最強を目指して   作:匿名希望ただの人

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本物の化物

「んー、よく寝たな」

太陽の光で目を覚ます龍我、部屋を見渡すがいつも通りの部屋だ!

ルナも修行の旅へ出たし静かになって少し寂しいが平和だ

あまりにも気持ちのいい朝だ、思わず二度寝したくなる気持ちを押さ起き上がり時計を見る

11時25分

「…よく寝たな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昼通学とはいい度胸だな、龍我」

当然の如く職員室に呼び出され説教を受けている

「いやー、起こしてくれる人がいなくて」

「そんなんでよく家を飛び出してきたな、一人で起きれないなんて立派な社会人にはなれないぞ」

「おっしゃる通りです」

「実家通いかはやく結婚するかだな」

「んー、どれも考えたくないから起きれる用に頑張りますわ」

「なら頑張れ、最近横暴が見られるが授業態度も提出物もよくなってきているからなこれくらいで見逃してやるが次はないぞ」

「あざーっす」

担任にお礼を言い職員室を後にする

「結婚か…はぁ」

もう昼休みになるので生徒会室へ向かう、今日の日程もきかないといけないし

中に入ると姫華と良太、星嶺、そして昨日いた第8世界のアルカスと老人がいる

「遅いわよ、いつまで待たせるのよ」

「すみません寝坊しました」

「遅い時間までバイトするからだよ」

「まったく、それほどお金に困っているのね」

「また体を壊す…」

「大丈夫っすよ、んで試合は?」

「今ルビアスと武能の人達が戦っているわ」

グランドを指差す、窓から覗いてみるとルビアスが武装集団15人を相手に圧倒している

「おやおや、これは愚かなる愚民よようやく来たか…逃げ出したかと思ったぞ」

不適切な恵美を浮かべながらアルカスが近づく、その笑顔は余裕のあるものだ

「どうだ、我が最強の兵は、貴様に勝てるかな?」

「勝てる勝てないじゃない、戦うんだよ…」

「それは負けた時の保険かなにかか?」

「お前も覚悟しとくんだな、二度と今の暮らしが出来ると思うなよ」

「減らず口が」

「なんならルビアスの後に相手をしてやってもいいんだぜ」

「面白い、いいだろう…まぁお前如き下等兵士がルビアス勝てる訳がないがな」

「龍我、あれに勝てるの?」

星嶺も窓を指差し聞いてくる、グランドでは炎が燃え上がり武能のやつらが凍りついている

「炎で人を凍らすなんて」

「あれは龍我くんが放った炎」

「あいつの炎はちと特殊でな、俺はあいつに勝たないといけないんだ、勝ってあいつの呪縛を未練を断ち切ってやらなくちゃいけない、それが俺の罪滅ぼしだ……まぁ見ておけ、勝ってくるからよ」

「見せてやるよ、本物の化物をな」

そういい飛び降りグランドに身を移す

「勝てるのかな」

「勝てる、私達は信じるしかないわ」

「そうですね」

 

 

 

 

 

 

 

