは言ってないよ」

 

 「まぁ、事情はわかった。 つまり先生は、私と食事をするというより、私から食事を恵んで欲しいというわけだ」

 

 本音はそうですね。 お小遣い追加をお願いしても却下されたし、夕食はあるから飢え死にするようなことはないが、正直キツい、身体が上手く動かない。

 

 「いいさ。 私はあまり料理が得意ではないが構わないかい?」

 

 「流石タッツー! ケチンボに見えて懐が深いから、ポチ大好きです!」

 

 「頭を撃ち抜かれたいのかな?」

 

 それでは行きましょう、そうしましょうと仲良く手を繋ぐ両者。 ルンルン気分で屋上に向かおうとした、その時だった。

 

 「そうはさせんぞ」

 

 「げげぇー!? エヴァンジェリン!」

 

 主降臨。 ニヤリと不敵な笑みを浮かべているが、額には青筋、肩はワナワナと震えているため相当御立腹のようだ。

 気のせいでしょうか、力を封じられておりながら心なしか爪も伸びており、マニキュアがキラリと輝く。 先生として、それは許すわけにはいきませんね…あれれ? おかしいな、視界がズレてるぞ?

 もしかして、斬られたかな? 周りにバレないよう少しだけズレるようにしたのは流石ですね。

 

 「龍宮真名、悪いが私の犬を甘やかさないでくれないか。 躾をキチンとするのも飼い主の役目だからな」

 

 「躾を頑張る吸血鬼もどうかと思いますが」

 

 「駄目犬は黙っていろ。 大体ナギ・スプリングフィールドはお前にどんな教育をしたんだか…」

 

 ナギ? ああ、俺の前の飼い主か。

 凄い英雄とか言われてるけど、俺の飼い主だった人物だからな、絶対変な奴に違いない。 写真とか見せてもらったけど、クソイケメンで殴りたい顔してたし、アリカ姫?…とのツーショットとか無性にムカムカしたわ。

 あああッ! 思い出したらイラッてくるぜ!

 

 「エヴァンジェリン、私は前から犬を刈っ────飼ってみたいと思っていてね。 この機会だ、エサやり初体験をしたいのさ」

 

 なんかその言い方ヤダナー。 若干、不穏なこと言われたし。

 

 「くっ! …お、お前もお前だ! あれほど知らない人から物を貰うなと言っただろ!」

 

 タッツーはクラスメイトでしょ! ていうかそれだけは本当に恥ずかしいから止めて! お前は俺の母さんか!

 

 「ふーん! いいもんね、俺は俺を甘やかせてくれる人と暮らすもーん!」

 

 「こ、ここここの駄目犬がぁ…! お前なんぞもうしらーん!」

 

 エヴァンジェリンのキックが俺の息子にクリティカルヒットォ! 今、ぐちゃって音がした…。

 ヤバい…これじゃあ、タッツーにお持ち帰りされても使い物にならねぇ。 エヴァンジェリン、ここまで考えるとは流石真祖の吸血鬼、がくっ。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 目が覚めた時には口一杯にタッツーの弁当が詰め込まれてました。

 

 「ゲフゥ!? まっずううううう!?」

 

 ナニコレ不味い! 不味すぎる!

 

 「いや、ちょっと待てよ。 逆にメシマズ嫁は価値が高いからな、これはこれで…」

 

 「貶されながら主婦力を褒められるのは初めてだ」

 

 ははは! 今構えているそのアサルトライフルはエアガンですよね?

 

 「まぁいい、今日の私は気分が良い。 許そう」

 

 ありがとーございまーす!

 

 「でもなんでこんな不味いの? これなに?」

 

 「イギリス軍のレーションだ。 余っていたから適当にいれた」

 

 あ、ああ…なるほど。 ていうかそれは果たして料理と言えるのだろうか、弁当のジャンルとしては間違っていないけど、この子料理が苦手とか言ってたよね?

 其処らへんどうなんでしょうと聞きたいが、身体が蜂の巣になりそうなので止めておきます。

 

 「それにしても、エヴァンジェリンに捨てられてしまったな。 これからどうする?」

 

 「うーん、このままタッツーのペットになるのも悪くないなぁ」

 

 ぶっちゃけ本気にしてなかった。 冗談半分でどうせまた撃ち抜かれるんだろうと思っていたけど…。

 

 「ああ、それは良いな」

 

 「だよね。 ……って、なにいいいいい!?」

 

 良いの!? だって自分で言うのもアレだけど、俺…こんなんだよ?

 それでも頷くタッツー。 おかしい、俺はタッツーにフラグを建てていた記憶がないのだが…。

 だいたい頭に浮かぶのはセクハラしているところぐらい。 フラグどころか墓が幾つか建つレベルで。

 そうかぁ、タッツーが俺を好いていたかぁ。 これが無自覚系フラグ建築の力、凄いな、意識してなかっただけでこんなにアッサリ……年下御姉さんゲットだぜ!

 

 「私の躾は厳しいが、良いのかい?」

 

 「全然構いません! むしろ厳しくしてほしいっす!」

 

 「ほう…」

 

 褐色年下御姉さんから教育されるとか、それなんてエロゲ。 ポチ感無量です!

