とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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連続でヒットするコードベロニカのナイフならバンダースナッチも楽勝

 月 日

以前の日記が私の血で汚れてしまったので新しい日記を用意して書き込む事にした。向上した身体能力の測定を行ったが、驚異的な記録を叩き出した自分に驚いている。瞬発力、反射神経、敏捷性、跳躍力、腕力、脚力、握力、投擲力。ありとあらゆる能力の調査を行った結果として既に私は人類とは呼べない存在となっているようだ。こうして日記を書いている内にもペンを何本か駄目にしているので繊細な実験器具を壊さない様に力加減の練習も必要になってくる。望んで手に入れた力では無いが、こうなってしまったものは仕方がない。精々有効に活用出来るように努力しよう。大型自動拳銃の反動を完璧に抑え込める事が出来る様になった為、更に精密な射撃が可能となった事は良い事だな。

 

人間性は失ったが、外見が人間離れした訳ではないのはありがたい。気軽に街を出歩けない外見になっていたら絶望していたところだ。自我も失っていない事も非常に助かる。自我の欠片も無い凶暴な獣と同じ存在になっていたらこうして日記を書くことも出来なくなっていただろうな。まともに生き返る確率が高いとしても、そうじゃない可能性が僅かでも存在するなら危険な賭けであることは間違いないし、好き好んで死にたがる奴はいない。

 

借りは返させてもらうぞアレクシア。

 

 月 日

漸く力加減が出来るようになったので、デュバル君改めレディに特異菌の血清と同様の効果がある薬品を大量に作製して送り届けておく。これでまた特異菌に侵されたとしても自分で対処が出来るだろう。しかし不意を突かれ、P30を投与されて身体の自由を奪われている間に、継続的にP30を投与する装置を取り付けられてしまったとはな。アレクシアの手際が良いのか、レディの油断があったのか。エヴリンに特異菌も植え付けられていたようだしな。私も流石に2体の優れたウィルス適合者を相手にするのは無理があった。おかげで一度死ぬことになったが、何とかこうして復活することができたのは運が良かったとしか言えない。あのまま死んでいた可能性も少なからずあったからな。

 

 月 日

戦利品である特殊合金製の槍を改めて振るってみると、かなりの強度を持っている事が解った。アレクシアは本気で振るっても壊れない武器を用意していたようだが。私の場合は左腕義手の強度を向上させる必要がある。私の全力の力に耐えきれる強度が無ければ、片手だけで戦わなければいけなくなる。この槍の材質を調べれば強度の高い左腕義手を作製する事が出来るだろう。義手に内蔵兵器を内包したものでも 強度を高める事が出来るかもしれない。

 

この槍は槍で使わせてもらおう。私の全力に耐えきれる今現在では唯一の武器だからな。槍は扱った事は無いが私の今の力なら力任せに振るうだけで十分な破壊力がありそうだ。いずれは技を身に付けたいところだが、そう焦らなくても大丈夫だろう。まずは全力を出せる左腕義手を作製してからの話だな。

 

これから忙しくなりそうだ。

 

 月 日

槍に使われていた特殊合金の材質を解明。同様の材質の特殊合金を作製して、私が全力を出しても壊れない強度を持つ最新の義手を完成させた。内蔵兵器は仕込まずにただ純粋に強度を高める事だけを目指して作製した義手はこれまでの義手とは比べ物にならないほど頑丈な代物だ。漸くこれで槍の修練に励める。全力の力を振るう事が出来る様になった事は嬉しい。頑丈な左腕義手自体が既に凶器であるとも言えるので、左腕義手を活用する戦法も考えておこう。

 

これで全力が出せる両腕が揃った。内蔵兵器を仕込んだ義手の開発も進めておこう。荷電粒子ライフルとマインスロアーを仕込んだ義手の強度を高めた物を作製してみようか。それと対特異菌用の義手も考えておくとしよう。特異菌に対する壊死毒を仕込んだ弾丸を発射するようにするか、壊死毒を先端に仕込んだ矢を発射するかどうするかだな。