「ふん、つまらん…」

地面を蹴り衝撃を与えグランドで凍りついたもの全てを砕く

「あらま、随分と残酷な殺し方をするな」

「ようやく来たか、待ちくたびれたぞ」

龍我を見るなり鋭い目付きで睨む、まるで獲物を狙っている獣のようだ

そんな目付きに臆する事なくへ平然と会話を続ける

「焦らすのは得意なんでな、どうだったこの世界の兵士は?」

「暇潰しに戦ったが、ここの兵士は弱いな、準備運動にもならないではないか」

「そうか」

「戯れ言は終わりだ、いくぞ!」

常人では見切ることなどできない速度で剣を振るう、龍我は体を反らしかわしカウンターを狙うが爆発が起こる

煙で視界が悪くなる中ルビアスは龍我めがけ的確に剣を振るう

「これをかわすか、なかなかいい反応だ、ならこれならどうだ?刀割」

炎に包まれた真っ赤な剣を振るい龍我の肉を切り裂く

「ぐっ、はあぁぁ!」

一瞬踏み込んだその隙を狙い全力で殴るがかすりもしない

すれすれにかわしカウンターを狙う受け身の戦法でいくがなかなかあたらない

「なかなかな動きだ、なら縛ってやろう、黒縄」

攻撃をかわす龍我の足元から有刺鉄線のような紐が飛び出し足に絡み付く

もがけば針が肉をえぐり苦痛を誘う

「いぃりゃ!」

しかしそんな事知ったこったと言わんばかりに強引に引きちぎりルビアスを蹴り飛ばす

「地獄同等の苦痛に勝つか、ただの常人ではないな」

「あいにく、俺は数多の地獄を駆け巡ってきたんだ、この程度生ぬるいわ!」

炎を全身に纏うルビアスと真っ向から挑む、剣と拳が重なるたび鈍い音と拳が熱しられる音が聞こえる

「楽しかったぞ、だがこれ以上時間を潰している暇はない」

「そう簡単に終わらせるかよ」

「混沌なる裁きの炎よ 今を凍てつかせろ、凶炎寒破!!」

ルビアスの手から放たれる青白い炎は触れる万物を一瞬で燃やしそして凍らせていく

その異様な炎に飲まれる龍我

「終わった…次は剣を交える時はゆっくりと戦い(楽しみ)たいものだ」

「まだ終わらすにははやいぜ」

所々凍りまともに動ける状態ではない中、凍った足を引きずり微かに動く片足で歩く

「なっ!?」

「強くなったな、ルビアス…俺は嬉しいぞ」

「バカな、凶炎寒破は全て燃やし凍らす技だぞ」

「なのに俺がこんなに弱くてごめんな、失望したな、待ってろ、お前を縛りつける呪縛を解放してすぐに楽にしてやるからな」

「なにを言って、なに!?」

龍我の凍りついた体がみるみる溶けていくのを見て驚くルビアス

「だから、覚悟しろよ」

瞬間赤い龍が炎と共に地面から飛び出す   

「彼の力に紋章が反応しいる…こ、この力は、まさか!?」

ルビアスの左手に刻まれた紋章が龍に共鳴するかのように赤い光を放つ

「目覚めろ我が力、今こその復活の時!」

天高く舞っている龍が龍我めがけ急降下し獲物を喰らうかのように落ちる

砂煙が止みグランドに出来たクレーターの中心に立っているのは赤色肉の皮膚を黒い鱗に守られ赤い翼を持った人形の竜がいた

「□□□□□□」

咆哮を上げると地面が抉れ稲妻が落ちる

ひとたび翼を広げれば暴風を起こし全てを一掃する

 

 

 

「あ、あれはなに!?」

「龍我が、ドラゴンになった」

この光景に驚き竦み上がる良太と星嶺

「破滅を呼ぶ赤き魔龍(シンドラゴン)…私の世界では敬意と恐怖を込めてそうと呼んでおります」

「おい、デルタル、なぜここにあの怪物がいるんだよ」

アルカス、先程の恵美は消え恐怖と焦りで怯えている

「私は全て知った上での考えだと思っておりましたが…」

対する老人、デルタルは知っていたといわんばかりの反応をしている

「バカをいえ、我が世界を焦土に変えた化物があいつだなんてわかるわけがないだろ!!」

「それは災難ですね」

「お前、わざと黙っていただろ!」

「武官、政治に口出すべからず 私もそれを守ったまで…この世界と戦争になる時はさすがに口を出しましたが、それで察して欲しかったです」

「うるさいうるさいうるさい、ようはルビアスが勝てばよいのだ、我が世界の怨みここで晴らしてくれようぞ!」

「あれって、あの時街を燃やし尽くした奴よね」

「……間違いないわ、8年前突然現れた悪魔」

8年前、都市を一瞬にして焦土へと変えた悪魔、その大災害に匹敵する破壊活動に誰もがひれ伏した、あの時姫華が目の当たりにした光景が時間が戻ったかのようにそっくりそのまま再現されている

「うそ、よ、あの化物が龍我くんだなんて」

「その様子ではこの世界も彼に蹂躙されたのですね」

デルタルが姫華に聞いてくる、怯え動揺する姿に昔見た目恐怖に埋もれた兵士を連想させる

「されかけた、の方があってるわ…きっと」

「そうですか、はやく交遊関係を持てたのは幸いですな」

「これが龍我くんの秘密なのか」

「本物の化物」

 

 

 

 

「どうして、どうしてあなたがこんな所に、」

グランドでは人とは異なる姿をした龍我と対峙してたいるルビアス

「失望したか我が従順なる侍女よ、親愛なる友よ…そなたを苦しめてきた呪縛から解き放ってやろう!」

「い、いや、やめて」

「ならば止めてみせろ!」

「黒縄」

龍我を縛るがそんなもので繋ぎ止めれる訳がなく

「朱豪」

空から巨大な炎の球が降り落ちてくるも龍我が放つフレイムに破壊される

「なっ、あぁ」

圧倒的力に完全にひれ伏すルビアス、ゆっくりと近づく手になにもできない

兵士としてたとえ勝てない相手でも命尽きるまで戦ってきたルビアス、本来ならこんな簡単に屈したりはしない、だが彼女は知っていたのだ、この圧倒的強さの前に全てが無力だと、抗いようのない炎だと、絶対無比な存在であることを、そう彼に使えていた者として