 

 「よし、まずは小手調べだ。 犬、昼休みまでに麻帆良学園を一周してこい」

 

 「え?」

 

 「何をボケッとしている、お前の耳はボンドで塞がれているのか?」

 

 え、ちょ…何!? どうしたのいきなり!

 なんか軍隊の訓練みたいで怖いんだけど! 君、NGOの人だったよね!? 傭兵じゃないの!

 それに昼休みまでに一周とか無理だわ! あと15分しかないよ!

 

 「あ、あの…タッツー? 龍宮さん?」

 

 「私のことはアダ名でも名前でも呼ぶな! サーと呼べ!」バンバン

 

 ちょwwwアサルトライフルが火を吹いて俺の右手がぶっ飛んだwww周り気にしてwww

 

 「さ、サー! イエッサー!」

 

 ヤバい…殺される。 死なないけど逆らったら殺される…!

 

 「良い返事だ、行ってこい!」

 

 「はい! イってきます!」

 

 「絶頂しそうなのか! 気持ち悪いぞ! 犬!」

 

 どうしろと!?

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 「ゼェゼェ…」

 

 「ふむ、13分57秒か。 流石だな、ズルはしてないな?」

 

 「はい…ゼェゼェ、式は使いましたが…ゼェゼェ、ズルはしてません…ゼェゼェ…!」

 

 「ゼェゼェ五月蝿いぞ! 空気泥棒がっ! 」

 

 しょ、しょんな…。 

 

 「私は午後の授業に入る、貴様はここで待機していろ」

 

 「えええええ!?」

 

 どんだけ待機させる気!? 放置プレイなのに何故か嬉しくない!

 

 「なんだ、休憩は嫌か。 ならば…」

 

 「いえ! 嬉しいです! しっかりと待機させていただきます!」

 

 「うむ。 では戻ってきた時はご褒美をやろう、楽しみにしておけ」

 

 「サー! イエッサー!」

 

 俺の返事に満足したのか、悠然とした動きでこの場から去るタッツー。 周りの人達は何事かと凄い見ているが、そんな場合じゃねぇ、さっさと逃げねぇと…!

 ご褒美とか嫌な予感しかしない、こんな場所にいられるか、俺は帰らせてもらうからな! 死亡フラグをおっ建てて、その場から一歩を踏み出した…その瞬間だった。

 

 ドッカーン。 眩い閃光、身体がバラバラになる衝撃、肉が焦げる臭い。

 ポチの周りには360度地雷が敷き詰められており、踏みつけた一個は隣の地雷にまで連鎖的に爆発を起こし、ポチは見事爆散してしまう。

 

 「ぱぴぷぺぽおおおおお!?」イッタイイツノマニー

 

 幸い認識阻害札付きだったので、周りに凄惨な場面を見せることはなかったが、駄目犬相手にやりすぎである。 一体、この嫌がらせにいくら使ったのだろう。

 

 「おいいいいい! ポチ、大丈夫かポチ!?」

 

 この声は…エヴァンジェリン!? 再生しかかった目玉にブロンド幼女が映し出され、俺は大号泣した。

 

 「うあああああん! 怖かったよー!」

 

 「ええい! 引っ付くな、鼻水がつく!」

 

 そう言いながらハンカチを差し出してくれるエヴァンジェリン。 きゅん、ちょっと惚れそうになったワン。

 

 「お前が学園内を駆け抜けていると聞いて何事かと思えば、いきなり爆発したのは驚いたぞ…」

 

 ホント、何事だよね。 当事者である俺でさえ、何が何だか。

 

 「ごめんなさい。 きっと、俺に対する罰だったんだ」

 

 見てくれ、この土下座を! 俺は反省している、本当は優しいエヴァンジェリンに甘えて我が儘言ってばかりでしたぁ! すいませんでしたぁ!

 

 「ん、まぁ…別にそこまで気にしてない。 いつものことだしな」

 

 変だな、許されているのにあんま嬉しくないゾ。 しかも本人の表情はなんかひきつってるし。

 

 「昼休みにお前の変な荷物が届いてな。 …あんなのが欲しがったのか?」

 

 …Amaz〇nかな? 中身を知っているってことは開けたのか。

 いやいいんだけどね、エヴァンジェリンだから困ることはないんだけど変な荷物ってのが気になる。 フィギュアや同人誌は今更だし、まさかエロゲーか!?

 対魔忍ア〇ギをポチっていた記憶があるから、流石に…。

 

 「これだ。 ウッディ人形」

 

 「アイエエエ! ウッディ!? ウッディナンデ!?」

 

 ポチに届けられたのは注文した覚えのない、アへ顔晒しているカウボーイ人形、つまりは初めてKonozamaしました。 この日を境にポチの浪費癖は落ち着いた。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 その夜。 龍宮真名、自室にて。

 

 「どうした、真名。 元気がないな」

 

 「刹那か…。 いや、なんだ。 どうやら私はイジワルしたくなるタイプだったことに気づかされて…」

 

 「は?」

 

 「なんでもない、忘れてくれ」

 

 あんなに落ち込んだ真名を見るのは、初めてでした。

 by桜咲刹那

 

 

 

 

 




一応書いておきますが、Konozamaは商品がいつまで経っても届かない現象です。 因みに私はまだありません。







※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。