とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

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ルート分岐


アレクシア和解ルート

 月 日

私の拠点に招いてもいない客が現れる。その客とはエヴリンであり拠点の入り口で倒れ込んでいる彼女の背には大きな裂傷があった。息も絶え絶えに言葉を発したエヴリンは「ママを助けてパパ」と言うと意識を失う。とりあえず状況を確認する為にエヴリンの背にある傷を治療することにする。何が起こったのか全貌を知る必要がありそうだ。裂傷の治療を行なってから数十分後、意識を取り戻したエヴリンが起き上がる。泣きながら抱きついてくるエヴリンを泣き止ませて何が起こったのか話してもらう。いつも通りに2人で出かけていたアレクシアとエヴリンは買い物帰りに男達に囲まれた。そしてウィルス適合者だった男達は、その身に宿るウィルスを解放して異形と化す。アレクシアもtーVeronicaの力を解放して応戦し、有利に戦いを進めていたがモールデッドが破れさり無防備となったエヴリンが狙われたところを庇い負傷したアレクシアは劣勢となり男達に袋叩きにされて意識を失った。アレクシアを救おうとしたエヴリンだったが鋭利な爪を持つ男に背を切り裂かれてしまう。男達の目的はアレクシアのみであったらしく生物兵器であるエヴリンには目もくれずアレクシアを抱えて立ち去ったそうだ。

 

近くに私の拠点があることを知っていたエヴリンは必死に走って辿り着いたところで意識を失ったらしい。泣いていた理由は自分が足手まといになったせいでアレクシアが連れ去られたと考えて涙が出てきたというわけになる。理解できたことは集団であれどアレクシアを拐うことができる連中がいるということだ。それがエヴリンという隙を突いた結果だとしても脅威であると言わざるをえない。何か男達は言っていなかったかとエヴリンに聞くと母体という言葉を言っていたそうだ。ウィルス適合者であるアレクシアを使って適合者でも増やすつもりなのかもしれないな。詳しい説明はエヴリンにはまだ早い。アレクシアを助けるのは非常に気は進まないがこのまま放置しておくと厄介なことになりそうなので助けることにする。その代わりエヴリンと1つ約束をすることにした。今後一切一般人を材料にモールデッドを作らないように固く約束させてからアレクシアの捜索に乗り出す。世界中に潜ませている諜報員と数多の組織に存在する部下達から情報を受け取った私はエヴリンを拠点に置いて外へ飛び出した。

 

 月 日

突き止めた問題の拠点に装備を整えてから突入する。力づくで強引に邪魔するものを全て槍で叩き壊しながら進んでいると男達の集団が現れた。ウィルス適合者である男達は自らに宿るウィルスを解放して異形と化して襲いかかってくる。両腕が鞭のようになり先端に鋭利な爪がついた腕を振るう異形の両腕を槍で絡めとり、力任せに引きちぎり無防備となった首を切断した。バンダースナッチの様に片腕が異様に肥大して発達した異形の腕が振り下ろされる。地が響くほどの威力があるそれを躱して槍で心臓を一突きにして抉り出し、踏み潰す。弓のような腕から硬質化した骨を矢として放ってくる異形の矢を掴み取り投げ返すと頭部に突き刺さり悶えていたので頭部を槍で両断してやる。堅い甲殻のようなもので両腕が覆われた異形の振るう両拳を槍で受け流し、頭部の上半分を切り落とす。

 

両腕から鋭利な爪を生やした異形、こいつがエヴリンの背中を切り裂いた奴だろう。縦横無尽に振るわれる鋭利な爪を回避しながら石突きを腹部に叩き込み、怯んだ隙に脳天から叩き割る。最後に残った両腕を柱のような形にした異形が後退りしていた。怖じ気づいたようだが逃してやる必要はない。槍で頭部を貫いてやろうと構えると飛んできた火球が異形の背に当たる。かなりの高温だったようで激しく燃え上がる異形に急速に近付いてくるアレクシア。放たれた手刀が異形の背から心臓を貫いて抉り出していた。握り潰される異形の心臓、倒れ込む異形の後ろから現れたアレクシアは満面の笑みを浮かべながら「こんなところで会うなんて、助けにきてくれたのかしら」と言ってくる。放置しておけば厄介なことになりそうなので障害を排除しにきただけだと答えておく。負傷した傷も癒えているようだし、私が助けにこなくとも大丈夫だったんじゃないだろうか。

