とある製薬会社に務めていた研究員のヤケクソ日記   作:色々残念

63 / 85
クリス視点

元は空軍のパイロットだった俺は上官との衝突により軍を除隊することになる。その後にラクーン市警察の特殊部隊であるSTARSへとスカウトされた俺はSTARSのアルファチームでポイントマンを務めていた。連続猟奇殺人事件の捜索に出てそのまま消息を絶ったブラヴォーチーム捜索のため、ラクーンシティ郊外のアークレイ山地に入った俺を待ち受けていたのはウィルスによって凶暴化した軍用犬ケルベロスの群れだった。この時アルファチームで最初に犠牲となったのがジョセフ・フロスト。武器の整備を担当するオムニマンのジョセフは陽気な良い奴だった。ケルベロスの襲撃を受け、山中の洋館に辿り着いた隊員は4名。俺とジル、バリー、そしてウェスカー、この4人だけが最初の危機を生き延びた。洋館で最初に出くわしたのが人肉を貪るゾンビであり、喰われていたのはブラヴォーチームのケネス・J・サリバン。チームで最年長の温和なケネスを喰らっていたゾンビに鉛弾を喰らわしてやり息の根を止めた。テラスで遺体となっていたフォレスト・スパイヤーがカラスに啄まれている姿を見て愕然としていると亡者として蘇るフォレスト。射撃大会で1、2を争うライバルだったお前のそんな姿は見たくなかった。

 

大蛇ヨーンに襲われて猛毒を受けて死にかけていたリチャード・エイケンとリチャードを介抱していたレベッカ・チェンバース。なんとか血清を入手して救えたと思ったリチャードはその後巨大水槽で俺を庇い巨大鮫ネプチューンの餌食となった。ゾンビ化した館の住人や凶暴な生物達を退けつつ、進んだ先でこの異常な事態の背後にはアンブレラ社がいることを確信した俺達だったがSTARSに裏切り者がいると言うエンリコ・マリーニが何者かによって殺害される。そして隊長であった筈のウェスカーがアンブレラの元研究員であり、今回のSTARS出動自体が生物兵器の実戦投入サンプル収集を目的としていたことを知った。研究所の最奥で出会ったBOWタイラントの暴走によりウェスカーは死亡。タイラントもバリーがヘリに積み込んでいたロケットランチャーで木っ端微塵となった。研究所も自爆装置が作動して爆炎の中に消えることになる。脱出を果たせたのは俺とジル、バリー、ブラッド、ブラヴォーチームのレベッカだけだった。

 

洋館から帰還した俺達はアンブレラ糾弾の活動を開始したが、それは容易なことではない。何よりの証拠となる研究所は自爆によって跡形もなく消し飛び、既にアンブレラ社の手が回った警察上層部や政治家達の圧力で俺達は正攻法での訴えを諦めざるを得ず、独自の調査によって新たな証拠を探すしかなかったのだ。ラクーンシティでの調査をジルに任せて、俺が向かったのはアンブレラのもうひとつの拠点であるヨーロッパだった。危険な目にあわせたくなかったため、妹であるクレアとは完全に連絡を絶った状態で渡欧したが、それが完全に裏目に出ることになる。俺を追ってラクーンシティを訪れた妹が生物災害に巻き込まれたのだ。ラクーンシティから生還した妹は単身でアンブレラヨーロッパ支社に潜入までして捕まってしまう。アンブレラの手に落ちた妹を救うためにロックフォート島に向かった俺はそこでジョンという青年と出会った。クレアのことを聞くと軽機関銃を持った青年と一緒に行動しているのを目撃したとのことだ。若々しさに溢れている青年をこんなところで死なせてはいけないと思い、一緒に行動しようと言うが1人で十分だと断られる。コンクリート片と鉄パイプを組み合わせた手製のハンマーでゾンビやBOWを容易く打ち倒してみせて大丈夫だと証明する青年に彼なら1人でも確かに大丈夫そうだと納得させられた。身のこなしが段違いだ。

 

