とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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王国編終了




古代遺跡にある神殿には太陽光を利用して光線を発射するとんでもないレンズが

 月 日

 

デュバル君改めT・レディから私へ連絡が入った。そう呼んでほしいと伝えられた時はレディなんて歳じゃあないとは思ったが、本人が選んだ呼び名なのでな。そう呼ぶようにしておこう、と日記にも一応記しておく。

さて、本題に戻ろう。

レディからの情報だと、過去にアンブレラが奪い取ったンディパヤ族の古代遺跡の内部に存在する地下庭園。ンディパヤ族が「太陽の庭」と呼ぶ聖地、どうやら其所に始祖花が生息しているそうだ。

現在はトライセルの手が伸びているようだが、今の彼。ではなく彼女ならば強襲し、力ずくで手に入れることも不可能ではないだろう。T+Gウィルスへ適合した彼女に物理的な攻撃は通用しない。高圧な電流によって形成された電磁バリアが全て防いでしまうからだ。通用する武器が無い訳ではないんだが、敵に教えてやる必要など無い。しかし彼女が彼であった時に瀕死の重傷を負わせた組織とは何だろうか。

トライセルでは無いようだがね。

 

 

 月 日

 

レディが地下庭園で始祖花を数本奪取したが、敵対組織の首魁に地下庭園を焼き払われてしまったそうだ。

敵対組織の首魁とやらは彼女とはまた違うウィルスに適合した人間であり、自在に炎を操るその女は彼女よりも数段化物度合いが上だったらしい。

電撃と火炎の交差する戦場と化した地下庭園が堪らず燃え始めた所で、本来の目的を最低限でも達成する為に数本の始祖花を引き抜いて逃走。遺跡から脱出し、始祖花を持ち帰ることには成功したが。

手に入れた数本以外の始祖花達は全て燃え尽きてしまっただろうと落ち込み気味な彼女に「0よりは良いじゃあないか、きみは充分に約束を果たしてくれたよ。お嬢さんへ資金を提供する時に言った通り、花は数本で構わないんだ。それを忘れずに送ってくれるならば、何も問題は無い。だから、忘れるんじゃあないぞ」と慰めながら念を入れて連絡を終わらせた。

電撃女体化ナルシスト対焼き討ち性悪女か、悪夢の対決だな。アフリカに行かなくて良かった、いや本当に。

しかし、庭園が燃えてしまったのは残念だ。一目で良いから見たかったんだが、私にはとても美しく見えたはずだからな。始祖花が一面に生えた「太陽の庭」が、とても美しく素晴らしい物へ思えたはずだ。

私にはね。

 

まあ、無い物をねだった所で仕方がない。

潔く諦めて、近々彼女から届くだろうサンプルに期待を馳せておこうか。

 

 月 日

 

遂に始祖花が私の元へ、良くやったレディ。頑張ったなレディ。資金を更に提供してやろうレディ。これで美に絶対的な価値を置く王国とやらを完成させるがいい。

届いた始祖花の内、一輪は観賞用として育ててみるとしよう。二輪は保存用で、もう二輪は研究用だな。

残った一輪はどうするか、と用途を考えながら摘まみ上げた一輪を眺める。

37年ぶりに直接手を触れて間近で眺めた始祖花、初めて見たあの時と変わらず惹き付けられるような魅力が感じられた。

文字通り花を食べてしまいたい衝動に駆られるが、深く息を吐いて我慢しておく。

 

何も考えずに食らい付いた37年前よりかは自制が出来ているんじゃあないかな、歳を重ねて少しは我慢強くなったようで何よりだ。

 

さて、この花で何をしようか。貴重な物を無駄にしてはいけない。

 

有意義に使わなくてはな。

 

 

 月 日

 

アフリカ奥地で建国中だったレディの王国が、大規模の武装集団とBOW達に襲撃されて壊滅したらしい。

何とか彼女は逃げ切れたみたいだが、同時に二つの組織が挟み撃ちで襲ってくるとは運が悪かったな。

レディも建設作業中の人員や戦闘訓練を行った部下を総動員して抵抗したが、多勢に無勢で全く歯が立たず敗北。

美に絶対的な価値を置く王国としてレディが美しく思う人間以外と醜いが強力なBOWを全て排除した事が敗因じゃあないかな。

きみ一人が強くても、きみ以外の人数がそんな状態では守りきれんよ。

 

 

しかし、二つの組織は連携していたわけでは無かったようだが。

T+Gウィルス適合者であるレディの捕獲が目的だったんだろうか。

トライセルはそうかもしれんが、もう一つの性悪が率いる組織が襲撃した理由は単なる嫌がらせの可能性が有る。

 

「誰かが大切にしている物を壊すのって、病み付きになるぐらい楽しいでしょう」と前に性悪が言っていたんでな。

 

 

どうしてあんな奴になったんだろうか、最初に会った時の性悪は10歳児にして「自分以外の人間は全て愚民。私にひれ伏すがいい全世界、そして愚かな人間達よ。全員私のしもべにしてあげる」という感じで今とは別の方向に性格が悪かったんだが。

 

それから一年後のある日、何故だか考えが変わったようで「自分以外は全て玩具、壊れるまでは楽しく遊んであげる。飽きたら捨てましょう。代わりはいくらでも世界中に有るんだから。何時までだって遊べるわ」なんて子供らしさが滲み出た恐ろしいものに変化していたんだよな。

何が原因で、そうなったんだろうか。

 

まあ、矯正不可能な性悪の事を考えていても意味はない。

 

アフリカから僅かに生き残った部下と共に他国へ逃亡したレディを手助けしておこうじゃあないか。

 

奴等の敵は多い方が、私にも都合が良い。

 

 




ネタバレ注意
とあるブラックな製薬会社 アンブレラその1


アンブレラとは三人の男によって創設された製薬会社である。製薬会社とは表向きで、実際は「人々の健康を庇護する」という社訓などポイして非人道的な研究を繰り返して生物兵器の開発を行っていたブラックな会社である。

アンブレラの創設者三人の内一人。エドワード・アシュフォードは創設された年に同じ創設者であるオズウェル・E・スペンサーによって事故に見せかけて殺されている。残った一人のジェームス・マーカスもやっぱりスペンサーの命令で殺されている。

バイオ1の舞台である洋館を作った建築家もスペンサーによって妻まで実験に使われて殺されている。その建築家の娘はウィルスに定着してしまい実験材料にされてしまうが、これはまた今度。


つまり一言で結論を言えば

大体スペンサーが悪い



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