とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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Uー8はダウンさせて口内に手榴弾を3回投げ込めば倒せる

 月 日

支配種のプラーガを世界中にばら撒いていた犯罪組織の拠点を特定したが、いつものように衛星軌道上の太陽光集積システム「レギア・ソリス」の転用による超高熱照射は使えない。近隣に民間人が住まう家屋が立ち並ぶ住宅街の内の豪邸と呼べる一軒家が犯罪組織の拠点らしく。「レギア・ソリス」を使えば無関係な民間人が住まう家屋を巻き込んでしまう。直接乗り込んで始末する事にした私は、深夜の闇に紛れて裏口から鍵をキーピックで解錠して豪邸に侵入する。内部に居るのは全て犯罪組織の構成員である事は確認済みなので、出会う人間全てを高速で私の力に耐えられる特製の特殊合金ナイフを用いて静かに処理していく。犯罪組織の構成員に支配種のプラーガを自らに使用している者は1人もおらず、皆普通の人間であった。販売元はプラーガのリスクを確りと理解していたらしい。判明している構成員の数と処理した数が釣り合ったため、残るは1人の首領だけだ。

 

一際豪華な内装の一室に佇む1人の男が居た。部屋に幾つもある培養ポッドの中ではプラーガが浮かんでいる。随分と豪華な研究室だとは思ったがそれだけだ。犯罪組織の首領の男は「部下達は全て死んだようだな」と全て悟っていた。そして「我が組織が作り上げた最高傑作を見せてやる」と、恐らくは支配種のプラーガが入ったカプセルを自らに注射しようとしたので、常人の眼では捉えきれない人間離れした速度で近寄りカプセルを叩き落として踏み潰す。最高傑作とやらに興味がない訳じゃあなかったが嫌な予感がしたので何もやらせる事はなくナイフで男の首を刈りとって始末した。その後は研究室内のプラーガを全て処分して、犯罪組織が行ったプラーガの売買の記録と記憶した研究資料を纏めてBSAAに送り届けておく。

 

因みに踏み潰した支配種プラーガの一部を回収して確認してみたところ「P.R.L.412」などの特殊な放射線への耐性を持っている事が判明した。量産は出来ていなかったようだが確かに最高傑作と言えるだけの代物だな。最大のデメリットを無くしている。量産がされていれば脅威となっていたことは間違いない。潰しておいて正解だった。

 

 月 日

BSAAの活躍により世界中へ拡がっていたプラーガによる被害は大体は鎮静化したようだ。たまに支配種のプラーガを宿した者同士による小競り合いは巻き起こっているみたいだが、それも問題なく鎮圧されているらしい。BSAAに正式採用された「P.R.L.412」が大活躍しているようで何よりだ。開発者の1人としては嬉しい限りだな。プラーガに対しては無類の効果を発揮するあの兵器が大量にあればプラーガを駆逐するのもそう難しくはないだろう。プラーガの供給元も既に私が潰してあるので、事態は緩やかではあるが落ち着いていく筈だ。支配種のプラーガを世界中に撒き散らした理由は最高傑作を完成させるための資金稼ぎだったのかもしれないな。

 

世界中に撒き散らされた支配種のプラーガの力は、人間を越えた力を求める者達にとっては何よりも渇望するものだったのだろう。プラーガの力に溺れた者達はその力を何も頓着する事なく振るい、駆け付けたBSAAの「P.R.L.412」からプラーガのみを死滅させる特殊な放射線を照射されて死に絶える。リスクを伴う力である事を理解している者は少なかったようだ。しかし手に入れた力に溺れず隠す事を選んだ真に賢しい者は闇に潜み機会を伺っているだろう。売買のルートが幅広く誰の手に支配種の力が渡っているのか解らない。

 

念のため常に「P.R.L.412」を持ち歩くようにしよう。「P.R.L.412」があればプラーガによる被害に遭遇した時、迅速に事態を解決する事が出来る。

 