ジョンと別れてクレアの足取りを追うとロドリゴという男から南極に向かったという情報を手に入れることができた。南極にある研究所に向かうとそこで俺は予想外の相手との再会を果たすことになる。タイラントに殺害された筈のアルバート・ウェスカーの姿がそこにはあった。ウェスカーはアンブレラをも裏切り利用しようとしており、ロックフォート島にtウィルスをばら撒き、その混乱の中、島の支配者であるアシュフォード家が研究していた新種のウィルスtーVeronicaを奪う計画を立てていたのだ。そしてそれは既に手に入れたと言うウェスカーは、此処にはもう用はないが貴様には用があると言って襲いかかってきた。洋館でつけられなかった決着をつけようとする俺を嘲笑うかのようにウィルスの力で超人的な力を手に入れていたウェスカーはその力を見せつける。何とか隙を見て頭上に吊るされた無数の鉄骨をウェスカーに叩き込むことに成功したが、ウェスカーは健在だった。しかし突如として起こった爆発によりウェスカーの顔は醜く焼け爛れて悪運の強い奴めと言い放つ。次に会う時が貴様の最後だと言って身を翻したウェスカー。その後クレア達と合流して何とか助け出すことができた。クレアと一緒にいた青年の名はスティーブと言うそうだ。

 

相棒のジルと民間出資による私設対バイオハザード部隊に協力しつつ、アンブレラ社の案件に留まらないあらゆる生物災害、バイオテロと戦う道を選んでいた俺達は2003年には、アンブレラ復興を狙うセルゲイ・ウラジミールの野望を止めるため、アンブレラロシア支部コーカサス研究所を襲撃して計画を阻止することに成功した。アンブレラ社は倒産に至ったがバイオテロの芽は世界中に残されている。俺とジルは製薬企業連合の出資により新設された対バイオテロ特殊部隊、BSAAの中核メンバーとなり、オリジナルイレブンとして知られるようになった。バイオテロ作戦を主導してきたFBCの不祥事、テロ組織に新型ウィルスを供与して大規模バイオテロを起こさせた上で、それを鎮圧して権限を強化したという陰謀が露見し解体。人員の大部分はBSAAに吸収されることになった。そしてBSAAが国連の管轄する公的機関として再編されることになる。スティーブもBSAAに参加しているようだった。

 

2006年、姿を消していたアンブレラ総帥、オズウェル・E・スペンサー逮捕のため出動した俺とジルは、スペンサー邸に潜入してスペンサーを殺害していたアルバート・ウェスカーと再会することになる。更なる力を得ていたウェスカーの前に、俺達の攻撃は全く通用せず銃弾が当たらない。ウェスカーに片手で持ち上げられて死を覚悟していた俺を救ったのはジルだった。ウェスカーを道連れに谷底へと落下していくジルに届かない手を伸ばす俺を絶望が襲う。BSAAからは殉死と認定されたジルだったが、俺は生存の可能性に望みを賭けていた。それでも考えてしまうことがあるんだ。憎むべき闇の傘が消え去った後も共に戦い続けた相棒を喪ってからも止まる事無く一人で戦い続けた俺は、自らに問い続ける。命を懸けてまで守る程の価値が今の世界に有るのか。失った者は決して帰らない。忘れる筈がない忘れられる訳がない彼等の無念を仲間を喪う悲しみを。この終わることの無い戦いを続ける意味はあるのか。更に仲間を喪ってまで、守る程の価値が本当にこの世界にあるのか。安価で強力な兵器として世界中で売買されるBOWは絶えることが無い。利益だけを考えて災いを撒き散らす商人、値段の付けられた災厄へと考え無しに飛び付く者共。こんな奴等の為に仲間が犠牲になったのか、そう思ったことは一度じゃない。今まで戦い続けて、世界からバイオテロが無くなっただろうか。忌むべきモノを望む者共が全員、この世界から消えさらなければ、永遠に終わることの無い戦いが待っている。

 

2009年にキジュジュ自治区で新たな相棒シェバ・アローマと組んで参加した作戦中、ジルの手がかりを見つけることに成功した。リカルド・アーヴィングを追った先で殺害されていたリカルドとBSAAにとって必要となる重要な情報が書き出されたメモが置かれていた巡視船。この時にBSAA以外の何者かの存在を確かに感じた。進んだ先で遂にジルと再会したがウェスカーに操られていると理解したところで何者かによる煙幕が王の間を覆いつくす。ウェスカーと何者かが戦っている間にジルの胸に取り付けられていた装置をシェバと協力して引き剥がすことに成功。ジルの自我を取り戻すことができた。何者かはウェスカーを確実に追い詰めていたようで俺達の前に現れたウェスカーはひどく弱っていたが、このチャンスを逃す訳にはいかない。シェバとジルの銃撃と俺のナイフと打撃がウェスカーに叩き込まれる。トドメとして放ったロケットランチャーがウェスカーを木っ端微塵とする。不意に現れたスコープを装着した隻腕の何者かは俺達の敵ではなかったようで此方に一礼をするとフックショットで先へ進んでいく。エクセラの確保がまだだと気付いた俺達は直ぐ様先へ急いだが、エクセラも殺害されていて必要な情報を書き出されたメモが死体に添えられていた。何者かが何者だったのかは今も解っていない。