 

そうこうしている内に親玉が現れた。親玉は「新世界での女王の地位を約束する、此方につけ」とアレクシアに言ってくるが、アレクシアは「そんなくだらないものに興味はないわ、欲しいものは1つだけ」と此方を見つめてくる。親玉は「ならば2人まとめて死ぬがいい」と両腕を剣のような姿に変えて背から8本の触手を生やした異形と化す。背から生えた触手をクモの手足のように使い驚異的な速度で這い回りながら剣と化した両腕を振るってくる。真正面から振り下ろされた剣腕を私が槍で受け止めている間にアレクシアが横合いから火球を叩き込む。燃え上がりながら異形が横一線に振るってきた剣腕に槍を叩き付けてやる。私の肩を踏み台にして高く飛び上がったアレクシアが異形の頭部に炎を纏う手刀を繰り出した。体内に発火する血液を送り込まれて内部から発火していく異形が悶えながらも振るう剣腕を全て受け流して、肩口から両腕を切断してやると剣腕が地に落ちる。背から生えた触手を根元から切り落としてやり、頭頂部から真っ二つにしてやろうと槍を振り上げるとアレクシアも槍を掴んできた。アレクシアが「最後は一緒にやりましょう」と微笑みながら槍を離さないので仕方なく共同作業で槍を振り下ろし、異形を頭頂部から真っ二つに両断する。

 

その後に限界がきたのか倒れたアレクシアを背負い、エヴリンが待つ私の拠点まで帰ってきた。無事に帰ってきた私達を出迎えたエヴリンは満面の笑みを浮かべて「おかえりなさいパパ、ママ」と抱きついてくる。とりあえずアレクシアをベッドに寝かせて昼食の準備をすることにした。食べるかどうかは解らないが一応3人分を作ってみる。エヴリンをテーブル席に座らせて料理を持っていき、非常に目を輝かせているエヴリンの目の前に料理を置く。エヴリンが「食べてもいいかなパパ」と言うので冷めない内に食べてくれと勧める。一口食べて笑顔になった様子からして口には合ったらしい。行儀良く食べているエヴリンの隣で私も食べることにする。今日も良い出来だと自画自賛しながら食事をしていると起きてきたアレクシアが私の真正面のテーブル席に座ってきた。私の手作りで良ければ食べるかと聞くと「勿論頂くわ」と食い気味に言うアレクシアに料理を持ってきて目の前に置く。食べ始めてすぐに笑顔になるところはエヴリンと一緒だなと思いながら眺めているとエヴリンが食べ終わっていた。エヴリンが「美味しかったよパパ」と抱きついてくるので、それは良かったと頭を撫でているとアレクシアが無言で頭を差し出してくる。撫でろということなのは解ったが、子供かね君はと思わなくもない。まあ一応撫でておいたら嬉しそうな笑みを浮かべていたな。その後にデザートとしてハーブパイを作ってエヴリンとアレクシアに提供してみると好評だった。

 

 月 日

エヴリンの背中の傷が癒えてアレクシアも全快。エヴリンとアレクシアが拠点から去る時が来た。顔を見合わせて内緒話をしているアレクシアとエヴリン。断片的に聞こえた言葉が不穏だが、何を話しているのだろうかと思っていたらエヴリンが「パパは何か欲しいものある?」と聞いてくる。助けてくれたお礼がしたいらしい。パパと呼ばれることにも慣れてしまったので動揺はもうないな。特に欲しいものが思いつかないのでないと答えるとエヴリンが困っていた。欲しいものがあれば常に自分の手で手に入れてきた私にプレゼントをしたいという気持ちはありがたいが、必要なものは既に手に入れているので特に欲しいものが思いつかない。困っているエヴリンを見かねたのかアレクシアが「金銭で支払った方が良いのかしら」と問いかけてきた。何も受け取るつもりはないと答えると「それだと此方の気が済まない」と言うアレクシア。感謝の気持ちを持つことは悪いことではないが、何も受け取りたくはないので速やかに帰ってくれないだろうか。

