GATE×オリ主&オリ国家   作:オシドリ

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(´・ω・`)短いけど、キリが良いので投稿。


第5話

 伊丹達第三偵察隊の面々が再起動したのは、それから暫く経ってからであった。

 

 いち早く再起動した隊員が「救助」という言葉を口にして、皆がハッとした表情になり慌てて動き出したのだ。

 

 幸いなことに、太郎によって火は既に消し止められており、また手伝いを申し出たことで大量の水が供給され、適切な治療と喉の渇きを潤すことが出来た。

 荷車や家財の破損はともかく、死傷者は炎龍に襲われたとは思えないほどに少なかった。

 

 だが、死者が出てしまった。

 その事実に自衛隊員は肩を落とし、憔悴し、死者を悼んだ。

 

 村人からすれば、炎龍の討伐に一役買ったのだから、むしろ笑顔で誇るべきだと考えていた。

 それに、逃避行中に自衛隊員によって遺体は埋葬され、エムロイの神官であるロゥリィと、龍神・太郎が居た為、立派な葬儀が行えた。

 本来なら亡くなった者はそのまま野晒しになるところだが綺麗に埋葬され、神官だけでなく、神が臨席してお悔やみの言葉を述べるなど、普通ならばあり得ないことなのだ。

 だから、感謝しかない。

 

 ここが、日本側と特地側の命に対する認識の違いなのかもしれない。

 

 

 さて、ひと段落したところで。

 

 

 村人の救助も落ち着いたところで、伊丹が太郎へと敬礼し、自己紹介を始めた。日本語であった。

 

「えー、私は日本国自衛隊、伊丹耀司(いたみようじ)二等陸尉です」

『これはこれは、ご丁寧に。ああ、申し遅れました、私は姓は一目連(いちもくれん)、名は太郎(たろう)。かつては天龍と呼ばれた種族であり、今はこの世界の人から水と風の神、龍神と呼ばれる存在です』

 

 太郎と名乗った龍神の言葉に、伊丹は少しばかりの衝撃を受けた。

 

「……我々をご存じなのですか?」

 

 伊丹達は<コダ村>の村人から東に住む傭兵、また当初レレイが言ったような扶桑国の人だと思われている。

 傭兵ならば、ここ最近、国や貴族がこぞって戦力を集めているという情報が入っていたし、昔、扶桑国からの旅人が村にも来た事があったからだ。

 

 だが、太郎は「この世界の」と言った。つまり、伊丹達は別の世界からやって来たことを知っているということだ。

 

『ええ、勿論。<門>が開通して直ぐに私の一族の者が見ておりましたから。尤も、あなた方が来て基地を造り始めてからは近寄ることが難しくなったそうですが』

「あれま……」

 

 駐屯地近くに天龍が居た。このことに少しばかりの衝撃を受けたが、防備に関して考えるのは上の仕事で、攻撃を受けているなら既に受けている。先の炎龍にやったような攻撃をだ。

 それに天龍と話してみた感じは理知的だ。人間、もしくはそれ以上の知性を感じられる。

 

 苦労するのは上の仕事、自分は関係ないと思うと「まあ、別に良いか」となったのだ。

 

「さて、自己紹介も済んだところで」

『うむ』

 

 伊丹と太郎は、こちらを見つめる集団へと振り返る。そこには人・エルフを合わせて三十四名が居た。

 

「どうしようか?」

『どうしましょうねぇ?』

 

 彼らは、このまま連れて行ってくれと言ってきた人々であった。

 

 

 コダ村の人々の身の振り方は大きく分けて三つある。

 

 一つ目は、炎龍という災害がなくなったので、コダ村に帰る者。

 

 これが殆どである。 

 炎龍の攻撃で僅かな蓄えや家財を無くしてしまった者も居たが、知らない土地へ行くよりも住み慣れた村の方が落ち着くし、家族が無事ならまたやり直せば良い、と前向きに考えていた。 

 そして来た道を戻り、コダ村で元の生活を再開することになった。

 

 二つ目は、近隣の街へ行く者。

 

