とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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ジョージ・トレヴァーはリサ・トレヴァーの父親

 月 日

リサ・トレヴァーの再現実験体と遭遇した。外見は単なる成人女性に見えるが背から生えた寄生生物ネメシスプロトタイプの触手が常人とは違うことを現している。私のことを追っ手かと考えていたようで 容赦なく眉間を狙い触手を突き出してきたので、触手を掴み取り振り回して壁に叩きつけた。それでも諦めず触手を用いた連撃を繰り出してくる再現実験体の攻撃を捌いて接近し絞め落として気絶させる。気を失った再現実験体を抱えて拠点まで移動。十分後目を覚ました再現実験体が身構えたところで落ち着いて話をしようと持ちかける。私が追っ手ではないと理解したのか警戒を緩める再現実験体。会話を交わしてみると多少殺伐とはしていたが普通の成人女性に見える。背の触手は出し入れが自由で隠そうと思えば隠せるらしい。他の再現実験体との仲間意識は一切ないようだ。お腹が空いた彼女に作りたてのハーブパイを提供しながら更に話を聞くと、何とか隙をついて研究員を始末して服とカードキーを奪い脱走をしてきたとのこと。

 

体内に埋め込まれていた発信器は抉りだして捨ててきたそうだ。傷痕1つ残っていないあたり再現実験体にはリサ・トレヴァーのように再生能力があるみたいだな。再現実験体は「行く宛もないから此処に住まわせてほしい」と言ってきた。出歩いて暴れ回られるよりは良いかと思い了承すると「毎晩触手でサービスする」と言ってくるのでサービスは必要ないと断っておく。彼女は何故か不満気に「あんなことやこんなことやそんなことまで出来るのに」と言うがどんなこともしなくていいと固く断りをいれておいた。何をするつもりだったんだろうか。知りたくはないな。

 

 月 日

同居人が1人増えた。外見は普通の成人女性に見えるがリサ・トレヴァーの再現実験体で背から触手を生やすことが出来る、そして驚異的な身体能力も持つ。しかし料理は出来ない様子。キッチンが一時期悲惨なことになったが、それはまあいいとしよう。彼女には勝手にキッチンには入らないように言い含めておいた。彼女は「繊細に動かせる触手があればいけると思った」と言っていたが料理にそんなものを使おうとするんじゃあない。高濃度のtウィルスを持つネメシスの触手で料理なんか作ったらtウィルスに汚染された料理が出来上がるのは間違いないし、そんなものを食べて平気なのはウィルス適合者かジェイク君ぐらいだ。何より私は食べたくないぞそんなものは。とりあえず料理は私がするとして彼女には何もしないでゆっくりしてもらっていた方が良い気がする。居候だから何かしないといけないと彼女は考えているみたいだが、出来ないなら無理はしないでくれとしか言えない。

 

やる気があるのはいいんだが、気持ちだけ受け取っておきたいところだ。彼女がやたらと家事に触手を使いたがるのをどうにかしなければならない。危うく私の拠点がtウィルスで汚染されてしまうところだった。拭き掃除に触手を使おうとするのをやめさせて普通に拭くように頼んでおく。自身の身体の一部であるからか触手が汚染物質であるという自覚があまりないらしい。

 

 月 日

組織による再現実験体の捜索は今も続けられているらしい。発信器は回収したようだが肝心の再現実験体の行方が組織には掴めていないようだ。問題の再現実験体は今、私の隣でピザを食べているところだな。チーズたっぷりオリーブ抜きのピザをコーラで流し込んでいる彼女はとても幸せそうに食べている。研究施設内で出されていた食事は最低限生きる為に必要な栄養を摂取する為だけの味気ないものだったそうだ。脱走して何よりも良かったことは食事が美味しいことだと言っていた彼女は確かに毎日とても美味しそうに食事を食べる。これだけ美味しそうに食べてくれるなら此方も作りがいがあるな。今日の夕食はビーフシチューにしてみるとしよう。今から仕込んでおくとするか。

 

 月 日

私の服を貸出すにも性別の違いという限界があるので同居人の服を買いに行くことになった。彼女の顔も特殊メイクで変えて別人に偽装する。背中の触手は体内にしまいこんで隠させて一緒に出かけることにした。女性の買い物は長くなるものだと覚悟していたが、それほど長い時間はかからなかったので昼食は外食に決める。彼女が入りたいと言った店に入り料理を注文。出てきた料理を美味しそうに食べる彼女が口元を汚していたのでハンカチで拭ってやると照れていた。料理を食べ終えて店内から出ると「しばらく散歩がしたい」と彼女が言い出してきたので腹ごなしに散歩をする。ちょうど消化が終わった頃に満足したのか「そろそろ帰ろう」と彼女が言う。大量の衣服と下着類がかなりの数となり大荷物にはなっていたが問題なく拠点まで帰ることができた。早速着替えようとする彼女が私が目の前に居るにも関わらず服を脱ぎ始めたので見ないように顔を反らして室外に退出する。