 

何者かの謎が残る結果となったがジルを救えたことには感謝をしている。BSAAに多額の寄付金が振り込まれたことも驚いた。ジルを救えたことで少しは前向きになれた気がする。この世界はこれからも俺達が生きていく世界だ。これからの彼等が生きていく世界だ。これから生まれる筈の命が生きていく為の世界だ。この世界に命を賭けて守るだけの価値はあるんだ。だから、この戦いが俺の代で終わる事は無いとしても終わりの無い戦いを、いずれ誰かが終わらせる為に。今、俺は戦おう。覚悟は決まった。後は一歩踏み出すだけだ。エージェントの地位は返上しよう。最前線で戦う必要がある。後進を育てなければいけないな。やることは沢山あるが、少しずつ前に進んでいこう。

 

後進の育成は順調に進んでいる。ピアーズとスティーブがこれからのBSAAを背負って立つ存在となるだろう。仲間達の存在と結束こそがBSAAを強くする。イドニア共和国の内戦で反政府軍によってBOWが使われ始めたため、BSAAが介入することになった。今回初めて実戦に参加する新人フィン・マコーレーが緊張しているようだったので俺達は家族だとフィンに伝える。家族を信じろと言うと少しは緊張がほぐれた様子だったな。その後はフィンの活躍もあり順調に作戦は終了する。隊員達と酒場に行き酒を飲んでいるとフィンに酒を奢っている隊員がいた。仲が良いことは悪いことじゃない。限界になるまで飲ませ過ぎなければいいんだがな。程々にしておくんだぞと釘を刺しておく。

 

巻き起こされたバイオテロ、出動する北米支部アルファチーム。ピアーズの的確な狙撃とスティーブの正確な銃撃がBOWを排除していく。直ぐに掃討が完了した。バイオテロの被害を受けた人々が感染していないか確認し、感染が確認されたらワクチンを投与する。ピアーズとスティーブの働きがバイオテロを急速に終息させた。次代を担う期待の存在となった2人は仲間達との連携もそつなくこなす。BSAA北米支部の未来は明るい。此処にいる北米支部アルファチームのメンバーひとりひとりが希望だ。未来を託せる存在達を命懸けで守っていこう。それが俺にできることだ。最前線で戦う仲間達は家族だと俺は考えている。俺達は家族だ。家族を守るためならどんな苦難も乗り越えられる。

 




ネタバレ注意
バイオハザード1の登場人物
ジョセフ・フロスト
STARSアルファチーム所属
ポジションはオムニマン
武器の整備を担当する陽気なムードメーカー
頭にいつも巻いている赤いバンダナがトレードマークとなっている

ケネス・J・サリバン
STARSブラヴォーチーム所属
ポジションはポイントマン
趣味は造園で、プロ級の腕前を持つ
口数が少なく、性格は温和
チームで最年長という彼は、隊長のエンリコ・マリーニが一目置くほどのベテランであり、緻密な捜査には定評がある

フォレスト・スパイヤー
STARSブラヴォーチーム所属
ポジションはオムニマン
チームでは主に整備を担当
射撃の名手として知られ、仕事を完璧にこなすその姿勢は、仲間から高く評価されている
クリスとはプライベートでも仲が良く、署内の射撃コンテストで1、2を争う良きライバル関係にあった

リチャード・エイケン
STARSブラヴォーチーム所属
ポジションはバックアップマン
任務中の主な担当は通信
性格は明朗快活で、気さくな好青年という印象が強い
チーム内ではまだ若手の部類に入るものの、周囲への配慮が利くため初出勤の新人レベッカ・チェンバースのサポート役を任される

エンリコ・マリーニ
STARS副隊長にしてブラヴォーチームのリーダー
サバイバル技術に長じたベテランで経験豊富、部下からの人望も厚い
いつ隊長になってもおかしくない技能と人格を有する彼が、副隊長の立場を貫いた理由
それはSTARSのスポンサーであるアンブレラが、アルバート・ウェスカーを隊長に強く推薦したためだった

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。