 月 日

生物兵器市場で人気の高い商品であるUー8は、幾つかの欠点は存在するものの、その汎用性と戦闘力の高さ、またコントロールのしやすさには定評がある商品だ。そのUー8の改良型、甲殻装甲の多層化による防御力の強化がなされた「Uー8’」にはUー8の欠点であった露出していた部位にも甲殻が生成されている。そんな有機生命体兵器が私の元へ送り込まれてきた。Uー8の最大の武器であるその巨体だが、それがあだとなり、行動には膨大なエネルギーを必要とするため。Uー8の連続活動時間は短く、長時間遂行される作戦には向かない。Uー8の運用は拠点防衛、もしくは短時間で完遂される強襲作戦に用いられるのが効果的とされている。今回のこれは強襲という事になるな。寄生生命体プラーガを利用した兵器開発プロジェクトで生み出されたBOWではあるので「P.R.L.412」が効果的なのは間違いない。

 

事実として「P.R.L.412」は有効で「Uー8’」に何もさせず始末する事が出来てしまった。しかし残された巨体の死体が邪魔で仕方がない。BSAAに連絡すれば死体を処理してもらえるだろうか。それにしても態々こんな巨体のBOWを私個人に差し向けたのは何処の組織の仕業だ。明らかにBOWの使い方を間違えている。

 

 月 日

私の元へ「Uー8’」を送り込んできたであろう組織を絞り込んだ。残った2つの組織の内、どちらかが私の敵であることは間違いない。2つの組織のこれからの動向を探れば、どちらが私の元へBOWを送り込んできた組織であるか確認出来るだろう。今は落ち着いて監視をするとしようか。判明したあかつきには「レギア・ソリス」で壊滅させてやろう。どちらの組織も周囲に民間人の住まう家屋がある訳ではないので遠慮なく太陽光エネルギーを収束させた超高熱照射を浴びせてやる。さて、どちらの組織が私の元へ「Uー8’」を送り込んできたのか。

 

まあ、どちらであろうが敵に容赦をしてやる必要はない。早々に組織ごと消えてもらうとしよう。「Uー8’」で失敗したと気付けばまた新たなBOWを送り込んでくるだろうからな。その時こそが敵対組織の最後の時だ。

 

 月 日

予想通りに送り込まれてきた回転式多砲身機関砲を装備した巨漢のマジニが3体。プラーガを用いた生物兵器は私に対しては意味がないと気付いていないらしい。送り込まれた3体を全員「P.R.L.412」で始末。送り込んできた組織も特定。勿論衛星軌道上の太陽光集積システムである「レギア・ソリス」の転用による膨大な太陽光エネルギーを収束した超高熱照射で組織を壊滅させた。これで私の敵対組織がまた1つ消えたな。顔を特殊メイクで変えて、酒場に行き祝杯を上げることにした。到着した酒場で見覚えのある髭面を見かけたが特に関わりがある訳ではないので無視して少し高めの酒を注文。余程私が嬉しそうにしていたのか「何か良いことでもあったのか」と聞いてくる店主に「そうだ」と頷き、店主にも酒を奢る事にした。店主と乾杯をしていると完全に酔った髭面がトイレに向かってふらつきながら歩いていく姿が見える。ちゃんと用を足す事が出来るかと思ったが掃除をするのは店主なので私が気にする事ではない。

 

酒を3杯ほどお代わりしていると完全に酔いが醒めた髭面がトイレから慌てて飛び出してくる。どうやらトイレで死体を発見したらしい。また事件に巻き込まれるとは髭面の運が悪いのか私の運が悪いのかどちらだろうか。死体は胸を鋭利な刃物の様なもので一突きにされて心臓を貫かれていた。酒場に居た全員の持ち物を検査したが刃物を持っている者は1人も居なかった。私は銃を持ち過ぎな物騒な奴だと思われたが真っ先に容疑者からは外される。トイレに一度も入っていない事も店主は知っていたのでな。容疑者は明らかに違うであろう髭面を含めて4人に絞り込まれた。全員酒場のトイレに入った事がある面々だ。恐らくこの中の1人が殺人者であることは間違いないだろう。