 

君達が帰ってくれればそれでいいんだがね。遠回しにそう言うと「パパと一緒に此処で暮らしたい」と言い出すエヴリン。アレクシアが「それならまずは食費を払わないといけないわね」と言って「お金を引き出してくるわ」と外に出ようとするのでとりあえず話を聞けと止める。何で一緒に暮らすことになってるんだと言い放つと「お礼の内容が決まるまでは滞在しようかと思って」と微笑むアレクシア。もう直球で帰ってくれと言うと「わたしたちのことが嫌いになったのパパ」と言い出すエヴリン。そういう問題ではない。それに私達はこういう和やかな関係ではなかった筈なんだが、どういうことなんだろうか。何かがおかしいような気がする。アレクシアを助けずに放置しておいた方が良かったのだろうか。いや確実に厄介なことになっていたので助けたことは間違いではない筈だ。早々に追い出さなかった私が悪いのかもしれないな。怪我や調子が治るまで面倒を見なければこんな状態にはなっていない。

 

私の甘さが原因だな。だとしても致し方なく受け入れるつもりはない。外に強引に追いやろうとする私に必死にしがみついてくるエヴリン。エヴリンは「パパにお礼するまで帰らない」と言いながら私の腹部に抱きついてくる。強情な奴だ。アレクシアも「楽しそうだからわたしも」と言って抱きついてくる。アレクシアには貴様は何を考えているんだと言いたい。外見は若いままだとしても年々歳はとっているんだから年齢相応の落ち着きを持ちたまえ。抱きついてきている2人を引き剥がしてお礼の内容を考える。私に礼をしたいということは解っているのでアレクシアとエヴリンが納得する方法とはなんだろうか。私は物品や金銭は受け取りたくない。彼女達は私に何かを与えたいようだ。もう昼食を代わりに作ってもらうとかそんなもので良いんじゃないかな。とりあえずそれを伝えてみるとやる気に溢れているエヴリン。本当に大丈夫か心配になったがアレクシアがついているので問題はないと思いたい。

 

キッチンに向かった2人を待つこと数十分、出来上がった料理は素晴らしい出来栄えだった。味はどうだろうかと食べてみると、とても美味しい。エヴリンとアレクシアが作った料理は十分にお礼となる代物だった。食べ終わって2人に美味しかったと感想を言うと喜んでいるエヴリンと笑みを浮かべるアレクシア。お礼は十分に受け取ったので、これで帰ってくれるかと思えば、まだ帰らない2人。エヴリンとアレクシアにとってはまだ十分ではないらしい。エヴリンが「夕食もママと一緒に頑張って作るから期待していてねパパ」と言うと、アレクシアも「そうね、まだお礼には足りないわ。夕食も作らせてもらうわね」と言った。彼女達のお礼は、まだしばらくは時間がかかりそうだ。

 

 月 日

3週間ほど朝昼夕と食事を作りそれでようやく、彼女達は帰っていった。思った以上に滞在していったエヴリンとアレクシア。キッチンは常に彼女達に占領されていた。食事が美味しかったことは認めよう。食材を3人で買いに行き家族だと思われるのにも慣れてしまった。寝室のベッドもアレクシアとエヴリンに使わせて、私は椅子で寝ていたがそれで問題があるほど柔な身体はしていない。ベッドのサイズはかなり大きめなので3人でも寝ようと思えば寝られたし、一緒に寝ようとも誘われたが断った。アレクシアやエヴリンに無防備な姿を見せるには抵抗があったからだ。どうしても警戒をしてしまうのはやはり私が一度アレクシアに殺されているからだろうか。命が終わる感覚は一瞬だったが気分が良いものではない。そんな経験をしていれば無防備な姿を見せたくないと思うのも当然だな。

