GATE×オリ主&オリ国家   作:オシドリ

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話が進まない。



第7話

 

 扶桑国の飛空船<伊吹>が到着するまでの間。

 

 龍神こと一目連太郎はアルヌスの丘の人気者になっていた。

 

「龍神さまー、背中に乗せてもらえませんか?」

『ああ、良いとも』

 

「龍神様、記念撮影したいのですが、よろしいですか?」

『ええ、構いませんとも。どのようにすれば良いですかな?』

 

「龍神様ぁ、ハーディがしつこくて、しつこくてぇ、本当に嫌なのよぉ。どうにかならない?」

『あの女は諦めが悪いですからねぇ……。今度、もう一度締めておきましょう。それまで我慢して下さい』

 

「龍神様。最近、ユノが冷たいんです。夜に一緒に寝ようと言っても避けられますし、嫌われちゃったんでしょうか?」

『……うーむ。嫌われている訳ではなさそうですよ。恐らく、今の環境に慣れていないのでしょう。今の長屋の様な家での生活は初めてでしょう。少し、様子を見てからでも遅くは無いと思いますよ』

 

「龍神様、今日は付与魔法(エンチャント)について知りたい」

『良いですよ。ではまず、付与魔法とは――』

 

『――ふむ、意外に面白いですね、この同人誌というのは』

「でしょでしょ! いやぁ、この<めい☆コン>は傑作ですからね! あとアニメの主題歌も良いんですよ!!」

 

 

 と、まあこんな感じである。

 

 

 さて、何でこんな事になったかというと。

 事の発端は数日前。太郎がやって来た時まで遡る。

 

 その日、駐屯地は大変な騒ぎになった。

 

 神龍(シェンロン)のような龍がやってきて、そんで一本首のキングギドラのようなドラゴンの遺骸もあって。そして扶桑国の事も聞かされてーので、まあ、今までとは違いすぎる事に驚愕したわけである。

 

 とりあえず、上に出す報告書やコダ村からの難民の対応、そしてドラゴンはサンプルを本土の研究所に送ってと忙しく動き回ることとなった。

 

 太郎はひとまず、コダ村の難民キャンプ建設地に近い場所に居座ることとなった。

 

 そして、直ぐに暇になった。

 

 最初は太郎でも初めて見る重機を面白そうに見ていたが、ずっと眺めていては若干飽きがくる。かといって、話す相手が居ない。

 元々、天龍は扶桑国のみにしか生息しておらず、滅多なことではファルマート大陸にまで飛んできたりはしない。来たとしても、上空を飛んでいても人とは滅多なことで関わらないのだ。

 

 偶に太郎が守人や不破を背中に乗せて世界一周の旅に出た際にファルマート大陸へ寄ることもあるが、大体百年周期なので運が良くないと会えないのだ。

 

 要するに、伝承や昔話には天龍の話は出てくるが、実物を見た事のある人は少なく。また炎龍を倒せるだけの強さを持っているし、自衛隊員は例外なく忙しいため、みな近寄ろうとはしなかったのだ。

 

 ……一部の人間(?)を除いて。 

 

「お久しぶりですぅ、龍神様ぁ」

『おお、これはロゥリィ殿。先程はしっかりと挨拶できませんでしたな』

 

 最初にやって来たのは、エムロイの神官であり、亜神のロゥリィ・マーキュリー。かの神官の中でも一際大きいハルバードを携えた、黒いゴスロリ少女であった。

 

『二百年ほどぶりでしょうか? 元気にしていましたか?』

「ええ、変わりありませんわぁ」ロゥリィは言った。「でも、びっくりしたわぁ。面白そうだからと彼らについていったら炎龍は出てくるしぃ、龍神様もやってくるなんて思わなかったものぉ」

『久々に<門>が開いたと聞き、こちらへ一族の者を派遣していたのですよ。その時にあの蜥蜴に襲われたと聞いて居ても立っても居られなくなりまして』

「相変わらずなのねぇ。でも、少しはハーディも大人しくなるかしらぁ?」

『さて、分かりませんねぇ』太郎は言った。『ところで、後ろのお三方は?』

「あら?」

 

 今度は白のTシャツ、ジーパンを着た金髪エルフと、杖を持った魔法使いが二人やってきた。

 エルフが一歩前に出て、膝を突いて一礼する。

 

「私は、ロドの森マルソー氏族。ホドリュー・レイの娘、テュカ・ルナ・マルソーと申します。龍神様、炎龍を討伐して頂き、有難うございます。コアンの森のエルフ一同を代表して、感謝を申し上げます」

『……どうぞお立ち下さい。元々、こちらの勝手でやったこと。気にすることはありません』

 

 むしろ、巻き込んでしまったという思いが太郎にはあった。

 天龍と炎龍が戦い、その結果、炎龍は彼女の住むエルフの村近くへ落ちたのだ。

 そのことを伝えると、テュカは小さく顔を振った。

 

「いえ、炎龍が活動を再開したとなれば、どのみち村は襲われていたことでしょう。生き残りは10人とはいえ、全滅はしなかったのですから」

 