 

問題はどうやって殺したのかという事だが、それを解決するものは1つある。世界中に撒かれた支配種のプラーガだ。刃物の様な傷痕は解放した寄生体の刃だろう。私はギターケースに入れて常に持ち歩いている「P.R.L.412」の銃口を髭面に向けてエネルギー充填し発射する。突然の事に驚く酒場の面々に構わず次の容疑者に向けてエネルギーを充填し発射する。プラーガにのみ影響があるレーザー光線を容疑者達に向けて発射していく。最後に残った1人は「P.R.L.412」の事を知っていたらしく銃口から逃れようと寄生体を解放して鋭利な刃と化した左腕を晒して此方へ襲いかかってきたが高速で振るわれた刃の左腕を躱して左腕義手の拳を腹部に叩き込んで宙に浮かせてから顔面に飛び膝蹴りを喰らわせて怯んで倒れ込んだ男に「P.R.L.412」を発射して終わらせた。死亡した男の遺体はその場に残ったが、何故男が酒場で人を殺したのかという謎は残されたままだ。

 

困惑する酒場の面々達の中で髭面だけが私に対して礼を言ってきた。一度巻き込まれた事で少しは肝が据わったらしい。男の遺体の刃に変化した左腕を見て犯人が誰であったのか酒場の面々も気付いたようで遅れて礼を言ってきたが「気にするな」とだけ返して酒場を後にする。とんだ祝杯になってしまったが「P.R.L.412」を常に持ち歩いていて良かった。

 

 月 日

その身に宿した支配種のプラーガを隠している者がそれなりに多くいるようだ。世界中に潜む彼等の目的は様々であろうが、常に兵器を持ち歩いていることと変わりない。そんな危険極まりない存在が平然と暮らしているこの世界は危機と隣り合わせだ。支配種のプラーガで人を越えた力を手にして彼等は何を選ぶのか、無秩序に力を振るう者達と違い現在生き残っている者達は明確な目的を持っている筈だ。BSAAに気取られぬように気を配り注意深く行動する彼等は目的を達成するまで密かに活動を続けるだろう。安々と寄生体を解放しない彼等を見つけ出すのは難しい。この前と同様に偶然出会う事はあるかもしれないがな。だとしても出会う確率は僅かだ。そう何度も出くわす訳が無い、とも言いきれないのが何とも言えんな。

 

もしも寄生体を解放している場面で出会ったとしたら口封じの為に殺しにかかってくる事は間違いない。プラーガへの対抗手段として「P.R.L.412」は欠かせないな。やはり常に持ち歩いておくとしよう。




ネタバレ注意
バイオハザード5に登場するBOW
Uー8
プラーガ寄生の恩恵とも言うべき、細胞間の拒絶反応の抑制により、異なる生物の遺伝子を強引に結びつけて生み出された大型BOW
甲殻生物の長所を採用したモデルであり、巨体の大部分が戦車の装甲にも匹敵する超硬質の殻に覆われ、ロケット弾の直撃にも耐え得る比類のない防護性能を獲得している
腹部にはまったく別種の、飛行型BOWを多数格納しており、これは哨戒機のようにUー8を守って、接近する者に無差別攻撃を仕掛ける役割を持つ

ガトリングマジニ
トライセルの研究施設に配備された、銃器や爆発物のあつかいを心得ている精鋭マジニ部隊の、隊長格と言うべき巨漢兵士
戦闘技能に優れる、選び抜かれた素体をベースとしており、改良型プラーガを埋め込まれて強化された肉体は、本来銃架に固定して用いるべき回転式多砲身機関砲を携行使用できるほどのパワーを示す
やはり人間として死者に等しい状態にあるものの、プラーガ感染前の生活習慣を強く残しており、葉巻をくゆらせながら銃弾を乱射する
因みに歯が全部金歯になっている

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