とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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今回も文だけです


サングラスの人へロケットランチャーを撃ったらロケット弾を掴んで受け取められた時は凄く驚きました

煙幕弾が尽きて煙が晴れる前に息の根を止めておきたいところだが、どうやら余裕が無くなり油断が消えたようで、厄介な相手に変わってしまった。

 

煙幕のお蔭で矢を避けられる事は無いが、身体へ突き刺さった瞬間に超人的な反射速度で矢を引き抜かれ。限り有る「PG67 A/W」を仕込んだ矢は最初の一矢以外、効力を発揮する前に体外へと抜き出されて更なる薬剤の注入が防がれている。対象の並外れた動きを封じない限り、矢によって行われる薬剤注入ではこれ以上の弱体化は望めない。

 

しかも矢を放たれた方向から大体の見当を付けているのか、先程まで此方が居た位置へ向かって脇のホルスターから抜いた拳銃を発砲してくるようにもなった。矢を射ち放つ度に移動を繰り返していなければ、今頃は弾丸で撃ち抜かれていたかもしれんな。徐々に精度が上がっているから次からは少々気を付けて動くか。

煙を絶やさないように追加の煙幕弾を二発撃ち出してから標的に通常の矢を発射し、放たれるであろう銃弾に備えて改造アタッシュケースを盾代わりに構え、頭部を隠しながら移動を行う。スーツの下に着込んだ備えは拳銃弾程度では何ともないが、頭は無防備なのでな。

 

予想通りの炸裂音が連続で鳴り響き、改造を施されたアタッシュケースが弾丸を弾く音が聞こえる。頭を隠しておいて助かったが、今の音は不味いんじゃないかね。

 

「見付けたぞ!」

 

先程の音で私の居場所を判断した裸眼のグラサンは迅速な移動で此方へ接近、そしてその勢いを殺さずに跳び膝蹴りを喰らわしてきた。アタッシュケースで何とか防ぐも尋常ではない威力に堪えきれず吹き飛ばされて鍵の掛かった扉に叩き付けられた私に容易く追い付いて追撃の左掌打を腹部へ叩き込んでくる。やはり接近戦は不利だ。

強制的に息を吐かされながら壊れた扉ごと吹き飛ぶ私の胸部を狙って突き出された手刀をアタッシュケースで遮り防いだが、とてもとても頑丈に作ったケースが手刀に貫かれて孔が開通。アタッシュケース内の義手が一つ駄目になった事を悲しむ間も無く、ケースから手を引き抜いた裸眼グラサンの足が私の顔面を蹴り上げようと動いた。

 

上体を反らして振り上げられる足を避けたところに、振り下ろされた踵落とし。それを受け取めた孔の開いたケースの形が少々歪んだが、中身を気にしている暇は無い。

 

ケースを押し上げるように振るって乗っていた踵を払い除け、左腕義手を体勢を崩した裸眼グラサンへ向けて矢を射ち出す。至近距離で眉間と喉を狙って放たれた二矢を左右の手で掴み取って防ぎ、石造りの床へと放り捨てた裸眼グラサンに上段の廻し蹴りを入れる。

 

こめかみを狙った靴先は左腕に阻まれて防がれたが、靴の仕掛けを作動させると靴先から勢い良く飛び出したナイフが裸眼グラサンの腕に突き刺さってウィルスにより細胞組織の根本から組み換えられた肉体へ傷を付けた。

 

鋭い両刃のナイフが飛び出た右足靴を素早く脱いで、私の右足へ伸ばされた裸眼グラサンの右手を避けておく。片方の足が靴下だけでは不恰好だが、足を握り潰されるのは困るんでな。

 

裸眼グラサンは苛立たしげな唸りと共に私の靴を掴んで左腕に突き立つ靴先に仕込まれたナイフを腕から引き抜き、刃をへし折った後に靴自体を握り潰す。

 