 

どちらも仕込んでおくというのもありかもしれん。

 

 月 日

槍の扱いにも少し慣れてきたところで実戦の機会が訪れた。私を始末しようとして探している組織がいるらしい。普段は衛星軌道上から太陽光集積システムである「レギア・ソリス」で処理をする程度で直接は相手にしないものだが、特別に此方から向かわせてもらおう。防弾の衣服を着用し、布で巻いて隠した槍だけを持って拠点を飛び出した私は、そのまま問題の組織の拠点へと迅速に駆けていく。到着した拠点の入り口を蹴り飛ばして強引に開けると槍を布から取り出し、此方へ銃を向けた構成員に穂先を向けて、放たれた銃弾の雨を槍で全て弾き落としながら進んでいく。有り得ないものでも見たかの様な顔をした構成員達の眉間に槍の穂先を埋め込んでいき、息の根を止めてやる。

 

出払ってきた全ての構成員を瞬く間に槍で始末してやると、今度はハンター達が現れた。繰り出された爪の攻撃を軽々と避けて槍の刃でハンターを頭頂部から真っ二つに両断し、隙だらけの頭部を貫いていく。これまでとは比べ物にならない圧倒的な身体能力の差を実感した。これだけの力を持っていれば新生人類を名乗る者がいてもおかしくはないな。だとしても私は私だ。人間を逸脱していても私は私であると自信を持って言える。

 

続いて現れたバンダースナッチの肥大化した右腕を根元から切断してやり、無防備な頭部を槍で穿つ。私にとっては遅く感じる速さで伸ばされた右腕を余裕を持って回避して、槍の穂先で首を斬り飛ばしてやる。顔を庇う右腕ごと頭部を槍で貫いて、トドメを刺しておく。

 

新たに現れたジャバウォックS3が振るってくる鎌を躱して手足を斬り飛ばしてから、がら空きの頭部を槍で貫いてやる。防御を固めて硬質な鎌で急所を守っているジャバウォックS3の鎌を力任せに砕いてやり、剥き出しになった急所に槍を突き立てて始末した。

 

その後は拠点内に残っている生き残りの構成員を処理して終わりだ。まあ、槍の良い修練にはなっただろう。

 

 月 日

主にプラーガを扱う生物兵器専門の犯罪組織が近頃活発に動き出している。その組織にも元トライセル社の人間が加わっているようだ。裏市場でプラーガを用いた商品を盛大に売り出している犯罪組織は支配種のプラーガまで売りに出しているそうで、理性を保ったまま超人的な力を手にしたいという願いを持つ人間に売れているらしい。特殊な放射線を喰らうと瞬時にプラーガを死滅させられて死亡してしまうというデメリットを背負ってでも超人になりたい人間はそれなりに多くいるみたいだな。他人よりも優れた存在になりたいと考える事は普通の事だが、それにしては行き過ぎだと思うがね。

 

支配種のプラーガまでを無秩序にばら撒いて、犯罪組織は何を考えているのだろうか。単純に利益だけを考えるなら従属種のプラーガのみでも十分な収益にはなる筈だが。敵対した支配種同士の争いも巻き起こる可能性がある。その戦いが狙いなのだろうか。まだそれは解らないが、裏市場は犯罪組織の影響で少し荒れている。表にプラーガによる被害が出るのもそう遅くはない。

 

厄介な事にならなければ良いが。

 

 月 日

支配種のプラーガを宿した者が寄生体を解放して人々を相手に暴れまわっていたので念のために用意していた対プラーガ用兵器「P.R.L.412」によるレーザー攻撃によってプラーガを消滅させて抹殺。その後は負傷した人々を調合したハーブや回復薬で治療してから立ち去った。考えなしの馬鹿の手にまで支配種のプラーガが渡っているとこんな事が起きるのだと実感して危機感を覚えたが、既に支配種のプラーガは犯罪組織の手で広まっている。この流れはもう止められない。BSAAに注意を呼びかけておこう。下手をすれば世界中で今日と同じ事が起きる。世界中に混乱を巻き起こす事が犯罪組織の狙いなのだろうか。

