とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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アンブレラクロニクルだとセルゲイよりも2体も居たイワンの方が厄介だった様な気がする

今回は金髪君の救助も兼ねている為、拠点をいきなり壊滅させる「レギア・ソリス」は使えないが。それならそれでやりようはある。戦闘用義手の内蔵兵器を切り替えて矢を放ち静かに監視を始末していく。全ての監視を始末し終えたら施設内へと侵入を開始する。素直になる薬を装填したアンプルシューターを用いて研究員達に強制投与して情報を全て吐かせてから処理しておく。どうやら金髪君は抵抗が激しかった為に独房に入れられているらしい。独房をあける鍵を持っている主任研究員を探し出す必要があるな。

 

出会う研究員達全てに素直になってもらい探しあてた主任研究員の部屋に入り込んで、主任研究員を待ち伏せて独房の場所を言わせてから処理し鍵を手に入れた。独房に向かい鍵を開けて金髪君を解放。感激といった感じで激しく礼を言う金髪君を宥めて落ち着かせる。素手では心許ない金髪君にL・ホークと弾装を8本渡して研究所から脱出を試みるが出入口に特殊合金のシャッターが降ろされて完全に封鎖されており、他の出口を探すかシャッターを制御している場所を探さなければならなくなった。

 

手分けして探そうと言った金髪君の提案を断り、離れて行動するのは危険だと言い含めていると特殊合金装甲を装着した「暴君」の群れが現れた。私は背負っていたアンチマテリアルライフルを構えて狙いを定めて発砲する。「暴君」の纏う特殊合金装甲には視界を確保する為に頭部へ存在する僅かな隙間が唯一の弱所であり、その一点を集中して狙う事で漸く孔を穿つ事が出来るのだ。装弾数10発では1発が足らないので15発まで入る様に延長したアンチマテリアルライフルの弾装。11発を撃ち込み「暴君」の装甲に孔を開けてやり、「デイライト」を装填したアンプルシューターで強制的に投与してやり息の根を止める。

 

勢い良く振るわれた右拳のアッパーを身を反らして避けて4発を撃ち弾装を交換し7発を叩き込む、穿たれた孔に「デイライト」を注入する矢を放ちトドメを刺す。放たれた力強い中段前蹴りを横に跳んで回避して8発を撃ち込み、弾装を再装填し3発で撃ち抜き、「デイライト」のアンプルを投げ放ち孔へと突き立たせて始末する。繰り出された左拳のストレートと中段廻し蹴りを躱して11発で孔を穿ち、おまけの1発で怯ませている間に「デイライト」を再装填したアンプルシューターで「暴君」を処理した。

 

L・ホークで抵抗していたが効果が無く殴り飛ばされていた金髪君を助けおこし、歩けるかどうか聞いてみると「何とか大丈夫」と返事が返ってくる。本当に大丈夫か心配になったので錠剤の回復薬を渡して飲むように言っておく。何から何まで申し訳ないと縮こまってしまった彼の背中を軽く叩いて「気にするな」と言うと「ありがとう」と笑顔を見せた。少しは気分が晴れたらしい。

 

金髪君を連れて研究施設内の移動を開始する。研究員達から聞き出しておいたパスワードを入力して電子ロックを解除しながら進み、施設内の奥へと入り込んでいく。

 

通路を進んでいる途中で突如として現れたハンターの群れが襲いかかってきた。金髪君はL・ホークで応戦して危うげなく戦っているので気にする事なく目の前の相手に対処しよう。眼前のハンター達は最新の調整が施された選りすぐりのエリートと言っても良い個体達だ。

 

動きのキレが今まで見てきたハンターの中でも段違いであり、跳躍力や瞬発力も大幅に強化されていて十分な知能も持っている。絶えず連携して攻撃を繰り出してくるのはとても厄介ではあるが。眼で追えない速さではなく、避けられない程の速度ではない。連続して繰り出された両腕の爪を振り払う攻撃を回避してアンチマテリアルライフルで頭部を撃ち抜いてやる。

 

連携の一角が崩れた穴を直ぐ様埋める様に動くのは流石だが、流れる様なその連携が命取りだ。次の動きが読める。跳躍し飛びかかって爪を振るってくるハンターをアンチマテリアルライフルで撃ち落とし、後ろから回り込んで突き出された爪を躱しながら弾丸を撃ち込む。爪を構えていたハンターの頭部に弾を叩き込み、銃口を向けられた瞬間跳び退いて避けようとしたハンターにちゃんと狙いを定めてから引き金を弾く。