 テュカの言葉に、太郎はただ静かに亡くなったエルフへその御霊が安らがれんことを言った。

 テュカとはその後、二,三言ほど会話して終わった。

 

 次は魔導士であった。

 

「お初にお目にかかります、龍神様。賢者のカトー・エル・アルテスタンと申します。こちらは弟子の」

「レレイ・ラ・レレーナ」

『初めまして賢者殿、そして未来の魔導師殿。何か御用ですか?』

「龍神様の持つ知識を教えて欲しい」

「こッ、こりゃレレイ! いきなり何を言っとるんじゃ!?」

 

 レレイは無表情のままコテン、と首を傾げ、

 

「その為の挨拶じゃ、なかった?」

「こ、これッ!?」

 

 このやり取りを見た太郎は、小さく忍び笑いを零した。

 

『いやはや、素直ですね』

 

 レレイを見やり、その眼を確かめる。本当に素直な、好奇心旺盛な眼だった。

 

『良いでしょう。構いませんとも』太郎は言った。『私の雑談に付き合ってくれるのなら、私の知識を幾らか教えましょう。よろしいか? 勿論、賢者殿も一緒にどうぞ』

 

 レレイは小さく頷き、カトーは何とも複雑そうな顔でレレイを見ていた。

 

 

 それからこの三人娘と老賢者は毎日のように太郎のもとへやってくるようになった。

 また、2、3日もすると混乱も落ち着き、太郎が理知的だと分かると遠巻きに見に来る者が増えてきた。

 その中で、ある自衛官がこう言ったのだ。

 

「どう見ても、リアル神龍(シェンロン)だよなぁ……、凄えな、ファンタジー」と。

 

 偶々それを聞いた太郎は少しばかりの興味を持ち、

 

『神龍、とは?』

 

 と訊ね返したのだ。訊ねられた自衛官は慌てふためいたが、難民キャンプのプレハブの建設状況を見に来た伊丹が事情を聴き、臆することなく持っていたスマホで神龍の画像を出し、これを太郎に見せたのだ。

 

『ああ、確かに私と似ていますね』

 

 太郎の体色は緑色ではなく黄土色だし、眼も紅ではなく藍色。それ以外はよく似ていた。

 

「でしょう? あ、それと質問なんですけど、何でも願いをひとつだけ叶える事とか、できますか?」

『……モノにもよりますね。神になりたいとかは本人の資質にもよりますので』

「あ、でも出来るんですねぇ。まあ、それは良いや」伊丹はにへら、と笑い、スマホを掲げた。「記念写真、撮らせてくれません?」

『キネンシャシン、とは?』

「あー、写真というのはこういうのでして……」

 

 スマホに入っていた人物や風景の画像を見せ、どういうモノなのかを説明する。

 記念写真を理解した太郎は笑い出した。好意を含んだ笑いであった。

 

『ハッハ。欲がないですなあ、伊丹殿は。ええ、その程度の事なら幾らでも構いませんとも』

「お、ほんとですか。……おーい、誰か写真撮ってくれー!」

 

 こうして太郎は伊丹とも仲良くなり、それを見た自衛官や難民達とも仲良くなっていったのだ。

 

 殆どは記念撮影や会話が主だったが、中には「背中に乗って飛んでみたい」と願い出る者もいた。

 

 これも太郎は構わないと言った。ただ、鱗が硬い為そのまま乗ると足に擦り傷が出来てしまうし、滑り落ちると危険なので胴体に布で誂えた鞍を付け、そこに乗るようにして遊覧飛行することになった。

 

 これがウケた。

 

 漫画や小説、アニメに親しんでいる者ならば、きっと一度は龍の背中に乗って飛んでみたいと思うだろう。

 それが叶うとなれば、連日太郎の周りには人だかりが出来るようになった。

 

 これが、人気者になった理由である。

 

 正神としてどうなのか、と言われそうだが、太郎は今の状況をそれなりに気に入っていた。

 普段は龍神として周りから傅かれて生活している為、入れ代わり立ち代わりに人が来て雑談したり、モノを教えたりするのは新鮮だったのだ。

 

 

 そしてあっという間に時が経ち。

 

 この日、扶桑国の飛空船が到着することとなった。

 

『来ましたか』

「あれが、飛空船ですか?」

 

 丁度、同人誌を持ってやって来ていた伊丹は空を見上げた。

 その名の通り、船が空を飛んでいた。思ったよりも大きい。デザインもゲームに出てくるような、ファンタジーらしいモノ。

 飛空船は難民キャンプ近くの空き地上空で止まると、そのままゆっくりと降下を始める。

 

「あ、陸将達もやって来ましたね」

 

 知らせを受けたらしい狭間陸将と、柳田二尉、そして本土からやって来た防衛大臣の嘉納らが足早にやって来た。

 表向きは防衛大臣として特地の視察、実際には扶桑国からの使節団に対応する為であった。

 

 この使節団の代表が国書を携えていると聞き、また今後の事を考えるとそれなりの人物を用意しなくてはならなかった。ただ、首相や外務大臣がいきなり特地へ行くのは諸外国から不審に思われるため、防衛大臣と特地問題対策大臣を兼務する嘉納に役が回って来たのである。

