(2016/05/09 23:47)
基本的な文言修正&本文追加いたしました。
「女の子とデートするだって!?」
いつものように正一、純一、梅原は屋上で昼飯を食べている時に純一が言った言葉に梅原は驚きを隠せないでいた。
「あのクリスマスに絶望を通り越して常に賢者モードの大将がデートだとお!!このお!このお!!」
「い…痛いよ!梅原!」
と梅原が純一にチョークスリーパーを掛けながら絡んでいる。当の本人の純一は苦しみもがいている。
「で、誰と行くんだ?」
それを見ながら正一は煙草を吹かしながら純一に聞いた。
「梨、梨穂子と行くんだ…」
「梨穂子っておまえ、桜井さんかよ!」
桜井 梨穂子。彼女は純一の幼稚園時代からの幼なじみの女の子でその付き合いはかなり長い。正一は純一と初めて会った時に助けた(?)女の子である。
その時から正一も梨穂子と付き合いはあった。正一は梨穂子が苦手だった、別に嫌いとかではなく彼女と正一は住む世界が違うものであった。
ある時、梨穂子は純一と正一を招いて食事会を開いてもらったことがあった。理由は単純で梨穂子の両親が梨穂子を助けた男の子にお礼がしたいというものであった。純一は正一の友達という立場で招待された。まあ、梨穂子と正一が2人で話なんてできないのでその間を保つ潤滑油みたいなものだった。梅原も誘ったが、実家の東寿司の手伝いのため来れなかった。正一は最初渋ったが、純一の必死の願いで行くことにした。何だかんだ言って正一は純一や梅原のお願いには弱いのだ。
行った結果はとても良かった。梨穂子の両親は正一の金髪で不良の外見にも特に気にせずに梨穂子を助けてくれたことに対しお礼を言った。正一は特に文句を言うことなく頭を下げていた。頭を下げる理由は無いが何て言葉を返せば良いか分からなかった。今まで、説教や文句を言われることはあれどお礼を言われることはほぼ無いため困惑していた。その後は鍋をつつきながら食事をしていたが、正一はどこかその光景を他人の様に見ていた。最初は分からなかった、そこにいるのは自分で純一、梨穂子、そして梨穂子の両親がみんな笑いながら食事している。そして分かったのだ。自分はこの場にふさわしくないと、この場が楽しくないわけではない、自分には合わないのだ。だから、正一は食事中で楽しい雰囲気の中で静かに言った。
“すいません、俺…帰ります”
純一、梨穂子、そして梨穂子の両親は驚いたように正一を見た。
“料理がおいしくなかったかい?””何か気に障ること言ったかしら?””どうしたの正一?”など正一を心配する言葉を皆言った。その言葉は慈善とか偽善とかそういうものでは無く、本当に正一を心配する声だった。だが、その声は正一にとって嬉しくもなくただただ苦痛であった。この優しさに慣れたら自分が自分でいられなくなるそんな恐怖があった。
それ以降、梨穂子と正一はきまずい関係が続いた。梨穂子はただただ、正一に謝罪をした。自分や家族が正一に対し何か悪いことをした記憶はないがあの食事の時にきっと正一の気分を悪くした、そんな考えで謝った。しかし正一はその梨穂子の謝罪に対し
“別に、何でもないから気にするな”
というばかりであった。そんなのこと言われれば気にする梨穂子であったが純一の気遣いもあり、梨穂子が正一と会う機会は激減していた。
そんなこともあったが、正一は桜井梨穂子という女性を認めていた。純一とくっつくにはとても良い女性であると感じていた。ただ2人ともかなりのおせっかいであるが。
「そこで梅原や正一に相談があって」
「おうおう、何よ、この梅原に任せろ。」
「何だよ、相談って。」
梅原、正一は純一からの相談に耳を傾けた。親友の頼みだ。2人は自分の出来ることなら何でもする勢いで聞いた。
「あ、遊びに行くときの服とかどこがお勧めの場所を聞きたいんだ。」