 家族や家財を失ったので村に帰っても仕事を続けられないと判断した者達だ。

 見知らぬ土地で生活を送ることに不安は多いものの、彼らは働ける年齢だから街に出れば何とかなる、と考えることにして各地に散ることになった。

 

 そして三つ目。

 

 これが問題となった。

 

 炎龍の攻撃で家族や家財を失った者。特に老人や子供、傷病者である。そして、村が壊滅してしまったエルフ。

 彼らには全くアテが無かった。

 村長からは「好きにしろ」「養ってはやれない」と言われ見捨てられ、親戚を頼ろうにも働けないし、所在が分からない。

 

 エルフは働ける者は多いが、未だ呆然としている者が多い。種族と風習の違いで、街で働くのは難しい。よくて身包みを剥がれて奴隷として売られるだろう。エルフは美形で歳を取るのが遅い為、好事家には非常に高く売れるのだ。

 

 中には自衛隊に興味を持った魔法使いの二人に、面白そうだからという理由の黒ゴス少女も居たが、概ねそういう理由であった。

 

 そして彼らが決めたのは、このまま自衛隊についていくことだった。

 どうせこのままだと死ぬだけなのだ。

 ならば、信仰する神は違えど龍神の加護と、彼らのお人好しさに賭けたのだ。

 そういう淡い希望を持って、自衛隊員と龍神へ話を持ち掛けたのだ。

 

 頼られる方としては、色々と問題やらなんやらがあるのだが。

 

「ま、どうにかなるでしょ」

 

 伊丹が無邪気な笑みを浮かべて言うと、ようやくホッとしたような空気が流れた。

 

 伊丹の任務は情報収集である。住民と交流し、親睦を深め、必要な情報や知識を集める。

 それなら、自分の意思で来る人達と交流を図り、必要なものを集めても同じなのでは? と考えたのだ。

 

 そんな訳で、アルヌスの丘駐屯地へ撤収準備を始める中、

 

『おお、忘れるところでした。伊丹殿、少しよろしいか?』

 

 討伐した炎龍の亡骸を纏め終えた太郎が話しかけた。伊丹達は一部を日本の研究所に送りたいと考えていたところ、太郎が『ここに捨て置いても問題がある』として全て持ち帰ることになったのだ。

 

「ああ、はい。なんでしょう?」

 

 声に反応したのは伊丹のみだった。

 さっきまでは全員が何かしら反応していたのだが、それが全くない。まるで声が聞こえていないようだった。

 

『ああ、私の声は、念話というのですが。現在は伊丹殿のみに聞こえるように絞っておりますゆえ』

「便利で良いですねぇ……」

 

 伊丹の言葉に、太郎は軽く笑った。

 ただ、龍の笑顔を見慣れていない伊丹には、眼の上を走る傷跡も相まって今から捕食されそうな、凶悪な笑みにしか見えなかった。

 

『ええ、そうですね。内緒話にはもってこいですからね』

 

 そう言う太郎の笑みが一層深まった。

 

 冷汗が背中に流れるのを感じて、伊丹は思った。

 

 あ、これ、嫌な予感がする、と。

 

『私の友人、守人と言うのですが。彼があなた方の国に行きたいと言っておりまして』

「えっ」

『また、私が住んでいる国、扶桑国からも外交官を乗せた船が現在こちらへ向かっております』

「ちょッ」

『ですので、受け入れなどの手続きをお願いしたい』

「いやワタクシ、ただの特別職国家公務員ですからねぇッ!?」

 

 撤収作業を進めていた隊員達は突然の大声に「何事か」と反応したが、声の主が伊丹だとわかるとさっさと元の作業を再開した。

 

 傍から見れば突然発狂したようにも見えるが、「まあ、伊丹隊長だしな……」という一言で済まされてしまった。

 

 それってどうなのよ? とも思えるが、隊員達も伊丹に毒されたのだろう。まあ、直感で巻き込まれたくないと思った人も居るとか。

 そしてそれは正しかった。

 

 まあ、つまり、世の中、巻き込まれる時はどう足掻いても巻き込まれる。

 

 巻き込まれた伊丹は運が悪かった。

 

 それだけのことである。

 




2016/8/8 誤字の修正をおこないました。

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