 

下からすくい上げる様な爪を回避して至近距離からアンチマテリアルライフルを発砲する。唸り声を上げながら獰猛に振り下ろされる爪を躱して発射された銃弾がハンターの頭部へと食い込んだ。私へ襲いかかってきたハンターはこれで終わりだが金髪君の方はどうなったか確認して見ると自身の怪我を省みない捨て身の戦法で、最後のハンターに腹部へと爪を突き立てられながらも腕を掴みL・ホークの銃口を押し当てて引き金を弾いていた。

 

私は回復薬(強)を取り出して金髪君の腹部の傷へと振りかけていた、金髪君の体内に宿るGウィルスの効力で傷が瞬時に塞がるとしても見ていられなかったからだ。先程渡した錠剤の回復薬も飲んでおくように伝えて通路の先に進もうとしたところで体調不良を訴える金髪君。ハンターの爪に猛毒でも仕込まれていたのかもしれんな。

 

私は調合した解毒剤を飲ませて暫く休憩するかと金髪君に持ちかけたが、解毒剤で大分楽になったから大丈夫だというのでふらつく金髪君に肩を貸しながら進む事にした。辿り着いた資材倉庫でメモ書きと血清を入手。メモの内容は「外見を然程α型と変える事なくスウィーパーを超える猛毒の爪を持つハンターを作製する事に成功した。かするだけで致命的な猛毒を攻撃対象に与える事が出来る素晴らしい商品となるだろう。通常の解毒剤では効果が無いので万が一の為に血清を作製して資材倉庫に保管しておく」と書かれていた。

 

金髪君は運が良いのか悪いのか解らないものだな。私は手に入れた血清を金髪君に投与した。見るからに体調不良が改善されたところを見るに血清は効力を発揮したようだ。次からは出来る限り捨て身の戦法で戦うのは止めておきなさいと言い含めておく。また同じ事があってもいいように血清は幾つか持ってきているが限度はある。

 

ブルーハーブが大量に生え揃ったプランターを発見。ブルーハーブをメディカルキットと組み合わせて大量の回復剤を作成して金髪君に渡しておいた。後に残った僅かなブルーハーブはハーブケースに入れておく。軽度の毒ならばブルーハーブや手持ちの解毒剤でも問題はないが、ハンターの爪に含まれていた重度の猛毒には専用の血清が必要となる為、体力を回復する回復剤に変えて持ち歩いた方が良いと判断した。

 

閉じられた扉の鍵をキーピックで抉じ開けて進んだ先にはまるでかつて私が務めていたアークレイ研究所に通じる洋館の様な内装になっていたが、スペンサーを迎える為にセルゲイが用意したのだろう。警戒を弛めずに装飾が施された通路を進んでいると到着した大広間で遂にセルゲイが現れた。

 

「此処まで到達してくるとは流石と言えよう。だが招かねざる客にはそろそろ退場してもらわねばならん」

 

特殊合金装甲を身に纏うセルゲイが言い放った言葉に対して。

 

「退場するのは果たしてどちらになるだろうなセルゲイ。アンブレラも今日で終りだ」

 

私は強気で反論する。

 

「アンブレラは沈まんよ。苦難も、罪も、痛みと共に受け入れ、新しく生まれ変わる。この至福、君には理解できぬだろうね」

 

陶酔したかの様に語り始めたセルゲイに。

 

「ああ、理解できんな。理解する必要もない」

 

きっぱりと私は切り捨てる。

 

 

「ククク、だろうな。君はそう言うと思っていた。いいだろう、元は我らも同志、互いに確かめ合うのも悪くない。痛みの意味を知り、その先にある至福を求めよう、楽しもうじゃないか!」

 

セルゲイが片手を上げると同時に大広間に通じる扉が開き特殊合金装甲を着用したタイラント091と重火器を装備したイワンの群れが入り込んできた。

 

私はアンチマテリアルライフルで特殊合金装甲に孔を穿ち、開通した孔から左腕義手内蔵兵器の荷電粒子ライフルを発射してタイラント091達を排除していく。逃げ惑う金髪君に重火器を向けるイワン達に「デイライト」をアンプルシューターで投与してやり始末する。

 

大忙しの私の元へとセルゲイが向かってきた。跳躍からの拳の振り下ろしをバックステップで避けて、繰り出された左右の拳を回避する。下段の廻し蹴りを跳び上がって躱し、放たれた右フックをしゃがんで避けた。連続攻撃を回避しながらアンチマテリアルライフルで狙いを定めて撃つ。遂に穿たれた孔に「デイライト」をアンプルシューターで投与しようとするもセルゲイにアンプルシューターを握り潰されてしまう。