 

羞恥心というものがない訳ではないだろうに無防備に男の前で服を脱がないでもらいたいものだ。彼女が着替え終わった頃合いを見て室内に入り先程の行為に注意をすると「別に今更見られても減るものじゃないし良いじゃない」と気にしていない様子。どうやら実験生活でそういう意識は荒んでしまったようだ。

 

 月 日

室内にこもっているだけでは暇なので素手の格闘術を習いたいと同居人の女性が言ってきた。2人でトレーニングルームに入り、基本的な動きから教えることにする。彼女の身体能力は常人よりも高いのでそれだけでもだいぶ動きは変わってきた。此方は防御だけに徹するので思う存分打ち込んでくるといいと言うと思い切りのいい攻撃をしかけてくる女性。意外と筋は良いようだが、急所ばかりを狙ってくるのは性格だろうか。繰り出された攻撃を全てを捌いているとむきになって攻め続けていた女性が疲れはじめた様子。動きも精彩をかいてきたので少し休憩しようと申し出た。2本持ってきた内の1本のミネラルウォーターを渡して、動きは悪くないが体力には問題があると指摘する。彼女が戦う時は触手を主軸に戦ってきていたらしい。素手ではほとんど戦ったことはなかったみたいだが普通の人間に擬態して生きるには必要な技術となるかもしれないのできっちりと教え込むことに決める。

 

ついでに銃の扱いも教えるとしよう。触手を使わずに身を守る術を彼女には教えておかなくてはいけない。人の輪の中で生きていくには隠すことも必要となる。背から生やした触手を使っていれば人間扱いはされないだろう。それを避ける為にも触手以外に使える手段を増やしておかなければならない。

 

 月 日

同居人である女性の格闘術の訓練は順調に進んでいるが、銃の扱いはもう少しかかりそうだ。格闘術の方は良い動きをするようになり体力もついてきたので問題はないが、銃の方は反動を抑え込める腕力はあるが狙いがうまく定められておらず見当違いの方向に弾が飛んでいく。気がはやりすぎていて狙いが定まる前に発砲してしまっている。まずは落ち着いて照準を合わせるように教えるが、どうしても狙いが逸れてしまう。すぐに扱えるようにはならないだろうし、銃の扱いについては気長に教え込んだ方が良さそうだ。格闘術の方は新しい技を教えても良さそうなぐらいで筋は良いのに落差があるが、こんなこともあるか。急ぎの用事がある訳ではないので時間はいくらでも使えるから、彼女が銃を使えるようになるまで付きっきりで教えていくとする。最低でも拳銃ぐらいは使えるようになってもらえるまで頑張ってみようか。

 

 月 日

同居人の女性の銃の扱いは何とか拳銃なら狙った場所に当たるようになった。弾が明後日の方向に飛んでいた最初に比べればおおいに進歩したと言えるだろう。素手の格闘術は基本的な技は全て習得し、基本から発展した新しい技も覚えて順調に腕を磨いている。彼女の常人以上の身体能力から放たれた素手の一撃一撃は結構な威力があり、まともに食らえば大の男でもダウンする攻撃だ。触手を用いなくても、ある程度の自衛は出来るようになったということになる。彼女は格闘術の修練が楽しいらしく積極的に励んでいるが、銃の方は苦手にしているようだ。それでも必要なことだからと銃の訓練をする彼女は努力家であり、諦めない心を持っている。

 

 月 日

同居人の女性は拳銃の扱いにも慣れてきて淀みなく弾装を装填することができるようになり、的の中心を狙い撃てるようにもなった。これも日々の訓練の賜物だろう。素手の格闘術の方は基本から発展した技の習熟に重きを置いているらしく。繰り返し放たれる技の練度が1回1回繰り出される度に上がっていくのが良く解った。常人を越えた身体能力を集約した技の威力は相当なものになってきていて、威力だけなら私の部下達以上だ。私以外に相手をさせるのは危険になってきたので、部下達との組み手は止めておくことにする。ジェイク君なら問題なく相手をできるだろうが、彼は女性を殴れないかもしれないので防戦一方になる可能性が高い。ジェイク君なら大丈夫だとは思うが、不測の事態を想定してジェイク君に任せるのも止めておこう。変わらず私が相手をするということになるな。

