とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記 作：色々残念
月 日
「ファミリー」に関する情報を手土産として「ネオアンブレラ」に部下を潜入させる事に成功。詳しい内部情報が送られてきた。現在カーラはＣウイルスとの適合性が高いと解った被験体にＣウイルスを投与して新たなＢＯＷを造り出そうとしているらしい。被験体もカーラに選ばれた事を喜んでいたあたり人を惹き付ける力が彼女には有るようだ。実験中の事故により被験体の右腕は失われてしまったそうで、Ｃウイルスを用いて再生を試みたがうまくいかなかったそうだが。しかし、それを補って余りある能力を秘めたＢＯＷが完成すると研究者達は確信していたと報告書には記載されている。
新たなＢＯＷがどの様なものになるのか興味は尽きないが、喜んで被験体となる部下が居るあたり「ネオアンブレラ」はカーラの狂信者の集まりなのかもしれんな。
月 日
完成したＢＯＷはウスタナクと名付けられたそうだ。身体能力、思考力の高さはジュアヴォのそれを大きく上回っているらしい。戦闘実験においては、ターゲットに応じて数ある武器を取捨選択し、最も状況に応じた戦術を取る姿が確認されている。カーラはウスタナクに専用の武器を造るよう命令を下したようだ。失われた右腕の代わりとなる武器を早急に造り出そうとカーラの部下達は躍起になっているとの事だ。
どうやらウスタナクは素体となった人間の能力が強く反映されたＢＯＷのようだな。複雑な機構の武器や装備を瞬時に使いこなせるところからその知能の高さが垣間見える。
敵として相対すれば随分と厄介な相手になりそうだな。
月 日
ジュアヴォとは比べ物にならない程に強力なＢＯＷであるウスタナクは「ファミリー」の拠点への強襲の為に使われるようで、重厚な回転式多砲身機関砲を右腕に装着したウスタナクはかなりの破壊力を持っているらしい。完全に殲滅を想定した装備を用意したあたり一人も生かす気はないようだな。情報は拠点に残された物だけで充分だと判断したのか、それとももう必要な情報は集まったのか。どちらにせよウスタナクへの対抗手段が無い限り世界各地にある「ファミリー」の拠点は壊滅するだろう。
全ての拠点を潰したとしても構成員が生き残っていれば再起の可能性があるからこそ、カーラは根こそぎ叩き潰すつもりなのかもしれないな。執拗なまでに「ファミリー」を攻撃する「ネオアンブレラ」の現在の目的はやはり「ファミリー」を消し去る事なのか。消し去ったとしてその後はどうするつもりなのかを知らなければいけない。
以前カーラを匿っていた時の顔に変えた私が直接出向いてカーラに話を聞く事も視野に入れておくとして、現在「ネオアンブレラ」へ潜入中の部下の働きにも期待しておこうか。
月 日
ウスタナクによる「ファミリー」拠点への襲撃は連日続き、拠点内に居た「ファミリー」構成員達は予想通り一人残らず皆殺しにされているようだ。「ファミリー」上層部が幾ら指示を出そうと実働する構成員達がウスタナクやジュアヴォ達に排除されていくだけで何も対処が出来ていない。この報告を受けた私は現在「ファミリー」に潜入させている部下を「ファミリー」から撤退させる事にした。このままでは部下の居る拠点もいずれウスタナクの襲撃を受けるだろう。大切な部下がそんな事に巻き込まれては堪らない。何をしても構わないから生きて「ファミリー」から退避しろと部下に伝えておく。
ウスタナクの攻勢は全ての拠点を制圧するまで止まる事は無い。それを止める手立てが「ファミリー」に無いのならば、沈みゆく船にいつまでも部下を乗せていても仕方がないのだから。事前に退避させるのは当然の事だ。
手遅れにならなければ良いんだがな。
月 日
「ファミリー」に潜入していた私の部下は最後の一仕事として「ファミリー」上層部の本拠地に遠隔操作で起爆出来る爆薬を大量に仕掛けて、安全な場所まで退避してから起爆装置のスイッチを入れて「ファミリー」上層部の連中を始末したそうだ。その混乱に乗じて「ファミリー」から撤退した部下には盛大な報酬と気が済むまでの休暇を約束した。これで「ファミリー」の崩壊は決定されたも同然だな。外部からも内部からも攻撃を受けて「ファミリー」には大打撃だろう。構成員達に指示を下していた上層部が纏めて吹き飛んだ影響は凄まじいものとなる。もはや長の選定どころではなく「ファミリー」の存亡さえも危うくなってきている筈だ。