 

「無粋なものを使うものじゃない。命を削りあう時間にこそ、至福がある。流れる血こそ、命の歓喜だ」

 

「歓喜を感じているのは貴様だけだ、セルゲイ」

 

アンチマテリアルライフルで装甲に穿たれた孔からセルゲイの眼球を撃ち抜いてやると怯む事なく。

 

「痛みだ!痛みをくれえええええ!もっと強い痛みをくれええええ!」

 

より強い痛みを求めて暴れ回り手が付けられない状態となった。通常の「暴君」の肉体には痛覚は存在しないが、セルゲイの肉体として用意された「暴君」は特殊な調整を施されている。その中には痛覚の有無も含まれていたのだろうな。

 

「痛みこそ至福!苦しみこそ歓喜!どうだね!?わたしが最強だろう?誰もわたしを、絶望させることは出来ないのだ!!」

 

「絶望とは程遠い事は認めるが、最強であるとは思えんな」

 

左腕義手内蔵兵器を矢に切り替えて、矢の先端部に「デイライト」を仕込んだ矢をセルゲイの頭部を覆う特殊合金装甲に開いた孔へと放ち、急速に接近。矢が突き立った瞬間に上段廻し蹴りを叩き込んで矢を奥深くまで押し込んだ。セルゲイの体内へと「デイライト」が注入される。

 

「まだだ!もっと深い痛みを!ヲオオオオオオオオオオオオ!」

 

雄叫びを上げたセルゲイは倒れ込んで動かなくなった。tウィルスの特効薬である「デイライト」は効力を発揮したらしい。これで最後のセルゲイを倒す事が出来た。後は 「再現実験体」の身体で蘇ったスペンサーを始末するのみ。

 

大広間の奥にある一室へと進んでいくとそこには5人の若者の姿があった。恐らくは彼等がスペンサーの新たな肉体。

 

「セルゲイは破れたようだな」

「使えぬ奴だ」

「やはりウェスカーでなくては新世界に相応しくない」

「裏切り者のウェスカーなど不要だ」

「新たな肉体の候補としては最良ではあったがな」

 

「オズウェル・E・スペンサーだな」

 

「「「「「その通り」」」」」

 

声を揃えて答えたスペンサー達は此方を見据えて銃を構えた。

 

「裏切り者のジョン」

「老いも病もない肉体を持つ者」

「妬ましい男よ」

「その肉体を置いていけ」

「不老長寿の秘密を我が手に」

 

「喧しい、死人が喋るな」

 

私は左腕義手内蔵兵器を荷電粒子ライフルに切り替えて連続で発射した。直撃したそれはスペンサーの新たな肉体を分子レベルで破壊し、4体の息の根を止める。生命力の高い「再現実験体」の肉体といえど荷電粒子ライフルには敵わない。

 

「何という事だ、この「再現実験体」の身体を一撃で撃滅するとは」

 

「最後に言い残す事はあるか」

 

わざと残した最後の1体に問いかけてみると、此方へ銃口を向けながら叫ぶ様に言葉を発した。

 

「神となるべき存在は、わたしだったのだ!わたしこそが新世界を創造し、その世界に君臨する者なのだ!こんなところで死ぬわけがない!これは何かの間違いだ!お前などにわたしという神を殺す権利があるわけがない!」

 

スペンサーの拳銃から放たれた弾丸は全弾見当違いの方向へ飛んでいく。どうやら拳銃の扱いには慣れていないらしい。見苦しいご老人には、そろそろ退場してもらうとしよう。

 

「聞くだけ無駄だったな。さらばだスペンサー」

 

私は左腕義手の銃口を最後に残ったスペンサーに向けて荷電粒子ライフルを発射した。放たれた荷電粒子がスペンサーの頭部を破壊する。長く続いたアンブレラもこれで終わり。感慨深いものがあるな。




ネタバレ注意
イワン
アンブレラクロニクルに登場するBOW
タイラントT-103の派生型
セルゲイが自分の護衛用にカスタマイズしている
セルゲイが旧い友人達と称するイワンは彼の側近として2体存在
基本的な戦闘能力はT-103と同等だが、より人間社会に馴染んで常に作戦行動が出来るように改良されている
T-103型トレードマークの防護コートのほかに、特注のHMD内蔵サングラスを常用
主な改良点は思考能力の強化と、より人間のように偽造できる能力
初戦は1体だが最終戦では2体と戦う事になる

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