 

少なくともどんな相手にも支配種のプラーガを売り付けている事は判明した。大した理由も無く無差別に力を振るう様な奴が支配種のプラーガを手にしていたのだからな。怪我をさせられた人々からすればたまったものではない。力を求める事は勝手だが振るう相手を選ばずに無秩序に振るわれる力はただの暴力だ。

 

 月 日

組織同士の対立により、とある市街地でンデスとオグロマンの巨体がぶつかり合う事になった。車両は潰れ家屋は倒壊し人々は逃げ惑う。傍迷惑な組織同士の抗争は激化して支配種のプラーガを宿した者同士の戦いも始まった。四肢が触手状に変化した者が鞭の様に振るう手足を両腕に強固な甲殻を形成した者が受け止める。積極的に攻勢には出るが、どちらも決定打に欠けていた。とりあえず迷惑で仕方がないので「P.R.L.412」で二人とも始末した後に、ンデスを処理。オグロマンは体表の棘を引き摺り出して、その棘で生命維持器官を抉り上げて処分した。組織間の抗争に割り込む形になったが、一般人が大勢居る場所で抗争を繰り広げる連中が悪いと思う。もう少し考えて場所を選べと言いたい。

 

オグロマンはともかくンデスと支配種のプラーガは、あの犯罪組織が販売した商品だろう。遂に支配種同士の争いが始まった訳だが。犯罪組織はこれも見越していたのだろうか。

 

 月 日

プラーガによる被害は留まる事を知らずに拡大し、BSAAは日夜対応に追われている。問題のプラーガが供給されている元を断たなくてはこの被害は治まる事は無い。プラーガの専門家としてBSAAのアドバイザーとして働くルイス君も大忙しだろう。犯罪組織の狙いがまだ掴めてはいないが、動向は掴めている。BSAAに犯罪組織の情報を提供しておこう。幾ら何でもこの状況はやり過ぎだ。世界中に混乱が拡がっている。ルイス君が私と共同で開発して持ち込んだ「P.R.L.412」がBSAAに対プラーガ用兵器として正式採用されているからこそ何とかこのプラーガによる被害に対応出来ているものの、そうで無ければ今頃どうなっていたことやら。

 

絶え間無いプラーガによる被害は裏社会にも出てきている。私が手を下さずとも時期に粛正はされていたかもしれないが、世界規模に拡がるこの事態の早急な収束にはBSAAの手が必要不可欠だ。プラーガの供給元を断つ事は私でも出来るが、既に世界中に売り出された全てのプラーガへの対応はBSAAにしか出来ない。彼等の活躍に期待しよう。

 




ネタバレ注意
バンダースナッチ
バイオハザードコードベロニカ、ダークサイドクロニクルズに登場するBOW
兵器として汎用性を高めたタイラントというコンセプトで開発された、人間を素体とした試作BOW
人間への偽装は想定されておらず、また試作段階ということもあり、肥大化した右腕が目立ついびつな体型である
下半身は退化しているが、伸縮自在の大きな右腕による瞬発移動が可能で、目標を追跡する能力に優れる
ただし左腕が消失しているため、人型BOWの弱点である頭部を右腕だけでカバーしなければならず、攻撃と防御のバランスが悪いという大きな欠点を抱えている

ジャバウォックS3
ダークサイドクロニクルズに登場するBOW
アンブレラと対立する組織が開発した試作型BOW
体にはアンブレラのBOW、バンダースナッチの影響が多くみられる
醜悪な外見であるが、命令を理解し、さまざまな状況下での任務を遂行できる知性も持つ
tーVeronicaによる強化で完成した鎌状の腕は鋼鉄並みの強度を誇り、銃弾も無力化する
また三本の腕で全身を包み込む体勢を取ることで、バンダースナッチの欠点であった頭部のカバーを実現している

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