GATE×オリ主&オリ国家   作:オシドリ

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再投稿。
といっても、最後の部分だけ少し変わっただけで殆ど内容は変わっていませんが……。

楽しんでいただければ幸いです。


第11話

 日本国政府にとって、それは青天の霹靂だった。

 

 まず、炎龍。特地において災害と数えられるドラゴンである。

 だがまあ、今までも翼竜の存在があったし、一部で空飛ぶ戦車と呼ばれるような存在が居てもおかしくはないだろう。

 それに討伐された以上、あとは専門機関で調査して貰うなり、他にドラゴンが居た場合に備えて自衛隊で対策を練って貰えれば良いと考えていた。

 

 

 だが、扶桑国はどう説明したものか。余りにもファンタジー過ぎて理解の範疇を超えていたのだ。

 

 何だ、気象操作が出来る龍神って。しかも特地に派遣した戦力では対抗できない? それと似たような存在があと二柱居る? それらが日本に来るって。

 

 何だ、神が無人島に都市を造ったら縄文人がやって来たって。そんで神隠しにあった日本人が扶桑国の発展に寄与したって。色々とおかしいだろ!?

 

 しかも、神隠しにあってやって来た人物というのが唯の農民や地侍らしき人物から、歴史では実在したか疑わしい者、武将として名を馳せた者までいるのだという。

 神隠しにあった人達はいつか日本へ帰ることを願っており、亡くなった後も彼らの遺品を大切に保管していた。その一部を使節団は持ってきており、日本で確認させたところ「間違いなく日本の歴史が変わる」という代物だったのだ。

 

 止めは、此方の世界ではまだ研究段階にあるパワードスーツを実用化し、実戦配備しているということ。しかも、異常な性能を誇っている。それが主戦力だという。

 

「こんなもん、どうやって公表しろと? 誰が信じるんだよ。頭がおかしくなったと言われるのがオチだ!」

 

 ある政府関係者はそう呟いたという。

 それでも全て事実なので、どうにか現実を受け入れて使節団と会談しながら必要な案件を進めていった。

 

 裏金やハニトラやらで<門>の向こう側の情報を集めていた各国も、まあ信じるはずがなかった。

 確かに日本政府が大掛かりな事をしている。だが、神が国を造り、異世界に行った日本人が関わった国という情報は早々受け入れ難く、同じ世界なのに<帝国>と<扶桑国>の戦力や技術などが隔絶しているのは信じられなかったのだ。

 大体が「程度の低い欺瞞情報」「ジャパニーズアニメでも見すぎじゃないか?」と言い、そして諜報員達に「真面目にやれ」と命令するだけであった。

 

 そんな訳で、政府は炎龍の襲撃しか公表できなかったのだ。

  

 ただ、これが諸外国の意向を受けたマスメディアに攻撃される材料になった。この時の政権は閣僚や政務次官の汚職が相次いでおり、本位首相にも批判が浴びせられていた。

 この批判が連日続き、使節団訪問の準備とマスコミや野党の追及に辟易していた政府も「それで納得するならば」と参考人招致を行うことを決定したのである。

 

 各国も、大掛かりに閣僚や政務次官らの頻繁な<門>の行き来やスケジュールの調整をしていたのはこれの為だった、と理解したのである。

 そしてあらゆる手段を使ってでも、この参考人招致で来る現地人に接触しようと考え、動き始めた。

 

 その所為なのか、政府批判は止まらなかった。マスコミや野党が「他にも隠していることは無いのかッ!」と詰めかけ、好き勝手言い始める。

 

 そしてある程度の準備が整った所で、本位総理以下閣僚達もいい加減我慢できなくなった。

 

 緊急記者会見を開き、本位総理が真剣な面持ちで扶桑国について公表したのである。

 新たな特ダネを期待していたマスコミ関係者達は、総理が何を言っているのか理解できなかった。自分達が期待していた内容ではなかったからだ。

 勿論、この会見は中継されており視聴者達も「大丈夫か?」「批判されすぎで頭おかしくなったか?」と口々に言い合う。

 それでも本位は淡々と扶桑国の種族、文化、歴史を公表していき、そして、

 

「政府は、扶桑国使節団による、日本訪問の意向を受け、これを受け入れることを、決定しました」

 

 と発表した。

 

 一瞬の沈黙。

 

 そしてようやく、マスコミやお茶の間の視聴者達も事実だと認識したのである。次に起きたのが、どこもかしこも阿鼻叫喚の嵐であった。

 