 

 

 そんな日本国から注目を受けている飛空船から、影が一つ、飛び降りてきた。

 

「え?」

『あッ』

 

 キイイイイィィィ――。

 

「――こぉんのォ、馬ァ鹿もんがァー!!」

『ごべえェェッッ!!??』

「い、イナズマキック?」

 

 伊丹はいきなりの出来事に呆然としながらも、某スポ根アニメの必殺技の名を口にした。

 影は太郎の顔面を思い切り蹴り飛ばすと、そのまま大きく宙返りして着地。腕を組んで仁王立ちになった。

 

 影の正体は、白の狩衣を纏った、白髪の人。腰には赤い飾り紐がある刀を二本差しにしている。

 パッと見ただけでは男か女か、判断がつかない。顔はどことなく幼さを残していて中性的に見える。身体も適度に引き締まっているようだが、肌の露出が少ないため分からない。

 今わかるのは、その中性的な顔が興奮のあまり赤く染まっているということだった。

 

「てめぇ、こっちの航路上に嵐を発生させてんじゃねーよォ! しかも複数!! お陰で何度か遭難しそうになるわ、連れてきた人員の半数は船酔いでげぇげぇになるわ、散々だったんだぞ!」

『いや、その、守人。ちょっと移動中、苛立ちを抑えられなくて……』

 

 蹴られた箇所を痛そうにさすりながら、太郎は言ったのだが。

 

「もういっぺん蹴り飛ばすぞ?」

 

 守人と呼ばれた人は柔らかい音色で、そして満面の笑みを浮かべていた。

 ただ、琥珀色の眼だけは笑っていなかった。

 

『……申し訳ありませんでした』

 

 太郎はただただ平謝りした。

 

「はー、全く……」そして頭をガシガシと掻きながら、「ああ、そこの方、失礼したの」と伊丹に振り向いた。

「あ、いえ、大丈夫であります。……えと、どちら様で?」

 

「儂は扶桑国の守人じゃ。よろしく頼むぞぃ」

 

 あ、やっぱり神様だった。同時に、この人が扶桑国最古の神なのか、と思った。

 そしてとりあえず、龍神様に何かあったと気付いた面々が慌てて駆けつけている様子と、先程と違い慌ただしくなった飛空船を見て、どう説明しようか。巻き込まれた伊丹は頭が痛くなった。

 

 

    ***

 

 

 ちょっとした騒ぎは起きたが、事情を説明してどうにか収まる。

 

 そして飛空船から降り立った使節団を見て、日本側の面々は「本当に日本人っぽい」と感じていた。

 使節団は全員が和装の出で立ちであり、中には巫女服や鎧を着ている者も居た。鎧を着た者は太刀を佩いていることから、恐らくは兵なのだろう。

 ただ、中に青い騎獣や剣歯虎が混ざっており、やはり異世界の国なんだな、と改めて認識することとなった。

 

 その中から最前に立っていた、威厳と温和を掛け合わせたような雰囲気を持つ男が喜納の方へ動き出す。恐らく、周りとは違うスーツ姿と佇まいから判断したのだろう。

 そして、喜納の前に出ると扶桑語、つまりは日本語で語り出した。

 

「初めまして。私は扶桑国の特命全権大使 菊地明堯(きくちあきたか)と申します」

 

 菊池と名乗る男が手を差し出す。

 

「日本国、特地問題対策担当大臣の嘉納太郎です。あなた方の来訪を歓迎致します」

 

 喜納も名乗り、そして満面の笑みで差し出された手をしっかりと握る。菊池も喜納の顔に釣られて笑みを深めた。

 

「かつて、扶桑国の発展に寄与した日本の方とお会いできて光栄です。大臣閣下」

「私もです、菊池大使閣下。まさか、この地に日本人が関わった国があるとは思いませんでした」

 

 一体どうなるか、と固唾を飲んで見守っていた面々も、ホッとしたような雰囲気となる。 

 後ろから見守っていた守人も、フゥ、と深呼吸をひとつ置き、安心した顔を見せる。

 

『……これで、歴史が動くかもしれませんね』太郎が言った。

「そうだな」

『どうなると思いますか?』

「わからん。ただ、忙しくはなるな」

 

 それが良い事なのか、悪い事なのか、守人は予想がつかない。

 守人の里帰り。この発言から始まった今回の出来事。

 

「本当に、大仰なこととなったのぅ……」

 

 

 こうして、非公式ながらも、日本国と扶桑国の面々が対峙した。

 

 そしてこれからどう動くのか、まだ誰にも分からなかった。

 




GATE×オリ主&オリ国家が思ったよりも長く続き、メインになっているので、

こちらの題名は「GATE×オリ主&オリ国家」に。

「ハイスクールD×D・プリニー」は「短編置き場」を作り、動かすことにしました。

誠に勝手な事になりますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
                
                     2016・7・27 オシドリ
2016/8/11 加筆・修正を行いました。

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