靴が駄目になるのも非常に困るんだがね。

いや本当に何をしてくれているんだ、このピッチリ黒服48歳裸眼グラサンが。

帰りは片足靴下で帰れとでも言うのか、私は一桁の歳の子供じゃあないんだよ。

もう56歳だぞ私は。

貴様に喰らった左掌底打ちで鈍い痛みが腹部に今も残っているが、そんなことよりも靴を握り潰された事の方が腹立たしい。

 

それ以外にも裸眼グラサンには言いたいことが沢山有るが、文句を考えている場合ではないか。

 

鍵の掛かっていた扉ごと力尽くで侵入させられた、この通路の突き当たりにある階段を駆け上って裸眼グラサンから投げつけられた靴の残骸と撃ち放たれた銃弾を避ける。

煙が薄い上階の通路に煙幕弾を数発撃ち込みながら駆け足で進み、石棺が置かれた一室に入り込んで一息を吐く。ようやく肉弾戦が無駄に強い裸眼グラサンから距離を取ることが出来たが、このまま逃げるつもりは無い。

手早くアタッシュケースを開けて運良く壊れていなかった二種の義手を背負い、折れていない予備の矢を左腕の義手に補充する。運悪く壊れていた義手は対プラーガ撃退用か、フックショットも壊れていたが折角新しく作った対ウロボロス用義手が壊れていなかったのは不幸中の幸いだな。改造して強度を上げておいたとはいえ頑張ってくれたアタッシュケースに、せめて感謝を捧げておくとするか。

 

「何処へ隠れた?」

 

此方を探す裸眼グラサンの声はまだ遠い。何か使える物が無いかと小部屋内を探索。石棺の重い蓋を左腕義手を取り替えて人間の頭を殴り潰し陥没させるほどの改造強化を施した義手の力で押し開けると、楕円形にカットされたエメラルド、円形にカットされたサファイア、銀色に輝く大型拳銃が石棺の中に入っていた。宝石はともかく何故マグナムが棺に仕舞われていたのか疑問は尽きないが、今は有り難く使わせてもらおう。装填されている弾数は五発、無駄にはしない。身軽に動く為にアタッシュケースは此所に置いていく。装備はこれで良し、次はハーブの出番だな。

スーツの胸ポケットから一草が一粒に凝縮されたハーブタブレットが入った小さなケースを取り出し、中身を3錠ほど口に放って飲み込むと腹部の痛みが和らいでいく。

この最新式のハーブ使用法は従来の使用方法よりも怪我を癒す力は弱いが持ち運び易く嵩張らない、それに疲れを一気に吹き飛ばす効能が有ることも大きな利点だろう。

ハーブタブレットの残りは9錠、使い切る前に裸眼グラサンを倒さなくてはならない。

 

「今よ、クリス!私がジルを押さえている内に、彼女の胸の装置を引き剥がして!」

 

「ああ、頼むぞシェバ!待ってろジル!今すぐ助ける!」

 

クリス君達の力強い声が広間を響き渡って上階に居る私の耳にも届いた。

彼方は彼方で忙しそうだが成功すれば3体2から4体1に変わって裸眼グラサンが不利になるので是非とも頑張っていただきたい所だな。

 

此方は此方で頑張るとしようかね。

 




ネタバレ注意


ハーブタブレット

バイオハザード6で登場した新しいハーブの使い方

グリーンハーブ一つで1錠
グリーンハーブ二つを組み合わせれば3錠
グリーンハーブを三つ組み合わせると6錠
グリーンハーブとレッドハーブを組み合わせたら一気に6錠も


最大で持ち運べる数は17錠

因みに体力を回復するだけではなくフィジカルコンバットゲージ(P.C.ゲージ)という
殴りや蹴りなどの体術、近場の敵を自動で狙って攻撃するクイックショット
それらを使用するために必要なゲージであり
使ったゲージは時間経過で回復するが
ハーブタブレットを1錠使えば一気に全回復させることが出来る


裸眼グラサン

アルバート・ウェスカー
何度壊しても何回壊しても尽きる事の無いグラサンを取り出して装着する
予備のグラサンを無限に持ってる人

二回目に戦う時はミサイル投げつけてきたりもする

近くで喰らうと即死します

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