 余りにも騒々しい為、会見は一旦中断。そしてパニック状態となった記者達は色んな場所へ走り回り、この一報を伝えることになった。

 

 その様子に政府関係者は少しばかり清々した様子だったという。そして、この後も続く会見に「何人耐えられるか?」と好き勝手に予想していた……。

 

 

   ***

 

 

 特地では、扶桑国使節団による日本訪問の準備が慌ただしく進められていた。

 

 今回の予定では、まず十五時に日本の本位首相と扶桑国の菊池特命全権大使の会談、そして調印式が行われる。

 扶桑国にとっては今後に関わる大事な本番が明日なので、最終確認に余念が無かった。

 

 そんな中、守人は太郎に扶桑国から運ばせた器材を使い、自身の権能を使って<門>の解析に勤しんでいた。当然ながら、日本国政府および自衛隊からも許可を取っており、得られた情報は全て提出されることになっている。

 

「――ふん、やはりの」

 

 <門>の解析を終え、その結果にため息を零す。不破が心配そうな顔ですり寄って来る。その頭を優しく撫でてやる。

 

『やはり拙いですか?』太郎が言った。

「いや、そんなもんじゃない」不破の頭を撫でながら守人は言った。

「繋ぎ方はともかく、固定化が滅茶苦茶だ。このまま繋げていると世界が壊れる」

 

 本来なら揺れ動き、交わらないはずの両方の世界に楔を打ち込み、そこから伸びる鎖で無理やり繋ぎ止めているのだ。だが揺れ動くままなので、お互いの世界がぶつかり合い、異変が起き、そしていつか壊れてしまうのだ。

 <門>を造り出せるハーディなら、固定化の方法も知っているはずなのだが……。

 

(ハーディの奴、まともな固定化を教えなかったな)

 

 それも恐らく、ワザとだ。頼まれたのは<門>を開くだけだから後は知らない、全て人に委ねる。そんな所だろう。脳裏にハーディがドヤ顔で笑い声を上げている姿が思い浮かび、嫌になってきた。 

 

『……壊しますか?』

 

 察した太郎が言った。だが、守人は首を横に振って「それは出来ない」と答えた。

 

「下手に壊すと両方の世界で揺り戻しによる被害が出るぞ。どうにかして、手順を踏んで門を閉じるしかあるまい」

 

 しかし、こうなると帝国が<門>の先の異世界に兵を出したのもハーディが唆した可能性がある。

 

 <帝国>が<門>の先へ大軍を派遣したのも、経済が行き詰ったからである。

 前提として、<帝国>は拡大政策を取って領土を大きくしていった。有無を言わさず敵を滅ぼして占領した土地の住民は奴隷とし、搾り取れるだけ搾り取っていった。

 

 要するに、他所様の土地に行って金や物をかっぱらって手っ取り早く儲けるようになったのである。その土地の金や物が無くなれば、また他所の土地に行って同じことをする。これを繰り返していった結果、<帝国>はファルマート大陸のほぼ全土を支配するまで大きくなった。

 

 これが意味するのは、今までのように金や物を集る場所が無くなってしまったのである。

 だが、収入が減っても今までの贅沢に慣れ切った<帝国>の支出はどんどん増えていく。

 

 つまり、大幅な赤字になってしまったのだ。

 

 改善する方法としては支出を減らす。税収を上げる為に技術や商業を発達させる。平民の生活が向上すれば金回りが良くなり経済も動くのだが、今までの<帝国>のやり方を全否定することにもなる。だから一部を除き、財政を改善することが出来なかった。

 

 そんな大多数の彼らが考えたのが、今までと同じく「別の国に侵略すること」である。

 

 それならば、他の大陸に軍勢を派遣しても良いのだ。その大陸には同じく人が住む国家がある。互いの貿易船が行き来しており、交流もある。何故そこに行かなかったのか。

 

 ハーディがそこで「<門>を開きましょうか?」と唆したから、と考えれば合点がいく。

 

 <帝国>からすれば海を隔てた大陸に行くのに必要な軍船の手配や物資などが必要でなくなる。金がかからない。そして何より、正神であるハーディが協力してくれるならば何も問題が無い、と考えてしまったのだ。

 ハーディからすれば、近年の人の魂の質の低下や停滞は見ていて面白くないのだろう。<帝国>がどうなろうが知ったこっちゃない。楽しめれば良いのだ。

 

 そんな両者の思惑が一致し、<門>は日本の銀座へと開かれた。

 そして<門>を繋げたままにすることによる災害が起き始め、「何か知らないか」と訊ねられたらこう答えるのだろう。

 

