ウルトラマンゼノン ウルトラの奇跡   作:ウルトラゼロ
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ケモノの影を纏って part3

「ふむ、ワシを追って来たと見た」

 

 

ジードの登場に誰もが騒然となるなか、唯一、テンペラー星人だけはこの状況を愉快そうに笑っていた。そう、テンペラー星人が異なる宇宙で戦っていたのは、このウルトラマンジードだったのだ。

 

 

「ワシ自らがと言いたいが、タイラントを計らねばならん」

 

 

今すぐにジードと再戦したい気持ちはあるが、自分は宇宙人連盟に名を連ねる身。であればとここは引いて、後ろから戦いを見ていようと、タイラントをジードへ差し向ける。

 

 

「ハァアッ!!」

 

 

対してジードもまずは迫るタイラントに意識を集中させ、地面を蹴ると、そのまま飛び上がった勢いを利用して、タイラントに飛び膝蹴りを浴びせる。僅かにタイラントがよろけたと同時に着地したジードはそのまま肩を突き出して、体当たりをぶつけていた。

 

 

(あのウルトラマンは…まさか…)

 

 

ユウマの精神状態とタイラントからのダメージで消耗しているゼノンはジードを見やる。彼にはあの特徴的な目に覚えがあったのだ。しかし今は何かしようにも満足に身体を動かすことは出来ず、成り行きを見守るしかなかった。

 

そんなジードはタイラントが振るった鋭利な鎌を前転することで避けると、そのまま背中に取り付き、何度も何度も打撃を浴びせると、身体を大きく振るったタイラントによって横っ飛びに吹き飛ばされてしまう。

 

地面を転がりながらも、すぐさま身体を起こすジード。だが既にタイラントは火炎を解き放つことで追撃の手を緩めるようなことはしなかった。

 

 

「レッキングリッパーッ!!」

 

 

すかさず前腕の鰭状のような部位から刃のような波状光線を放ち、火炎放射を真正面から裂いてタイラントに直撃させると地を蹴って、強烈な前蹴りを放ち、タイラントの巨体をくの字に曲げる。

 

そこからは怒涛のラッシュをかけた。荒々しく薙ぐようにして腕を振るい、タイラントに攻撃を与えると、そのまま遠心力を利用した回し蹴りを放ち、流れるように横蹴りを顔面に鋭く浴びせる。

 

ジードの優勢か。誰しもがそう思っていた。そのままジードは腹部目掛けて抉るような鋭い掌底を叩きつけようとする。

 

 

「──ウグァ…ッ!?」

 

 

しかしここで異変が起きた。何と掌底を放ったジードの右腕がタイラントの腹部に飲まれたではないか。次の瞬間、ジードから苦悶の声が上がる。一体、なにが起きたのか、目を凝らして見て見れば、ベムスターと同じ腹部の"口”がジードの右拳をすっぽり咥え込んでいたのだ。

 

 

「ウッ…グッ…アァッ…!?」

 

 

腹部の口はジードの拳ごと飲み込んでいこうとしているのだろう。抵抗を試みようとするジードだが、そうはさせまいとタイラントは鉄球やアロー光線を浴びせて、ジードの動きを封じようとする。

 

このままではあのウルトラマンが危うい。誰もがそう思い、満足に動けないゼノンも救援に駆けつけようとした時であった。

 

 

「──ジイイイィィィドックロオオォォォオーーーーーーーォオオッッッッ!!!!!!!!!」

 

 

痛みに耐えながら、奮い立つかのように叫ぶジード。次の瞬間、ジードの拳を咥え込んでいたタイラントは火花を散らしながら吹き飛んだ。

 

一体、何が起きたのか?ジードに視線を集中させれば、飲み込まれていたジードの右腕には鉤爪型のジャマタハルを思わせるような武器・ジードクローが握られていたのだ。

 

流れる動作でジードクローのトリガーを二回引き、刃が高速回転するとエネルギーが満ちたかのように光り輝く中央のボタンを押す。

 

 

「コオォォクスクリュウウゥゥゥゥゥッッッ…ジャミングゥッ!!!」

 

 

そのまま後方に一回転してタイラントとの距離を置くと、地面を蹴ることで飛び立つ。ジードクローを突き出しながら全身に身に纏ったエネルギーと共に高速回転しながらタイラントに突っ込むと深手を負わせることに成功する。

 

 

「ッ!?」

 

 

追撃しようとするジードだが、倒れたタイラントから放たれた鉄球の鎖によって、その身を拘束されてしまった。

 