 

 月 日

再現実験体の回収の為に送り出された大量のジュアヴォ。ちょうどいいので彼女の実戦の相手にすることにした。顔を特殊メイクで変えて別人に成り済ました再現実験体である彼女にジュアヴォ達を襲撃させる。素手の格闘術と拳銃を巧みに使いジュアヴォ達を打ち倒していく再現実験体の彼女。ダメージを受けて腕を触手に変化させたルウカ・カヴァタネに腕を盾に変異させたルウカ・ベデムと脚を蜘蛛の様な姿に変えたノガ・トゥルチャニエに脚を蛾の羽根の様なものに変異させたノガ・レトゥが彼女に襲いかかるが危うげなく返り討ちにしていた。触手を一切使わず全てのジュアヴォ達を殲滅した彼女の腕はもう一人前と呼べるだろう。それでも私の元を去ろうとは考えていない様子だ。今の生活が気に入っているらしい。

 

 月 日

組織が送り出したジュアヴォが全て排除されてしまった為、再現実験体の回収は一旦中止になったらしい。同居人の再現実験体の女性は今日も訓練に励んでいる。格闘術は実戦を経験して更に向上し、文句のない腕前となった。拳銃の腕も狙った的を外さずに連続して撃ち抜けるようになっている。ジュアヴォ相手の実戦は彼女にとって良い経験になったようだ。これまでの積み重ねがあってこそだが、実戦での成功は自信にも繋がる。訓練にも更に力が入っていたみたいだが、適度に休憩を挟むようにしておく。無理をして身体を壊してはいけないからだ。リサ・トレヴァーの再現実験体である彼女の再生力なら問題はないのかもしれないが、教える側としては気をつけておかなければいけない。

 




ネタバレ注意
バイオハザード1リメイク版に名前だけ登場する人物
ジョージ・トレヴァー
オズウェル・E・スペンサーから多額の報酬を提示され、バイオハザード1の舞台である洋館の設計・建築を担当した有能な建築家
着工後、彼は5年がかりで洋館を完成させたが、仕掛けの全てを知り尽くしていたがために、機密保持と称して洋館内に幽閉され、家族も巻き込まれてしまう
妻のジェシカは、始祖ウィルス変異体のTYPEーAを投与され、ウィルス定着化に失敗して廃棄処分に
一方、娘のリサはTYPEーB投与後に定着化に成功したことで、以後何十年間も保護観察下に置かれることになる
洋館に残された「トレヴァーの手記」には、彼が家族の無事を祈りながら必死に洋館からの脱出を試みる過程が綴られている
しかし、ジョージはスペンサーが新たに設置した仕掛けに阻まれ、遂に力尽きた
そして彼もまた始祖ウィルス変異体の実験体にされ、失敗後に廃棄されるという哀れな最後を遂げる
なお、ジョージは生前にスペンサーだけでなくエドワード・アシュフォードにも屋敷の建築をまかされており、設計図も作っていた
実際に屋敷が完成するまでにはいたらなかったが、設計図の一部は南極基地地下の研究施設建築の際に生かされ、そこには洋館との共通点が見られる

バイオハザード6に登場するジュアヴォの変異体の形態
ルウカ・カヴァタネ
触手をムチのように繰り出し、攻撃対象を捉えて攻撃するジュアヴォの変異体
名称であるルウカは腕をカヴァタネは捕獲を意味している
触手が最大の武器であると同時に、先端部分は脆弱
弱点は触手の先端

ルウカ・ベデム
ベデム=防壁を意味するジュアヴォの変異体
腕を甲殻にも似た巨大な盾に変異させており、その硬さは銃弾をも弾き返す
盾を利用した格闘戦を得意とし、打撃武器として利用するだけでなく、先端にある突起で串刺しにしようとしてくる

ノガ・トゥルチャニエ
脚を意味するノガと、徘徊を意味するトゥルチャニエの名称で識別されるジュアヴォの変異体
蜘蛛のような体躯を持ち、天井や狭い通気口のような場所なども移動する
素早い動きで、銃口をよける姿は徘徊の名にふさわしい

ノガ・レトゥ
蛾にぶらさがる人間の胴体という奇妙な姿をした変異体
名称のレトゥとは飛行を意味している
空中からの射撃や急襲を得意としており、巨大な羽根が作る揚力は人間ひとりを軽々と抱え上げることすら可能

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