…まだだ。まだ買い物は終わっていない。
時計の針はすでに午前1時を大きく回っている。
しかし、ここまでは今日中に決着を付けねば…!
俺は眠い目をこすりながら、再びアマ○ンのタブを2つ追加した。
お次は
ただこれは、先日、実物をある程度見て来たので、だいたいの目星はつけてきていた。
×××
普段料理をほとんどしない俺が、なぜか、ガスストーブやクッカーなどの料理道具に異様にこだわってしまっている。
一つには、防災用具の追加品として慎重に吟味していることもある。
しかし、おそらく、ある意味テントや寝袋と同等、いや時にはそれ以上に、「野営」感を演出してくれるアイテムだからではないか、と感じる。
イメージしてほしい。
かっこいいテントの中でくつろいでいる自分。うむ、野営ってる。目は腐ってるが。
寝袋にくるまって極寒の夜をしのいでいる自分。うむ。立派に野営ってる。目は腐ってるが。
ガスストーブとクッカーで手持ちの食料をちまちま調理し、フーフーしながら鍋から食っている自分。
あっ…!!
別次元の野営っぽさ…!!!!
目は腐ってるけど…!!
わかるかなあぁぁぁぁぁぁぁああああ!!?
わかるだろぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!?
高いテントと高い寝袋持ってたって、コンビニ弁当食ってたら野営感薄いんだよ!!!
安いテントと安い寝袋でも、ストーブとクッカーでメシ作って食ったらバリバリの野営なんだよ!!!!
なんなら泊まり装備などなくたって、ちょっと外の景色いい所で、ストーブとクッカーでメシ作って食ったらもう完全にアウトドア!!まである!!!!!
少なくとも俺にとって、ストーブとクッカーというのはそういうイメージだった。
ところがこれがまた、死ぬほど種類がある。
×××
「ステンレス製」と「アルミ製」、そして「チタン製」だ。
「ステンレス製」は、なんといっても丈夫で熱伝導率も高い。価格も安め。だが重い。
「アルミ製」は、軽くて熱伝導率は非常に高い。価格も安い。あまり丈夫とはいえない。
「チタン製」は、軽くて薄いわりに丈夫でしかもサビないが、熱伝導率は悪い上に、価格はすごく高い(一般的に、アルミ製の倍以上の価格)。
軽さと丈夫さはわかるとして、「熱伝導率」の違いはどういう意味があるのか。
端的に言えば、熱伝導率が悪いと、ガスストーブで熱せられているポイントばかりが熱くなり(大抵のガスストーブは、鍋底の1点に炎の先が集中しやすい)、料理が焦げやすい。
よって、チタン製クッカーは比較的、料理を焦がしやすいらしい。
アルミやステンレスは、ストーブからの熱が鍋底全体に広がりやすく、チタンよりは焦げ付きが少なくなる。中でもアルミの熱伝導率は抜群だ。
なので俺は、クッカーはアルミ製にすることにした。
ステンレス製も丈夫でいいなとは思ったが、重さが最後まで気になったため、今回は除外した。
ちなみに逆に、チタンはその熱の伝わりにくさゆえ、皿やマグカップなどの食器類として人気が高い。
ふつうの金属食器って、かっこいいけど熱いもの入れると唇付けられないくらい熱くなるもんな。
「スターピーク」のチタン製のマグカップなどは、人気の、というより、もはや定番の製品だ。
正直、俺もすごく欲しい。デザインといい、チタンのマットな質感といい、めちゃくちゃかっこいいもん…!!
…だが、今はとにかく、メインで必要なものを買う
×××
俺的クッカー購入候補は2つ。どちらもアルミ製だ。
「ユニファイヤー」製の「角型クッカー3点セット」と、「スターピーク」の「トリップコンボ」だ。
新潟県メーカー対決〜〜〜〜!!!
「角型クッカー」は、その名のとおり、円柱形のクッカーが多勢の中で珍しい「
ザックや自宅での整理・収納時に扱いやすい形で、鍋の角っこからお湯を注いだりしやすい。
そして、俺的にはコレの外見は、かなりかっこいいと思った。
さらに、3点セットのうち、大きい方の鍋では、「袋入りインスタントラーメンを割らずに入れて煮込むことができる」という特徴がある。
円柱形のクッカーでは、袋ラーメンはまず割らないと鍋の中に入れられない。
煮込んでしまえば割ろうが割るまいがあまり食感は変わらないが、ラーメン好きを公言している俺としては、ここはこだわりどころだと思う。
ただ、価格は5,900円と、ちと張る。
フライパンのついてない「2点セット」は4,600円だったが、キレイにスタッキングできるし、別途フライパンを買うつもりもなかったので、思い切って3点セットの方を候補にした。
さてもうひとつの、「トリップコンボ」だが、これは「スターピーク」のラインナップでは、代表的なクッカーだ。
外見は、マグカップのような形で折りたたみができる柄のついた深型鍋に、同じく柄が折りたためる丸底フライパンをフタ代わりにかぶせる、「円柱形クッカー」だ。
それが、同じ形の大小2組のセットになっていて、マトリョーシカのように大きい組の中に小さい組がスタッキングされている。
デザイン的にはシンプルで飽きの来ない感じ。
こちらの価格は5,090円と、「角型クッカー」より若干安い。しかも鍋の数でいうと、合計4つで「トリップコンボ」の方が1個多い。
×××
クッカーの購入については、俺はさほど悩まなかった。
俺が「買い物カート」に入れたのは、「角型クッカー」の方だった。
ていうかね。
俺にとってこの選択は、そもそも「どちらか一方を選ぶとしたら、どちらか」というものではなかった。
俺にとっては、「どちらかを
ハチマンはキャンプ沼にスケキヨみたいに頭からぶっ刺さってしまいました。
病気だよ オマエ絶対 病気だよ(季語は病気)
…しかしね。
「なぜソロキャンプで鍋セットを何種類も買おうとするのか。その物欲はおかしい」とのたまう連中には、俺はこう問い返したい。
「お前は靴を一足しか持ってないのか?」と。
俺は眠さとガンガンに悩み疲れた頭で、「買い物カート」のページに進み、流れるように必要事項をチェックし、…
ひとつ、ふたつ、深呼吸をして、「注文確定」ボタンをクリックした。