身を起こしたタイラントはそのまま火炎を拘束したジードに放つ。しかもそれは短時間のものではない。まさに己が全てを、命を代償にして放つかのような火炎だったのだ。

 

あまりに広大かつ灼熱の火炎によって。ジードの身体は周囲の建造物を巻き込み、火炎に包まれて見えなくなってしまう。果たしてどうなったのか。誰もが息を呑んだその時であった。

 

 

 

ジードを包む炎の中から逆流するかのように赤黒い稲妻のようなエネルギーがジードを拘束していた鎖に流れ、あまりの熱量に耐え切れず、焼き切れたのだ。

 

 

 

 

「───オオオオオォォォォォォォォ…ッッッッ!!!!」

 

 

 

焼き切れた鎖にタイラントが驚き、前方を見れば、地獄の業火のような炎の中で荒ぶる獣のように迸る赤黒い稲妻状のエネルギーを身に纏い、光が漏れ出るほどに強く目を発光させているジードがそこにいたのだ。

 

獄炎の中で解き放たれた獣のように唸り声をあげるその姿はなんと禍々しいことか。それはまさに悪魔と呼ぶに相応しいほどだ。

 

 

「レッッッキングゥッバアアァァァァァァァッッストォオオオッッッ!!!!!」

 

 

本来は怨念の集合体である筈のタイラントでさえ戦慄するなか、腰を深く落としたジードは両腕を十字に組み、青黒い光波熱線を解き放つ。唸るように放たれた光線はタイラントに直撃し、やがて爆発四散するのであった。

 

 

「ほぉ…これはまだまだ楽しめそうだな」

 

 

成り行きを見ていたテンペラー星人はタイラントを破ったジードの力に関心する一方で、同じく戦いを見ていたゼノンを一瞥すると、人知れず消え去り、後にはジードとゼノンしか残らなかった。

 

・・・

 

 

「うっ…くっ…!」

 

 

戦いが終わり、ゼノンから姿を変えたユウマは壁伝いに歩いていた。やはりタイラントからの攻撃は凄まじく、今も身体に強く残っていたのだ。

 

 

「──大丈夫?」

 

 

そんなユウマに声をかける者がいた。ユウマが振り向くよりも早く声をかけた人物が彼の腕を自身の肩に回すことでユウマの身体を支える。

 

 

「アナタ、は…?」

 

 

何者なのかと見て見れば、そこには自分よりも年上で二十歳間近か否かくらいの年齢の青年がいたのだ。少なくともこの町でこの青年を見たことなどない。

 

 

「もしかして…!?」

 

 

考えられるとすれば、一つだけだろう。先ほど、現れたウルトラマンはこの青年なのか、そう結論に至ったユウマは驚くように目を見開いて問いかければ…。

 

 

「うん。僕はリク、朝倉リク。さっきのウルトラマンジードだよ」

 

「ジード…?」

 

 

ユウマを安心させるように青年は、いや朝倉リクは柔和な笑みを浮かべながら己の名と共に先ほど、タイラントを破ったジードであることを明かす。

 

 

「君がこの世界のウルトラマンなんだね?」

 

「はい…。アスノ・ユウマ。それが俺の名前…。そして…ウルトラマンゼノンでもあります」

 

 

戦闘が始まる前にユウマがゼノンへと姿を変えることをリクはその目で見ていた。改めて彼がこの世界の ウルトラマンであることを尋ねると、ウルトラマンである彼に下手に隠しても仕方ないとユウマはコクリと頷きながら、自身の名とゼノンの名を明かす。

 

 

「ユウマとゼノンか…。ありがとう、よろしくっ!」

 

 

確かに覚えるように反復しながら、底抜けに明るい笑顔を浮かべて声をかけるリクに普段のユウマならば、同じように応えるだろうが、今はそうも出来るような精神状態ではなく、おずおずと頷く。

 

 

「とりあえず場所を変えようか。なにか良い場所、知らない?」

 

 

負傷しているユウマをひとまずは休ませねばならない。リクは場所を変えようとするも、この町に詳しくはなく、ユウマに尋ねると、ユウマは一先ずは安静に出来る場所であればとマツミズの家の場所を彼に案内しながら移動を開始する。

 

ユウマとリク。それがユウマにとって新たな運命の出会いであった。




<次回予告>

依然としてユウマの精神状態は回復しない。そんな彼はリクのみならず、ミカヅキ達や艦娘達などユウマを想う者達と接する。彼の心に少しずつ絆という温もりが灯るなか、再びテンペラー星人が現れる。さあ今こそ立ち上がる時だ、ユウマ。君の未来を、そして共に歩く人々との未来を掴む為に。

次回…絆∞Infinity







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