振り下ろした手は無残にもルビアスをグシャンと潰す

禍々しい爪に触れた地面は簡単に切り裂かれ炎が吹き荒れる

「ウオオォォォォッ!!」

焼き付くされた校舎、焦土と化したグランドで龍我の雄叫びが静寂な学校に響く、それは勝利とは違ったものだった

 

 

 

 

 

 

 

      

 

 

 

「はー、しんど」

ルビアスを抱え生徒会室に戻る龍我、入るとこちらをみるだけで誰も喋らない、不気味なほど静であった

「…だろうな、おいデルタル、ルビアスとそこのバカ王子を連れてとっとと帰れ」

「お言葉ですが、まだ終わってないかと」

「老いぼれジジイが、よけい頭硬くなってんじゃねぇぞ」

「そちらこそ、随分と幼くなって感情が豊かになりましたね、クソガキ」

「はっ、この姿でワシと見破るたぁ余程忘れらんねぇんだな」

「当然、どんなに年が取ろうとも戻ろうとも忘れるわけがない」

「さすが俺が認めし武人だ、だが今回は俺の顔を立たせてもらう」

「と言うと?」

「俺は次期王にエンミルを進める、同時にそこのバカ王子と姫華先輩との結婚話は無しだ、現国王にそう伝えておけ」

「ほう、その理由は?」

「民を魅せない暴君に王には向いてない、小物に第8世界の炎を汚させるな」

龍我は、アルカスに近づき睨む、それだけで恐れ力無くペタッと床に伏せる

「反論は?」

「俺が潰す」

「畏まりました、そう伝えておきましょう」

「それと、ルビアスについて」

「彼女はあなたの力のおかげでようやく自分の在り方に気づいたのです、奪うのはよろしくないかと」

「…ならこう伝えておけ、もう俺を忘れろと」

そういいルビアスを渡す

「かしこまりました」

「なら、とっとと消えろ」

「王子、行きましょう」

「あ、あぁ…」

怯え震えているアルカスの手をとり立ち上がらせる

「皆様には迷惑をおかけしました、感謝いたします」

「次来る時は観光目的にしろよな、いろいろ案内してやるよ」

「…失礼しました」

デルタルは最後に深々と頭を下げ生徒会室から去るのであった

「さて、しまいじゃ!授業あるから戻るぜ」

「待って龍我…さっきのは、なに?」

ドアを開け出て行こうとする龍我を姫華が止めてくる

「言ったろ、本物の化物を見せてやるってよ…」

「…あの時の化物は龍我くんだったんですか」

良太が言ってくる、あの時世界を恐怖に陥れ消えた化物だと

「やっぱ知っていたのか、まぁ当然か」

「龍我は、世界の敵…?」

「安心しろ、今は味方のつもりさ…かーっかっかっかっ」

「あ、龍我くん、もう授業始まりますよ」

恵華がやってくる

「マジで?はよ行かないとな」

不気味な雰囲気は一気に消えいつも通りに話す龍我と普通に接する恵華

「数学ですよ、課題やってきましたか?」

「課題?やってないなー、写させて」

「もー、だめですよ」

「えーそんなこと言わないでよー」

デレデレに話す龍我を見て呆気にとられる姫華に

「どうしたのですか?お姉ちゃん」

恵華は首を傾げ不思議そうにしている

「い、いや、なんでもないわ」

姫華も変に不安を与えてもいけないので黙っておくことにした

「あ、そういえば龍我くん、ルビアスさんと戦った時使ったんですか?」

試合も見てないのに、何も知らないはずの恵華が言ったその言葉に固まる3人

「ん?まーな、使わなきゃ殺られてた」

対する龍我はいつも通りの態度で振る舞っている

「ごめんなさい、お姉ちゃんの為に正体をばらすようなことになって」

「いーっていーって、気にしないでって、これは俺のケジメも含まれていたんだからさ」

「またどっかに行くんですか?」

「いかねーよ」

「よかったです」

「で、数学の課題なんですけど」

「もー、自分でやりましょうね」

「えぇー」

「やり方でしたら教えてあげますよ」

「やったー!」

龍我を知ってなおその態度を振る舞う恵華と知られてなおその態度を振る舞う龍我、その関係に何か不気味を感じとるのであった

「あ、お姉ちゃん龍我くんの事は秘密ですよ」

「え、あ、うん」

「ちゃんといつも通り接してくださいよ、それでは失礼します」

龍我と一緒に出ていく恵華

「恵華、あんた何者なの」

姉ですら知らない恵華の実態に思わず呟いてしまう

 

 

つづく


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