純一は服やデートプランとか知らないかと相談した。勿論服とかはあるが、それは男同士で行くおしゃれも欠片もないものであった。しかも遊びに行く場所もゲーセンとかが主でどこが女の子に流行るとか絶望的に知らなかった。
「何だそんなことか、なら俺に任せろ!」
梅原はその性格ゆえ明るく面倒見が良いため友人は多い。それに伴いそれなりの情報を持っている。この街のお勧めスポットとか服とかは今から情報を集めて週末にでも見に行けば遅くはない。
「俺は情報を集める。そして集めた情報で週末見に行くとするか。ただ、土曜日は実家の手伝いがあるから日曜日でも問題ないか?」
「俺は構わん」
「僕も良いよ。」
「よし、じゃあ決まりだな。女の子から情報集めている少し待っててくれ。」
そういい梅原は走って屋上を去っていった。
「相変わらず騒がしい奴だ。」
梅原の気持ち満更分からなくもない正一であった。正一も純一のため何が出来るか考えていた。自分には梅原のように友人から情報を聞いたりすることは出来なかった。理由は簡単で彼にはそういう知り合いがいないからだ。ましてや彼にはそういうまどろっこしいことは苦手であり出来なかった。ふと考えが閃いた正一はスタスタと正一は屋上を去ろうとする。
「えっ、正一どこに行くの?」
「俺は俺なりに出来ることをする。」
「でも、情報は梅原が手に入れるし。」
「あいつが間接的に情報を集めるなら、俺は直接情報を集める。じゃあな」
「直接って正一何するんだろう…」
何か大変なことが起きそうな予感を純一は感じていた。
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正一が屋上から来た教室は2年B組であった。純一、梅原、詞の教室は2年A組でありその隣のクラスである。そう、梨穂子の教室である。昼休みの時間はまだあり、梨穂子はクラスで親友の伊藤 香苗と昼食を食べていた。その光景を見た正一はまたの時にするかとも考えたが、別に遠慮をする必要はないと教室に入っていった。別にドアを開けて音を立てたわけでもないのに教室に入った瞬間クラス中の視線を感じた。正一はこの輝日東高校内の唯一の不良であり、素行も悪い。別な意味で正一はこの学園の生徒に注目されていた。そんな人物が関係ないクラスに来たということは誰かが正一の癪に障ることをしたんだという考えに結び付いた。そんな周りのざわつきを無視し正一は目的の人物の席に歩いて行った。
「久しぶりだな桜井。」
「あ~、正一だぁ、久しぶりだね~どしたの?」
気の抜けた声で言葉を返した梨穂子であった。正一と梨穂子にとっては何の変哲もないあいさつだがクラスの連中は違った。”えっ、何あの子普通に話ししてんの!?”と驚きの感想を持った。
「ちょっと良いか?時間は取らせん。」
「あっ、うん、香苗ちゃんごめんね。ちょっと行ってくるね~」
「えっ、桜井、大丈夫なの?」
「??大丈夫って何が?」
「だって、相手はあの赤井君だよ。桜井の身に何かあるんじゃ…」
「正一は見た目あんなんだけど優しいから大丈夫だよ。」
「こんな見た目で悪かったな。問題ないなら行くぞ。廊下ですぐ済む話だ。」
そういい、梨穂子を連れ立って教室を出ようした矢先、
「ちょっと待てよ。」
声を掛けられた。正一がその声の方向を見ると、男子生徒が3人立っていた。
「松平君。」
「大丈夫だよ。桜井さんこんなゴミは僕達が処分してあげるから。」
「正一はゴミなんかじゃないよ!」
「桜井さん、あなたは誰にでも優しい。だけどその優しさは誰にでも向けていいものではない。例えばこんなゴミとかね」
「桜井、どうでも良いから来い。こんな馬鹿に時間取られるのも面倒だ。」
「馬鹿だと・・・!」
正一はそう言い教室の外に出ようとするが松平は正一の肩に手を置き、”誰が馬鹿かもう一回言ってみろ!”と叫ぶ。
「その手を離せ。」
「はあ?」
「2度は言わん、その手を離せ。」
