とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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マインスロアーはアンブレラが開発した兵器

 月 日

毎日供給されているモールデッド達の原材料が私の想像通り人間であるならば急激な人口の減り具合で人間を何処で調達しているのかおおよその検討は付く。毎日あれだけの数が減っていたのだから調達する側も一苦労だ。アレクシアが自分でやる訳が無い仕事だ、部下達にやらせている筈だな。

 

人の流れを確認出来ればアレクシアの拠点の場所が解るかもしれない。特異菌の菌糸によって形成されているとしても重量はそれなりに有るモールデッド達をどうやって私の行動範囲内に運んでいたのかも確認出来ればエヴリンの居場所の特定に繋がる。

 

先ずはアレクシアの組織が人間を調達している場所の特定から始めよう。

 

 月 日

 

私がモールデッドの相手をしている内に部下達へ探らせた情報では、とある国の紛争が絶えない地域で人が突如として消えるという出来事が多発しているらしく。残されていた痕跡から見て生きたまま拐われた可能性が高いそうだ。これがアレクシアの部下の仕業であればモールデッドの原材料の調達で間違いない。特定が出来たのならば後は原材料を運ぶ人間と運ばれる先を調べればアレクシアの拠点が判明する。

 

日々難易度が増してくるモールデッド達への対応が出来なくなるその前に必ず見付け出さなくてはならない。常にアレクシアが拠点に居る訳ではないだろうが手掛かりの一つにはなる。集めた情報が無駄になる事は無い。エヴリンが私に釘付けになっている間に動いている優秀な部下達の働きに期待しよう。

 

 月 日

拐った人々を積み込んだ大型ヘリに私の部下が発信器を仕込む事に成功し、人々が運ばれていく拠点の位置が判明した。そこがアレクシアの拠点であるかは未だ解らないが人々を拐い良からぬ事を企む者の居城である事は言うまでもない。

 

実際に確かめてみるしかないか。装備を整えてから問題の拠点へと向かうとしよう。

 

 月 日

 

どうやらアレクシアの拠点で合っていたらしい。モールデッド達と武装した人間が連携して襲いかかってきた。モールデッドの影に隠れて機関銃を乱射してくる武装兵達の眉間を片手に持った大口径の拳銃で撃ち抜きながら、もう片方の手に持つ拳銃の対特異菌特殊強装弾で細身の肉体を持つ四つん這いのモールデッド達の頭部を穿つ。

 

武装兵の集団の中心に手榴弾を投げ込んで纏めて吹き飛ばしてやり。基本型のモールデッドの群れにも手榴弾を放り込み手足を吹き飛ばして身動きがとれないようにしてから頭部を狙い撃ち中枢神経を破壊する。

 

近付いて白兵戦を仕掛けてきた武装兵のナイフを持った腕をへし折り取り落としたナイフで滅多刺しにしてトドメを刺す。刃の形状に変異した右腕を持つモールデッド達が振るう右腕を避けて剥き出しの頭に拳銃の弾丸を撃ち込む。

 

トラックに乗って此方に向かって来る武装兵の額に風穴を空けてやりトラックを横転させ。肥満体のモールデッド達の突進を回避して脳天にありったけの銃弾を叩き込んでやる。モールデッド達は恐らくこの見覚えの有るトラックで私の元に運ばれてきていたのだろうな。

 

武装兵とモールデッドの粗方が片付き静かになったところでアレクシアの拠点に潜入した私を待っていたのは満面の笑みを浮かべたエヴリンだった。彼女にとって今までの出来事は全て私との楽しいお遊びに過ぎなかったらしい。楽しかったのはエヴリンだけで私は全く楽しくは無かったが。

 

今回は自分の負けだと素直に認めるエヴリンへ特異菌に対する壊死毒を濃縮して効力を更に高めた物を投与しようとした瞬間。放たれた火炎の放射がエヴリンと私を別つ。遂に現れたアレクシアはその身に宿すtーVeronicaの力を解放していた。

 

アレクシアの顔半分を除いた身体中を覆う植物化した強固な皮膚は非常に硬く拳銃の弾丸程度なら簡単に跳ね返してしまう。そして彼女の体内に循環している血液は空気に触れると発火し、高温の炎となる。

 

怪物と化したアレクシアに私は大口径の拳銃を連続して発砲するも人間離れした速度で全弾回避される。再びアレクシアの腕から放たれた火炎を跳び避けて躱しながら、特製の耐熱硬化ムース弾を拳銃に装填し連射。着弾した箇所を固まらせて動きを阻害する耐熱硬化ムースを弾頭に仕込んだ弾丸が今度は命中。

 

付着した耐熱硬化ムースで四肢を覆われて見るからに動きが止まったアレクシアに近付き左腕義手の機能を作動させる。腕を取り外して指先から現れた高温にも耐えられる鋭い注射針をアレクシアに突き刺し高速モーターで血液を吸引。吸引された血液は全てタンクに収まり外気に触れて発火する事無く搾り上げていく。万が一義手が破損しアレクシアの血液が外気に触れた場合を想定して距離をおいて離れておく。