 「<門>の所為である」「だが、<門>をどうするかは人の手に委ねる」と。

 

 そして<門>を閉じるか、閉じないかという結論の出ない様を嗤いながら見て楽しむ。世界が壊れる前にはハーディも動くだろうが、その時にはもう何も残っていない。

 

 守人はそんな未来を思い浮かべた。太郎や不破も、一様に嫌そうな表情を浮かべ、頭を振っていた。

 

 とにかく、あちらには長居することは出来ない。幸いなことに、アルヌスの丘でもある程度は日本の情報が手に入る。必要な時だけ日本へ出るようにすれば良いだろう。

 あとは<門>だが、日本側と扶桑国側に伝えてはおく。だが期限以内に決まらなければ、強制的に閉めなければならない。

 もしそうなったら、恐らく自衛隊と――、

 

「あれ、守人さんに龍神さま。こんにちは」

 

 雰囲気が変わりかけた三柱に声を掛けたのは、伊丹だった。普段の迷彩柄の装束ではなくかっちりとした、丈の長い緑色系のものになっていた。後ろには富田と栗林、レレイ、テュカ、ロゥリィ、そしてピニャとボーゼスが居た。

 守人は一瞬、気の抜けた顔になったが、直ぐに「ああ、こんにちは」と言って柔和な笑みを浮かべた。

 

『何かあるのですか?』太郎が訊ねた。

「ええ、龍神さま。これから日本に行って国会に出席することになりまして……」

『ああ、参考人招致という奴ですね。ご苦労様です』

 

 ああ、確かそんな話があったな、と守人は内心ごちた。

 日本の立法府から炎龍の襲撃について説明が求められた為、伊丹と現地住民が数名行くことになった。ただその中身は自衛隊を批判する為だと噂で聞いていたのだ。

 

「大変じゃの。お主も」

「あはは……、まあ休暇のついでだと考えておきますよ」頭を掻きながら伊丹が言った。「ところで、守人様達は何をしてたんで?」

「門の解析じゃよ。少々気になったんでな」

 

 それで察したのか、すぐに「へえ、そうなんですか」と言ってそれ以上のことを聞こうとはしなかった。知って良い情報じゃないと、即座に判断した為だった。

 すぐに話を変える。

 

「ところで、そちらの剣歯虎(サーベルタイガー)は……」伊丹が言った。

「ああ、そうじゃった。お主等には紹介してなかったの。こちらが飼い猫の不破じゃよ」

 

 おいで、と言って守人の足にすり寄って来たのは、他よりも一回り身体が大きく、見事な毛並みをした剣歯虎である。

 想像していたのと違っていた栗林は、そのまま石化してしまった。彼女は小さな三毛猫のような存在だと思っていたのだ。

 

「……猫?」絞り出すような声で、栗林が言った。

「どう見ても猫じゃろ」

「…………可愛い?」

「可愛いじゃないか。ほれ」

 

 守人が不破の喉元や額を揉んでやると眼を細め、くすぐったそうに身を捩りながら可愛く鳴いた。

 そして目線で訊ねる。不破は頷く。そのまま栗林の近くまで歩き、座り込む。

 

「触ってみると良い」

 

 守人の言葉にどうにか持ち直すと、恐る恐る、といった感じで栗林やテュカ、レレイが不破の毛並みに触れる。

 ロゥリィは眺めるだけに留まった。

 

「わ、凄いもふもふ……」

「ふかふか……」

 

 最初は撫でるだけだったが、大丈夫だと分かると直ぐに抱き着いたり、頬擦りまで始めた。不破も若い娘に寄られて悪い気はしないらしい。終始ご満悦な表情だった。

 

「おーい、そろそろ行くぞー」

 

 時間がねぇんだ、と伊丹が告げると、三人は名残惜しそうに不破から離れていった。

 

「ではな。休暇を楽しんでくると良い。汝らに加護があらんことを」

 

 互いに崩した形で敬礼。そして彼らは、門をくぐり抜けて日本へ向かった。

 

「……儂らも明日には日本か」

『そうですね。楽しみです』

「そうだの」

 

 そして<門>の解析で分かった情報を纏め、柳田に提出。

 ついでに、国会中継が見られるよう頼み込み、タブレットPCを借りた守人は自室で参考人招致の中継を見ていた。その内容に呆れると同時に、「ああ、確かこんな感じだったなぁ」と少しだけ懐かしさを感じながら明日の準備を進めていく。

 

 翌日。

 

 扶桑国使節団は<門>を通り、日本へ。

 

 守人にとっては、数千年ぶりとなる里帰りとなった。

 


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