「ネオアンブレラ」が「ファミリー」に勝利する時が近くなってきた。強大な財力と世界規模のネットワークを用いて、古来から歴史を自在に操ってきた巨大組織「ファミリー」も遂に終焉を迎えるだろう。「ファミリー」にとって最も有益となる世界情勢を維持する為には手段を選らばなかった「ファミリー」が「ファミリー」を潰す為ならば手段を選ばない「ネオアンブレラ」に敗北するのは時間の問題だったのかもしれないが。それを早めたのが私の部下の働きである事は間違いない。
働きには報いなければならないな。
月 日
上層部を失い構成員達のみとなった世界各地の「ファミリー」はそれでも抵抗を続けていたが更に勢力が増した「ネオアンブレラ」には敵わず。巨大組織「ファミリー」と新興組織「ネオアンブレラ」の激しい争いに遂に終止符が打たれた。勝者となったのは「ネオアンブレラ」だ。世界の安定を維持する事を目的としていた「ファミリー」の完全なる排除を成し遂げたカーラ・ラダメスが目指すものは何か。「ネオアンブレラ」に潜り込ませた部下からの報告では「憎くて堪らないあの男が残したものは全て消し去った。これでようやく始められる。安定した世界とやらに混沌を巻き起こしてあげましょう」とカーラが「ネオアンブレラ」の構成員達に高らかに宣言していたらしい。
カーラの考える混沌がどんなものかは解らないが世界を巻き込む大掛かりな事態になりそうだ。やはりシモンズと「ファミリー」だけではカーラの憎しみは治まらなかったのだろうか。何にせよ既に世界中へＣウイルスをばら蒔いている「ネオアンブレラ」が更なる活動を開始するのは確かだ。
カーラの率いる「ネオアンブレラ」が何を仕出かすつもりなのか情報を入手する必要が有る。潜入中の部下には苦労をかけるが更なる詳細な情報を頼んだぞ。
月 日
私の元へ情報が届くよりも先に「ネオアンブレラ」は行動を開始したようだ。安定した世界とやらを維持する為には不都合な情報達。世界の闇で「ファミリー」によって塞き止められていた膨大な情報が「ネオアンブレラ」によって無秩序にばら蒔かれ始めた。ガセネタは一切無しで全て正確な事実だけが流されている。当然世界を巻き込む大混乱が巻き起こった。情報の中にはラクーン事件の真相までも含まれていて懐かしい気分になったが、そんな場合ではない。各国が極秘で抱えていた問題が浮き彫りにされていて今のところは他国の事を気にしている場合では無くなっているらしいが。落ち着いたところでどうなるのかが問題だな。
とはいえこれだけで終わってくれるなら一安心だが、そんな事は無いのだろうな。既に世界は混沌とした状況に陥っているが、この程度でカーラが満足するとは思えない。カーラが望む混沌はこんなものじゃあないだろう。
「ネオアンブレラ」の次なる動きで世界にどのような混沌が巻き起こるのか、事前に知れたとしても対処が可能であるかは解らないが。何も知らずにいるよりは良い。
月 日
「ネオアンブレラ」はその有り余る財源で海底に研究所を設立していた。そして海底からマグマを引き上げ、高温環境でも活動可能な細菌や微生物を研究し、Ｃウイルスにその特性を組み込む事で過酷な環境下でも生存できるＢＯＷを生み出そうとしているようだ。更には「ネオアンブレラ」の最終兵器となる予定の巨大ＢＯＷの開発も行われているらしい。その巨大なＢＯＷは体内で人間をゾンビ化する濃縮ガスを生成可能なうえに自己分裂の機能を備えているそうで際限なく無限に増え続ける可能性がある。ハオスと名付けられたそれが世界に解き放たれたとすれば世界は間違いなく数日で滅ぶだろう。
これから私がするべき事は決まった。直ぐ様海底研究所に向かい開発中の巨大ＢＯＷの処分を行ってから海底研究所の自体も破壊する事だ。世界が滅ぶ様なものをそのままにはしておけない。持っていく物は各種銃器に弾薬と爆薬に大量のアンチＣとアンプルシューターだけではなくハーブも忘れてはいけないな。
さて、これから忙しくなりそうだ。
ネタバレ注意
ウスタナク
ウスタナクとは東欧の言葉で「決起」を意味する
カーラ・ラダメスに選ばれた「ネオアンブレラ」の科学者を素体としたクリーチャー
状況に合わせて右腕のアタッチメントを様々な武器に付け替えながら攻撃対象に襲い掛かる
ジェイクにぶん殴られてマグマに落とされても這い上がって追いかけてくるガッツのある敵
最終的にはシェリーとジェイク二人での共同作業のマグナム発射で倒される
ハオス
混沌と名付けられた「ネオアンブレラ」の最終兵器
外皮は透き通っており人間のような骨格や内臓を肉眼で確認する事が出来る
その身体に人間をゾンビへと変えるガスを作る器官を持っており
地上に解き放たれると同時に無限の分裂を繰り返すようにプログラムされている
クリス達に一度は撃退されるも復活しクリスを追い詰めるが自らに強化Ｃウイルスを投与したピアーズによる攻撃によって粉砕され海の藻屑となった