 

四肢を覆う硬化ムースを破り身体に突き刺さった義手を放り捨てたアレクシアは尋常ではない速さで此方に接近し、心臓を狙った手刀突きを放ってきた。私は身を捻る事でそれを避けて新たな義手を装着する。生物であるならば血液の喪失は命に関わるが多量の血液を失ったアレクシアの動きは未だ衰えてはいない。容赦無く繰り出される連撃、霞む程の高速で振るわれた手足を回避して反撃の大口径の銃弾を植物性の皮膚で覆われていない顔面に浴びせてやる。

 

笑い出したアレクシアの炎を宿した右腕が振るわれる度に血液が散布され激しい炎の波が走る。迫り来る豪火の波をフックショットを駆使して飛び越えながら空いた片腕で銃を撃つ。アレクシアの指先から連続して放たれた火球を躱し銃弾を補充。急速に接近し此方の首を愉しそうに掴もうとするアレクシアの腕に左腕義手の一撃を入れて反らし未然に防ぐ。

 

愉しくて愉しくて堪らないといった様子のアレクシアに銃口を向けて引き金を連続で弾く。ステップを踏んで踊るように避けられる全ての弾丸。全弾撃ち尽くした弾装を捨て新たな弾装を装填。このままでは何発撃っても当たらないだろう。闇雲に撃って弾を無駄にするのは好ましくない。戦法を変える必要が有る。

 

手始めにバックパックから手榴弾を取り出して投げつける。巻き起こる爆発を回避したアレクシアに変型した左腕義手から追尾式の時限炸薬弾を発射して命中させた。着弾した弾頭は一定時間が経過すると起爆する。炸裂する時限炸薬弾に発火する血を撒き散らしてアレクシアの動きが止まった瞬間を狙い拳銃を発砲。顔面に撃ち込まれた銃弾に仰け反り顔を押さえるアレクシア。

 

追撃の手を緩めずに左腕義手から更に時限炸薬弾を射出し撃ち込んでいく。対象を追尾して確実に着弾し起爆する時限炸薬弾。連続してそれを喰らい遂に地に膝をついたアレクシア。トドメを刺そうと拳銃を構える私に襲いかかってきた基本型のモールデッド達。どうやらママを殺されたくないエヴリンが邪魔をしてきたらしい。

 

私がモールデッドを始末した頃には既に立ち上がっていたアレクシアが今回は自分の負けだと認めて「また会いましょうジョン」と微笑んでから身を翻して逃げ出した。拳銃の弾はまだ有るが左腕義手の時限炸薬弾は弾切れで、人間離れした速度で全力疾走するアレクシアを拳銃で狙い撃つのは難しい。出来るなら今回でアレクシアを仕止めておきたかったが、アレには追い付けん。

 

エヴリンにも逃げられているだろうし今回の収穫は今後暫くはモールデッドの襲撃が無い事位だろうな。その後はアレクシアの拠点内を隅から隅まで散策し拐われた人々を見付け出して解放、特異菌の血清と同様の効果を発揮する薬品を投与した彼等全員を大型ヘリで元の場所まで送り届けた後に、アレクシアの拠点を衛星軌道上の太陽光集積システム「レギア・ソリス」から膨大な太陽光エネルギーを収束させて照射し焼却した。随分と長くなったがこれで今日の日記を終わりとしよう。

 

 月 日

絶え間無く連日続いていたモールデッドの襲撃は完全に無くなり、とても清々しい気分で朝を迎えられた。これだけでも戦った甲斐が有るのかもしれない。何事も無い日々の大切さを噛み締めていた私の元へ送られてきた情報では、シモンズの教育を受けたカーラ・ラダメスがエイダ・ウォンを名乗り活動を開始したそうだ。自分の思い通りになるエイダを求めていたシモンズの歪んだ願望の産物が動き出したか。

 

クローンに好き勝手に行動される前にオリジナルのエイダ本人にこの事を伝えておくとしよう。さて、どうなるかな。




ネタバレ注意
マインスロアー
バイオハザード3と4に登場する
アンブレラが開発した特殊兵器
標的に突き刺さり、数秒後に爆発する
バイオハザード3では遅延式の榴弾を
バイオハザード4では時限炸薬弾を発射する
バイオハザード3ではマインスロアーに無限弾をセットするとマインスロアー改となり発射した弾は敵を追尾する
バイオハザード4では限定仕様にまで改造すると撃った弾が敵を追尾するようになる

衛星軌道上の太陽光集積システム「レギア・ソリス」

バイオハザードリベレーションズに登場する

本来の用途とは違う事に使われて
ウイルスに汚染された海上都市テラグリジアを完全に焼却しつくしたり
ジル達が乗っている船を焼き尽くそうとしたりする

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