 

それでもエヴリンとアレクシアとの関係が少し変わったような気がする。殺伐とした関係ではもうないと言えるかもしれない。アレクシアは私を進化させることが目的で殺そうとしていたのだろう。進化を果たした私を殺そうとはもう思ってはいない様子だった。だとしてもそう簡単に受け入れることができる訳ではない。やはりまだ抵抗はある。彼女達が敵であるという意識が無くなったとは言えない。私に対して無防備過ぎる彼女達は何を考えていたのだろうか。

 

 月 日

とある酒場で知り合ったビリーという右腕に刺青がある男性。おそらくは元軍人である彼は酒に強く、酒場の面々と飲み比べをして勝利していた。私は勝負には参加せず眺めていただけだが飲み比べで5人抜きをしていたあたりかなり酒に強いみたいだ。何故か酔っ払った男達はヒルについて語り始めたがビリーはヒルには良い思い出がないらしく、あまり好きじゃあない様子。まあ、ヒルが大好きな奇特な人はジェームス・マーカス博士ぐらいしか思い浮かばないが。そういえばマーカス博士が実験していたヒルはマーカス博士の死後はどうなったのだろうか。始祖ウィルスを投与されたヒルは私の思いもよらない事態を巻き起こしていたのかもしれない。それを知る機会はもうないだろうが。

 




ネタバレ注意
バイオハザード0に登場する人物
ビリー・コーエン
元アメリカ海兵隊員
現役時の階級は少尉
鋭い洞察力とどんな武器でも扱いこなす技能を持ち、口数は少ないが正義感は人一倍強い
擦り付けられた罪で第一級殺人犯として銃殺の日を迎えようとしていたビリーはアークレイ山中で起きた生物災害によって護送車から脱出した
森の中に停車していた黄道特急に逃げ込んだビリーはそこでSTARSのレベッカ・チェンバースと出会う
擦り付けられた罪だとしてもそれを知らないレベッカにとってはビリーは手錠を付けた凶悪な逃亡犯
しかしビリーは極限下で力を合わせる事を約束すると、命懸けでレベッカをサポートした
最初はビリーを疑っていたレベッカもビリーの律義な性格や共に力を合わせていくうちに警戒心を緩めていき、ビリーの罪の真実を知ることになる
任務として内戦の元凶であるゲリラの殲滅をするためにジャングルの奥地へと潜入したビリー達
偽の情報に踊らされようやく辿り着いた場所は集落であった
手ぶらで帰ることを許さなかった隊長は村人達の虐殺をビリー達に命じた
何の罪もない村人達の虐殺を命じた隊長からの命令を拒絶したビリーだが、村人達の命は一瞬にして奪われた
そしてその罪は命令に逆らったビリーに擦り付けられたのだった
ビリーの語る過去を真実と信じたレベッカは彼を殺人犯と扱うことはもうなかった
女王ヒルを倒し、アンブレラ幹部養成所での共同探索を終えると、レベッカと別れることになるビリー
ビリー・コーエンの死亡報告書をレベッカが本部に提出したことによりビリーは完全なる自由を得たのであった

バイオハザード0に登場するBOW
ヒル
体長が20センチメートルもある吸血ヒル
始祖ウィルス発見者であるマーカス博士が、ウィルスの品種改良を目的に作り上げたもので、環形動物とは思えない劇的進化が見られる、その扁平な体には目のような知覚器官があり、彼等は下等動物ながら組織的な捕食活動を常とする
人体にへばり付くと発達した巨大な口で肉を抉り取るため、この変異ヒルの群れに襲われた人間は数分も経たないうちに絶命する
また犠牲者は高濃度の体腔液ごとtウィルスを体内に注入されるので、ゾンビ化する可能性が極めて高い

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