「何で僕がお前のようなゴミの言うことを聞かなk」
松平はその先の言葉を言うことが出来ず、吹っ飛ばされた。なんてことはない、正一が彼を殴ったのだ。クラスから”きゃあ”という軽い悲鳴なども聞こえた。
「松平君!」
そういい梨穂子は駆け寄った。正一は少し罰が悪い顔をした。行内で問題を起こすなと純一や梅原からしつこく言われていたのにそれを破ってしまった。反省をしようとしたが、そこの男が絡まなければ問題は起こらなかったと責任転嫁をすることにした。
「もう、正一はすぐに手を出すからダメだって言ってるじゃん。ここはいいから正一は教室から出た方が良いよ。先生も来るかもしれないから」
「分かった。話は放課後でいいか?桜井。」
「うん、分かった。」
そういい、桜井は松平の看病に移った。松平は意識があり腫れた頬のまま先ほどの光景を見て、腹が立っていた。
(何でこんなゴミと桜井さんと仲良く…俺とはあまり話してくれないのにこんなゴミと話せるんだ…何で…何で…そうか桜井さんはこのゴミに脅されているから仲良くしているんだ。そうかやっぱりゴミは掃除しないと)
そう考え松平は近くのイスを手に持ち、振り上げ正一の元に走っていった。
「正一!!!」
「死ねええええええええええええええええええええええ!!!」
梨穂子が声を上げるのと同時か振り上げたイスが正一の頭上に落ち…なかった!正一はそのイスを手で持ち受け止めていた。そしてそのまま松平を蹴飛ばした。がはっ、という声のまま松平は床に転んだ。そのまま正一はイスを持ったまま松平の元に行き
「相手に死ねということは自分のその覚悟があってやったことだよな。じゃあ、俺がお前を殺す気で殴っても問題ないな」
「ああ…いや…すいません、許してください。」
「自分がやったと時は良くて自分がされる時に良くないのは調子が良すぎるよな。まあ、別に殺さないから大丈夫だから安心しろ。じゃあな」
そういい、イスを振り下ろそうとした際に梨穂子が松平の前に立ちふさがった。
「どけ、桜井。お前に用はない。」
「正一は何しに来たの。人を殴るために来たの?違うでしょ。正一ならこんなことやっちゃダメだって分かっているよね。」
----- (2016/05/09 23:47 追加スタート)
「これは俺とそいつに関係することだ。桜井には何も関係ない。速く消えろ。」
「私にも関係あるよ・・・正一は私の友達だもん!!」
"友達"他人から見れば何も根拠も意味のない発言ではあるが正一には心に響くものがあった。
"そうか、桜井はまだ俺を…"
大抵知り合いを家に招き何も理由を言わずに帰るのは失礼である。しかもその訳を離さずに長い年月関わらずにいた場合友人だなんて思わない、それが普通である。しかも正一は素行の悪い不良である。ますます関わろうとはしない。関わっても何も得なんてないからだ。そんな自分を彼女は友達と言ってくれた。それがうれしかった。なぜなら正一は今まで1人だったからだ。
----- (2016/05/09 23:47 追加エンド)
そして正一はこういう自分の意思を持った目にどうしても弱かった。誰しも自分の外見、素行などで判断するため自分に意見を言える人間はそういなかった。だからか自分に対し恐れずに物事を言う人間を苦手としていた。
ガシャンと音を立て正一はイスを放り捨てた。そして正一は何も言わずに教室を去ろうとした。
「放課後待っているからね~」
先ほどと打って変わってのほほんとする声に安堵を抱きながら正一はその発言に頷き、本当に教室を去るのであった。
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この小説のメインヒロインを梨穂子に変えよう(提案)
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